『夜景』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
光の群れが窓の外から見えている。
天を貫くように聳え立つビル。その周りを忙しなく走る車のライト。
それらは別々に見ると寂しいのに纏まるとどうしてこうも綺麗なのだろう。
ここは明るすぎて星が見えない。だが此処こそが流星群の中なのだ。人間の文明が生み出した蠢く流星群は今日もどこか忙しない。
お題『夜景』
遥か上空に浮かぶ、色とりどりの星たち。
あか。しろ。あお。き。
多彩な色を放ちながら、煌々と輝く星たち。
きら。きら。きら。きら。
嗚呼、あの何処かに、君がいる。
▶夜景 #12
知らない街の夜景を眺めている。明かりがたくさんあって、とても美しく感じる。ずっと眺めてたい。眠くなるまで。
夜景の中から、ひとつ、ひとつ、家の明かりがぽつぽつと消えていく
ふたりだけの秘密の場所で、眠たくなるまで眺めていた
僕たちはいつまでも、こうしていられると思っていた
あの日、僕が、君の中へと踏み込むまでは
(夜景)
【夜景】
やっぱり、こんなオシャレなホテルでプロポーズなんて僕には場違いだっただろうか。
目の前の彼女は、俯いたまま、何も言わない。
普段は、そこらのファミレスに行ったり、テーマパークに行ったりと、なかなか庶民派な僕達だが、意外とこれが最高に楽しかったりする。
高校の頃に出会って、告白したのは彼女からで(結構男前な彼女なのだ)、そこから付き合い始めて6年目になる僕達。
そんな僕達は、度々、元同級生の結婚式に参加したりする。数年ぶりに会って、綺麗になってる花嫁を見て、彼女がぽやーと眺めているのを目撃した。
あぁ、僕達もいつか結婚とかしちゃったりするのだろうか、と考えると、やっぱりプロポーズって男からだよな、とか、彼女のことを思うと、早い方がいいのかなとか思った。
そんなこんなで、今日のプロポーズの計画を立てたのである。
付き合い始めた記念日の今日は、タイミング的にもなかなか良かったと思う。
「えーっと、その、聞こえてた?もう1回言う?」
現実逃避をしても仕方がないと思い、彼女に話しかける。
「あのー、、すみません?えっと、その、迷惑、だった?」
唐突に彼女が顔を上げた。その顔は、びっくりするくらいボロボロに泣いている。
「っっ……、もう……、こんな綺麗なホテルに来ちゃって、記念日だから嬉しくて、それだけで十分すぎるくらい幸せなのに……っ、でも、しかも、ぷ、プロポーズって……!」
あ、これは嬉し泣きってやつだ。
「ふふ、あはは!」
「ふへへ、あは。」
2人して笑う。
「じゃあ、返事って……、」
「っっ……、もちろん……っ、これからもこんな私で良ければよろしくお願いします……!」
「ねぇ、さっきの指輪はめてもいい?」
そう言って笑う彼女は世界中の何よりも綺麗だと思った。
夜景の綺麗なレストラン。
彼からの誘い。
きっちり着込んだスーツ。
もしかして、と思いバッチリ気合を入れておしゃれしてきた。
食べものは絶品で、全部美味しかった。
彼との会話も楽しくて、時間を忘れた。
「それで、本題なんだけど」
「うん。なに?」
「僕と別れて欲しい」
「……………え…?」
嘘だよね、嘘だと言ってよ。そう思う心が爆速で鼓動を打ち、手が震える。
「僕は今の自分が満足できない。
……ガリガリの僕のこの体がね!!」
「はっ!?!?」
「だからスポーツジムに行こうと思うんだ!そのせいで連絡無視するかもしれないしデートの約束を守れないかもしれない、それが申し訳ないから…
僕と別れて欲しい。」
「…ふふっ、あっははは!あなたって本当に、面白い人ね。
"それが申し訳ない"、ってことはそのくらいの愛はあるんでしょ?別に、連絡無視してもデートの約束守れなくてもいいわ。
私は愛してくれる愛する人と生きたいの!」
_2023.9.18「夜景」
夜景
「綺麗だね。」
「うん。きれい。」
「……。」
「……あのさ___」
「ねえ。」
「……なに?」
「私達、いつまでこんな綺麗な夜景見ていられるかな。」
「……わかんない。」
「来年はさ、私の分も一杯こんな綺麗な夜景見てよね。」
「私の分も、じゃなくて、いっしょに、でしょ?」
「……そうだね。」
車椅子に乗っているあなたは、寂しそうにそう呟く。
バカな私だって、ちゃんとわかってる。
あなたに来年が来ないことくらい。
夜景ね~
さまざまな夜景があると思うけど、夜景を見ると綺麗で興奮するはずなのになぜか落ち着くよね。夜景はずっと見てられる気がする。
静かなところでなにも考えずただただ夜景を見るだけそれだけで少し体や心が軽くなったりしてまた、新しい私に生まれ変わったみたいな感覚になれることがある。暗いと落ち着くしそこに明かりがあるとまだわたしの心は真っ暗ではないまだ明かりが残ってるのかもとかいろんなことを考えてしまうよね。もちろんいいことも、悪いことも...
あの時の夜景、綺麗だったなあ。
見やすい方の席をすすめてくれてありがとう。
「夜景」
数年ぶりの東京の夜景を下から見上げる
あの頃より大人になった今はどう見えるのか
その隣にあなたが居るのはどう思うのか
答えはその夜の東京の通りにある
【夜景】
――観覧車、昼間と夜、どっちがいいんだろーね。全部見えちゃうのと全部見えないの。
昼間は景色が絶対キレイだよ? 海も見えるだろーし。キラキラ光ってるよきっと。
夜は、夜景がキレイだろーねぇ。深い海に沈んでく感じかなぁ。夜をかき混ぜるスプーンになれるよ。
「どっちがいい?」
聞かれてうっすらと笑う。
「ちょっと今、スプーンになりたくなった」
「でしょー? じゃ、夜ね」
"夜景"
聖都大附属病院の屋上、秋の夜風を浴びながら夜景を背にフルートを構えている。
今日は午後の予定が無く、やる事も特になかったので「じゃあ…」と、再びあいつの思いつきで開催が決定した演奏会。あの時より曲数が格段に増えていたからあの時よりやり甲斐あるよ、と言われ何も言えなくなっていたらいつの間にか今日の夜中にこの場所で再び開催される事になった。
──俺は別にいいけど、こいつら大丈夫なのか?業務とかまだ残ってるはずだろ。
まぁ、決まってしまった以上俺は演奏するしかないので、決まってからここに向かうまでの短時間にセットリストを決めて、更に練習までしてと慌ただしかった。
空には綺麗な月が登っている。あの時は夕日がスポットライトだったけど、今回は月がスポットライトだ。スゥ…、と息を吸い、演奏を始める。
夜闇と秋の澄んだ空気にフルートの音が溶けていく。空気が澄んでいるから、あの時よりも音がどこまでも伸びていくよう。その感覚がとても心地良くて、少しずつ音が弾んでいく。楽しい。凄く楽しい。
そして曲数を重ねるごとに、興奮で体が熱を帯びて熱くなっていく。その熱を夜風が奪っていって、風に撫でられる度に気持ちいい。終わりたくない。ずっと音を奏でていたい。
けれど物事には終わりがある。だからしっかり、綺麗に終わらせなきゃ。音をどこまでも伸ばしながら、秋の夜に音を溶かして、この演奏会を終わらせる。
拍手を一身にうけ、照れながらフルートをケースに仕舞い、照れ隠しにさっさとそれぞれの持ち場に戻るよう言い放ち、屋上を後にしようと皆の後ろを歩いていると
「そういえば、あの曲はやらなかったな」
いつの間にか俺の横にブレイブが来て「何故だ?」と聞いてきた。
「いいだろ別に。そもそもあれは指を解す為の、いわば指の準備運動の曲だったんだ。そんな曲をやったら意味ねぇだろ。」
立ち止まってそう答えると、フッ、と笑って俺に笑みを向けながら
「なら、あの曲は俺達だけの秘密だな」
胸が、トクン、と鳴った。秘密…。2人だけの…。
「お、おう…。そう、だな…」
返事をすると、ブレイブが歩き出した。慌ててそのあとを着いていき、院内に戻った。
【夜景】
有田は生前、とんでもない性癖を持っていた
普段は真面目で心優しく仕事熱心な人柄だったが、
性癖を満たした後、自宅の高級マンションから
夜景を見下ろす彼はとても同じ人間とは思えなかった
さて、彼の死後では彼を天国に導くか、地獄に導くか
激しい議論が行われていた
議論の末、性癖のみを地獄に導くことが決まったが
そこである大きな問題にぶつかった
それは、性癖は脳なのか陰茎なのかという問題だった
脳側の意見としては、
「性癖はその人の心理や本質を表すものであるから
性的嗜好は脳が行う普段の思考が決めたに違いない」
陰茎側の意見としては、
「彼奴の性癖は陰茎が本能的に独自に考え、
それを脳が受け取っただけである為脳は無実である」
この対立は天界を揺るがす程激しかった為、
神々も関わったがそれでも尚、何の発展も無かった
だが、脳と陰茎の証言からある事実が判明した
脳と陰茎は共犯関係だったということだ
脳と陰茎は最初は抵抗したが、直ぐに地獄に送られた
そして、有田本人は天国に導かれて神々からは
彼の住んでいた大好きな高級マンションも送られた
しかし、有田は大好きなあの夜景を見下ろした途端、
苦しそうな呼吸と共に涙を流したのだ
性癖を失った有田にとっては天国も地獄だった
夜
辺りが暗くなると見えてくる
ピカピカと光る眩しい光
光と共に
忙しなく動く人の音も聞こえる
夜勤だったり
塾の帰りだったり
色々な急ぐ音
深夜の二時は丑三つ時だと言い
人も草木も寝静まる時間だと言うが
今の世の中はそんな事は関係なく人は動いている
欠ける事が許されない機械の歯車のように
身をすり減らしながら動いている
疲れたよ
辞めたいよ
でも、辞められないんだよね
後、何回夜景を見れば解放されるのか…
もう、夜景は見ない
ピカピカと輝く光は
いつしか綺麗とは思わなくなった
都会の夜景は汚い。高いビルと明るすぎるネオンライトで照らされて、酒とタバコと女の匂いを無惨にも漂わせている。
「まァた外見てんのー?」
ガラガラと雨戸を開けて同居人が顔を出す。手にはタバコとライター。
「別に。涼んでるだけ。」
ふーん、と興味なさげに相槌を打って彼女はスリッパに足を通す。隣でカチカチと音を鳴らせ、汚く濁った息を吐く彼女を横目に見ながら、私はもう一度アルコールを飲んだ。ゆっくりと躰を侵食する苦い後味が同時に脳みその機能も奪っていく。人生の一番の楽しみはビールと相場は決まっているのだ。
「眠らない街なんてさ、よく言うよねぇ」
思い出したかのように呟く彼女の声に瞼を開くとギラギラと集まる光が目の奥を痛いほどに突き刺す。目を背けるように隣を向けば、薄いシャツ一枚でタバコを吹かす同居人と目が合った。
「寝ないと健康に悪いのにね」
柔らかく空気を吸いそのヤニを赤く灯して、彼女は悪戯っぽく口角を上げた。
「...よく言うよ」
ぬるくなったビールは炭酸が抜けて美味しくない。
都会の夜景は臭くて汚いけど、嫌いってワケでもなかったりする。
[題:夜景]
ふと急に思い立って
車を飛ばして
高台に上る
眼の前に広がる
夜景は
いくつもの宝石が
散りばめられたように
キラキラと
輝いている
目を閉じると
ふうっと
爽やかな風が
吹き抜けた
今までのモヤモヤが
風とともに消えていった
数年前に慣れない土地に来て
バタバタしていて疲れ果てた時に
見つけた高台
広がる景色に何度か救われた
都会に住むのは
しんどいけど
悪いことばかりじゃない
ありがとう
あなたと一緒に見た夜景。
今日は1人で見るよ。
涙で視界が見えないな、
夜景
最近、空を見ていない。
外は暑い。残暑厳しい夏、わざわざ空調の届かないところまで出て星や灯りを見ることに意義を感じない。
いや、違う。体調をまた崩して理想から遠退くのが嫌なのだ。本当は星が輝くところを見てみたい。
暑いからこそ街の灯りは煌々と照らされている。
早く元気になりたい。趣味の時間をとりたい。
今はまだ、夜景の一部としての私の部屋の照明は消灯したままで眠りにつくことを許してほしい。
「夜景」 町にてステキな贈り物 ビルの明かりも消えた夜 深い夜に輝く夜景 ほら、そこに夜景の灯った星たちが今もシャランと流れてる
ぽつり、ぽつりと遠くに灯る明かりの一つ一つに、それぞれの幸せがある
きっと私は、この薄闇に散らばる数多の灯火の持ち主たちとは、これからも直接出会うことも語らうこともないでしょう
それでも、それぞれの窓辺にポッと灯る街の明かりは、これからも私が世界にひとりきりでないことを教えてくれるのでしょう
『夜景』
/見知らぬ貴方の幸いを