『夜の海』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夜の海に造られた一本の道は、私をどこに連れて行くのだろうか。
行き着く先は分からない。
神様のいたずらに乾杯。
夜の海に友達と行って
夜の海に家族と行って
たまに
夜の海に一人で行く
一人で行ってもいいじゃんか
帰り道一人なのに このまま醒めるのまじきちいな
もうちょっとだけでいいから東京の海、眺めてたい
ヒッピーみたいなフリしてるけどぶっちゃけ寂しがりなんだよ
缶ビールも底をついて 頼みのあいつも返事無いし
こんな夜も有り得るって頭ではわかってるけど
寂しいな
“誰もが照らされててみんな迷子みたいだな”
うわ、何言ってんだろ酔っぱらいの癖に
昔はキャラ立ちとか考えてたけど、今日はもうこれでいっか
もうちょっと歩くのもそんな悪くはないかな
夜の海
海なし県民ゆえに
海とのご縁は少ない
さらに夜の海ともなれば
たぶん数回
夜の砂浜を歩いたの、記憶にはある
月夜でもなかったし
暗いし
とにかく暗くて
あとは波の音ばかり
ちょっとどころかかなり怖かった
友人たちと一緒だからこその経験
月明かりだけが照らす薄暗い浜辺。
そこに私はただ一人座り、物思いにふける。
私は幸せだ、何も不自由ない生活ができて。
そのはずだが、心の中で “何か” が激しく動いている。
もやもやっとした、黒い “何か” が。
その “何か” は、いつも私を苦しめる。
ずっと心の奥深くまで染み入るように、チクチクと。
その “何か” は、棘のように鋭く、氷のように冷たい。
でも大丈夫。
ここに来れば、私は救われる。
波の音が、その “何か” を埋めてくれるから。
波は私の心にかぶさりながら、その音を奏でる。
いつまでも繰り返されるメロディが、とても心地よい。
私が何も言わずとも、波は私を迎え入れる。
いつまでも居ていいことを教えてくれるかのよう。
いつまでも、いつまでも、
「一緒にいてくれませんか。」
____ざざっ
と短く、けれど誠実に、返事をした。
そして “何か” は、しばらく姿を消した。
しかし私には “何か” を完全に消すことは出来ない。
だから、また現れた時には、波に会いに行くの。
#夜の海
夜の海
ザザァー
波の音が聞こえる。
私以外誰もいない。
そりゃそうだ。
夜だから。今は、20時。
仕事でミスをしたときとか、彼氏と喧嘩したときとかによく来る。
今日も部長に怒られたなぁ。
後輩のミスはお前の責任だ!って。
そんなこと言ったら、私のミスは部長のミスじゃんか!
そんなことは言えないけど、夜の海は静かで疲れた私の心を癒してくれる。
よし、帰ってビールでも飲むか。
砂浜にできた私の足跡を、白波が消していく。
夜の海の波の音、
子守り歌で
眠りにつく
波が一日の記憶を
洗い流してくれた
故郷の海は
今日も静かに
打ち寄せているのだろうか。
波の静かな、月下の元
凪いだ水面は、眩く星空を優しく揺らす
そんな光景を眺め、「綺麗だな」なんて呟きながら
潮風に背中を押されるままに、一歩一歩と歩みを進めた
耳の痛くなる様な世界から、逃げ出してしまう為に
--二作目--
星月を映し揺らす海
それを、ただ静かに見詰める、貴方の横顔
―――嗚呼、ダメだ
僕は貴方を、後ろから思いっ切り抱き締めた
今此処に居る事を、確認する為に
夜凪に攫われ、泡となって、消えてしまわぬ様に
#夜の海
388作目
夜の海を見渡して
このままどこかに流れて行けたならと思ってしまった
ここにいたくない
どこにもいたくない
君に会えないなら生きていたくはない
流れた涙が海に混じって涙色が広がっていく
夜の海を見ながら流した涙は
きっと君には届かない
夜の海といえば
月に照らされた穏やかで幻想的な景色を連想する
喧騒とは無縁のとても静かな世界
けれども海の中では
そんな幻想的なイメージとはかけ離れた
激しい自然界の攻防が繰り広げられている
食うか食われるか
食うか飢えるか
逃げ切るか食われるか
昼も夜も関係なく
海の世界は常に生きるための戦いで満ちている
そんな海の中に思いを馳せるのも
たまには悪くない
題 夜の海
静かな夜の海
無償にきたくなって。
夜の電車を乗り継いできちゃった。
他の人から見たら、危ない人かな?
若い女性一人で夜の海なんて
でも、ただ、見に来たかったんだ。
普段から海をみるのは好きなんだけど、夜の波の音をただ、聞いていたかった。
癒やされたくて。
この波の音が大好きで、癒されるから。
私が大きな岩に座って静かに波音に聞き入っていると、携帯の着信音が鳴る。
出ると、焦った彼氏の声が聞こえてきた。
「カナ?!どうしたんだよ、急に夜の海行きたいってメールしてきて、本当に夜の海行ったのか?」
「うん、今夜の海にいるよ」
私がそう言うと、彼氏の声のトーンが何段階も上がった。
「何してんの、一人で行ったら危ないでしょ?!すぐ行くからどこにいるか教えて!!」
「う〜ん」
私は満月と波音を聴きながら一瞬迷った。
今日は一人でいたい気分なんだよなぁ。
彼氏にメールなんてするんじゃなかった。
「え?どこにいるの?聞こえない」
彼氏がたたみかけるように言ってくる。
心配してくれるのも分かるけどなぁ・・・。
「じゃあ約束して、私、静かにこの海を楽しみたいから、来ても話しないで静かにしててくれる?」
「・・・カナがそうしたいならいいよ」
若干不満気な彼氏。でも、良かった。納得してくれたみたい。
「分かったよ、それじゃあ、言うね・・・」
私は海岸の名前を告げる。
そして、電話を切ると、空を見上げる。
星と月が綺麗、そしてなんと言っても夜の海の魅力。
暗い中ざぁざぁと流れる波の音が私の心に響いて、癒しに癒される。
ああいったものの、彼氏が来たら無言ってわけにはいかないだろうし、今のうちにこの静かな時を楽しもうっと。
私は心を静かに落ち着けて、波音のヒーリング効果を堪能したのだった。
波の音が聞こえる。
向こうの空は薄紫だ。
てっぺんのほうは黒っぽい。
粉みたいにさらさらの砂浜に寝っ転がって見上げると無数の星。
チカチカと光るあれはたぶん飛行機。
スイッ スイッ
流れ星たちが流れてく。
ジュッ ジュッ
海に落ちたらきっとこんな音がする。
「夜の海」
「本当に人間は勝手なんだから」
「あー、はは。なんかごめんね」
真っ黒な海を月が照らす。打ちよせる波が月光を反射しては消えて、また光る。なんてことのない夜の海だった。
その中で異質なのが彼女だ。正直、彼女と呼んでいいのかも分からない未知の存在である。
「あの人はわたしのこと忘れちゃったのかな」
潮焼け知らずの髪と肌は真っ白で、月の光を浴びて一層輝いてみえる。すらりとした上体は人間の女性であるが、問題はその下。人間ならば脚があるはずのそこは鱗に覆われた魚の尾であった。
ひらひらと金魚のような大きなヒレが華やかだ。水面を打って飛び散る雫がまるで彼女を引き立てる宝石のようで、つい見入ってしまう。
「毎日欠かさずわたしのところに来てくれたんだよ」
キャッキャと女子高生のようにはしゃぐ姿は可愛らしいが、なんとも人間臭い。もっとこう、童話に出てくるような人間とのズレや伝説のような恐ろしさがあると思っていたのに。
「ねえ、聞いてるの」
もちろん聞いている。毎晩同じ話をされていい加減聞き飽きてはいるけども。
よくもそんなに語れるものだ。もう何十年も前のことを、とっくに終わってしまった恋心を、何もかも知っているはずなのにどうして。
「じいちゃんが好きだったんだね」
「ちがうよ。『だった』じゃなくて好きなの」
今でもね、と。俺の目を覗き込んで微笑んだ。
何かを探るように、懐かしむように。俺を通して別の人間をみている。
「俺なら…、いや、何もない」
―――人魚の目をみるな、魅入られるぞ
じいちゃんの言葉が頭によぎる。月の明るい夜、海に面した窓や戸を閉め切って誰一人外をみることも出ることも許さなかった。
今になってわかる。あの言葉は本当だった。
もう俺は魅入られてしまった。人間に恋をした人魚に魅入られている。ずっと、ずっと。
【題:夜の海】
夜の海
行ったことは
ないけれど
たぶん
黒い
「夜の海」
僕の手を引いて海に入る
夜の海は月明かりが水に反射して
幻想的な空間に変える
「冷たいね」なんて当たり前でしょ
このまま君と海月のように溶けられたら
"幸せだね"
#夜の海
静かに寄せるその波が
ざわめきや不安を連れ去ってくれればいい
肌を滑る汐風に乗せて
すべて洗い流してしまいたい
果ての見えない夜の海
炎のようにゆらめいて
すべてを包み込んでしまえ
昼間の賑やかさとはかけ離れた夜の海は、さざ波の音だけが響いていた。
「静かだなぁ」
月や星が出ていればロマンチックだったのだろうか。この磯臭さに慣れていればもっと美しく見えただろうか。隣に好きな人がいればさみしくなかったのだろうか。
「私にはこれくらいが丁度いいや」
光の無い夜に、慣れない匂いを胸いっぱいに吸い込む。独りきり、ただ静かに。
夜の海
波音が際立つ
白波も闇に染まる
鳥も寝静まって灯台だけが存在を主張して明滅する
夜の海
練り歩くには危険だけど
吸い込まれそうなくらい穏やかで
掴めないから浸りたくなるくらい危険
お盆の日には
船で送ってさようなら
線香花火で競争をするには
寄せては返す波が風を運んでくる
【夜の海】
海の音が静かで暗い夜に
響いてる
心地よい音でリラックスできるけど
時には
暗い波に連れ去られそう
昼間の穏やかな顔と、がらりと
変わって、
真っ暗で何も見えないけど
微かにきこえる波音に耳を傾けながら
僕は眠りにつく
明日は仕事だから、また頑張ろう
夜の海/夜凪