『喪失感』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
《喪失感》
なにか明確に、喪ったものはない。
誰も死んでいないし、特別なことなんてなに一つとしてなくて大丈夫だ。
それなのに、どうして。
時間を無駄に消費したから?
無駄とわかっての行動を繰り返したから?
その生産性のない言動に飽き飽きした?
いや、きっとどれでもないのだろう。
特別なそれはなくて。
理由も、自分ですらわかっていなくて。
だからこそ余計に苦しくなるのだろう。
誰か、埋めてと。
この喪失感を埋めてくれないかと、人恋しさに、また時間を解かすのか。
それが負のループになっているのかもしれない、と思える。
けれど、それがタチの悪い話で。
抜け出せないから、苦しい。
辛いのに、繰り返す。
望んだ結末は当然なく、また空虚な時が過ぎてしまう。
そしてそれが、喪失感を運んでくる。
夜になると特に酷くて、訳が分からなくなって時間だけが消える。
眠れば全てを忘れられる?
どうせ目覚めれば、また思い出す。
こんな時にどうすればいいのだったか。
大丈夫だと、口にするのだったか。
——ああ、そうか。忘れていた。
こんな時にどうすればいいのか、教えてくれた彼の人を。
不安を共有してくれた彼の人を。
言葉の意味を改めて教えてくれた彼の人を。
とうの昔に喪っていたのだった。
疎遠になっただけ、とは言えない。
彼の人の日々に存在できていないのだから、それは。
互いに喪ったも同然だろうから。
特別喧嘩をした訳でない。
ただ忙しくて会えないまま、離れただけだ。
そう、それだけ。
それだけのことで、人は喪失感に苛まれる。
きっと、あなたも。
特別な理由なんて必要ないことに、今、気付けるだろうから。
喪失感にしろ他のなににしろ、人はそう多くの理由を必要としないでいいのだから。
苦しい時に泣いて、辛い時に涙が溢れて、壊れかけて涙が頬を伝った時。
理由もなく傍に誰かがいてくれることを、嬉しく思ったり安心する。
それと似ている筈だ。
喪失感も、人の感情の一つなのだから。
寝たふりした私を
抱き上げた分厚い手のひら
耳たぶをいじりながら
寝付く娘の甘い息づかい
コタツでゴロ寝
気づけば胸の上に猫2匹
遠い日 五感が覚えた
温もり 匂い 手ざわりが
突如私を襲い
私を慰め
どこかへ消えてしまう
記憶と喪失感が
寄せては返す 波のように
-喪失感-
喪失感…
当たり前なコトなんて1つもなかったんだなぁ…
「喪失感」
誰もが悲しんで悼んでいたけれど
本当は
この喪失感さえ
誰とも分かち合いたくなかった
自分こそが一番親しかったと思いたかった
でもお別れの時に
ご遺族ご近所の温かい輪にがっちりと
包まれているのを見て
私の存在なんてモブクラスだと思い知ったの
この痛みはなんだ
何故消えてなくならない
モブの分際で
何故いつまでも悲しい
手離せば楽になるのかな
一生会えなくなっても良いから
ずっと温かい輪の中で
元気でいて欲しかった
【喪失感】
僕は僕のままで
何も無くしてていない
それなのにどこか欠けている
この喪失感に導かれて
君と出会うんだ
喪失感
外に出るとえらく静かに感じる。
いや店内がうるさすぎただけか...
そう思いながら片手をポケットの突っ込んで陽の光を浴びる。
タバコを吸いながら空を見上げる。
秋の空と言うんだろうか。青空は広く雲は静かに足早に流れていく。
そよそよと吹く風は秋らしく乾いていてそれで涼しい。
なんとも気分がいいのだろう。
体が軽くなりそうだ。
そう思いながらタバコを1本吸い終えて歩き出す。
たった今、所持金を全部スった。
銀行からおろさないと。
全部失ったはずだが、頭の中では
次は当たるだろうと謎の自信に満ち溢れていた。
語り部シルヴァ
─── 喪失感 ───
幼い頃からの夢
彼らが自由だとは思わなかったけど
天高く羽ばたく鳥達を眺めながら
いつも心の底から羨ましく思ってた
どうすれば私も空を飛べるだろう
そればかり考えて
そして思いついた
肉体を捨てればいいのだと
生まれ方を間違えていただけなんだ
自ら命を断ち私は私を手放した
肉体がないのは少し不便だったけれど
今の私は夢を叶え自由に空を飛べる
「喪失感」
これはフィクション 作 アイ
私は最近喪失感を感じる、何か大切なことを忘れているような…まぁそのうち思い出すよね
高校2年生の時、私は事故にあった
横断歩道を渡ろうとしていたところを信号無視したトラックが突っ込んできたらしい。全治6ヶ月の大怪我を負った。
この時からだっけ…何となく喪失感を感じるようになった
怪我がある程度治り、退院していつも通りの生活が始まった。
友達にいろいろ聞かれると思っていたけど誰も事故のことについて何も聞いてこない。
事故についてどころか休んだ理由すらも…
私は変だなと思ったけどまあいっかと何事も無かったように過ごした。
何週間かした後やっぱり気になるから、聞いてみることにした。
ねえ、どうしてもみんな何も聞かないの?
どうしてってなんのこと?
ほら、あの事故のことだよ!
え…なんでって、ねえ…
みんなが言葉をつまらせる。そんな中1人が口を開いた
アイ、ほんとに言ってるの?、みんなアイに気づかってくれてたんだよ
え、どういうこと?私、怪我しただけだしそんな気遣うことなんてあったっけ
怪我しただけだしって…その怪我だけですんだのは誰のおかげだと思ってるの?!
誰って…私はたまたま助かって、
喋り終わる前に次の言葉が飛んでくる
あんたが助かったのは〇〇くんのおかげでしょ!?
自分の彼氏が死んだって言うのに悲しくないの?
〇〇…?…かれ、し?…
そのとき、全部思い出した
私がトラックにひかれそうになったとき〇〇が助けてくれたことを…〇〇は私の初めてな彼氏だった
優しくて明るい人だった
え…死んだって、
〇〇くんはあんたを助けてかわりにトラックに引かれたんだよ?、覚えてないわけないよね
気がついたら涙が溢れていた。私が忘れていたもの、それは死んだ彼氏だったみたい
喪失感end…
今でもあの日を夢に見る
我々の目論見はあと一歩
いや残り半歩のところまでたどり着ついた、が
意図せぬ隙間からこぼれ落ちた
我々に落ち度があったわけではない
同様に相手も必死だったのだ
世界征服
甘美な響き、究極の欲求
あと一言、
あとたった一言、発する言葉が早ければ世界は私のものであった
下劣で下品で忌々しいあの豚野郎が
ギャルのパンティおくれ、などと叫ばなければ
だが私は諦めない
かつて世界を混沌に陥れた魔王と手を組むのだ
世界の禁忌、魔王をその封印から解き放ち
我々に恩義を感じた魔王に世界を制圧してもらう作戦だ
封印から解き放つまではシナリオ通り
でも、まさかあんなにあっさり裏切られるなんて
だが私は諦めない
人民の気が緩んだ時にこそ、我々に勝機が訪れるのだ
星ごと奪おうと襲来した宇宙人も
マッドな科学者が扱い損ねた生物兵器も
邪悪な魔道士の生み出した魔人でさえ
我々の夢に及ばなかった
私は決して諦めない
決して諦めてなるものか
世界を征服するその日まで
失うものはないのだから
『喪失感』
喪失感
何かを失うときには、気が付かない。
失ってから気がつく。
思い返すと結構ちゃらんぽらんな生き方をして来ました。
夢中になった事もたいしてなく、嫌な事からは上手く逃げ、何者になりたいのかも考えず…
「もっとああすれば良かった…あの仕事を目指すべきだった…」等、数年前まで後悔していました。
自分の可能性を自分でゼロにしたのですから…
膨大な時間を無駄に過ごした事が悔しい。
もう後悔する時すら過ぎ去ってしまいました。
ただもう一度 この世に「生」をうけさせてくれるとしてもやめておきます。
有り難いことに、こんな私でも大切なものが出来たので「良し」としましょうかね。
喪失感をも埋めてくれる刻がこの世にはある様です。
喪失感があるということは
あなたの心に大切な何かが残されたという証です
喪失感
何かが、足りない…
目の前には、柔らかく微笑むあなたがいて、優しい時間が流れている…お気に入りの食卓も、香る珈琲も、いつも通りの朝なのに…
あなたと同じ時間を歩きたいって、希って、やっと叶って、こうして、あなたと同じ朝を…
なのに、凄く幸せだって…そう感じているのに…何処か、何かが欠けたような…これ以上の幸せなんて、贅沢だって判ってる…けど…何か、何かが…
情動に愛着と罪責の強い衝撃を与え
喪に服し項垂れる私を天より眺める人
渡し損ねた言葉は数知れず
たらればの懺悔も増え続け
容易く増えて、容易く割れる
そんな、儚いしゃぼん玉の様に
こちらを見下げて一瞥しては
身勝手に空気へと霧散し飽和し
湿り気ですら残りはしなかった。
只々、情動に空いてしまった空洞が
乾ききった強風を通す度に
悼みを憶えているだけだった。
ー 喪失感 ー
そこに確かにあったから
なくなったって感じるんだ
過ごした時間があったから
終わったって感じるんだ
なら最初から
何もなかったら良かったのに
ならもう二度と
誰とも出会わなければいいのに
でもそういう訳にもいかなくて
まだまだ地球は回り続ける
別れるために出会う
出会うために別れる
どっちが最初かなんて
わかんなくなってしまうぐらい
この地球が回り続ければ
もう寂しくなんてない
 ̄[喪失感]
【喪失感】
ベッドに横たわり、窓の外を見る
人々は往来し、鳥が飛び交う
当たり前の風景
私はどこか他人事のようにそれらを眺めている
視線を正面に向ける
そこにあるはずのもの
二本の足
私をどこへでもつれていってくれる自由の羽
今はもうどこにもない
もうどこへも行けない
世界が閉じるてゆくのを感じる
私から世界が失われつつある
失いたくなくて、手を伸ばす
それはただ空を切るばかり
いま、私は世界を失った
お題:喪失感
何度味わったか分からない
ある人との繋がりがなくなった時
大事にしていたものをなくした時
愛する家族をうしなった時
「うしなったとき、初めて気づく大切さ」
そんなものは感じたくないから
今日もいつも通りを大切に生きたい
喪失感
何かはっきりとしたもの失ったわけではなく
なにか変わったことがあったわけでもなく
けれど
いつからか 自分が自分で無くなった ような
落ち着かなさが
それを支配するようになりました
さみしくて さみしくて さみしかったから
軈て だれかが もっていって しまったのだ と
想うことにしました
きえてしまったのでは
いしころになってしまったのでは
あまりに あまりに あまりにも
くるしいことにおもえた
喪失感
あの時はただただ混乱して
自分の感情なんてわからなかった
周りが騒いでいるのを
意外と冷静に眺めていたものだった
だけど、周りが徐々に落ち着いてきて
日常を取り戻すにしたがって
心に穴が空いてしまった自分に
気がついてしまったんだ
僕の日常の中に、確かにいた君
鞄の中をひっくり返す度
帰り道のオレンジ色の空を見上げる度
ふとした瞬間に君を思い出して
胸が苦しくなる
今はもう、どこにもいない君
この、空虚な心を埋めてくれるものは
どこにあるのだろうか
ー喪失感ー
僕は、この階段を登り続けている。
最上階は見えない。見たくもない。
この階段を登り始めた頃は
この先に続く景色への期待に
心はオレンジ色で満たされていた
階段が急になり始めた頃だろうか、
僕の心の色は失われていった。
心には小さな穴が空いていた。
何かが足りないという喪失感にとらわれる。
視線を落としながらも登る。
踊り場に足をのせたときだった。
誰かの足が視界に入った。
顔をあげたその瞬間、
君と目が合った瞬間、
僕の心は一瞬で
熱くなって、
知らない色で満たされていくのを感じた。
そして、君を失った今、
僕の心には前よりも
大きな穴が空いている。
影さえできるほどだ。
でも、なぜか、
僕はその穴を愛しいと感じている。