蒼夏

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ー喪失感ー

僕は、この階段を登り続けている。

最上階は見えない。見たくもない。

この階段を登り始めた頃は

この先に続く景色への期待に

心はオレンジ色で満たされていた

階段が急になり始めた頃だろうか、

僕の心の色は失われていった。

心には小さな穴が空いていた。

何かが足りないという喪失感にとらわれる。

視線を落としながらも登る。

踊り場に足をのせたときだった。

誰かの足が視界に入った。

顔をあげたその瞬間、

君と目が合った瞬間、

僕の心は一瞬で
熱くなって、
知らない色で満たされていくのを感じた。


そして、君を失った今、

僕の心には前よりも

大きな穴が空いている。

影さえできるほどだ。

でも、なぜか、
僕はその穴を愛しいと感じている。










9/10/2024, 2:17:05 PM