『善悪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【善悪】
例えば、死後に「善い行いを積んだら天国へ行ける」や「悪い行いを積んだら地獄へ落ちる」という話が真実だとしたら、私はどちらへ向かうことになるのだろう。
正直、悪い行いを積んだ覚えはあまりない。
ただ、善い行いを積んだ覚えもあまりない。
どちらかというと、私はたくさんの“中途半端な”行いを積んできたのだと思う。いわゆる「善い」と「悪い」の中間に位置する行い、または善悪の区別が判断しづらい行い、または善悪のどちらにも属さない行い、だ。
善い行いか、悪い行いか、を意識して行うことは少ないのではないかと思う。きっと私達は何か行動した後で、それが善かったか、悪かったか、を考えるだろうから。
善悪
善悪とは何なのか
何が善で、何が悪なのだろう
かれこれ三日は連絡が付かないの。共通の知人に言われ楓が通い慣れてしまった他人のアパートでは、ボサボサの金髪三つ編みの幼女もどきが国宝の前でマスクと手袋をした姿でとろけきっていた。
「はぁぁぁぁ……やっぱりガレリアッゾの作品はたまらないなぁぁぁ……この造形美……配列……最高……」
合鍵で入って来るのは一人だけだからか、無防備に椅子に座りつつも机の上に頬をぺたりと乗せ、真っ赤なサテンのクッション上に鎮座する美術品かくやのティアラを眺めている。……かくや、ではなく、本物、なのだが。
「アニエス……お前シャワーは」
「手袋とマスクは半日で替えてるよ」
「シャワーしろ!」
体格差にものを言わせ小柄な娘をシャワールールに押し込み、楓は改めて机上にあるものを見た。煌めく石の数々、美麗な配列のティアラが、彼女の持つ図録にそっくりそのままの姿で鎮座している。曰く付きの作家が手がけた作品の一つが、美大生のだだっ広いリビングルームに鎮座する姿は違和感の一言に尽きる。
何故美術館の図録に乗る国宝が一個人の室内にあるかといえば、返却予定はあるが無断拝借、とどのつまり泥棒である。楓は作家の持つ噂――曰く一度だけ願いを叶える――に頼るため、アニエスは俗に言う『推し』作家の作品を堪能するため、犯罪の自覚を持ちながら綱渡りの所業をしている。
「半年、か……」
犯罪の片棒を担ぐ変人との約束を思い出し、椅子に腰掛け背もたれに頬杖を付く。神仏に縋るより毛ほどマシな噂にやはり縋る楓の願望が叶わずとも、犯罪行為は一年限り。何せ留学期間が一年なのだ、経済事情を鑑みれば長い方である。
これからを考えると憂鬱の一言に尽きる。重い気持ちに引っ張られ項垂れてからのけぞれば、烏の行水並みの速さでシャワーを終わらせてきたアニエスが逆さまに映った。
「やっほー楓クン。何か食べる?」
「俺が適当に作るから、お前は髪をちゃんと乾かして来い」
美大生のくせして、いや逆に美大生だからか、アニエスは食にさほど頓着してない料理しか生み出せない。お決まりとなった「ふわふわくるくるの卵焼き待ってる!」と明るく告げシャワールームへ戻る小柄な背を見届けたが、すぐ顔を出す。
「今夜返しに行くね」
「あぁ」
簡潔な報告を受けて、楓は改めて返却秒読み盗品を眺める。こんな、犯罪までして願い事が叶うなら、どれだけいいか。
【善悪/奇跡レベルの願望を持つ青年と美術史専攻娘】
僕は善い行いをしたとは思わない
だからといって悪いとも思わない
どちらも僕の気持ちとは違う
でもこの世には黒白はっきりつけたがる大人がいる
だから僕は毎回こういうんだ
君にとっては悪でも 僕にとっては善だよ
そしたら皆納得した顔をする
だから今回も納得してくれるかな
君にとって障害となるものは消してあげる
それがたとえ僕にとって善であろうと
"善悪"
僕は昨日弟を殺しました。
20センチくらいある包丁で何度も何度も刺した。
弟は暴れていたので何度も殴り大人しくさせた。
弟は毎日変なことを呟き、発狂し、暴れ、僕は何度も骨をおり、僕の大好きな家族を傷つけます。
そして、弟は最近、僕が大事に育てていたカブトムシを殺しました。
それが許せなくて、許せなくて、殺しました。
お父さんもお母さんも喜んでくれると思って、2人の結婚記念日に殺しました。
なのに、どうして、そんな顔をするの?
なんで、僕の頬をぶったの?
ねぇ、なんでよ。
なんで?
僕は、あんな弟より劣っていたってことなの?
なんで、2人とも泣くの?
なんで、喜んでくれないの?
なんで、僕に謝るの?弟に謝るの?
あぁ、僕の大事な家族をこんなことにした弟は、やっぱり許せない。
善悪
きっちり分けられるものでもないんだよ
ひとつのことの中には
両方存在するんだ
「善い行いをすれば天国へ、悪い行いをすれば地獄へ連れていきます」
突然現れた天使は「貴方の寿命は後1時間です」と笑顔で告げた。そして俺が今まで人生の中で行ってきた善悪の数が同じなため、死後どちらに向かうかをこれからの行動で決めると言った。善い行いと悪い行いをどちらもした場合は、より強い行いの方が選ばれるらしい。
天国には行きたいが改めて善い行いと言われると難しい。頭を悩ませている間に時間は刻一刻と過ぎていった。
「坊やっ!!!」
タイムリミットが間近に迫ったとき、女性の悲痛な叫び声が耳に飛び込んできた。弾かれたように顔を上げると、目の前で子供が車に轢かれそうになっていた。
「っ!」
考えるまでもなく自然と体が動いていた。腕を真っ直ぐ子供へと伸ばし歩道へ押し退ける。瞬間、凄まじい衝撃が体を襲った。アスファルトに叩きつけられ滲んだ視界に、何が起こったのか分からないといった顔の無傷の子供が映る。
俺の顔に思わず笑みが浮かんだ。最期の最期に俺は善い行いを出来ただろう。そう胸を張って言えるはずだった。
「時間です」
指一本動かせない俺の傍に天使が立つ。軋む体を動かし、顔を見上げた。
天使が笑っている。
天使が笑っている。
天使が嘲笑っている?
「貴方は悪い行いをしました。これから地獄に落ちていただきます」
どうしてと呟く間もなく深い闇へ落ちていく。
「ヒトの寿命を伸ばすなど、悪い行い以外ありえないでしょう」
真っ黒に染まる視界の中で、冷え切った天使の声のみが耳に届いていた。
――善悪――
私はずっと
悪に押し退けられて
生きてきた
私の善は
悪に変わって
死んでいた
負け続き オセロゲームも 下手なのに
善悪なんか わかるわけない
善悪
善悪。善行なんてしているほど余裕はないし悪行を成せるほど胆がすわっていない。なにもかもが中途半端だ。
最近メンタルがどうにも良くない日が多くなっている。原因は今までの人生であり希望のない将来なのだが、最近買っていたりんごも原因なのではなかろうか。
りんごは美味しくて健康にいいけど俺が買えるレベルだとはずれを買ってしまうことが多い。かすかすのりんごを食べてしまったら嫌な気分になる。
それにこの前のりんごはほぼはずれだったから調理したりんごがまだ大分残っている。これの処理を考えるとうんざりする。
捨ててしまうのが一番いいのだけど食べ物を粗末にするのは抵抗があるし、買ったものを捨てるのはお金を捨てているも同然だから捨てたくない。
なので食べるのだが不味いものを食べるのは嫌な気分だ。だからそういった諸々が積み重なって最近メンタルがやばめなのだろう。
やはり食べ物で大事なのは品質が安定していることだ。美味しいものを食べれば気分もあがるってものだ。
今あるりんごを全部処理したらもう青果は買わないようにしよう。これからは美味しいものを食べてメンタルを回復させなければな。
善悪
何が良いか何が悪いか
対立したとして、お互いに信じることがあって。
自分は正しいと思って
心の底から善いと思って反発する。
善悪って誰が決めるんだろうね。
人間?社会?自然?神様?
そんなこと分からないけど、
信じられるのは自分しかいないわけだし。
自分を信じて自分の選択をしようよ。
周りを見て、良い子を演じて、
それって本当に善なのかな?
何を善しとし、何を悪しとするか
表と裏を入れ替えてすぐに崩れる基準なら
あってもなくても同じじゃないか
(善悪)
世の中の物事がすべて善悪で割り切れたら、どれだけ楽だろうか。
【善悪】
※ちなみに私は無宗教です。あえて言うなら一太郎教とリングフィット教に入信しています。
村外れの古い教会にとっては、明後日が最後のクリスマスになる。
村の人口減少とともに信者も減り、寄進も減り、とうとう、建物の修復もままならなくなった。幸い、雪があまり降らない地域だから、この季節でも屋根が押しつぶされる心配はない。庭の雪かきも、牧師一人で間に合っている。
だが、牧師はもう高齢だ。病巣も抱えている。来年は、たまの雪かきすらできなくなるだろう。引退し、大病院のある町に移り住むしかなかった。そして、このおんぼろな木造教会を継ぎたいと名乗り出る者は、誰もいなかった。
教会の隣の小学校は、五年前に廃校となった。だから、こんな村外れまで足を運ぶ者は、もういない。いま牧師の目の前で、庭のクリスマスツリーを楽しげに飾りつけている少年を除いては。
彼はこの教会に残された、たった一人の信者だった。小学二年生まで隣の廃校に通っていて、その間に牧師と仲良くなった。十三歳になったいまは、山向こうの町の中学校に通っている。日曜になると必ず教会に顔を出し、牧師の説教を熱心に聞いてくれるので、牧師は少年のためだけに日曜礼拝の門戸を開き、礼拝後のお茶とお菓子を用意している。
少年はまだ洗礼を受けていないが、最近は「先生のような優しい牧師になりたい」と口にするようになった。たとえ若さゆえの麻疹のような憧れだとしても、過疎地の教会で後継者が育ちつつあることを、牧師は喜んだ。だが、少年が立派な牧師になったころには、この教会は草木に埋もれた立派な廃墟になっているだろう。
牧師はそのことを残念に思ったりはしなかった。逆に、こんなくたびれた教会を彼に任せずにすんでよかった、とすら思っていた。少年はもっと信者の多い、明るい教会で牧師になるべきだ。たとえば、このぴかぴかのクリスマスツリーが似合うような。
牧師が腕いっぱいに抱えている真新しいオーナメントのひとつを手に取って、少年は鼻歌交じりにツリーを飾りつけていく。少年の身長とぴったり同じに育った若いモミの木は、一年前、教会のシンボルツリーになるようにと、少年が善意で植えてくれたものだ。牧師が教会を離れれば、この木を手入れする者はいなくなる。木は勝手気ままに伸びて、いつかその枝で教会を押しつぶすだろう。それはただの自然の摂理であり、モミの木自身にはなんの思惑も悪意もない。この場所に木を植えた少年も、そんな未来までは予想していない。教会を見放す決心をした牧師だけが、知っている結末だ。
牧師は来年度の引退や引っ越しのことを、少年にまだ告げていなかった。告げるべきタイミングに悩んだまま、今日まで来てしまった。引退を知ったら、牧師を慕う少年は悲しむだろう。見捨てられたように思うかもしれない。牧師になろうという熱意すら、失ってしまうかもしれない。それは仕方のないことだとしても――前途ある純真な若者を失望させてしまうことが、老いた牧師には大きな罪のように感じられるのだった。
告げねばならぬときは必ずやってくる。それなら、早いほうがいい。だが、いまの楽しげな少年に、わざわざ悲しみを注ぐことこそ罪深い。そう思って、牧師はただ黙って立ち尽くしている。もっとも、いまの牧師は少年の手が届く位置でオーナメントを抱えている係だから、下手に動くわけにはいかない。少年の飾りつけは順調で、最初は重かった腕が、じわじわと軽くなっていく。いっぽうで、モミの木はいかにも重そうに枝を下げていく。
ぴかぴか光る玉、金のモール、サンタクロース人形、ジンジャーマンクッキー人形、そして、金色のベルを抱えた天使。少年はこれら大量のオーナメントを、山向こうの町の雑貨屋で、小遣いをはたいて買ってきたという。村人にも忘れ去られつつある寂れた教会を、せめてクリスマスだけでも賑やかにするために。なんという善意だろう。小さな信者の心遣いに、牧師は胸を痛めた。こんなことなら、少年の冬休み前に引退を告げるべきだった。いや、それを知ったら、少年は「最後だから」と言って、もっとツリーを飾りたてたかもしれない。
最後にひとつ、手中に残ったベツレヘムの星を、牧師は少年に差しだした。少年は星をツリーのてっぺんに括りつけると、全体を確かめるように一歩下がった。それから、得意げに牧師を見上げた。
「どう、このバランスの妙技。こいつ、かっこよくなったでしょ」
牧師は目尻に皺を溜めて笑い、うなずいた。老いた教会の荒れ庭に、不自然なほどに真新しいクリスマスツリーが誕生した。かつて救世主が馬小屋でお生まれになったときも、このように不自然な組み合わせだったのかもしれない。そう考えれば、クリスマスツリーの背後に突き出た教会のおんぼろな佇まいも、荘厳なものに見えてくる。
そのとき、庭の隅の野放図な草むらを揺らして、野良猫が姿をあらわした。隣の廃校に最近住み着いた、いかめしい顔のぶち猫だ。牧師はなんの世話も焼いていないのだが、猫はたまに顔を見せにやってくる。説教は嫌いらしく、日曜日には決して姿を見せないから、少年とは今日が初対面だ。
少年は牧師の視線の先を追って猫を見つけたようだ。大きな黒目が、まんまるになる。クリスマスツリーを見つけた猫の目も、まんまるになった。太陽光をぴかぴかと反射するオーナメントが、不審なものに見えたのかもしれない。
「猫、触っていい?」
「彼はいま忙しいので、やめておきましょう」
少年と牧師が会話するあいだも、猫はまんまるの目でツリーを見据えていた。ぐっと姿勢を下げ、尾を揺らして、じりじりと根元に迫っていく。
「こっち来てる」
少年が声を弾ませた、次の瞬間。
猫が地を蹴った。
伸びあがる体。
牙を剥いた口が、垂れた枝先の天使を捕らえる。
天使に抱えられた金のベルが、リリン、と慌てたように鳴る。
猫はベルと天使の飾りを咥えたまま、着地。
なぜか、得意げに牧師を振り返る。
「あっ、僕の飾り、とった!」
一瞬呆気にとられ、我に返って叫んだ少年を、猫はちらりと見やった。しかし、なんの興味もいだかなかったようだ。すぐにぷいっと視線を逸らし、尾を揺らしつつ、ゆうゆうとした足取りで草むらに紛れてしまった。
リン、リン、と猫の歩調に合わせて揺れるベルの音だけが教会の庭に残され、それもやがて、遠ざかって聞こえなくなった。
猫を追って駆け出そうとする少年の肩に、牧師はそっと手を置いた。少年がもどかしげにたたらを踏む。
「彼は、なにもとっていませんよ」
牧師は穏やかに告げた。だが、少年は悔しそうに唇をひん曲げる。
「とったよ、飾り泥棒だよ! 窃盗は悪い行いでしょ! 汝、盗むなかれって、聖書の――」
「彼はなにも盗んでなどいませんよ。この世界のすべてが、彼のものなのですから。己のものを、いったいどうして盗み得るでしょう」
「えっ、世界は父なる神が――」
敬虔な少年は、理解し難い、と言わんばかりのまんまるな瞳で、牧師を見上げた。それから、はっとしたように、猫が消えた草むらを振り返った。
「もしかして、悪い行いに縛られてるのは、人だけ……?」
「そう。あの猫のように、罪を知らず、善悪の別を持たないものこそが、この世でもっとも自由なのでしょうね」
牧師は少年の肩に手を置いたまま、ペンキの禿げ落ちた木造の教会を見上げた。
教会の奥の祭壇では、人類の罪を贖った救世主が、朽ちかけた木の十字架に、人の姿のままひっそりと掲げられている。今日も、明日も、明後日も。教会が崩れ落ちるその日まで。
牧師は少年に視線を戻した。そして、願った。どうか庭のモミの木が、早く大きく育ちますように、と。
深く息をつき、ゆっくりと口を開く。
「ところで、あなたに告げなければならないことがあるのです」
初めまして、YUURIと申します。
本日から投稿して行きます。
まだまだ未熟なのでルールや作風がまだまだわかっていないので
温かい目で見守ってもらえると嬉しくおもいます。
〜〜〜YUURI〜〜〜
善悪、か、
私はいい事をなるべく多くやりたいと思っていて、
でもたまには選択を間違ってしまうことあるじゃないですか、
そういうのは善悪と言いませんよね?
わたしは悪にも悪なりの正義がある。
それは絶対だと思うんですよね。
だから善悪なんてもともと無いんじゃないですか?
#善悪
善と悪をうまく使えば、世界は変わる。
善を使って他人に善意を振り撒けば、私は善人となって羨望を集め信頼を得ることができる。悪を使って他人に悪意を振り撒けば、相手は勝手に自滅して私は被害者となって不幸な人物を演出できる。
でも、これって善?悪?
善悪
どこから、誰から、何から見て決めるんだろう。
こっちから見たら善いことなのに、
あっちから見たら悪いことだよ?
そう言うと、大人はだいたいこう言う。
「みんなが正しいと言ってる事が善だよ」
みんなって、なに?
善悪
人それぞれ違う
けど、ゴールは同じ
意見が違うからこそ出来る善悪
でも
善悪に囚われず生きたい
そんな世界がいい
〈善悪〉
いい事
悪い事
ある範囲内で決められている
人や地域によっても
異なるもの
私にとってのいいことは他人にとっての悪い事かもしれない
他人にとっていいことは私に対しての悪いことかもしれない
そんな事を考えながら過ごす日々。