善悪』の作文集

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善悪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

4/26/2023, 10:40:43 PM

良かれと思ってやることは
誰かにとっての悪
悪いことだと決めつけたそれは
だれかにとっての善良

「善悪の区別もつかないのか」

絶対の悪もなくは無いけど

一方向からしか見ていないその善良は
悪になり得る危険なそれ。


「あなたのためにやったのよ」の善良は
実は自分の為の善良、相手の悪


その悪は人を救う為の善良。

そして、

私の発言は
人を傷つけまいとする善良のような悪。
–善悪–

4/26/2023, 10:39:55 PM

善悪
何が良くて何が悪いのか。
僕らを平等に照らす太陽でさえ人によっては善悪がある。
日照りは悪、恵の太陽は善。
太陽は決まった時間にいつも同じ顔で同じ動きをしているのに、僕らは自分たちのおかされた状況次第で、そこに意思がなくても勝手に善悪を決める。
人はいつも自分たちの都合で善悪を決めつける。
それはルールや規則なのか、それとも自分勝手の自己中なのか、僕らが人である限り本当の善悪はわからない。

4/26/2023, 10:33:49 PM

やっていいことと悪いこと、物事の分別がある。例えば、困っている人を助けてあげるのが善。反対に人を困らせることは悪。単純明快だ。
 もし、困っている人を助ける術が誰かを傷付けることなら。必要なら仕方がないと諦めて実行するだろうか?じゃあ、それが人殺しになった時は?それも仕方がないなんて言えるのか?善のための悪…。

 なんて、小難しくあれこれ考えるのはやめよう。

 信頼という鎖で君を縛った。ありもしない危険をでっち上げて大事な大事な君を部屋に閉じ込めたんだ。

「狙われて危ないから、ここにいてくれる?必要だったり、欲しい物があれば買ってくるよ」
「でもあなたの負担になるんじゃ…」
「ならないから、お願いだ…。言うことを聞いてくれ」

 君の両手を握り、懇願する俺はどの役者よりも名演だったろう。君の瞳は不安に揺れて小さく頷いた。

 本人の同意のもと部屋から一歩も出さないのは、はたして『善悪』のどちらに該当するのだろう?

 俺は困っていたんだ。君がどうしても欲しいのに周りの人間が君を連れていくことを頑なに拒むから…。君を得るのは俺にとって善いことなのに。

4/26/2023, 10:21:14 PM

【善悪】

 人の善悪とは、はたしてどうやって決まるのだろう。壁一面が本棚に埋め尽くされた君の部屋の机の上、堂々と座す黄金色の天秤を私は軽くつついた。
 たとえば肉食を禁じる宗教の信者にとって、牛の肉を喰らうことは悪だろう。だけどその宗教を信仰していない人にとっては、肉食は悪でも何でもない。全ての人類の善悪を画一化された基準で秤ることなんて、できようはずもなかった。
「人間社会における善悪なんて、僕だって知らないよ」
 私の素朴な疑問に、君は淡々と応じる。面倒くさがって部屋から追い出しにかからないあたり、それなりに気を許してくれてはいるのだろう。そう思うと、少しだけ鼓動が早くなった。
「でも、この天秤が何を基準に傾くかなら、それは簡単な話だ」
 君の意図に呼応するように、天秤は私の指を離れ君へと飛び立った。持ち主の手の中に行儀良く収まった天秤は、その輝きを美しく増す。眼鏡の向こうから私を見据える君の空色の瞳は、ただ凛と澄んだ光を映していた。
「その人間が、自分自身の行動を善悪どちらと評価しているか。僕が秤るのはそれだけだ」
 死した人の魂を彼岸へと導くのが私の役目なら、そうして招かれた魂の善悪を秤ることが君の役目。自らに与えられた責務を忠実に果たし、彼岸の世の秩序と安寧を守るためだけに、私も君も造られた。
 私たちは機械。私たちは人形。彼岸を成立させるためだけの、自由意志など持たぬただの機構に過ぎない。そんなことは分かっている。分かっている、けれど。
「……なら、その天秤で教えてよ。私は善悪どちらなのか」
 君のことが、好きなんだ。君とずっと、一緒にいたいんだ。私のこの想いは正しいものなのか悪しきものなのか、自分でも見失ってしまったその認識を、どうか君の口から教えてほしい。
 縋るように頼み込めば、ゆっくりと君の瞳が瞬く。机の上へと無言で天秤を戻し、何故か君は私の身体をそっと自身の腕の中へと抱き寄せた。
「どっちでも良いよ、そんなの。それが善でも悪でも、芽生えた気持ちが消えるわけじゃないんだから」
 囁くような声だった。視界の片隅で、天秤がフラフラと揺れている。どちらにも傾くことなく、まるで判断を迷うかのように。
 背中に触れた君の指先の温度が、ひどく熱く感じられた。

4/26/2023, 10:18:25 PM

善悪の判断って誰がするものなの?
私が善だと思ってしてきた事が、全部悪に変わってしまった。
これを偽善と呼ぶのかしら。
自分にとって善でも、相手にとっては悪。
自分にとって悪でも、相手にとっては善。
あぁ、善悪の判断は自分がするものなんだね。

4/26/2023, 10:07:17 PM

善悪とは、誰が決めたものなのか。
 自分が善だと思っていても、他人から見たら悪だったなんて、よく聞く話だろう。
 そこで、善悪とは何なのか。
 定義の疑問として同じく、常識とは何なのかという疑問を浮かべたことはないだろうか。
「常識で考えてわかるでしょ?」
「あなたのそれは間違えてる。」
 そんなことを言われた時、常識とは何なのか、何を基準に間違ってるって言われなくちゃいけないのか。
 そんな思いが私の脳を駆け回る。
 常識とは、『社会的に当たり前と思われている行為』
 だそうだ。この社会は常識に囚われて、自分の『好き』を隠す傾向がある。
「あなたは○○なんだからこれが好きなのはおかしい。」
 ○○の中はなんだっていい。
 例えば、「あなたは男の子なんだからプリキュアが好きなのは変だ。」や、「あなたは女の子なんだから仮面ライダーやスーパー戦隊が好きなのは変だ。」
 知らない人から、好きなものを否定されるほど辛く、しんどいものは無いと(私は)思う。
 話を少し戻して、男の子でプリキュアが好きなのは『悪』女の子で仮面ライダーやスーパー戦隊が好きなのも『悪』男の子は仮面ライダーやスーパー戦隊が好きなのが正しい。女の子はプリキュアが好きなのが正しい、所謂『善』
 そんなことを言われるのはこの時代、少なくなってきている。だが、完全に無くなった訳では無い。
 私は女だが、仮面ライダーやスーパー戦隊が大好きだ。今でも欠かさず、日曜朝9時に見ている。小さい頃から、プリキュアよりも仮面ライダーだった。だが、そのことを知る人はほとんど居ない。
 私が隠しているからだ。
 昔、1度だけ友達の女の子に言ったことがある。その時に、
「女の子なのに仮面ライダーが好きなの?」
 そこまでなら、良かった。のに、
「変なの。そんなものより、プリキュアの方が面白いのに。」
 その時、私の中には
(なんであなたにそんなものって言われなきゃならないの? )と言う思いがあった。
 今、思えば好きなものを否定的に言われ、腹が立っていたのだろう。
「女の子がプリキュア好きなのは常識でしょ?」
 そう言い、親戚は何かある事にプリキュアのグッズを私にくれた。(小学生前には終わったが)従兄弟は仮面ライダーのグッズを貰っていていいな。と思っていた。
 それでも私は、「ありがとうございます。」と笑顔で言わなければならないので笑顔でありがとうございますと言っていた。それで、親戚も喜んでくれたと思ったのだろう。私は、プリキュアを見ていないので、誰が好きなの? って聞かれても分からず、適当にこの人です。って言っていた。
 そんなこともあり、私はプリキュアに対してそんなに良いイメージは持っていない。


『善悪』って言われると少し、想像しづらいが、身近な所から考えてみてはいかがだろう。
 これを読んでくださった人が『善悪』や『常識』について少し、考えてくれたらありがたい。

4/26/2023, 9:53:04 PM

11 善悪  

週末までのタスク

・冷蔵庫のヨーグルトを食べる
・残業手当ての精算
・部屋を片付ける
・アミちゃんの誕プレを何にするか考える
・実家に電話
・ハサミとクリップとファブリーズを買う
・たまってる段ボールを潰す
・サブスクの更新を止める
・サボってた筋トレ
・冷凍庫の古い肉を捨てる
・耳鼻科に行く
・上司を殺す

4/26/2023, 9:17:24 PM

痛みに呻いて叫びたくなるとき
神様に懺悔したくなるのは何故だろう

痛みに善悪なんてないのに
躊躇いなく悪に仕立ててしまう

4/26/2023, 8:59:08 PM

人が何をもって善とするか悪とするか

その線引きが難しい

人が嫌がることをしたら悪

じゃあ人の嫌がることって何?

私だって分からない

私は私の善悪の区別をして行動する





─────『善悪』

4/26/2023, 8:51:04 PM

絶対的な悪はあると思うよ
例えば誰かの生命を踏み躙るような行為とか
どんな理由があろうとも
例えば自分の生命や自分の大切な人の生命を踏み躙られたとしても
同じ行為をやり返していいって理由にはならないと思うんだ
だってその理由が成り立ってしまったら
もう人の社会自体が成り立たなくなる気がする

じゃあ絶対的な善ってあるんだろうか
例えば誰かの生命を救うとか
例えば誰かの心の安寧を取り戻すとか
それらは確かに善いことだと思うけど

僕は善いことってすぐには結果が出ないことなんじゃないかと思うんだ
自分はその人を助けたと思っても
自分はその人に優しくできたと思っても
その人もその時は助かったと思っても
優しくしてもらったと思っても
人の気持ちってすぐに移り変わるから
またすぐに落ち込むかもしれない
その時してもらった優しさを素直に受け入れられなくて
逆に嫉妬してしまうことだってあるかもしれない
だって人の心って難しいし

でもできるなら簡単に染まりやすい悪に流れるよりも
困難で大変で割に合わない善を
それでも信じてやり続けられるような
そんなふうになれたなら
そんなふうな人が増えたなら
少しは人々の悲しみが減ってくれるんじゃないだろうか

なんてことを偉そうに述べてみたけれど
僕自身だってまだ
善悪とは何かを未だ問い続けている



【善悪】

4/26/2023, 8:42:19 PM

人はそのままでは長く生きすぎる
悪という管理人のマリオネットとして
化石になるまで働き続ける
それを悟った先人は
正義という自決を考えついたのだ

4/26/2023, 8:31:55 PM

そもそも、「善」と「悪」を定めるものは何だろうか。神様だろうか。人の心だろうか。だとしたらなんて曖昧で不確かなものに判断を委ねているのだろう。
「人を叩いちゃいけません」
「法律違反はいけません」
「泥棒はダメよ」
「相手の嫌がることをしないの」
そのルールが間違っていたらどうするのだろう。相手が嘘をついていたらどうしたらいいんだろう。自分の物は盗られたのにどうして自分は盗っちゃいけないのだろう。叩くことでしか自分のこの悔しさや感情を相手に伝えきれなかったらどうしたらいいんだろう。
人は皆、行動に善悪をつけたがるが、思い考えていることには善悪をつけたがらない。なぜなら、その人自身の内にある状態では善も悪もないからではないだろうか。
考えてみて欲しい。友人が「銀行強盗でもしよーかなー」とヘラヘラしながら言ったとして、自分は本気で怒るだろうか、あるいは止めるだろうか。「悪」ということについて語るだろうか。友人を「悪だ」と断じるだろうか。
いや、恐らく大半の人間はしないだろう。
何故ならまだ実際に行動していないからだ。
と、ここまでを振り返ってみた時、「善悪」を定めるものは分からないが、「実際に行ったこと」に対して「善か悪か」をジャッジするのだろうことは分かった。誰しも人の頭の中は見ることができないし、見たところで自分に実害が無さそうならば誰も諌めはしないからだ。
ならば、善悪を定めるのは、結局のところ「自分にとって害が無ければ善、害があれば悪」となるのだろうか。それもまた曖昧ではあるが、合理的とも言える。つまりは「大多数の人間にとって害がなければ善であり、大多数の人間にとって害があれば悪である」というのが、あらゆる場面で適応されている気がするのだ。
ここに、少数の意見はきっと反映されていないのに。

4/26/2023, 8:10:33 PM

何? 
悩んでる人がいて、相談受けるは善か悪か?
悪だろ、そんなもん。人の不幸を聞いて喜んでるだけだろうよ。
そんで、自分の考え押しつけてるんだろ? 良いことなんて、一つも無いよ。

 じゃあ、悩みを相談していいのか? って?
悪だよ! 悪!
悩みを言いたいだけだろ、そういう奴は。自分の中で、本当に悩んでるのか、言いたいのかを分別してから言わなきゃだめだろうよ。
 じゃないと、さっきみたいな奴が物知り顔で説教してきて気分悪くなるからよ。気をつけなきゃなんねぇんだ。

うん? 善と悪って難しいね?
ああ、そうだ。良く覚えとけよ。

だから今、質問してるお前も、そして答えてる俺も悪だ。

だけどな、人生、悪があったほうが面白いんだよなぁ、これが。

4/26/2023, 7:26:21 PM

●善悪おじさん●


どうしよう…選ばれてしまった、
とある事件の裁判員候補者に。


ある日の事、裁判所から来たお知らせに
私は愕然としていた。

とある事件の裁判員候補にこの度選ばれたのだ。

裁判員裁判の裁判員候補者になっていたのは、
以前来た封書で知ってはいたが、忘れていた。

その当時は確か、
“私には無縁の事”
“そもそも選ばれるわけが無い”と思い、

送られてきた調査票には、
何事も辞退する理由もないので
その旨を書いて返送したのであった。

その時の私は、
選ばれる事なんて微塵も思わず、
すぐに普段の生活に戻り、
いつもの日常を過ごしていた。

それでもその時から、BGM代わりに
つけっぱなしにしているテレビから
流れる出る色んな事件や事故の音に無意識に
耳を傾けていたと思う。

私が選ばれた事件はその中のモノだったからだ。

その事件の裁判員候補に選ばれたと知った時は
テレビでしか見たことの無い有名人に
偶然出会ってしまったみたいな…、
そんな感覚。
有名人に会った事はないけれど、
私の感覚では多分そうだろう。

その事件は、それだけ酷い事件だったから。

裁判所からのお知らせに
当時騒がれた事件を思い出し

じわじわと不安が押し寄せてきた。

私はこの事件の裁判員候補。
他にはどんな人が選ばれたんだろう、
この事件を擁護する人?叩く人?
私はどっち?人が人を裁いていいの?
そもそもこの事件の内容は…。

気がつけば、部屋の中をぐるぐると
歩き回っていた。何週したんだろう。

ポコポコ音がする水槽をみてみると
数年前に縁日ですくった
金魚がこちらを見ていたような気がした。
ちなみに名前はカネコだ。

うーん、うーん。分からない。

そもそも悪い事をしたから悪いわけで、
それで裁判するわけで…。
まだその事件の裁判員に
決まったわけじゃないし…。

私はいつの間にか水槽に顔を近づけていて、
ぶつぶつとカネコに話しかけていた。

その時、ふと思い出した事があった。

友達と祭りを一通り楽しみ、
すくったカネコが入った水袋を手に
そろそろ帰ろうかと歩いていた時、

『この街には善悪おじさんという人がいるんだよ』

そんな言葉が聞こえ
一瞬時が止まった感覚がした。

『何それ?』

『善悪おじさんに私はどっち?って聞くと
聞いた人の善悪を教えてくれるんだって』

『善悪?意味が分からない』

『ねー』

人混みからそんな会話が聞こえたのを
思い出した。

…そう、善悪おじさん。

その時はこの街の七不思議か何かと
友達と笑い合っていたけど

今考えると何でそんな会話が、
あの人混みの中で、鮮明に聞こえたのが
不思議でならない。


私はその出来事が運命だと思い

人の善悪を教えてくれる人なら
もしあの事件の裁判員に選ばれた時
ちゃんと裁きを下せるんじゃ無いかと…

気がつけば靴を履き外に出ていた。

場所は…

『意味は分からないけど面白そう!
その善悪おじさんってどこにいるの?』

『んー、わたしが聞いた噂によると、
海辺の公園の近くだって』

『あ!ママに近づいちゃ駄目って言われてる所だ』

…海辺の公園の近く。

そこは昔ホームレスの集まる場所だった。
今は一斉退去させられたとかで、
そこに居た人達人がいなくなっただけの
ただの寂しい場所だ。

来週の何曜日だったか
私は裁判所にいかなければならない。
そこであの事件の裁判員になるか
ならないかが正式に決まる。

それまでに、
本当にいるかも分からない
善悪おじさんに私は会いたかった。

善悪おじさんに何が正しいか
聞いてみたかった。

仮に、私が裁判員の1人になったとして、
考えてみた事があった。

すごく酷い事をした奴だから
無期懲役とか死刑が妥当だと、
そう意見を述べよう、と。

そいつは酷い事をした悪い奴だから、
それが正しいと。


簡単な事だ。

“悪いコトをしたなら罰が下る”

誰しもが幼い頃から
ずっと大人に言われてきた事。

だから、判断を下す事なんて、
簡単な事だと、
…そう思っていた。

答えは出さなくても
昔から決まっている事なのに、
無駄に何回考えてもそれは違う気がした。

私にとってあの事件は、
テレビから流れ聞いただけで、
ただ知っている、無関係な人間。
ただそれだけなのだ。

善悪おじさんだったら
どう答えるのだろう。

あれこれ考えてる内に、
海辺の公園の近くまで来てしまった。

ホームレスの一斉退去後に
キレイに整えられたその場所は、
人が居ないせいなのか何なのか、
私には無機質な場所に思えた。

「…居るわけ無いかぁ」と、
思わず独り言。

考えすぎて張り詰めた心が
一気にほどける。

『こんにちは』

安堵にも似たような気持ちになっていた所に、
突然かけられた声。

善悪おじさん!?と、
一瞬びっくりしたけども、

私に声をかけた人は、
この場所に月に何度か
清掃に来ているであろう
作業着を来たおじいさんだった。

作業着に何とか清掃サービスと
書かれている。

「こ…こんにちは…ぁ…」

恐る恐るする必要もないのだけれど、
変な声色になってしまった。

普段誰も近寄らないような場所で、
私一人。しかも平日の昼過ぎ。
普通に仕事は休みだけれど、

例えるなら学校をズル休みして、
ここへ遊びに来た、みたいな
後ろめたい気持ちが声に現れた。

作業服を来たおじいさんは
私の変な声の挨拶に微笑むと、

私の事を気にすること無く
掃除を始めた。

「あの、善悪おじさんって知ってますか?」

『え?』

ここに掃除に来ている人なら
何か知っているかもしれない
つい言葉が出てしまった。

清掃のおじいさんは
突然の問いに驚いた様子だったけど

『懐かしい言葉だね、善悪おじさんか』

まさかの回答だった。

「善悪おじさんの事、知ってるんですか?」

おじいさんは掃除の手を止めず
笑いながら答えてくれた。

『知っていると言えばしっているけど、
知らないと言えば知らないかな』

「え?」

『あやふやでごめんね。
…ところで、ちょっと前まで、
ここがホームレスのたまり場だった事は知ってるかい?』

「は…はい。でも、一斉退去だとかで…」

『そうなんだよ。よく知ってたね。
私は、生まれも育ちもこの街で、
住んでる場所もこの近くだ』

おじいさんは掃除道具を置き
よっこらせと
近くにあったベンチに座った。

隣にどうぞと、
ジェスチャーをしてくれたので
少し離れて座った。

『近所だったからか、
ホームレスの中に友達もいたよ』

「へぇー」

『友達以外の人達もフレンドリーでね、
差し入れしては、よく一緒に飲んだものだ』

おじいさんは言葉を続ける。

『でも、それをよく思わない住民も沢山居てね、
いくら彼らが悪い奴らじゃなくても
住民はそうは思わないわけさ』

「まぁ、そんな…感じに思う人は…
一定数いる…とは思い…ます」

私はめちゃくちゃ言葉を選んだが、
それが正しいか分からなかった。

その様子を察したのか、
おじいさんはさっきのように
微笑んでくれた。

まるで気にしなくていいよと言ってくれてるみたいで、安心した。

『この場所の周りには、
子を持つ世帯も結構あったし、
時々、子ども達が遊びに来たり
していたんだ』

『広い公園は、いつのまにか窮屈になって、
子ども達は何故か遊べない。変な話しだろ?
だから、子ども達は
自由なホームレスの人らに憧れて、
そこに遊びに来てたと思うんだ憶測だけどね』

『そこでボードゲームを知った子が
、有名になった話しもあったなぁ』

話しをしているおじいさんは
懐かしさに目を細めている。

『大人が言っても聞かないものだから、
ある日誰かが怖い噂を流してね』

「あ!」

私の中でおじいさんの
話しがようやく合致した。

『そう、善悪おじさん。ね。
昔はもうちょっと違う名前だった気がするけどね。
色んな噂が混ざって、曲がって
今は善悪おじさんになってるみたいだね』

「そういう事だったんですか…」

…善悪おじさんは
結局の所いなかったのか。

『所で君は、何でその善悪おじさんに
会いたいと思ったんだい?』

「深い事情は言えないのですが、
だ…大学のレポートで人の善悪について
調べていたら、こんがらがっちゃって…」

裁判員裁判の事は言ってはいけないので、
嘘をついてしまった。

『それで、善悪おじさんに?』

「はい、何か教えて貰おうと思って…。
でも、噂は噂でしかなくて結局は居なかった…」

おじいさんは、
こんな私の話を、ちゃかす事なく
聞いてくれてるのに、

私は嘘をついてしまった。
心が痛い。

『それは困ったね』

「はい…困りました」

『ちなみに、その善悪おじさんの噂というのは?』

「私も偶然聞いた話なんですけど、
善悪おじさんに“私はどっち?”と聞くと、
聞いた人の善悪を教えてくれるそうです。
よく考えたらおかしいですよね、
その人の善悪を教えるって。
意味が分からない」

当時、噂話しを聞いてた子が
返した言葉を私も口にしていた。

『確かに意味が分からないね』

おじいさんは笑っていた。

「はは…レポートは振り出しに戻りそうです…」

これ以上ここに居ても
善悪おじさんは噂が歪曲したものだったし、

おじいさんの掃除の邪魔になるだけだ、帰ろう。
帰って、取りあえずカネコに
餌をあげなければ。

裁判員候補の事は明日考えよう。

そう思ってベンチから立ち上がろうとしたら、

『所で、君にとって私はどっちだい?』

「は?え?」

おじいさんの突然の問いに
動きが止まり、それから
あ!と思い

「…善?」と、答えてしまった。

『それは何でかな?』

「私が変な事言ってるのに、
ちゃかしたり否定しなかったし、
色々教えてくれたし…」

『はは、ありがとう。君には
私が善に見えるんだね』

おじいさんはとてもいい笑顔をみせた。

試しに私も聞いてみた

「おじいさんにとって、私はどっちですか?」

『悪かな!』

まさかの即答で悪びれる様子も無く、
答えるおじいさん。

え?私が悪?なんで?
レポートの事が嘘だってバレた?
過去の事もぐるぐるやってきて
心当たりを探る。

私が困惑しているのを見て、
おじいさんが申し訳なさそうに言った。

『ごめんね、そんなに深く気に留めないでほしい。何で悪に決めたかと言うと、顔でなんだ』

「顔ぉ?」

斜め上の言葉に
思わず不服そうな声を出してしまった。

『善悪でしか答えがないなら、
君は悪。それは、他の誰よりも
私の奥さんの方が、美しく可愛いからね』

おじいさんは、
さっきの思い出話をしてる時にみせた、
遠くを懐かしむような、そんな顔をして
目を細めた。
それから、パッと表情が戻り話しを続ける。

『それに、君とは今日初めて会った訳だし、
君の事は何も知らないからね。
今の所顔でしか…と。
そして、君はもしかしたら、
凶悪犯かもしれないし、
詐欺師かもしれないしね』

「え、そこまで考えてたんですか?」

『まぁ、半分は冗談な訳だけど、
善悪なんてそう簡単には分からないものだよ。
私だってこれだけ生きてるのに分からない。
簡単な善悪なら解るかもしれないが。
それも正解か怪しい。
だから答えを聞きに行くために、
毎日ここの掃除を頑張っているんだ』

「?」

『あぁ、すっかり長話になってしまったね。
私はそろそろ帰るとするよ、
今日はありがとう。久しぶりに楽しかったよ』

突然、話しをうちきられた様で

「こちらこそ、ありがとうございます」

そんなありきたりなお礼しか言えなかった。

おじいさんはニコリと笑うと、
掃除道具を持って帰っていった。


数日後、
私は裁判所に行き、
同じように裁判員候補に選ばれた
人達と一緒に、色々と説明を受け、

それから、この事件の裁判員に
選ばれるかどうかのクジで
見事に外れ、

私は、結局選ばれなかった。


裁判所からの帰りに
不思議なおじいさんと出会った
あの場所に行ってみた。

もし今日来たら、
多くは話せないけれど、

せめて、レポートの事は
嘘だったと謝りたい。

しかし…待ち人来ず。

私はしばらく、この無機質な風景を眺めていた。
この場所は、手入れは行き届いているけれど、
変わらず寂しい場所だと感じる。

どれくらい経ったか、
車が止まる音が聞こえ
私はハッとした。

車からは
見慣れない作業服を着た女性が
降り、掃除道具をもってこちらに
やってきた。

『あら、こんな場所に人がいるなんて珍しい』

“こんな場所”という単語に少し
ムッとしたけど

「こんにちは…」

今度は普通に挨拶ができた。

『こんにちは、お散歩か何か?』

「いえ…ちょっと」

おじいさんから感じた違和感がどうも離れない。

「あの!ここの場所の掃除って、
えーと、何だっけ…最後に清掃サービスって付く会社もしてたりしますか?」

おじいさんの会社の名は
難しい漢字だったからあの時は
読めなくてスルーしていた。

『んー、確か私の会社が、
ここの管理を任される前は、
名前の後にサービスって付いてた
会社の名前だったと思うけど、
もうずいぶんと前の話しよ?それに
その会社は倒産したんじゃなかったかしら』

「え?」

ずいぶんと“前”の話し?

それじゃ、あのおじいさんは?

誰?

『貴方が探している会社の事だったら、
私、そこの社長さんの事、知っているけど…』

「すみません、帰ります」

『え?ええ…気を付けてね』

話しを遮って私は早歩きで
その場を去った。

きっとあのおばさんは、
あの時出会った清掃のおじいさんの事を
色々と知っているかもしれない。

でも、それを聞いてしまうと
何かが消えてしまいそうで
聞きたくなかった。

私はおじいさんの存在を
箱にしまった。

これで、ずっと消えないはずだ。

家に着いたら、取り敢えずカネコに餌をあげて、
それから今日は疲れたから、早く寝よう。

そして、また何日かしたら
あの場所にいってみよう。

そうしたら今度こそ、
あの時嘘をついた事を謝るんだ。




いつかの夕方、
ポコポコと泡が立つ水槽に
一匹の金魚がいた。

金魚の目の先ではテレビが
つけっぱなしになっていて

その画面には
裁判所の門にずらりとならんだ
報道陣の目の前で
無罪と書いてある白い紙を宙に
かかげるスーツの男の姿があった。

だが、その金魚以外
テレビから流れる音も映像も
気に留める住民はいなかった。


fin,



#今回のお題は【善悪】でした。

4/26/2023, 6:34:02 PM

善悪は物語のように上手くいかない
物語の中では悪人が倒されてハッピーエンド
現実では弱者が追い詰められ
悪人が大きな顔をしてのさばる
この世界はおかしいね

4/26/2023, 6:25:21 PM

自分が良かれと思ってしたことは
大抵誰かにとっては迷惑でしか無くて
いい人間の 優しいふりをして
自分自身を正当化したいだけで
なんなら傷つけたりもした覚えがある

だからもう 怖くなっちゃったりして
意味もなく人に優しくしたり
意味もなく人に同情したり
意味もなく人に干渉したり
無意味に関わろうとするの やめた

そんなことをしてるうちに
存在の気配を消すのが得意になった
みんなうちが居ないように扱ってくるから
私が突き放してるのか 周りが離れてるのか分からないけど
無理に笑わなくても良くて
流石嫌われ者 って感じで心地良い

強がりとかではなくて
やたら好かれるよりは嫌われてた方が楽だと思うだけ
誰にも期待されず 誰にも期待させず
友達とか片手余るくらいしかいないし
親友は 親しいだけの幼馴染だし だから別に仲良くもない
そんな曖昧さでいい

親切も不親切も
真面目か不真面目かも
イイも悪いも自分次第
私は、私が良けりゃそれでいい
自己満な人生で構わない。

_ ₃₇

追記、それから はーとが444になりました ゾロ目です
いつも読んで貰ってて 感謝してます

4/26/2023, 6:19:17 PM

善悪について考えてみると
本当は、善悪なんて概念はないのかもしれない。
結局は善たれと人間たちが勝手にレッテル張りをして
悪を裁いているのかもしれない。
でも、善行を積んだら極楽へいけるからとかそんな大層なことじゃなくても
やっぱり人には優しくありたい。

4/26/2023, 5:32:14 PM

川辺に束になって生えている、丈の長い草。

ネズミや小鳥が巣を作り、たまに蛇なんかも休憩している。

 風に揺れ、サワサワ音を立て靡く緑。

とある地域では、冬に燃やしてしまうそうだ。

虫の卵や草の枯れた部分だけが焼けて、春になったら新芽をにょきりと出すらしい。

夏になるとススキのような、トウモロコシのような穂がポフポフ揺れる。

 なんていう植物か、知ってるかい?

テーマ「善悪」

4/26/2023, 5:28:27 PM

昔、「死にたくて堪らない」と
とあるチャットルームで叫んでいる女の子がいた。

チャットルームの住人は
「そんなことないよ」「大丈夫だよ」
「生きていれば良いことあるよ」と
持てる限りの言葉を尽くして慰めたけど
「そんな言葉いらない」と彼女には何も届かなかった

私は入室して彼女に言った。

「どんな感じで死にたいですか?」

「え?」

「どうせ死ぬなら自分の望む形で死にたいじゃないですか。」

彼女は少し戸惑っている様子だった。
チャットルームの住人達は「なんて事言うんだ」と
私を糾弾し始めた。

彼女はしばらく悩んで

「私、キノコになりたいんです」

と答えた。

「え?」

今度は私が聞き返した。

「ヨーロッパで、死んだ後に菌を埋め込んだスーツを着せてキノコを栽培する、キノコ葬というのがあるんです」

彼女は生き生きと答えた。

その生えたキノコ、どうするんだろうか。
食べるんだろうか。それもどうなんだろうか。

でも

「面白くないですか?」

と屈託なく笑う彼女を見て



私は「善い質問をした」と思った。

4/26/2023, 4:55:19 PM

「善悪」



草原に身を隠すチーターが
ヨチヨチ歩きの水牛の子どもに狙いを定め
猛然と追いかけた。

木のうろで待つ二匹の子どもに
食べさせねばならぬ。

それに気づいた水牛の母親が
死ぬ覚悟でチーターの脇腹に
角を突き立てた。

チーターは前脚の爪を立て精一杯
水牛の母親に抵抗したが
腹に大きな穴を開け
その場でのたうち回り
やがて息絶えた。

ハゲワシが飛んできて
チーターの肉を喰らい腹を満たした。


酷い爪痕の残る母牛の傷には
ハエがたかって美味そうに血をすする。


やがてハイエナたちが
チーターの子供の匂いを嗅ぎ取り
自分らの子どもらに狩りを教えるだろう。



 はたしてこの世界に 

     善悪 とやらはありますか?

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