昔、「死にたくて堪らない」と
とあるチャットルームで叫んでいる女の子がいた。
チャットルームの住人は
「そんなことないよ」「大丈夫だよ」
「生きていれば良いことあるよ」と
持てる限りの言葉を尽くして慰めたけど
「そんな言葉いらない」と彼女には何も届かなかった
私は入室して彼女に言った。
「どんな感じで死にたいですか?」
「え?」
「どうせ死ぬなら自分の望む形で死にたいじゃないですか。」
彼女は少し戸惑っている様子だった。
チャットルームの住人達は「なんて事言うんだ」と
私を糾弾し始めた。
彼女はしばらく悩んで
「私、キノコになりたいんです」
と答えた。
「え?」
今度は私が聞き返した。
「ヨーロッパで、死んだ後に菌を埋め込んだスーツを着せてキノコを栽培する、キノコ葬というのがあるんです」
彼女は生き生きと答えた。
その生えたキノコ、どうするんだろうか。
食べるんだろうか。それもどうなんだろうか。
でも
「面白くないですか?」
と屈託なく笑う彼女を見て
私は「善い質問をした」と思った。
4/26/2023, 5:28:27 PM