『君の目を見つめると』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【君の目を見つめると】
「合コン」なんてものは初めてだった。興味がないわけではなかったが、お酒を飲まないし、初めてきたこの場所に戸惑いでしかなかった。
たまたま座った席。目の前に座っている女の子。ずっとうつむいていて、もしかして怯えてる?
「あの…」声をかけると、顔を少し上げた。目があった瞬間、体に電流が走ったような気がした。目が離せない。吸い込まれるような目。相手も目を逸らそうとしない。君の目を見つめると時が止まった気がした。
吸い込まれそうだと思った。
そのひとの煌めきを宿した黒いガラス玉は飾り気などなにもなく温度というものを感じさせない凛とした色をしていた。
鏡のように鋭く真っ直ぐで曇りも歪みもない、只只ひたすらに現実を映し出す穢れのない瞳。それがあまりに気高く美しすぎて直視するには胸が切り裂かれるほどに痛くて。それが、どうしようもなく怖かった。
何だか自分の弱さとか狡さを白日のもと晒されてしまうような、潔癖さや清らかさを湛える迷いのない上向きの眼差し。羨ましくて妬ましくて、それからやっぱり恐ろしかった。
(水鏡を覗き込んだみたいだ)
深く底が見えないのにただ青だけはどこまでも続いていて、清水よりも尚濁りのない静けさを伴う張り詰めた空間。人を音を温度をすべて排除しているかのような閉ざされた厳格で神聖な雰囲気。
それに自分という異物が写り込むことがどうしても許せなかった。それはきっと……
『君の目を見つめると』
君の目を見つめると
壊れた機械みたいに誤作動を起こす
このポンコツな心臓の修復が終わるのは
どうやらもうちょっと先のようです
人の目を見つめていると
自分がどこを見ているのかよくわからなくなる
両目を見ているのか、片目をみているのか
わたしは君のどこを見てるんだろう
*君の目を見つめると*
にらめっこは出来ない
君の目を見つめると
必ず吹き出してしまうから
なにも面白くはないのだけど
どうしてもダメ
なんでだろう
結婚して20年が経った。
私たち夫婦は、周りも羨むほどのおしどり夫婦。
飾りでも何でもなく、仲良く20年過ごしてきた。
小さなことで喧嘩することはあったが、翌日にはお互いが謝りあっていた。
子どもも15歳と13歳。あまり手がかからなくなってきた。
そんな私たちには、二人で楽しんでいることがある。
私も妻もお酒が好きで、毎晩一杯のビールで乾杯するのが日常だ。
私も妻も仕事の付き合いで飲み会に行くことはあったが、早く帰れた日はやっぱりビールだった。
ビールを飲みながら映画を観る時間は、私にとってかけがえのない時間。
今日もいつものように、映画を観ながら談笑していた。
今日見ているのは恋愛映画。
妻は珍しく、ちょっと甘えてくる。
お互いに歳をとったが、やはり妻が一番美しい。
そんな妻が上目遣いで見つめてくる。
慣れないな…
君に見つめられると、未だにドキドキしてしまうよ。
10年後には慣れるのかなと思いながら、私は妻を見つめ返した。
「君の目を見つめると」
お題《君の目を見つめると》
金木犀の海が咲くんだ。
心の中で炭酸の弾ける音がする。
時折吹く微風が、ふたりの時間を淡く満たして。
ずっと、続けばいいのにと心の泉で願う。
『お前って時々ずっと俺の目見てくるよな』
バレてた、と言うか無自覚だった。
どうしようすっげえ恥ずかしい。誤魔化すか。
「あー………とても…美しい、その、君の目を見つめると、なんだか……心地よくwなってくるんwwだ……ww」
やるなら最後まで笑わずにやれよって笑いながら言われた。かなり我慢した方なんだが、褒めろよ。
とか冗談交じりに言ったけど、俺は冗談なんて言ってないんだよな。
君の目を見つめると、何故か君は逃げ出そうとする。
落ち着きのない表情で、私の視線から離れていく。
そんなところが愛らしくて、同時に少し悲しくて。
君は知らないのだろう。
私が何度君に助けられたことか。
君は無自覚だから、助けたという認識もないのだろう。
それでも確かに救われたのだ。
君の暖かく柔らかい視線に。
誰かに見られているというのは、
必ずしも気持ちの悪いものではなく。
誰かに見守られていると言うだけで、
人の心は何故か強くなれる。
君の視線は、私を酷く安心させるものだった。
君に覚えがないのだとしても、私は決して忘れない。
君の視線を、君の優しさを。
そして、私は君にそれを返そう。
私を助けてくれたように、君を救いたいから。
私の熱い視線を、存分に受けとってくれ。
君の目を見つめると
君の目を見つめると、意識してしまうのは、何故だろう?
他の人(子)は、普通なのに。
この差は何だろう、少し胸がドキドキする感じ。
この気持ちは何だろう?
いつか、この気持ちが分かる時が来るのだろうか。
『君の目を見つめると』
「あ……」
君の目を見つめると、君はすぐに逃げてしまった。
少し残念に思う。
君の目はとても綺麗だから。
「おーい、待ってよー」
普段ならそのまま気にしないけれど、今日はなんとなくもう少し眺めていたくて君を追いかける。
なのに君は私のことなんか振り向くことさえなく、逃げる。
でもここは広くもない一人暮らしの1LDK、すぐに追いつくことができるのさ。
「ねぇ、もう少しだけ見せてよ」
ご機嫌を伺うように頭を撫でてみると、気持ちよさそうに目を瞑ってその場に座った。
しまった、これじゃあ目が見えない。
「まぁ、いっか」
またいつでも見る機会はあるし。
今はもう少しだけこうしていよう。
「にゃー」
うん、君ももっと撫でろと催促しているみたいだしね。
お題:君の目を見つめると
君は仕事が出来る
勉強もいっつも学年1位だった
君は誰にでも優しかった
僕は君と絡みがなく仲良くは無かった
勉強も何をしても注目の的の君が
羨ましかった
いつも何考えているか分からないその目
うざかった
その遺伝が羨ましかった
僕は君が気に入らなかった
なんでいつもお前が注目の的なんだ
まぁ、コレは君が学生時代の話だけどね
何故か今は付き合ってる
なんでだろう?僕も分からない
偶に考えるんだ…なんでだ?ってね
でも、君の事を見ると何か落ち着く
何考えているか分からない
君の目を見つめると何か心地いい 。
恋とはよく分からないな
勇者と呼ばれる少年と対峙した時、なんと複雑な感情を目に浮かべているのだと思った。仲間であろう剣士や魔術師とも異なる、芯の強さを。
勇気--今まさに強者へ挑まんとする姿勢が感じとれる。
自信--おそらくこれまで数々の戦いや冒険から得た経験が表れている。
覚悟--たとえ自身の命が私と共に消えようとも倒してみせるという意思が宿っている。
そして、憎悪。
これはおそらく役立たずの小娘を、奴の目の前で心臓を撃ち抜いたからに違いない。冒険を共にして立ちはだかる壁を乗り越えてきたからか。そんなに心を通わせることができていたとは予想外だった。なんだ、惜しいことをした。もう少し使ってやってもよかったかもしれない。
まぁ、殺めてしまったのは仕方がない。私はもう一度奴の目をしかと見た。複雑な感情を浮かべた瞳は、やはり強者の目をしている。
相手にとって不足なし。
「その強さ、私に証明してみせよ」
奴の目に燃え上がる炎のような光が宿った。
『君の目を見つめると』
⸺ふ、と。
あなたが離れていく。
先ほどまで触れていた唇はほのかにあたたかくて、あなたの体温が確かにそこにあったことを肯定している。
名残惜しさなんて微塵もなく離れたあなたの目は確かに私を捉えていて、その目を覗く私がひたすらに醜いものに思われた。
きれいなあなたを穢らわしいものにしてしまったような気がして、無意識に言葉を紡いでいた。
あなたは驚いたような目をして、それから優しく微笑んで、それから、それから。
そうしてもう二度と、あなたの目を見ることはなかった。
君の目を見つめると
深いアメジストが僕を捉えて話さない
君はいつも何を考えているのかわからなくて
瞳の奥に秘めたものを読み取れない
いつだって僕は君に魅入っているけど
君はいつだって無表情に僕を見つめる
そんな君の目を見つめると
僕は申し訳ない気持ちになるんだ
君を感情を持ったものに作れなくてごめん
僕は君を
ただ命令を待つだけのものにしたくなかったのに
死にたいぐらいなら
全て諦めて逃げてしまえばいいと思った
でも全てを失った私は
その全てに縋り付きたくて仕方なくて
失ったものを一つ一つ思い出して数えて…
覗いたSNSのアカウント
変わり続ける人達
何も変えられない私
上手く生きられない。
"死んでしまえば良かったのかな"
何一つ諦めることなく
抱えたまま眠ってしまえば…
そうしたら私は幸せになれなのかな
終わらない夢の中でみんなと一緒に眠れたのかな。
甘美。
この時間を表す言葉は正しくそれに違いなかった。
かち、かち、と一定の間隔を刻んで揺れる秒針がこの静かな空間を守っている。
机を挟んで向かい合う椅子が二脚。頬杖をつき、曖昧でどこか無機質な微笑みを浮かべる少女と私は相対していた。
ここにはこれ以上何も無い。何かが生まれることも、崩れていくことも、何も。ただ、私と少女がいる。
「退屈?」
これが彼女が発した最初の言葉だったような気もするし、以前に何か二言三言会話を交わしたような気もする。全ての感覚がはっきりとせず、しかし視界だけはこれが現実であると信じ込みそうになるほど晴れきっていた。
私は少女の問いかけに首を横に振る。
「そう」
返答が満足いくものだったのか、それとも全くの予想通りだったのか。ただの人間に過ぎない私には彼女の感情を性格に読み取ることなどできないが、少女はそれ以上言葉を続けようとはしなかった。
その代わり、長い睫毛に縁取られた目をそっと伏せる。光源もわからぬ光がきらきらと繊細な毛束に反射して煌めいた。
息をつくほどの美しさ。
意識しなくとも勝手に視線が吸い寄せられ、他のこと全てが目に入らず、どうでもよくなる。美しさは罪であると言うが、確かにこれを独り占めできるのなら、躊躇いなく人としての一線くらい踏み越えてしまえるだろう。それ程までに目の前の少女は魅力的で理想的な姿かたちをとっていた。
少しの間。
もしかしたら“少し”ではなかったのかもしれないが、彼女を見つめている間は、私にとって数秒程度の時間にしか感じられなかった。
伏せられていた少女の目が再びこちらを見やる。
硝子玉を思わせる、透明度の高い、大きな瞳。
向けられた視線に応えようと目を合わせれば、より深いところまでを覗き込める、または覗き込まれるような感覚を得る。
私の記憶、感情、思念、何もかもが彼女に知られていくようで、同時に全てが彼女の中に吸い取られていくようだった。
ただ、そこに不快感や喪失感はない。むしろ、徐々に広がるその穴は少女と私がひとつになっていくことの証にも思えて、満足感さえ覚える。
私たちはこうして見つめ合うことをいくつも繰り返していた。もうはじめも思い出せないほど、いくつも。
私は知っている。
これは夢だと。私の破滅を誘うものだと。時間を重ねる度にあやふやになっていく私の感覚がそう告げている。しかしどうしたって今更戻れそうにないのだ。
思わせぶりに瞬きをする美しさが、ゆっくりと笑みを深めていくその美しさが、目覚めという選択肢を溶かしきってしまった。
ならばもういいだろう。たった二人きりの世界、私のためにこの完璧な少女が存在してくれるのなら。少なくとも、私はこの時間を“幸福”だと感じているのだから。例えそれが都合よく書き換えられたものだったとしても、私がそれを知ることはない。
自我が溶けきる、終わりまで。
甘美だった。
餌の食べ頃を待つ悪魔にとっても、その美しさに囚われた私にとっても。
悪夢を悪夢と認めないまま、私はその蠱惑的で純粋な瞳に魂を喰われていくのだ。
【君の目を見つめると】
君の目を見つめると
(本稿を下書きとして保管)
2024.4.6 藍
今まで話していたことも、
話そうとしていたことも
あなたに見つめられると消えてしまう。
「まただ。」って、悔やんで、
僕は自分にあきれてしまう。
君の目を見ると、照れてしまって
笑ってごまかしたりする。
どきどきする気持ちをもてあそんで
少しの間、肩の力を抜いてみて
明日また、頑張ればいい。
君の目を見つめると
そこには
僕が見た事のない世界が広がっている
君にしかない宝物の景色がある
君の過去が灰色だろうが、色鮮やかだろうが
僕の目には
輝く君の姿がうつっている