『君と最後に会った日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ふと見上げた彼方には放心させるほどの青に目を奪われる。石の階段に座り、水滴にまみれた瓶を持ち上げ、甘ったるい炭酸が喉を潤す。
その拍子に目の隅に映る先輩の笑顔。
隣には先輩の彼氏。
(すげぇよな。何の非もない顔をして、未来を考えずに今を生きていられてさ。こちとら、どうやって笑ってくれるだろうかだとか、隣に立つ資格はあるのかってのを考えて……まあ、知ってるさ。負け惜しみってやつだ負け犬の言い訳に過ぎん訳だしな)
砂浜を歩く2人を影法師でさえ幸せそうに揺らめく。
それをただ見つめること1分程。
誰かが駆け寄るサンダルの音が響く。
「お兄、もう行くって」
「そか。お前はどっちに付いてくの?」
「もち、お母さん。お兄もでしょ」
「言わずもがな」
よっこいしょの掛け声と共に立ち上がり、身体に付いた砂を払う。まだ飲みかけの夏の風物詩をゴミ箱に捨て、妹と共に新しい家へと帰路につこうと向かい始める。
「お母さんはあんなどうしようもないのを好きになっちゃったんだろうね。私はもっとイケメンで優しくて、怒鳴り散らさない人を選ぶね。きっと」
「そうだな。そういう人を選べるといいな」
「お兄は好きな人いないの?」
「俺は……一度もないかな」
「あの可愛い人はどう?」
「付き合っている人がいるだろ」
「仮に居なかったら?」
「もう……好みじゃないかな」
「我儘じゃん、そんなお兄にも誰か運命の人に会えるといいね!」
妹の学校での他愛のない話を聞き、とりあえず笑い合う。妹の頭を撫で、片方の目から涙が零れる。
(どうか、お前は気づかずに幸せになれな)
最後にラムネ瓶を捨てたゴミ箱を振り返り、踵を返した後もう二度と振り返ることは無かった。
君と最後に会った日
あの日は。
ごく普通の日だった。
特に大きな事件もなく、
暑くもなく寒くもなく、
雨も降っていなかった。
ただ、あの日。
私と君は、激しい口論になった。
今迄、君と喧嘩した事は、
無かった訳じゃない。
だから。今回も。
直ぐに仲直り出来るだろう。
…って、思ってた。
だけど。
そのまま、君は私の元を去った。
そして、二度と、
私の元に、戻っては来なかった。
淡々と続く日常の、
何でもない一日になる筈だったのに。
あの日は、
恋人だった君と最後に会った日。
…になってしまったんだ。
『君と最後に会った日』
久しぶりに書くな…
そう思いながら、文章を作る。
今日書こうと思えたのは、題名に惹かれたからだ。
私にとっての『君』はいつだってたった一人。
『君』に会ったのはいつが最後だっただろうか。
2年前の3月だったかな?
…なんで会うことになったのかまるで覚えていなくて、なんなら会話の内容もまるで覚えてないけど。我ながら少し呆れたけどきっと、取り留めのない内容なのはよく覚えてる。記憶にしないほど自然でいつも通りに『君』と話したのだろう。
あー…でも、だんだんと思い出してきた。
あの時、『君』とご飯食べに行く約束したのに『恋人が出来た』からと言って、ドタキャンしたんだよ。
だから、会うだけでも話をするだけでもしないかってなったんだわ。
あの時、正直ふざけんなって思ったわ。
それとこれとは違くない?先約はこっちでしょ?って思った。
まぁ、言えなかった。というより、ただ言わなかっただけかも。
本当は行きたくなくて、都合のいい理由を言ったのかも。
そう考えると、今でも言わないで良かった。言わない方が正解なんだと思える。
でも、あの時君と会うのはきっとさいごであると確信があった。
まぁ、県外に行くからこれ以降は約束とかを取り付けない限りは会うことは無いだろうって感じなんだけど。
でも、私が知っている君に会えるのはこれで最後だったんだろう。
ピアス開けたんだね、顔つきは変わらない気がするのに雰囲気変わった、とかいっぱい。色々思ってしまったところが沢山あった。
『君』はこれから先、私のいない所で大人になって、色んな人に出会って、色んなことをしていくんだろうね。そして、私を置いていくようにどんどん私の知らない『君』になるんだろう。
とても寂しくなった。
会えただけでも嬉しい。でも、きっと会うのは今日が最後だ。久しぶりに会えただけでも『君』はすごく変わった。
…今思えば、ちょっとは頭が混乱してたんだろうな。
そりゃあ、話した内容なんて覚えられないわ。そんなことが出来るほど、私は器用でもないし、頭も良くない。
こうやって『君』と最後に会った日を思い出すだけでも泣きそうになるな。情けない。
急に寂しくなって、泣いちゃう日も実はあったりしたけど、『君』がいない日々を頑張っていくよ。
また会えた時、今度こそご飯を一緒に食べてくれますように。
君と最後に会った日
見上げた夜空に星がきれいで
これから先
君に何が出来るかを考えたけど
幸運を祈るくらいしかなくて
伝えたいことは言えたかな
言えなかったかもしれないな
でも今でも忘れずにいるんだ
一緒にいてくれて
「ありがとう」
僕と君が最後にあったのはいつだろう。
確か僕がまだ高校生で君はカフェでアルバイトをしてた気がする。
あれから月日がたって未だに僕は、あの頃のままカフェに行けば会えるんじゃないかとか考えてしまっている。きっとそれは叶わないと思う。
またどこかで僕は君に会いたい。
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theme 君と最後に会った日 2024-6-27
色々な君がいた。
色々な君たちがいた。
初恋の君は眼鏡をかけてて色が白く笑顔が素敵な小学二年生の女の子
何十年たった今でも君の名前を覚えているよ。
最後に見た君は…きっと雨が降っていたときだった
小学生の頃に同じ図書委員だった君の最後は高校3年生の冬だったかな。
いや、違うな。。。
家に帰宅する途中、君は、、
なんかスカしていたな
マクドナルドで働いていた君は…
とても…いや、そのまま書いちゃおう
可愛かった。素敵なお姉さんだった。
最後の君は…ハンバーガーが54円の時でした
君と最後に会った日
パスワードをかえた
君の誕生日にかえた
心が追いついたからまたかえた
痛み止めはお金でかえなかった
あの日の場所にかえってみたらどんな思いだったか分かるだろうか
僕が土にかえったら来世で君とおんなじ家にかえれるだろうか
君と最後に会った日は、
まだ肌寒さが残る4月。
お互い
次の道へ進む準備もほとんど終え、
ほんとうの
「さいご」を実感した。
泣かないって約束したから
歩き出すまでは泣かなかったよ。
君も
僕と同じように
泣いてくれてたなら
それ以上の幸せはないよ。
それほどに、
僕は君を愛していた。
君と最後にあった日のことをまだ覚えてる。
梅雨を知らない4月末に雨が降る中で君は傘を差さずに外に出た。
白いブラウスが透けるのはどうしても嫌だった私は半ば無理やり傘を貸す。
君に彼氏がいると知っても、君と付き合うことが出来ないと分かっていても、無防備な君を見られたくなかった。
去り際に手を降ってくれた。
僕が握れない可愛らしい手だった。
8
その日君はすごく綺麗な顔で 楽しそうに微笑んでくれていたね
またいつかその笑顔をみせて
テーマ 君と最後に会った日
高校で別れた君。離れてからこの気持ちに気づいた。
思い出す度に恋しくなるのはなぜかな。
どうして後悔しているのかな。
もっと話しかけに行けばよかったな。
→短編・小さなソフィーとラブレター
ママはパン屋のアンヌとずっとおしゃべり。ママのエコバッグから飛び出してるセロリの葉っぱが「もう疲れたよ」って首を振ってる。その気持ちよく分かる。
「ねぇママ? ジェロームのところに行ってもいい?」
ママの袖を引っ張って隣にあるブロカントを指差す。
「いたずらしちゃダメよ」
失礼だなぁ~、私もう5歳だよって思ったけど、面倒くさいからウンウンって頷いておいた。
「こんにちは~」
お店のドアを開けるとカランカランとベルが鳴った。ジェロームのお店は古いものがいっぱい詰め込まれてる。私はこのお店が好き。望遠鏡、古い本、羅針盤、使いかけのチョーク、クッキーの缶…。ここでパパに買ってもらったジャムの瓶は私の宝物。
「やぁ、ソフィー」
ジェロームはお店の奥にいた。難しい顔で大きなキャビネットの扉を開けたり閉めたりしている。その度にキャビネットは悲しそうにキィキィ鳴いた。
「何してるの?」
「メンテナンスさ。昨日コイツを仕入れたばかりでね。どうやら蝶番の具合が良くないようだ。付け替えてやらんとな」
そう言うとジェロームはお店の2階に大工道具を取りに行った。
私はキャビネットに触れた。そっと扉を開ける。大きな空間。かくれんぼできそう。
エイヤとキャビネットの中に入り込む。秘密基地みたい。でも埃っぽいな。こんなところママに見つかったら呆れられちゃうかも。出よう。
「ーー?!」
のそのそと動き出した私の手が何かに触れた。変なものだったらどうしよう……、恐る恐る確認する。
「紙?」
それはキャビネットの底板の割れ目にねじ込まれていた。取り出してみると手紙のようだ。古い紙だなぁ。カリグラフィーみたいな字だ。きれい。難しい単語がいっぱい。私が読めるのはーー
「きみ、と、さいごに、あった、ひ、が、わすれられない」
もしかしてラブレター? でもでも、最後に会った日ってことは、もう別れちゃったのかな?
他に読めるのは「自転車、ボタン、ピクニック……」
「おーい、ソフィー? ピクニックがどうした?」
いつの間にかジェロームが戻っていた。私は手紙を差し出した。「こんなのが入ってたよ」
手紙を手にしたジェロームは頭の上の老眼鏡を鼻に乗せて手紙を読みだした。
「ねぇねぇ、これってラブレター? 自転車とかボタンがどうしたの?」
私の声、聞こえてないみたい。ジェロームの顔がどんどん真剣になっていく。最後には片手で額を叩いた。ーパチン!
「こりゃ大発見かも知れんぞ!」
「そうなの? 誰か有名人の手紙?」
「あぁ、ある作家の書いたラブレターの可能性がある」
「どうしたの?ずいぶんと賑やかね」
あっ、ママ。パン屋のアンヌも一緒だ。ジェロームが二人にラブレターの話をし始めた。あー、二人が会話モードに入った顔になっちゃった。こうなるとお手上げ。大人だけで盛り上がり始める。ホンモノかどうかとか、価値がどれくらいだとか、bla bla bla…… 。
夜、ベッドに寝転がって宝物のジャムの瓶を振った。ジャラジャラジャラ。ガラス瓶に当たって音を立てるのは、ママに集めてもらったたくさんのボタン。
もし恋人たちの最後の日が、ボタンと自転車とピクニックに関係してるなら、私も用心しなくっちゃ。ボタンが何に役立つか分かんないけど、無いよりある方が良いような気がする。
今、ママとパパは一緒に住んでいない。冷却期間なんだって。
二人の『最後に会った日』なんて来させないぞ! 私が守ってあげる!
私はもう一度ジャムの瓶を振った。ジャラン!
テーマ; 君と最後に会った日
「お話しませんか?」
そう言う彼の目は、全てを見透かすようだった。
「ここから飛び降りるの?」
誰だこいつ?ネクタイの色から同級生だと分かる。無機質な笑顔を見せる彼。変な奴、これが初めの印象だ。
「辞めろとか言うのか?」
彼は無言で頭を振った。じゃあ何しに来たんだよ。
「僕はただ、自殺する人の心情が知りたいんだよ。だから僕と、お話しませんか?」
彼の言葉に偽りは感じなかった。俺は彼に流されるまま話し出した。
家に帰るのが辛かった。父親は酒屑で、酔っ払うと暴力を振るう。母親は癇癪持ちで、気に食わない事があると一日中暴れた。こんな家庭に産まれて、真面目に育つ訳が無い。俺の心は次第に、ボロボロに崩れていった。こんな日々から逃げ出したい。そう思った時、屋上のフェンスの向こうに立っていた。
「これが俺が自殺しようと思い立った理由だよ。」
彼は俺の話を頷きながら聞いてくれた。そういえば久しぶりだ。まともに人と話すのは。
「お前は何で、自殺する人の心情が知りたいんだ?」
俺が聞くと、彼の笑顔が一瞬引きつった。そして、徐ろに口を開けた。
「僕の兄は去年、首をつって死んだんだよ。学校で虐められてたんだ。あの時兄は、何で身内とかに相談しなかったんだろうって、ずっと疑問だったんだよ。でも、君のおかげで分かったよ。兄は人生から逃げたかったんだね。」
彼の目には涙か浮かんでいるようだった。
「俺は、この日にお前と話せて良かったよ。」
あと半歩前へ行けば、この世とおさらばだ。
「僕も君と話せて良かった。あの世に逝ったら、兄によろしくね。」
俺達は拳を合わせ、笑い合った。
「またどこかで逢えたら、友達になってくれますか?」
「当たり前だろ。じゃあ俺は先に逝くわ。」
俺は彼に見送られながら、前へ歩いた。
彼と最初で最後に出逢った日。俺が死んだ日。そんな日に俺は、彼への幸福と再会を願った。
『砂のお城』
砂のお城が崩れたら もう君とは会わない 会うことがない ジョーロの水が騒いでは 慌てふためき 砂を濡らす 石ころ混ざれば 明日の味がする 仲よし
なんて程遠い
最後の記憶は
快晴。
青い海を見ながら
「懐かしいね」
「覚えてないなんて嘘だ〜」
って、わたし。
君といると自然と不安が消えて
時間もあっという間に過ぎていく。
この気持ちを教えてくれた、大切な君。
会いたい。
何でもいいから話したいよ。
君との日々はあの日の海みたいに
あんなにもキラキラしていて
今のわたしには、少し眩しすぎる。
#君と最後に会った日
君はいつも教室の隅にいた。
卒業式の後、謝恩会会場で君を探した。その時も壁沿いを先に探した。
「どったの?誰探してる?」
友人に聞かれて、君の名前を告げると、謝恩会は欠席だと言われ、がっかりしたことを覚えている。
だから、君に最後にあった日、いや、君を最後に目撃した日は高校の卒業式だ。
あれから10年が過ぎた。
君は元気なのだろうか。
朝食を食べながら、君のことを思い出していた自分が不思議だった。
「本日からこちらでお世話になります。よろしくお願いします」
目の前にいるのは君のような、君じゃないような。
なんだか、不思議な気分だ。
お題『君と最後に会った日』
君と一緒にいられる、最後の日。
君があまりにもいつも通りの調子でいるから、私は用意していた言葉も、思いも、何も伝えられなかったよ。
別れ際に君が見せた笑顔は、私が君に恋をしたときと同じ、何にも暗いことを感じさせない、はじけた笑顔だった。
私も君みたいに笑えてたかな。
高校の隣の席の君。
ちょいちょい話すうちに、君にうっすらと、恋心を抱いていた。
その日は、少し雲の多い秋の頃。
特に1日なにか大きなことがあるわけでもなく、休み時間に君と雑談をした。
雑談の内容なんていつもはすぐに忘れてしまうが、その日の話は覚えている。内容が特別だった訳ではない。学校の間服かわいくない?、なんて他愛のない話をした。
本当に、なんの変哲もない、ただの極々普通な1日だった。
なのに私はその日のことを忘れられない。
だって次の日、君の代わりに隣の席にいたのは、一輪の花で。
先生がなにか言っていたけど何も入ってこなくて。
あの日、君は事故で死んでしまった。
だからあの日は、最後に君にあった日。
だけど、最後の日がいつか、更新されるんじゃないか。あの日の会話を忘れられる日が来るんじゃないかなんて、ありえない妄想を、5年経った今でも、している。
朧げな街の背に 走った帰り道
どうして こんなに焦っているのか
怖いくらいに 真っ赤な空の下
信号を渡る影 あれは君の形だった
何か言えば 違ってたのかな
多分そんな事も 無かったりして
置いていかれた 抜け殻が
君と居た証拠で そっと教えている
君と最後に会った日が来るとして。
最後の日のことは覚えていられるだろうか。
最後にこういった会話をしたっきり。そんなエピソードは定番だ。
どんな会話をしたのか、一言一句と言わずとも記憶していられる自信はない。
覚えていなければ後悔もない。
君は私にとって取るに足らない存在になってしまうかもしれない。君がいなくなることで、それが浮き彫りになってしまうのかもしれない。