『君と一緒に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「辞めてしまいたい。こんな仕事。」
リハ終わり、舞台袖にしゃがみ込んでそう呟いたのを、俺は聞き逃さなかった。
「さ!楽屋戻ろっか!まだまだブラッシュアップできそうなとこ沢山あったな!最高のステージにするぞ〜!」
絶対聞き間違いじゃない。あんなん聞いちゃったら何言われても「いや嘘やん」って思うのも仕方ないと思う。
正直、びっくりした。
彼に限って、心のどこかでそう思っていた。
疲れる職業だ。夢を振り撒くのが仕事。振り撒く種を作るのはプライベートだ。プライベートなんて言葉、あってないようなものだけれど。
リハ終わりは裏方のスタッフさん達が慌ただしく働いている。俺達の次のリハがあるから。目の前を走り抜けた背中に刻まれたライブのロゴ。それを見て俺は覚悟を決めた。
「仕事やなくて、有効期限付きの王子様や。ライブ終わったら何してもええから。」
大楽屋で談笑している彼を引っぺがして、小さく、でも真っ直ぐ向き合ってそう告げた。
彼は大きな目をまんまるにさせて、くしゃっ、と笑った。
「お前こそ、本番までにその関西弁どうにかしろよ。王子様なんだから。」
「当たり前だろ。そっちこそ、そのくしゃっ、てやつ直せよな。メイク崩れたら申し訳ないだろ。」
それはそっ、と言って彼はまた人の輪の中に戻って行った。やはりさっきのは聞き間違いだったのかもしれない。他に人はいっぱい居たし。彼に限って、そんなこと……
「ありがと。でも盗み聞きは良くないぞ。」
「俺が盗み聞きなんてするか。」
やはり、気のせいだ。
そうに違いない。
君と一緒だったから、知れた事もある。
それと同じくらい、忘れた事だってある。
限りある 命あるのは いつまでか
毎日のこと 思い出に記す
#君と一緒に
「君と一緒に」
叶うなら
ずっと一緒に居たかった
けれど
君が別れたいと言うのなら
僕はそれに従うよ
少しの間だったけど
君と一緒に居れて嬉しかった
「さようなら
お元気で」
歩いてゆく彼女の背中を
そっと静かに見つめていた
あの時言った言葉を
今更後悔している
どうしたら
ずっと一緒に居られたの?
何時間も考えた
答えは見つからなかった
「時が戻るなら
あの時をやり直したい」
奇跡が起こるのを
ほんの少しだけ信じていた
誰かと一緒に行動することが苦手だ。この10年、食事は1人でとっている。ゲームや漫画も一人で楽しみ、誰かに話すことはしない。動画やライブ配信を見ても、配信者やコメントに共感できないことが多く、すぐ閉じてしまう。
他人が嫌いなわけではない。ただ、他人と一緒にいると、どうにも落ち着かない。まるで浮いているような気分がする。周囲との繋がりを感じ取れないということかもしれない。
人だけではなく動物も苦手だ。こちらからの働きかけは全てエゴだと感じる。動物からの働きかけも、仕組んだような感じがして、何とも白々しい。動物と人間を結ぶ価値ある繋がりは、あるのかもしれないが、自分には感じ取れない。
そういうわけで、「君と一緒に」というテーマの主語に、自分を当てはめることはできなかった。いつか、一緒にいたいと思う「君」に出会う日が来るのだろうか。
「ねぇ、ここのドーナツ
すごく美味しいって有名なの。
半分こして一緒に食べましょ?」
「このアイスすごく美味しかったの!半分どうぞ」
「寒かったから肉まん買っちゃった!
はい、半分こね」
君は本当に半分こするのが好きなんだね、
と悪戯っぽく言ってみたら
「【あなた】と半分こするのが好きなの。
2人で同じものを食べた後、美味しかったねって
話す時間が愛おしいくらい大好きなの。」
そう微笑みながら、少し恥ずかしそうに
話す彼女を見たらなんだか胸が
いっぱいになって泣きそうになった。
僕もだよ。僕も君と一緒に過ごす時間が本当に──
#3 『君と一緒に』
もうこの世にはいない
君と
なんにも
一緒に出来ない事が
こんなにも淋しいなんて
悲しさを通り越して
笑ってしまいそうだよ
だから今夜も
夢の中で
君に逢いに行くよ
君と一緒に居たいからね
きっと
目が覚めたら
全部忘れていると思うけどさ…
# 君と一緒に
それはエゴかもしれない。
食事を摂ることも寝ることも一人だってできる。
だがこれだけは声を大にして言いたい。
君と一緒にやるからいいんじゃないか!
この際言っておくと、
君が好ましく思っている私が作られる条件は、君が隣にいることだ。
だから、どうか。全て私の我儘にして、このままで。
「君と一緒に」
君と一緒に。
君と一緒に
お出かけしよう。
ゆうが
車を運転してね。
私は
助手席で
唄ってるから。
君と一緒に
知らない所で
迷子になるのも
楽しみ。
あれからもう、どれくらい経っただろう。
がむしゃらだった日々。
君は運命の人じゃないと信じて。
お互いの人生を通り過ぎただけの存在だと。
君と一緒に行った水族館に、
君の知らない人と来たんだ。
君とは違う笑顔で、君とは違う言葉で、
たくさんの会話をして、君が少しずつ薄れていく。
ありがとう、ごめんね、さよなら。
でもね、あの日君がいた場所には、
今もまだ、君の姿が残っているんだよ。
時折オーバーラップして、
食事する君が、手を繋ぐ君が、微笑んでる君が。
I'm Waiting for Spring
前に進むことでしか、君を忘れられないから。
I'm Walking to the Future
叶わなかった未来を捨てて、この人と歩き出したいから。
目を閉じて、遠く海の音を聞いて、
オーバラップする君を消してゆく。
過去に君と走った海岸線を、
助手席で微笑む、今の君と一緒に。
Waiting for Spring
Walking to the Future
どこまでも、いつまでも、
自分達の色で、塗りつぶしていきたい。
あの楽しかった日々に、別れを告げて。
好きです、付き合って下さい。
緊張で震える心臓を必死に隠しながら気持ちを伝えた僕に高校卒業間近にやっと春が訪れた。ベタな告白だったけど、それが功を奏したのかもしれない。
可愛いと思う女の子の話題になった時にすぐ名前がでてくることはなかったけど、僕にとっては彼女がダントツで可愛いと思ってたし、みんなも口にしないだけで内心では彼女のことを狙っているのではないかと疑念していた。それくらい彼女に惚れていた。
そんな彼女に二つ返事でいいよ、と言われた時の喜びは筆舌しがたいほどだった。告白が成功した後に何を発言したのか全く覚えていないけど、それくらいあの時の多幸感に包まれて頭が真っ白になる感覚は、今後の人生においてもそう何度も経験できないだろう。
しかし、彼女と解散した後に冷静になって考えると、初めてできた恋人という関係性にどうすればいいのかさっぱり分からなかった。他の男と比べられて捨てられるのではないだろうか、知らぬ間に蛙化現場を引き起こしてフラれるのではないか。そういった類の恐れや不安と闘いながら彼女との関係を深めていった。会う度に彼女の知らない一面に出会えたし、会う度にその可愛さに度肝を抜かれた。普段は軽口を叩いたりツボが浅くてすぐ笑ったりするんだけど、たまにフッと見せるわがままで甘えてくるところや真剣に悩んでる様子は男心をぐっと捕まえられた。我ながら単純だと思うけど、彼女に触れる度にそんな思考は霧散していった。それでもよかった。もう制服は着れなくなるから、と制服デートを時間が許す限り行った。大学に入っても変わらず会えたらいいなと淡い希望を抱いて入学したけど、それぞれ別のコミュニティが出来ていくことで徐々に会う頻度はどうしても減っていった。だけど、いや、だからこそ会うことに希少性を感じたし、彼女もそう思って欲しいから彼女が欲しがっていたものをプレゼントしたりイメチェンしてみたりした。でも、何かと理由をつけて会えなかったり、LINEの返信速度が遅くなってきた。やっとデートできると思ったら早めに解散を強いられたりして、徐々に距離ができてきた。認めたくないけど、彼女にもう気持ちが無いように感じた。それでも彼女から別れを切りだされることは無くて、それが返って不気味だった。会う度に、返信がある度に喜びと共にやってくる虚しさ。それに耐えられるほど大人じゃない。好きだからこそずっと一緒にいたい。でも、このままだと気持ちだけが先行してきっと上手くいかない。だから今日、僕はこの言葉を伝えるつもりだ。
わかれよ
あっという間に、私のお正月は終わり。
二週間ぶりのYシャツ、ヒヤッと冷たい袖に腕を通すと、ゆるふわ正月気分だった脳が徐々に仕事モードになっていくのを感じた。
スーツは男の戦闘服。
なんて言葉があったよね、と思い出しながらYシャツのボタンをプチプチと閉めて、お気に入りの柄のネクタイをクローゼットから取り出すとセミウィンザーノットで手早く結んだ。
ソックスとスラックスを履いて、スリッパをパタパタ言わせながら、リビングのドアを開ければ味噌汁の良い匂い。
テーブルにきちんと並べられた二人分の朝食、お盆を持ったままの君が「おはよう」と笑いかけてくる。
しあわせ。
幸せだなあ、ホカホカと湯気の立つ味噌汁のお椀に口をつけながら、私は一笑した。
テーマ「君と一緒に」
幼稚園から仲の良かった友達と疎遠になった。
来年も一緒にって約束した彼とお別れした。
友達のお母さんが亡くなった。
家族にも愛にも友情にも永遠がないことを知った。
でも間違いなくそこにあった。
永遠がないことを未だに怖いと感じてしまうけれど、
永遠がないからこそ大切で、幸せなんだと思う。
永遠ではなくとも今、
目の前にある家族や愛や友情は本物だ。
儚くて美しいものだ。
大切に大切に生きよう。
その一つ一つの思い出に恥じないように。
仕事の邪魔はしないし
生活を詮索もしない
ましてや 人生に踏み入れようなんて
微塵も思ってない
手をつないで歩くこともできない
そんな君がくれるのは
月に一度の ほんの2時間
一緒に過ごすその間に
わたしの全てを君で満たす
次があるとは限らないから
#君と一緒に
#6
君が私を見てくれるなら、
私は君に尽くしたい
君が離れていかない限り、
私はずっと一緒にいたい
君が笑顔でいてくれるなら、
私はそれで幸せなんだ。
君と一緒にいられる、
ただそれだけで良かったのに。
報われることのない想いに蓋をしようと思っていたのに。
君が向ける視線を、
君の笑顔を、全てを独り占めしたい。
一緒にいればいるほど、欲深く、醜い自分になっていくのがわかる。
そんな僕のどろどろとした感情になんか気づかず、今日も君は僕に笑いかける。
…想いが決壊してしまうまで時間の問題かもしれない。
_______
「君と一緒なのに…本当鈍感。」
240106 君と一緒(に)
題 : 君と一緒に
Sちゃんという親友がいる。
彼女は、大学入学を機に上京するという。とても気が合い一緒にいるだけで楽しかった。何をするにも一緒だった。高校が離れても沢山遊んだ。
だけど、上京した彼女にとって私はすごくちっぽけな存在になり忘れられてしまうんじゃないかと不安になる。2ヶ月後に迎える彼女の上京を心の底から祝うことが出来ない。これから先も君と一緒にずっといたかった。
【君と一緒に】
幼馴染の私と翔くん。
物心ついた時には、すでにお互い一番よく遊ぶ友だちだった。
他にも友だちはいたけれど、誰よりも一緒にいて楽しかったな。
だけど男女の違いなのかな。
成長するにつれて、自然と二人で遊ぶことが減っていっちゃって。
翔くんと一緒にいると、付き合ってるとかラブラブだとか、冷やかされるようにもなった。
そうじゃないのにね。
翔くんのことは好きだけど、そういうことじゃない。
きっと翔くんだってそう。
男女だからって、一緒にいるからって、そこに恋愛感情があるとは限らないのに。
そういうのが辛くなって、きっとお互いに距離を取るようになったんだろうなって思う。
でも、学校からの帰り道、偶然翔くんと会って、久しぶりに一緒に帰ったことがあった。
話して分かったことだけど、私も翔くんも、お互い違う人を好きになってた。
あの翔くんにもとうとう好きな子ができたのかー、と嬉しい気持ちになった一方で、少しだけ寂しい気持ちもあったけれど。
翔くんが言ってくれたんだ。
「俺とお前は、周りに何か言われても、ずっと変わらず友だちでいような」って。
そうだね、と笑って答えて、やっぱり翔くんはいいな、と思った。翔くんもそう思ってくれてるといいな。
私たちが付き合うことはないんだろうけど、それでも。
君と一緒にいる時間は、最高なんだ。
「あれ、おっさんだよね? 久しぶり!」
久美は私を見つけると目をキラキラさせて駆け寄ってきた。久美と私は長年の友人なのだが、彼女にはちょっと変わったところがある。
「明日休み? せっかくだから何処かに遊びに行かない?」
休みじゃないと言いかけて、私は口をつぐんだ。そういえば仕事ばかりで最近誰とも会っていなかった。
「うん、いいよ」
私がうなづくと久美は満面の笑みを見せた。
「やった! じゃあ、どこに行く? おっさんの行きたいところでいいよ!」
久美が黄色い声出すと、通りすがりの人の視線が痛い。だが、久美自身はちっとも気にならないらしい。
「あとで連絡する」
そう伝えて久美と別れると、家路に向かった。
久美と出会った頃のことはよく覚えている。彼女に悪気はないのだが、少し人を不快にさせてしまうところがあるから不安だ。
私の名前は小野寺詩織という。学生の頃、久美によって私のあだ名は『おっさん』になった。
当時の私はそのあだ名が嫌だった。女なのに何故『おっさん』なのか。それで久美に理由を問いただすと、彼女はあっけらかんと答えた。
「へ? だって、渡辺さんのこと『わっさん』って呼ぶでしょ。馬場さんは『ばっさん』だし」
まるで当たり前のように言われて、私は何も言えなくなった。久美とはそもそもの考え方、思考回路が違うのだ。まぁ、言ってしまえばそこが久美の面白いところでもあるのだが。
「さてと。明日、どうするかな」
君と一緒に
君と一緒に遊びたい。
君と一緒に笑いたい。
君と一緒にのんびりしたい。
君と一緒にゲームしたい。
君と一緒に暮らしたい。
「君と一緒に」の続きには自然と願望が出てくる。
思い浮かべる「君」はそれぞれ違う人だろうが、
その人にとって大切な人が出てくるのではないだろうか。
大切な人としたいことを考えるのと同時に
大切な人と‘してきたこと’にも目を向けることを忘れたくない。
君と一緒に過ごした時間は何よりも大切な時間です。
2024.01.06