『向かい合わせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
向かい合わせ
通勤電車で、ほぼ毎日会う女性がいた
彼女は綺麗な人で
見るたび幸せな気分になっていた
ある日、僕は座席に座っていて
彼女はつり革につかまり
向かい合わせになった
一瞬、彼女と目が合った
彼女は頬を赤く染め
少し目線を外し照れくさそうにしていた
これは声をかけるチャンスかも知れないと
内心ドキドキしていた
すると彼女に「あの…」と
声をかけられ一枚の紙を手渡された
もしやラブレターかな?など期待しながら
紙を開き読んでみると
「ズボンのチャックが開いてますよ」
と、書かれてあった
あわてて確認してみると
チャックが全開になっていた
ただ恥ずかしいだけの話
読んでくださりありがとうございました
宇宙と向かい合わせになるとき、
ヒトの一番楽な姿勢です。
「真っ直ぐに見つめる君に」
君は昔から話すときに相手の目を真っ直ぐに見つめる。
いつの頃からだろう。
君と視線を合わせることが恥ずかしくて堪らなくなったのは。
その感情がどういうものであるのか、わかっているけど、まだわからないふりをしたい。
離れたくない気持ちは段々と大きくなっていく。
ただの意気地なしだ。
君と向かい合う覚悟が、まだ出来ていない。
それなのに、君の一番近い場所は誰にも譲りたくない。
だから、膝がつくくらいの距離で隣に座っている。
「内緒話しているみたい」
くすくすと笑う君の声が耳をくすぐる。
いつかまた向かい合って座ることができたら、そのときは大事な話をしよう。
その頃には、ちゃんと自分の気持ちを認めるから。
────向かい合わせ
向かい合わせ
ちょっと恥ずかしいけど
君の目を見る
君の目が私を見る
時が止まったようで
まるで世界に2人きりのようで
このままで居たいと思う
目を合わせて
視線を絡ませて
お互いに向き合ってるはずなのに
心だけが正反対を向いている
不毛だね。
寂しいね。
でも、お互いに強情だから、
ずっとこのままなんだろうね。
勇気出して送るわ
私から貴方へのこの手紙
頑張って綴るは
大好きな貴方へのこの想い
臆病な私は向かい合って
伝えることは出来ないです、けど
こんな想いが少しでも
伝わればいいなと思うんです
『向かい合わせの手紙』
私は君と、ちゃんと向かい合ってこれたのかな?
解り合ったり分かち合ったりした気でいたけど、本当のところ、どうなんだろうね。
仮に、其処に多分切れないんだろうなと思えるような絆があったとしても、自信がない。
この答えって、いつ分かるんだろう。
もしかして、今際の際?
これ以上、顔を上げることができなかった。
手元の、やたら背の高い洒落たグラスの中で、氷がからり、となった。
テーブルを挟んで向かい合わせに座った、あの人の顔を見ることはどうしてもできなかった。
「どうしたんだい?下ばかり見て」
いつものように世間話をするような、軽い声で、あの人は僕にそういった。
笑いさえ混じるような口ぶりで。
汗が頰を伝って落ちた。
今日は真夏のはずなのに、店内のクーラーがやけに肌寒く感じる。
「ねえ、どうしたんだい?」
あの人はいたぶるように続けた。
僕は顔を上げられなかった。
ずっとあの人のネクタイの結び目を見つめていた。
汗が滝のように、顔の輪郭を伝って滴り落ちる。
手汗がひどい。
あの人が軽く息を吸った。
何かを話すつもりだ。
そう思った時、僕の口は勝手に弱々しく言葉を絞り出していた。
「ごめんなさい…」
「なぜ謝るんだい?」
間髪を容れず、あの人は答えた。
芝居がかった疑問系で、弄ぶような口調だった。
直感的に僕は絶望する。
バレてる。僕がしたことは全てあの人にバレているんだ。
肩が震える。
服と肌の隙間を、冷や汗が滑り落ちる。
僕は、路上で生きてきた。
貧乏で貧乏で、教養も人間性も善悪も時間も、お金と食べ物に変えていかないと生きていけなかった僕の両親は、当然、まともな感性など持ち合わせていなかった。
両親の暮らしぶりが悪くなり、僕が大きくなって、同情による金銭的価値を提供できなくなった時、僕は路上に放り出された。
僕は、両親の背から習ったように、人間性を、善悪を、道徳を、実益に変えて、生きてきた。
殺し以外ならなんでもした。
今、向かい合わせに座る、あの人に会うまでは。
あの人は、僕にお金を渡した。
路上で生きてきた僕を、目にするといった。
身請け人として僕の生活を保証するから、その代わり、路上で起きていること、関わったもの全てを私に話せ、とあの人は言った。
全てに飢えていた僕はそれを了承した。
あの人が何をしているか、どんな立場なのかはわからない。
ただ一つ言えるのは、僕が報告したその日から、路上で暮らす過去の僕みたいな人々は少しずつ、少しずつ、減っていった。
あの人は僕に文化的な生活を与えた。
あの人は僕を学校に入れ、教育を施した。
僕は少しずつ、少しずつ、ものを知った。
自分が今までしていたこと、他人の気持ち、全ての人に生活と命があること…
僕は考える力を手に入れた。
僕は生活に意義を見出せるようになった。
あの人は、僕に善悪や道徳心や人間性を買い戻した。
僕は自分の生活について考えるようになった。
自分の人生について、自分の罪について、あの人について。
…僕が今していることについて。
昨日、僕は嘘をついた。
仕方なかった。
仕方なかったんだ!
昨日、路上でぶつかったはずみに僕のハンカチをくすねたあの子は、本当に小さい子だった。
小さくて、まだ幼くて、かわいそうな子だった。
…だから、僕は嘘をついた。
そんな子、いないって。
あの人は、僕の嘘に頷いた。
上手くやれたと思った。救えたと思った。
それが間違いだった。
今日の朝、朝食を取るためについたテーブルで、僕と向かい合わせに座ったあの人は、昨日と同じ柔らかな微笑で、一言、こう言った。
「話がある。外出の準備ができたらついてきなさい」
あの人は気づいたんだ。
僕が嘘をついたことに。あの人を裏切ったことに。
顔を上げられない。
怖い。
恥ずかしい。
無力だ。
仕方ない。
謝らなきゃ。
助けなきゃ。
嫌だ、僕だけでも助かりたい。
いろんな感情が混ざり合う。
昨夜まであんなに、自然と向かい合わせで笑えていたのに。話せていたのに。
…今は怖くて仕方ない。
冷房が寒い。
怖い。
いつもつけているあの人の赤いネクタイの、ネクタイピンが恐ろしく無機質に見える。
怖い。
膝が震える。
拳をキュッと握る。
僕はこれからどうすればいい?何が正解なのだろう。
あの人はあれから、何も言わない。
あの人の視線が突き刺さっている。
何も言わずにじっと僕を見つめている。
どうしよう。
どうしたらいいんだ。
周りのざわめきが、ひどくやかましく、遠く聞こえる。
窓の外の蝉の声が、うるさかった。
『向かい合わせ』
休み時間になっても僕は席を立たず
読書をしているような中学生時代だった。
君はいつも僕の前の席に座ってきては
向かい合わせに語りかけてくれて
2年間ずっと休み時間は同じように過ごした。
3年目も変わらぬ光景なんだと
どこかで思い込んでいた。
この風景が変わることはないと。
そして、君の言葉を信じて
高校生になっても大学生になってもその先も、、
ずっとずっと一緒にいるんだとそう信じていた。
どれだけ待てばまた向かい合わせに
君は語りかけてくれるのだろう。
向かい合わせ
「意外と甘えたがりなんだね」
柔らかい声が心身を解いていく。
照れ隠しだとしても
音もなく後ろから羽交締めにするのは
流石にやめてほしいと
大事なあなたに言われてしまったから
勇気を出して、前から抱きついてみるなど...したのだ
「だめでしたか」
やはり恥ずかしさは消えなくて、あえてぶっきらぼうを演じた。
「いいんだよ」
あなたの返事はいつもシンプルだ。
だからこそ、逃げられない。
あなたの前では、心を隠せない。
こんな優しい人の前でなんて、隠す気にもならない。
晒させてください、これからもずっと。
天井に蜘蛛がいる。
ここ数日、家の中で見かける蜘蛛だろう。
これまで、キッチン、トイレの入口、玄関などでエンカウントしている。
体長は、およそ3〜4センチ。
特に悪さをしてこないので放置していた。
今いるのは、寝室の奥。
およそベッドの顔あたり。
白い天井に何食わぬ顔で張り付いている。
試しにベッドに寝転ぶと、予想通り蜘蛛と向かい合わせの形になった。
天井にいる蜘蛛は、大人しく、動く気配がない。
スマホのカメラを起動させて、ズーム機能で蜘蛛を撮る。
それを検索にかけると、アシダカグモと出てきた。
名前も言いたくないアレを捕食してくれる益虫だ。
寝室で飲食をする趣味はないので、食べカスなどのゴミは無い。
アレが出ることは無いハズなのだが、何やら警護してくれているようだ。
「ここには何も無いはずだけど、何故いるの?」
天井のアシダカグモに向かって声をかけると、アシダカグモは長い足をカサカサと動かし、寝室のドアへと向かっていった。
そのまま出ていくのかと思いきや、ドア付近の天井で再び止まった。
やはりこの部屋に何かがあるらしい。
捜査が必要だ。
寝室にあるインテリア達を見て、あれこれ考えていると、天井にいたはずのアシダカグモの姿がない。
もしかして、警護完了の挨拶に来てくれたのだろうか。
はたまた、ドアの先に獲物となる何かを見つけたのだろうか。
ドアの先にある廊下へと向かうと、そこにもアシダカグモの姿はない。
なんと素早く隠れるのが上手いのだろうか。
足音も気配もないのだから脱帽である。
蜘蛛というのは、忍者の生まれ変わりなのかもしれない。
そう思いながら寝室へと向かい、ドアを閉める。
パタリと音を立て閉まったドアの表面に、黒い物が付いている。
出ていったはずのアシダカグモだ。
このドアは至って普通のドアであり、忍者屋敷にあるようなどんでん返し機能はついていないはずなのだが。
忍者の生まれ変わりは、長い足を動かすと、再びドアの隙間へと向かっていった。
やはり、ドアになにかがあるのだろうか。
一連の動作にも、再考の余地がありそうだ。
作品No.147【2024/08/25 テーマ:向かい合わせ】
向かい合わせになれば大体
私が見上げる羽目になる
背が低いのも
大変なのよ
「向かい合わせ」
あなたとの向かい合わせはドキドキするけど
隣にいる方と 心が辛いよ。
好きな人と向かい合わせに座ると死にそうになるくらい可愛いよねぇ…
遠距離をしている私たちにとって、
食を共にすることは何よりも至福の時である。
今日1日のできごと、
最近ハマっていること、
今度行きたいランチスポット、
仕事のあーだこーだ、
向かい合わせになって、
ごくごく普通のごはんを食べる、
この他愛ない時間を大切にしていきたい。
ごはんを食べるという動作は
生きる上で当たり前で、
そして、沢山の時間を有する。
彼と一緒に食べられるごはんは
息絶えるまでどれくらいの時間なのだろう。
1日二食1時間✕365日✕50年?
彼との時間を数値化すると、
毎日をなあなあにしてはいけないなぁと思う。
次の休みは二人で餃子でも作って、
ゆっくり飲みながら食べようかしら。
「 向かい合わせ 」
貴女は、どんな人間とも正面から向き合う方でした。
それが無垢な子どもだろうと、思い悩む青年だろうと、俺のような狼藉者だろうと、貴女はその向かいにそっと腰掛け、その者の心と語り合おうと努力されました。
今の貴女もそうですが、あの当時の貴女と違うのは、今の貴女は誰にでもそうするわけではない、ということです。それは俺たちにとっては、大変にありがたいことです。
何せ、本当に危険な人間というものは、改心する可能性がないのですから。貴女がどれだけ真摯に向き合ったところで、彼らは貴女を搾取するだけでしょう。
ですから、貴女が今人を選んでいらっしゃるのは、とても良いことなのですよ。貴女はそれを「人を選り好みしている」と思い、罪悪感を感じることもおありですが、どうかその自責はなさらないでくださいね。
向かい合わせに座るの良くないって言うよね、斜めがいいんだっけ。ちょっとよくわかんないけど。
ご飯一緒に食べるのって、何気にハードル高いよね。マナーとか、気にしなきゃいけないこと多いし。毎回緊張しちゃう。食べる速度とか、音鳴らさないようにとか、喋るタイミングとか、色々わけわかんなくなるの私だけかなー笑
向かい合わせだと相手の表情見えて逆に緊張するから隣でお互いどっかみながら話すのが私はちょうどいいかな、
あなたとわたし
くらべっこしなくていい
あなたとわたし
つよがらなくていい
あなたとわたし
せのびしなくていい
あなたの
むかいあわせがわたし
いまのままでじゅうぶん
むかいあわせのキモチ
#向かい合わせ
#向かい合わせ
苦手なの
だって可笑しくて笑っちゃうから
何考えてるかが分かっちゃって
つい答え合わせしたくなるから
向かい合わせ
とある三兄弟のお話。
くすり、と口に手を当ててあの人は軽く笑った。自信満々に、そんなことあり得ないとでも言うかのように。それに腹が立って、向かいに居るあの人の足を蹴ったくってやるのだ。