小絲さなこ

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「真っ直ぐに見つめる君に」



君は昔から話すときに相手の目を真っ直ぐに見つめる。
いつの頃からだろう。
君と視線を合わせることが恥ずかしくて堪らなくなったのは。



その感情がどういうものであるのか、わかっているけど、まだわからないふりをしたい。

離れたくない気持ちは段々と大きくなっていく。


ただの意気地なしだ。
君と向かい合う覚悟が、まだ出来ていない。
それなのに、君の一番近い場所は誰にも譲りたくない。
だから、膝がつくくらいの距離で隣に座っている。

「内緒話しているみたい」
くすくすと笑う君の声が耳をくすぐる。


いつかまた向かい合って座ることができたら、そのときは大事な話をしよう。

その頃には、ちゃんと自分の気持ちを認めるから。



────向かい合わせ

8/25/2024, 3:19:46 PM