『半袖』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
好きな人の腕にある、剃り残しの毛。
思っていたよりもあった筋肉。
所々にある小さなホクロ。
少し赤くなった虫刺されの跡。
全部、半袖だから気付けた。
けどまさか、こんなことで胸が締め付けられるほどキュンとくるなんて、思いもしなかった。
全部、半袖のせいだ。
気品溢れる貴方の様に
隠さず隠れず其の儘で
此の身を打ち砕いて貴方にだけ
蒼い匂いのする所で
熱い光にじりじりとする肌。少しだけ久しぶりの感覚。
ああ、今年も夏がやって来る。
「半袖」
「好きです」って、駅のホームで。
今でも思い出す、本当の話。
青い春を過ごしていた高校2年生の私は、セーラー服を着て、一世一代の告白をした。
電車が毎日一緒な、男子校の彼。
その日は朝から暑い夏休みで、部活があった私もいつもラケットを持っている彼も、同じホームで同じ電車を待っていた。
部活を引退したら、少しでも時間がズレたら、もう二度と会えなくなる。そんなことで会えなくなるほど、薄い関係。それでも、大好きだった。
夏休みの間、言うか言わないか。声をかけるかかけないか、悩んで、ウロウロして。彼からしたらよほどの不審者だったかもしれない。私が彼の方に歩くと、向こうが気づいて「?」というように首を傾げてきた。
認識された、もう逃げられない。いや、逃げちゃダメなんだ。しっかり目の前に立って、伝えた。
「あの…私」
『ああ、えっと、いつも同じ電車の人ですよね。部活すか?』
「そうです」
前から知っていた、と聞き、素直に嬉しい私。日常会話を交わしたこと、ひどく嬉しかったこと。今でも覚えてる。
「私、伝えなきゃと思ってたんです」
「好きです」
「ずっと、好きでした。まだ、同じ電車の人っていうイメージしかないかもしれないけど。友達からでいいので、恋愛対象として、見てもらえませんか」
お題《半袖》
晴れ渡る空。
向日葵畑の中手を引いてくれる彼。
そよ風で揺れる花の海。
おろしたての白いシャツの彼がまぶしくて、目を細める。
アイスクリームのキッチンカーの話をしたら向日葵に負けないくらい、輝く笑顔はじける夏の記憶。
ラムネ瓶の硝子玉のようだ。
@半袖
私は小さい頃に事故に遭って腕に傷が残ってる。
その傷を見られるのが嫌でずっと長袖を着ていた。
でも、今年から中学生。
小学生の内は何とか長袖で過ごせたけど、
今年からはそうもいかない。
校則で、6月からはジャージを着てはいけない
というルールがある。
先生に言う?
いや、今ここで長袖を着たら、
きっと一生長袖でいるんだろう。
真夏の日々を一生長袖生活は今年で終わりにしたい。
日焼けだってしてみたい。
別に隠す必要もない。
ただ「どうしたの」と、その言葉に怯えてただけ。
でも、もう怖くない。
今日から半袖を着れる。
「その傷どうしたの?」
「昔事故に遭ったんだ、その時の残り。」
衣替えの時期になった。
今日はそんなに暑くはないけど、クローゼットにしまってあった夏服を引っ張り出して身につける。
登校して教室に入ってみると、やっぱりみんな長袖のままで、なんだか恥ずかしい。
そういえば私の席は窓際だったのを忘れていた。
授業中は風が冷たくてろくに集中できなかった。
放課後、肌寒くなりながらテニスコート脇にあるベンチに腰掛ける。
ここで読書をするのが私の日課なのだ。
一昨日買った好きな作者の新作を読んでいると、パコン、パコン、とテニスボールの音がし始めた。
男子テニス部の練習が始まったようだ。
バッと顔を上げ、彼を探す。そう、私の好きな人だ。
みんながジャージを着ている中、彼だけは半袖のTシャツを着ていた。
彼は、あちー、と言いながら鬱陶しそうにぱたぱたと服に風を入れていた。
……ずっと冷たかった頬が熱を帯びた気がした。
【2023/05/29 半袖】
一年中、半袖半ズボンの子
「なんで半袖半ズボンなの?」って聞いたら
「寒さにも負けない男は一人前の男だってお父さんが言ってたから」と元気な笑顔で言った。
そんな、君を見て僕は恋をした。
(フィクション) 半袖
お題︰半袖
引き止めたくて腕を掴んだんだ。
そしたらね、勢い余ってやぶいちゃった。
お気に入りの長袖、ごめんね。
夏になっても
半袖を着ないキミ
わざと
長袖をまくりあげて
過ごす
第2ボタンまで開いて
あざとさ満開
なのに
ふいに出会った街中で
半袖を着ていて
それがもっと新鮮で
鮮やかに目に焼き付いてはなれない
もう
キミしか見えない
♯半袖
何度目かわからない夏がやってくる。夏の虫の鳴き声はどれだけ嫌だったか今となっては覚えてすらいない。風鈴の綺麗な音だけでは片付けられないなんとも言えない音と雰囲気。どれもが夏を感じさせてくれた。まぁでも1番夏が感じるのはクーラーと西瓜なんだけど。クーラーの下で西瓜を食べるのは幸福すぎた。そして半袖短パンの自分は床に寝転がって床が冷たい、気持ちいいなんて言いながら瞼がだんだん重くなっていってしまう。いつもの事だ。何時間も寝たあと外は夕焼けに染まっていて自分の肌が少し焼けていて、今年も焼けたなぁなんて言いながら毎年毎年黒くなっていく自分の肌を見つめるんだ。そして、最期も夏。暑くて暑くて仕方がないからクーラーを奪おうと家まで来たらしいけど言ってくれたら入れたのになぁ。自分の耳元でどくんどくんと脈打つ音が聞こえる気がした。日が照っている。こんな時でも暑いななんて思ってしまう自分はとても呑気だ。でもそれも自分らしくていいんじゃあないかな。
あれ、そういえば自分って亡くならないんだっけ。
あぁ、なんだ不必要な心配しちゃったよ。
そりゃ、そうだよな。自分が何歳かわからない神さまなんだから。
でも、そんな事実から逃げたくてヒトの姿になったのに、こんな事になるなんて。ほら、相手もびっくりしてるじゃん。自分が何も無いような態度してるから、別に死にはしないよ。でも痛いもんは痛い。けど、何年も生きてると痛みには慣れないけど顔に出なくなった。あぁ、自分の行動とかって全部不必要じゃん。
誰か、生きてる意味も不必要にさせてよ。
神さまなんかやめたいなぁ。
半袖を作る工程、
長袖の服を買う。
袖を好みの長さで引きちぎる。
夏を迎える為の通過儀礼。
お気に入りのあの服も、
一緒に夏を迎える為に、
全部全部引きちぎる。
いやでも冬はどうすんだ。
捨てられた袖を集めて、
大きなお墓を建てました。
お墓に袖を埋めようか、
あら?火葬が先かしら。
袖をお墓に埋めるため、
みんなまとめて燃やします。
ぼおっと大きな火が登り、
全部全部燃えちゃった。
あれ?お墓は要らなくない?
大きなお墓を残してさ、
あたし一人が残ってる。
半袖小僧が残ってる。
夏も終わって肌寒い。
寒がり小僧が残ってる。
うーん、お墓をどうしましょ。
寒いのいったいどうしましょ。
少し悩んで閃いた。
少年は墓に頭を打ち付けて死んだ。
#半袖
いつの間にか外出も半袖で、もう羽織るものもいらないかと思った矢先暖が恋しくなるような寒空に包まれた。夏の季語を浮かべる脳は現の天気に右往左往して、暑い季節に居る気になって背中に汗して唸ってる。
放課後。部活前。
私は片想い中の相手に笑いかける。
「もう焼けてるね」
「そうかなぁ」
「あたしより焼けてるって。ほらほら〜」
腕を差し出すと、あなたも腕を伸ばす。
隣に並んで日焼け具合を比べるふり。その筋肉質な腕と私の腕をくっつけて、私はちゃっかり温もりをチャージ。
「俺焼けてきたかも。というか、相変わらず白いなぁ」
「そりゃあ、日焼け対策してますから」
「こうやって見ると、男女の腕って違うもんだな」
「ほんとほんと」
あなたの目がじっと私の腕を見つめている。私はちょっとドキドキしちゃう。少しは意識してくれるといいんだけど、やっぱりわからない。
号令がかかった。今日も練習が始まるらしい。
バイバイ、と私は手を振って友達の方へ戻る。
いつあの腕に絡みついてやろうかな。
炎天下の中、凍りつくあなたを想像して、私は可笑しかった。
白いシャツ
腕を伸ばして
太陽に
手をひらいた
何してるの?
え?、あ…、太陽をつかみたくて。
はは、つかめそう?
んー、 ギュッとグーにしてみた
まじ…
となりでマネをする
ふたりで、グーパーグーパー
お前ら、変だよ、自転車でおい越していった
あわてて教室に向かう
これ、出来たら報告な
そ、そうなの
ちゃんと着地しようぜ
うん、そだね
新緑の太陽は眩しかった
近頃は地球温暖化の影響で、春から大活躍することが多くなってきた。都心でもそうじゃなくても夏日。真夏日。
梅雨の一時は長袖を引っ張り出してくる事もあるけど、梅雨が明けたら、最近は10月中旬までお世話になりっぱなし。
今年もお世話になります。
半袖の話。
半袖
何故に長袖が基準なんだろう
着物が基準
どうなんだろう
まぁ実際どうなのか知らないけど
半袖や長袖のシャツくらいですむ
気温くらいがいいよね
出来れば暑くないほうがいいんだけど
半袖と言えばやはり夏
夏は暑い
暑いから冷たいモノが美味しい
暑い寒いも基準が
中央あたりにあるはず
でも中央ってレアなんだよ
基本的に中央って上にある
基準以下が通常なんだよ
上には上がある
だけど下には最低限の保護があるから
何処までも下には行けない
だから見上げるんだろうけど
まずは自分の足元を見て
それから考えないといけないね
夏って半袖じゃないとやっていけないよね
私は極度の暑がり。
夏はほんとに勘弁
海やプールもいいけれど
やっぱり冬が1番好きだなって常々おもう。
半袖を着ないのは、私の線の入った肌を見て知ったように話されないようにするため。別に自分の赤黒いような線だらけの体を恥じて隠してるわけじゃない。
何かを言われるのがめんどくさいだけ。
気がつけば立葵が咲いていた
もうそんな時期か
どおりで最近蒸し暑い日が続くわけだ
僕はじとっとかいた汗を
乱雑に拭った
夏の始まりを告げる花
箪笥の中にどのくらい夏用の服があったか
思い出す
あ〜ぁ
また暑さとの戦いが始まるのか
天へ向け咲き始めた立葵を横に
止めた足を前へ進めた
『半袖』より