『半袖』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
北向きの部屋はまだ冷たい空気だけど、外は夏の気配がしていたから、あなたにも半袖着せてあげる。Tシャツの似合わない子だから、ワンピース繕いました。夜がもっと耐えられないくらい暑くなったとき、二人で川沿いを散歩しましょう。微笑みを崩さないあなたが唇を揺らしたみたいに見えた。
あなたが好む季節に、あなたが好むその半袖。
その服から伸びる少し逞しい腕が好きだった。
その腕で抱き締めてくれるその時間が好きだった。
あの日少し恥じらいながらはにかんで囁いた愛はもう私のものでは無いのね。
いつまでたっても辞められなかったその煙草。貴方からするニコチンの香りがいつしか愛おしくなってた。
1日かけて馴染んでいく貴方の香水が貴方の匂いになっていくのが好きだった。
こんなに好きにさせたくせに、遊びだったなんて馬鹿みたい。
あの子にはもっと甘い愛を囁いていたの?
こんなになっても好きだなんて、つくづくやになっちゃうや。
あなたが入り浸っていたあのワンルームマンションは今頃誰かのもの。
私がのめり込んでいた貴方も今頃誰かのもの。
#半袖
〔お題:半袖〕
【タイトル:夏の恋人】
眩しい青空。じりじりと皮膚を焼く日差し。
蝉の鳴き声に包まれて、何回めかのデートの帰り道を、言いたいことも言い出せず、僕はただ歩いていた。
僕の前を歩くのは、僕の恋人。
サラサラの髪をなびかせて、静かに歩いている。
もうすぐ恋人の家につく。
今日別れたらしばらく会えないんだ、いわないと。
そう思っても、気持ちばかりが先走って、言葉が出てこない。
あと、十何メートル。
恋人が振り返る。
「…じゃあ、ここで。デート、楽しかったよ」
「う、ん」
言葉がつっかかる。言いたいのに、言わなきゃいけないのに。
「またね、バイバイ」
恋人が顔を背けて歩きだす。
今しかない。
「っ待って」
恋人の短い袖から出る、うっすらと汗のにじむ白い腕をつかんだ。彼が振り返る。
僕の全身からも、緊張と暑さで汗が吹き出てきた。
「あの…別れ際にこんなこと言うのあれだけど、えっと…い、いつからでもいいんだけど…
…いつか僕と、一緒に暮らしませんか…?」
僕たちの間に風が吹き抜ける。
「…ふふっ、……はい」
あのときの彼の美しい笑顔を、僕は忘れない。
範囲は広いが
袖というだけで
着類の可能性が高い
そこに半分の半
確定だ
実際には半分ではない
短袖とは言わない
でも短パンはある
丁寧に七分などもある
結局袖が短いこと
袖がないのも駄目で
たぶん半分も長いかも
それよりちょっと短い
そのあたりが
半袖。
「ほら、青信号だぞ!行くぞ!」
後方から走って来た男子に手首を掴まれ、一緒に走る。
今日から半袖の夏制服。
あれ?
こいつ、こんなに逞しい腕してたっけ!?
全力疾走で鼓動が速い。
ドキドキが、止まらないよ。
暑くても
腕にシミができるのを恐れて
長袖を着る。
どうしても半袖の時は
日焼け止めを持参!!
こまめに塗る!
やんちゃな年下幼馴染
私とは真反対の明るい君は夏の間は半袖で
楽しそうに水飛沫
眺める私を見つけては太陽を背負って手を伸ばす
遊ぼう!
小麦にやけた腕に引かれて
君の背中はまだ小さい
#半袖
半袖
半袖のTシャツ
あなたの腕
首筋の匂い
ふと、一瞬、幸せを思い出す
半袖
少し前を歩く君をぼんやりと眺めていた。
歩く度に揺れ動くスカートの裾が何だか楽しげで、半袖から伸びる細くて白い腕が何故だか眩しかった。
君は振り返ってこちらを向き、微笑む。暑さよりもまだ爽やかさが勝る中で君がこちらに手を差し出した。
ああ、夏がまたやって来る。
少し暑くなってきた。
長袖じゃ、汗かいてしまうな。
でも、日焼けするし、まだ長袖でいいかな。
「今日、暑くね?」
私の好きな人は今日から半袖だ。
「確かに。」
好きな人の前だと緊張して顔が強張る。
「半袖にしねーの?」
「んー、迷い中」
何気ない会話が嬉しくて。
「お前が半袖できたら、俺らがクラスで一番最初の半袖デビューだな」
何それ。
半袖デビューってなんなのよ、まったく。
でも…やっぱり明日は半袖で来よう。
『半袖』5/28
昔、腕を火傷したんですよ。
トースターでジュウゥっと────
ちょうど、半袖だと見えちゃう位置だったもんで
包帯巻いたら、痛々しくてね。
それで、中二病扱いされた話する?
「実際、中二病を発症してたけど?」
、、、あぁ~夏ですね
「、、、夏だね」
半袖
地元の夏は暑かった。
と言っても30年前は今より気温は上がらなかった気がする。
今は、夏に半袖なんて着られない。
熱中症対策にUVカットの長袖必須。
中学生も日傘や帽子をかぶって登校できたらいいのに。
逆に、梅雨の肌寒い時期には長袖や上着を着ることができずに、濡れて冷えたまま過ごす謎の中学校校則。
令和だよ?
『半袖』
衣替えで気分を変えて
軽やかな光のもとで
一緒にはしゃごう
あ、日焼け止めは忘れずにね。
この季節の紫外線は1番強いから、ね。
ぬるい風が体を抜けていく
まとわりついていた半袖が風を孕んで告げる
夏だ!!
一斉に花は鮮やかさを身にまとい
葉は濃く色づく
匂いまで生命を含み僕を急かす
夏だ!!
坂のてっぺんから少し覗いた君の麦わら帽子
先に気づいたのは僕
先に名前を読んだのは君
半袖からまだ真っ白な腕を高く上げて手を振る君は笑う
さあ、二度は来ない今年の夏の始まりだ!!
半袖
通学のためにバスに乗る。
真ん中辺りの席の前に立つ彼を一瞬見つめて、気付かれないように人の間に隠れる。
こっそり覗くと、彼は外の景色を眺めている。
紺色の制服から白い半袖に変わっていた。
袖から伸びる腕は日焼けしているから、運動部かもしれない。
春からバス通学になって、いつも見かける彼が気になっていた。
きっかけはお婆さんに席を譲る所を見てから。
こんなに自分が単純だなんて思わなかった。
声をかける勇気はなくて、毎日こうやって彼を見つめるだけで精一杯だった。
『次は☓☓☓前…』
「わっ」
バスのアナウンスが流れ、扉が開くとドッと人が乗り込んできてどんどん押し流されていく。
いつもならこんなに多くないのに。
人に押されて倒れかけると、腕を掴まれて誰かに支えられた。
「大丈夫?」
「…あ、はい!あ、ありがとぅ、ございます!」
引っくり返った声が恥ずかしい。
赤くなる顔を見られたくなくて俯いた。
逃げる隙間もないから、そのまま彼の隣に立つことになった。
「たまに人が多いんだ、このバス」
「そうなんですね…」
恥ずかしがる私に気を遣ってくれたみたいで、彼から話しかけてくれた。
どうしよう、どうしよう。
変な汗かいてるけどニオイとか大丈夫かな。
寝癖直したはずだけどまだ跳ねてたかな。
髪が跳ねてないか確かめるために上げた右腕が、彼の左腕にぶつかる。
「ご、ごめんなさい!」
「こっちこそごめんね。痛くなかった?」
また声が引っくり返るのが嫌で、何度も頷いた。
彼は良かった、と言った。
それから何も言わなくなった彼をまたこっそりと見上げた。
いつもよりずっと近い距離だから顔を見られなくて、半袖辺りを見ることになったけれど。
(もし彼と一緒に歩けたら、こんな感じなんだ…)
そんな青い夏を一人空想する。
残り時間はあと十分くらい。
私には、まだ半袖分だけ足りない。
『半袖』
ボクは自分が嫌いだ
中途半端に高いせいで悪目立ちする身長も
湿気ですぐに膨れ上がる髪も
自分が発する低くしゃがれた声も
無駄に記憶力の悪い頭も
両親には申し訳無いけれど、
何一つとして好きな部分など無くて
可能なら消えてしまいたいほど
この肌を露出させるなんて考えるだけで恐ろしい
だからこの時期だけは本当に嫌で嫌で仕方無い
校則だかなんだか知らないけれど
袖丈くらい自由にさせて欲しいと思う
でもこれを着た着ないで悪目立ちしたくないから
渋々半袖の制服を手に取る
あぁ、早く夏が終わらないかな……
うわ。
手
おばあちゃんみたいだね。
だって
痒いんだもん。
ほんとは
我慢したいんだよ。
掻いたら
血出るし
お風呂入ったら
痛いし
かさぶたができたら
こうして目立っちゃうの。
分かってるの。
でも無理なの。
掻かずにいれないの。
あぁ
あの人にも見られてる。
キモチワルイ
って思われてるのかな。
じゃあ
隠しちゃえ。
普通の人に見えるように
我慢するほうがずっとマシ。
#半袖
夏だなぁって
暑いなぁって
寒いから手繋ぐを使えなくなるなぁって
半袖?
私にはそんなものいらない。
私は長袖の方が好きだ。
リスカも隠せるし、私の身体自体が醜いから。
そんな身体を隠せる部分が減る半袖は……夏は、嫌いだ。
それももう今日でおわり……
❀✿❀
僕は昔から腕に大きな痣があった。
これは生まれつきのものだから。僕の中では別に気にするものでもなかった。
でも、周りは違った。
『おかしいね』 『きもちがわるい』
僕は途端にこの痣が醜くて仕方なくて、コンプレックスになった。
お母さんに言ったって、皮膚科に行かせてくれなかった。
なんたってうちにはお金がなかった。
僕はそれから、夏でも長袖で行くようになった。
みんなからもちろん非難された。
でも、コンプレックスをこの世界中にさらけ出すより、何倍もましに思えた。
『この痣のせいで僕は……』
何度口に出したか分からない言葉をまた口に出す。
『その痣そんなに嫌い?』
ある1人の少女は話しかけてくる。
もちろん僕はうんと答えた。
そしたら、彼女は突然彼女の腕を僕の目の前に持ってきて見せてきた。
『みて。私の痣。君と同じところ。』
それがどうしたんだろう。とおもった。
そんなの何も僕とは関係ない。
それに見たところ彼女は自分の腕の痣に対してのコンプレックスもないように感じる。
『そういうのうっとおしい』
ちょっといい過ぎたと思ったが、訂正するつもりもなかった。
どうせ彼女も僕から去っていゆく人の1人でしかないと思ったからだ。
でも違った。彼女は毎日僕に話しかけてきた。
僕は正直びっくりしていた。
こんな人もいるんだ。と知らぬうちに彼女に心を許していたのかもしれない。
でも、彼女は突然いなくなった。
僕は内心とても驚いていた。
どうしてだろう?
何故あんなにも元気だった人が死を選んだのだろうか。
❀✿❀
昔の僕はそんなことを考えていたな。
今なら分かる彼女は……
僕……いや、私。
だから、彼女がいなくなったということは。
やっと今日が、おわるということ。
じゃあね。
もう半袖の季節だ
日焼け止め塗らないと
うで痩せしないと
ムダ毛処理しないと
その前に
半袖服、洗濯して
青空の下、太陽に乾かして
ピシッとアイロンかけないとね
お題
半袖