『勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私たちみたいな戦場で戦う人は、いつもお花を身に着けている。
私たちの国では『ワスレナグサ』っていうのを使っていたらしい。
私たちの国は戦うことが多いからだって母様は言ってた。
でもどうしてなのかよくわからなかった。
だから、ロコに聞いてみた。ロコは物知りだから。
そしたらロコは
『たくさん人が死ぬからじゃないかしら』
って言った。
でもやっぱりどうしてしてかわからなくてもう一度聞いた。
そしたらこう答えられた。
『たくさん死んだ人の中に、自分もいたことを覚えていてほしかったんだと思うわ』
ーワスレナグサの花言葉は
『私を忘れないでください』だから。
って。
だから、これからは私もちゃんと覚えてあげなきゃって思った。
でも、ロコは
『どうせ家族が覚えてくれるんだから、あなたが覚えている必要はないのよ』
って言って来た。
でも、それじゃ家族がいない人は誰が覚えてあげられるの?って聞いたら。
『そしたらそこまでよ』
って言っていたロコの声は、少し冷たく、寂しそうにも聞こえた。
そのときのロコが一瞬だけ、なんだかそこに存在してすらいない亡霊のように見えた気がした。
ー勿忘草ー
ライト・オーサム
【勿忘草】
_______私を忘れないでッッ!!!!!
すれ違いが多くなって、苦しくなって、もう全てどうでもいいやと思って。
ただ、なんでもないいつも通りの“散歩”だと宣って。
数歩先にある断崖絶壁スレスレの散歩道まで誘い込んで。
『邪魔なら邪魔だと言えばいいだろ!!!!!!』
この瞬間を狙っていたという腹の底を隠すことも無く、ただ一人。
狂うだけ狂って一頻り責めて責めて責めて責めて。
底の見えない断崖絶壁に向かって狂い、ただその先へと走ってこの身を投じて。
堕ちていく恐怖と独りよがりな絶頂快楽、少なくとも地球にいる限り逆らえない“重力”に押し潰されながら。
ふわふわと漂い是非もなく堕ちていく感覚に浮かされ満足げににっこりと嗤い死ぬ覚悟をキメようとしてたのに。
......地面に叩きつけられるどれくらい前か。
両手を使い、しがみつこうと思えばしがみつけてしまうくらいの絶妙な位置にある岩肌に、ただ一輪の雑草が花を咲かせ身を結んでいるのが目に見えた。
(((諦めたくない。)))
(((例え、このまま死んで自分や貴女が滅び消えたとしても。)))
他の何かを思うより先に。
気がつけば、両腕を伸ばし。その岩肌にしがみついて。
カスみてぇな根性と意気地と執念を両腕に込めて。
這い上がって。
切り立った岩肌に全体重をかけ、身を持ち上げさせながら、その雑草を手折って遥か彼方貴女がいる崖の上へ“届けッッ!!!!!!!”と願いを込めて投げ捨て、今度こそ抗わずに落ちていく。
......死にたかった。
______この高さなら。貴女に嫌われたなら。生きる希望を失ったなら。
確実に死ねるだろうと思っていたのに。
その真下の地面には、まるでこうなる事を予期していたように一面の真っ青に塗り尽くされた花々雑草共が咲き誇っていた。
((______このまま転落死出来りゃ、少なくとも俺は満足したまま気持ちよく腹上死するみてぇにくたばることが出来る訳だwwww)))
打ちどころが悪く、数秒数分数時間悶え苦しんででも呆気なく死んでしまうことを望んでいたが。
その真っ青な花を塗り替えるほどの血が出る訳でもなく。
.......まるで背骨でも折れたんじゃねぇかって思うほどの苦痛は味わっても、気絶さえすることなく。
花を捧げて、忘れられない思い出を
あなたと一緒に、作れたなら...なんてね
---二作目(花言葉集〜)---
苦しい現実に向き合うくらいなら
君と築き上げた、幸せな思い出に
この身を捧げていたいよ
溺れていたいよ
#勿忘草(わすれなぐさ)
200作目
空が紫色に変わる頃、彼に内緒で家を出た。
小道の水溜まりに映るのは、痩せこけた私の顔。
こんなだから、彼は浮気したのよ。
お洒落も流行も分からないこんな私が、
彼の1番なわけが無い。
分かってるのよ。私が悪いの。
それでも、傷付いてしまったの。
彼への愛が、欠けてしまいそうで。
何かから逃げ出すよう、静かに、慌てて、飛び出した。
見てしまったのは、彼の後ろ姿と、綺麗な女性の顔。
仲睦まじそうで、つい、お似合いだと感じてしまった。
そして、浮気されているのかと悟った。
責める気はない。止める気もない。
私に出来るのは、彼の邪魔にならないことだけ。
だから私は、自分から彼の元を離れた。
でも、だけど、これだけは許して欲しいの。
リビングの小さな円卓に置いた勿忘草。
彼はその花言葉を知らないでしょう。
そして、調べることもないでしょう。
だから置かせて欲しいの。
淡い青色の、小さな花を。
夏まででいい。私を忘れないで欲しいの。
貴方を心の底から愛していた、私の事を。
美しく咲き。
たまに毒を振りまいて、
でも、それが自分の自己紹介。
私を忘れてほしくないと、強い意志は色に…表情によく出ている。
あぁ、貴女にそっくりだ。
貴女とその花をしていると、照らし合わせてしまう。
忘れたいとも、忘れたくないとも思う。
私の未練は、勿忘草と共に。
よく名前は聞く
だけど見た目は知らない
私は花に詳しくないから、
先輩がよく歌ってるあの歌のことかなって思ったよ
私は先輩の歌声をたぶん覚えてるけど、検索して見つけたあなたたちの小さな青い花びらをずっとは覚えてられない
勿忘の文字列に、もうとっくに別の、先輩が真っ青なライブハウスで歌ったあの光景が焼きついてるの
ごめんね
あなたたちにとって1番酷い話だよね
忘れていいよ
2024 2/2(金) 14『勿忘草(わすれなぐさ)』
わたしを忘れないで、
と言う切ない花ことば。
この情報化社会のなか、
ほとんどの人々が「わたしを忘れないで」と情報発信している感じがします。
現代の勿忘草は、
インターネットに繋ぐ端末なのかもね。
テーマ「勿忘草」
いま思えば、あの時もっと自分がちゃんと気持ちを伝えていれば何かしらは変わっていたんじゃないかと思うときがある。
それは社会に出てからもそうで、あまり連絡を取り合わなくなった友人や、会社の仕事関係。様々なところでそう考えるときがある。
それは恋愛だって例外じゃない。
出会いがあれば、別れもあるのは必然的で、当時の自分は我儘で身勝手だったと何度後悔したことだろう。
「あのね…あんまり連絡も取れないんじゃ、付き合ってる意味ないなって思って」
涙を堪えていること、分かっていた。
自分のせいでそんな事を言わせてることにも気付いていた。
「別れたい」
彼女はいつも俺を一番に考えてくれて、好きだと素直な思いを伝えてくれていた。それなのに俺ときたら友達を優先し、彼女のことを疎かにしてしまった。好きなのに、大事なのに、俺は勝手に彼女が離れていかないと思い込んでしまった結果がこんな結末を迎えてしまった。
「…分かった」
ごめん。やり直したい。俺はまだキミの事が好きなんだ。
こんな言葉が喉から出かかっているのにそれを伝えることは出来ず、頷いた俺を見て彼女は涙を一粒零すと小さく笑った。
「あ、見て見て。この花、小さな花なのに可愛いよね」
「そうか?そんなの何処にでも生えてんじゃん?」
「なんか私今花言葉にハマってるんだけどさ、真実の愛とかっていう花言葉らしいんだけどもう一つあって」
「ふぅん?」
にこにこ話す彼女の顔は今でも思い出せる。でも声がどんな風だったのか思い出せない。それが非常に悔しい。
「わたしを忘れないでって意味もあるんだって」
一切興味のなかった花言葉。キミは何気なく言った言葉なんだろうけどさ、数年経って春の季節が訪れると毎年咲くこの花を見れば、必ずキミのことを思い出すよ。
でもキミは、そんな俺のこと忘れてもう新しい道を歩んでいるんだろうな。
靴飛ばし。
いま世界で最も熱いスポーツ。
ルールはシンプルだ。
指定の位置から靴を遠くに飛ばすだけ。
靴以外を飛ばしてはいけない。
野次なんか飛ばせば永久退場である。
実はレギュレーションがいくつかある。
特に道具を使わず、そのまま飛ばす『バニラ』。
てこの原理で飛ばす『アルキメデス』。
ただ飛ばすのではなく、指定の標的に当てる『射的』。
色々あるが、今最も人気のあるのは『ブランコ』だ。
読んで字のごとし、ブランコに乗って靴を飛ばす。
どこまで漕いで、いつ靴を飛ばすか。
駆け引きが多く、その奥深さが誰もを虜にする
そして俺は今『ブランコ』ルールの大会に出場している。
もちろん目指すは優勝。
小さな大会だが、ライバルの健太も出てくる。
やつに負けるわけにはいかない。
健太に会うまで俺は無敗で、向かうところ敵なしだった。
だが、奴と同じ大会に出た時、俺は負けた。
初めての敗北だった。
それ以来、俺は一度も奴に勝ったことは無い。
だが今回は違う。
リベンジを誓い、みんなに協力してもらって特訓までした。
もはやこの勝負は俺だけのものではない。
俺は会場に駆けつけて来てくれた友人たちを見ながら、ブランコに立つ。
こんな小さな大会にまで駆けつけてくれる友人たち。
俺はいい友人を得と思う。
たとえ負けても、彼らが一緒ならば受け入れられるだろう。
俺は友人たちから視線を外し、正面を見据える。
ブランコを前後に揺らしていき、徐々に揺れを大きくしていく。
どんどん速さも早くなり、もはや手を離せば大けがは免れないほどの速さだ。
普通の人間なら恐怖を感じるだろうが、俺にはない。
むしろ、体にぶつかる風が心地よいくらいだ。
こんなものでいいだろう。
俺はある程度の高さまでブランコをこぐと、その高さを維持する。
俺の経験上、これ以上大きく漕いでも遠くに飛ばない。
それにこれはブランコの競技ではなく、靴飛ばしの競技なのだから。
あとはタイミングを計るだけ。
そしてブランコを同じ高さを何往復かさせたのち、俺は靴を飛ばす。
飛ばしたときは、今までないほど良い感触を得た。
これなら健太にも勝てるだろう。
飛ばした靴は、とんでもない勢いで空を走る。
靴は、他の参加者の記録を飛び越え、そして健太の記録の遥か上を飛び越える。
勝った。
俺はついに健太に勝つことが出来た。
健太の記録を越えてもなお、靴は飛んでいく。
どこまで行くのだろう。
みんなが見守る中、靴は会場の公園を飛び越えて――あっ。
ガシャァァァァァァァン。
「コラー、窓を割ったのは誰だー」
今日でお別れのあなたに
ポピュラーな青の
勿忘草を手渡す
気休めに休みの日に近所の公園に散歩に行った時
青くて小さいつぼみが姿を見せていた。
[これなんて言う花だっけ?]
そう彼氏が口にした。
[勿忘草、確か私を忘れないでが花言葉]
[そうなんだね]
最初は花には興味がなかったらしいけど一緒に話すうちにはまったらしい
[出会えてよかったよ、こうして花の知識も増えるしね]
[そうだね、幸せだよ]
ボールペンを使う度にそんな会話をしたのが蘇る
[そのボールペン使ってくれてるんだね]
そう言いながら夫が部屋に入ってくる。
それは勿忘草のハーバリウムボールペンだ
[うん、だって初めて大切な人から貰ったプレゼントだもん]
[大切にしてくれてありがとう]
[こちらこそありがとう]
互いにお礼を言い合った。
お題[勿忘草]
No.74
戦地へ旅立つ幼馴染に、
勿忘草の刺繍の入ったハンカチを渡した。
花言葉なんて興味のない人だったから、
きっとその意味には気づかないだろう。
少しだけ躊躇っていたけれど、
ちゃんと受け取ってくれた。
……お別れの前に、渡せて良かった。
後悔があるとするなら、
直接言えなかったこと。
〜〜〜〜
故郷へ残す幼馴染が、
勿忘草の刺繍の入ったハンカチをくれた。
鈍感な俺でもこの刺繍の意味くらいは知っているよ、
前に君が話してくれただろう?
未練を断ち切るつもりでいたけれど、
結局受け取ることにした。
……これでお別れなんて、後味が悪い。
後悔のないよう無事に帰って、
直接言わなければ。
テーマ『勿忘草』
【勿忘草(わすれなぐさ)】
「どうか、私の事は忘れてください」
そう言って手渡されたのは
勿忘草だった
随分と昔のことだ
もうどんな顔だったかすら
忘れている
ただ、勿忘草を握りしめた
指先の儚さだけは
覚えている
忘れな草の花言葉
青 真実の愛
白 私を忘れないで
ピンク 真実の友情
あなたは 何色の忘れな草を
誰に贈りたいですか?
私は。。。
勿忘草 真実の愛なんて存在しないのですよ、現に今アナタはワタシを覚えていないのですから。
勿忘草ってなんだろう
君は誰だろう
どうして、君は泣いているんだろう
分からないな、どうしてだろう
どうして私は、泣いているんだろう
お話の解説
勿忘草の花言葉は「私を忘れないで」この話で言う「君」はそんな想いを持ちながら勿忘草を贈りました。ですがそんな思いは届かず、主人公は「君」のことを忘れてしまった。そんなお話です。
忘れな草
忘れないでね
恋する女性は よく思う
忘れな草
忘れないで覚えておこうと
英語のノートの表紙に
ふと書いた 忘れな草
【勿忘草】
『なぁなぁ、あそこにある、洋館?って言うの?あれさ、俺が子供の頃から、ひょっとしたらお婆ちゃんが子供の頃からずーーーっとあるんだよな。お前知ってる?』
『いや、、しらね。』
男性2人が、洋館の近くの小道を歩きながら会話をしている。
1人の男が言っている洋館とは、辻道のちょうど左にある白い屋敷のことだ。
そこはもう何百年も手入れが行き届いてないらしいが、外壁は蔦だらけ、だが何処か趣がある。
外に出たままになっている錆びれたガーデンチェア。
木にかかったままのブランコ。
全てが廃れ、現代にはそぐわず、ひっそりとただそこに鎮座している。
周りには不気味だと、取り壊してくれと言う輩も多いが、何故か業者達は取り壊そうとはしない。
何故かは、業者達も知らない。
ただ、日本政府からこの洋館には一切近づいてはならないとされている。
『、、、なぁ、あの洋館入ってみねぇ?』
『はぁ?!正気かよ、、見ろよ、日本国憲法通用しないって書いてあるぞ?』
『いいからいいから!』
好奇心旺盛な友人に連れられ、俺は洋館の中へ足を踏み入れた。
ーー
『うわっ、めっちゃ蜘蛛の巣あるじゃん、、』
友人は周りの椅子だった残骸を蹴飛ばしながら進む。
『おい、そっちは風呂場だぞ。』
俺も友人の後を進みながら辺りを見回す。
光すら入らないこの洋館。
すごく不気味だ。
だけど、、なんか、前にもここ来たような、、
気のせいか?
『、、、なぁ、』
前を歩く友人が急に止まった。
『ぶっ、、おい、急に止まんなよ、、』
『お前、何でこの先が風呂場だってわかったんだ?』
実際、俺が風呂場だと断言したところは、風呂場だった。
驚きと共に、恐怖が襲う。
『、、、何で?』
もう一度友人が聞く。
俺は訳が分からず、ただ、何故?何で?をオウム返ししていた。
ガタタッ!!
突然の音に俺達は共に抱き合い悲鳴を上げる。
『な、何?!』
『2階から聞こえたけど、、』
俺達は今此処から逃げるか、2階を見るか、迷っている。
でも人間、好奇心ってもんには逆らえない。
俺達は階段を上がった。
ーー
キィ、、
軋む扉を開ければ、そこは子供の部屋らしく、小さなベッドとボロボロになったぬいぐるみが置いてあった。
『な、何もねえ、、ただの家鳴りか、、帰ろうぜ。』
少し震える声をして、友人は踵を返した。
俺も帰ろうとした。
『ぎゃあっ!』
突然友人が叫び、俺は尻餅をつく。
『何だよ?!』
友人が口をパクパクさせながら、前方を指差す。
指の方を恐る恐る見れば、そこには、、
青い小さな花を持った女の子が、頭から血を流したままそこに立っていた。
『ひいぃっ!!』
友人は腰を抜かしながら俺を置いて行った。
『ま、待てって!おい!!』
俺も腰が抜けたのか、立ち上がれない。
女の子は裸足のまま、ビリビリに破けたワンピースのまま、俺ににじり寄ってくる。
動けない俺の耳元に口を近づけて、カサカサした唇を開いた。
『やめて、やめて、、痛いよぉ。』
その声を聞いた途端、俺の脳内で薄れかけていた記憶がフラッシュバックした。
"君、見ちゃった?ね、誰にも言わないでね。そしたら、君だけ助けるから。"
"お前が!お前がいけないんだよ?俺じゃない。"
そうだった。俺は、、この子を殺してるんだ。
『思い出した?ずーっと、美優のこと忘れてたよね?美優、とっても悲しかった。殺したのは貴方なのに、、何で?』
目の部分が真っ黒な女の子が、俺を抱きしめる。
『これからは一緒だね?』
背中に女の子の指が食い込む。
この世のものとは思えないほどの強い力。
俺は首を絞められる感覚を感じながら、涙を流しながらひたすらに懺悔した。
女の子は、不気味な笑みで俺を冥界へ導いた。
『忘れないでね。次は。』
洋館の中から、不気味な女の子の声がこだました。
一人の男が
墓地に入る
勿忘草の花束を持って
その人の墓に向かう
お題『勿忘草』
勿忘草の青がすき
滲んだような優しい青
つぼみのピンクが青く咲く
すぅっと伸びて
ぽぽぽぽ、と咲く
はにかみ屋のかわいい子
「勿忘草(わすれなぐさ)」
#320