【勿忘草】
_______私を忘れないでッッ!!!!!
すれ違いが多くなって、苦しくなって、もう全てどうでもいいやと思って。
ただ、なんでもないいつも通りの“散歩”だと宣って。
数歩先にある断崖絶壁スレスレの散歩道まで誘い込んで。
『邪魔なら邪魔だと言えばいいだろ!!!!!!』
この瞬間を狙っていたという腹の底を隠すことも無く、ただ一人。
狂うだけ狂って一頻り責めて責めて責めて責めて。
底の見えない断崖絶壁に向かって狂い、ただその先へと走ってこの身を投じて。
堕ちていく恐怖と独りよがりな絶頂快楽、少なくとも地球にいる限り逆らえない“重力”に押し潰されながら。
ふわふわと漂い是非もなく堕ちていく感覚に浮かされ満足げににっこりと嗤い死ぬ覚悟をキメようとしてたのに。
......地面に叩きつけられるどれくらい前か。
両手を使い、しがみつこうと思えばしがみつけてしまうくらいの絶妙な位置にある岩肌に、ただ一輪の雑草が花を咲かせ身を結んでいるのが目に見えた。
(((諦めたくない。)))
(((例え、このまま死んで自分や貴女が滅び消えたとしても。)))
他の何かを思うより先に。
気がつけば、両腕を伸ばし。その岩肌にしがみついて。
カスみてぇな根性と意気地と執念を両腕に込めて。
這い上がって。
切り立った岩肌に全体重をかけ、身を持ち上げさせながら、その雑草を手折って遥か彼方貴女がいる崖の上へ“届けッッ!!!!!!!”と願いを込めて投げ捨て、今度こそ抗わずに落ちていく。
......死にたかった。
______この高さなら。貴女に嫌われたなら。生きる希望を失ったなら。
確実に死ねるだろうと思っていたのに。
その真下の地面には、まるでこうなる事を予期していたように一面の真っ青に塗り尽くされた花々雑草共が咲き誇っていた。
((______このまま転落死出来りゃ、少なくとも俺は満足したまま気持ちよく腹上死するみてぇにくたばることが出来る訳だwwww)))
打ちどころが悪く、数秒数分数時間悶え苦しんででも呆気なく死んでしまうことを望んでいたが。
その真っ青な花を塗り替えるほどの血が出る訳でもなく。
.......まるで背骨でも折れたんじゃねぇかって思うほどの苦痛は味わっても、気絶さえすることなく。
2/2/2024, 11:02:04 AM