『勿忘草(わすれなぐさ)』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
例えば、あの時私が泣き崩れる彼女の手をつかむことができたなら。或いは、優しい言葉をかけることができたなら。未来は変わっていたのだろうか。それとも私みたいなのが気まぐれに他人を慮ってみたところで、何一つ変わらずに、顔色一つ変えずに、世界は今と同じように回っているのだろうか。
______「ねえ、翔ちゃん、翔ちゃんったら」
初めは気遣うようなささやき声が、徐々に大きく、焦っているような声色に変わっていく。僕は意識の外で機械的に顔をあげた。まだ頭にはもやがかかっていて、自分の思考の居所をつかめない。その間にも翔ちゃんと呼ぶ声は続く。やがて僕は瞬きを数度繰り返し、呼ばれているのは自分なのだということ、そして今は理科の授業中であることを漸く思い出した。
「樋口さん、問の15番」
しわがれた声が教室に響く。先程まで明らかに寝ていた僕に、敢えて注意はせず、問題に答えるよう要求してくる彼は性格が悪いと評判の江川だ。僕は一度俯いてから隣の席の恵のほうを向く。恵も勿論僕を見ていて「翔ちゃん、答えはDだよ」と熱心に伝えてくる。僕はなんだか居心地の悪いむず痒い気分からすぐにはDと言うことはなく、問題を見て自分で解いている演技とも言えないような見栄を張った。しかし、問の15番と言うのが何処なのか見つけられず、結局微妙な陰鬱な気分のまま僕は江川の灰色のスーツのボタンあたりを眺めながら「でぃ、いー…です」と答えた。喉がひりひりした。「正解です」と聞こえるまで無意識に息を止めてしまっていた。僕はすっかり目が覚めてしまっていたので、机の上に広がる文字の羅列をぼーっと眺めていた。隣で恵が確かに笑った気配がした。
2月ともなると、教室の中はがらんとしていた。学校よりも自宅のほうが受験勉強が捗るという意見に異論はないけれど、僕も恵も、学校に来た方が気持ちが落ち着くのにと思う側だった。僕なんか、私立を第一志望にしているので、あと一週間もしないうちに本番が来てしまう。緊張していることに間違いはない。今までの自分の受験に対する態度にそこまで自信があるわけでもない。けれど、もし学校に来ずにいたら、もっと僕は塞ぎ込んでしまっていたと思う。
授業が終わって、数人の女子が集団でどこかへ行ってしまうと、教室はさらに過疎化した。窓の桟にもたれながら、恵が言う。「私ね、もうすぐ誕生日なんだ」知っている。わざわざ言わなくたって、去年も、一昨年も僕は恵の誕生日を祝った。プレゼントだって渡した。それなのに毎年毎年恵は誕生日を僕に教えてくる。2月29日なんて覚えやすい誕生日を簡単に忘れるわけがないのに。恵ってこういうところだよな。と、僕は自称客観的に隣の彼女を見定めた。彼女は意を決したように息を吸った。
「けどね、今年は家族で旅行に行くの。その…合格祝いも、含めて。だから翔ちゃんは、」
そこで彼女は一度区切った。
「今年は翔ちゃんとは、お出かけできない。ごめんね」
僕達は普通の友達ではなかった。少なくとも、世間一般的な清純な友情関係からは逸脱していた。手を繋いだり、キスしたりこそしないものの、僕らはたびたびデートまがいのことをし、愛情のようなものを分け合っていた。
しかし、僕を襲った暴力的な衝撃は、僕が彼女の誕生日を独占できないということではなく、前半部分。彼女が何気なく言った、おそらくあまり意識せずに行った部分。”合格祝い”。僕は信じられないものを見るような目で、目の前のはにかむ彼女を見つめた。僕はてっきり、恵も僕と同じく、家の中でのあの脱力感や、あの生温かい空気感から逃げるようにして学校へ来ているものだと思っていた。受験への苦みを心に抱いていると思っていた。確かに彼女の志望高校は聞いたことがなかったけれど、合格したんだったらその時に言えばいいんだ。そして僕は気付いた。僕は自分が思っている以上に彼女から遠い存在だったのかもしれない。恋人ごっこだって、僕が勝手に思っていただけで、彼女からしたら何でもないありふれた友達同士の距離感だったのかもしれない。そのおぞましい仮定は急速に僕の体にしみわたり、絶望という文字が脳裏でちかちか光る。そんな、嫌だよ!と、どこかで誰かが叫んでいる。
勿忘草が恵の誕生花だということも知っている。勿論本人が言ったのだ。良いことを考えた。彼女はよく本を読む。栞にしてしまおう。そうして彼女に渡してしまおう。そしたら、今までの不純な関係もすっぱり水に流して、尊い友人になってしまおうか。もとより、彼女から見た僕は他愛もない存在だったようだけれど。
せめて泣かないようにしよう。彼女の記憶に汚点として残ってしまうことだけは避けたかった。素敵なものになれないなら、せめて普通で居たいから。
第一志望には落ちた。僕は彼女に言ったんだ。併願優遇の私立に通うよと。彼女はそっかとだけ言った。僕にはそれがとてもそっけないものに聞こえた。夕暮れの差し込む教室で泣き喚いている僕と恵。恵は、何もせずただ突っ立っていた。どうすればいいのか途方に暮れているようだった。僕はもっと泣いた。泣き崩れた。しまいには、栞を恵に投げつけて教室から飛び出した。なんだか全部どうでもよくなっていた。
例えば、あの時私が泣き崩れる彼女の手をつかむことができたなら。或いは、優しい言葉をかけることができたなら。未来は変わっていたのだろうか。それとも私みたいなのが気まぐれに他人を慮ってみたところで、何一つ変わらずに、顔色一つ変えずに、世界は今と同じように回っているのだろうか。
ねえ、翔子ちゃん。そしたら私たちの関係って変わってたのかな。こんな熱烈な栞を残して、君はどこへ消えちゃったのかな。
小さな花びら
淡い色
儚げに見えながら
強さも忘れぬ
君に似た
勿忘草
勿忘草(わすれなぐさ)
私を忘れないで。なんて、健気なんだろう。そう思った。
その小さくも可憐に咲く姿が自分とは正反対でなんだか嫌気がさす。だからなのか、私を忘れないで、なんていう言葉で君のことを縛りつけたくはなかった。
どうぞ私のことなんて綺麗さっぱり忘れて。
どうかその記憶に一欠片も残さないように、忘れてくれたらいいのに。
そしたら私も君のことなんか忘れられるのに。もう君のことで悩まないし、不安に思わないし、嫉妬なんてくだらないものともおさらばできる。
だから、はやく忘れてよ。覚えてくれてなくていいからさ。
「勿忘草」
私を忘れないで。
私を忘れないで。
私を忘れないで。
庭の片隅に咲いている。
小さな花だから、
精一杯メッセージを出しても
気づかない。。
お母さんが亡くなった日に
「私を忘れないで」
母の耳もとに
私もそっとささやいた。
お母さん聞こえた?
「私を忘れないで」
春になったら
たくさん摘んでお母さんの
お墓に供えよう。
──勿忘草が咲く頃、僕はこの世界からいなくなる──
人間は2回死ぬんだって
1回目は命が尽きた時
そして2回目はみんなの記憶からなくなった時
…だからさ、君は忘れないでよ
君が忘れない限り、僕は生きていられるから
忙しくて忘れちゃうこともあるかもだけどさ
春になったら思い出してよ
勿忘草が咲く美しい季節になったら
ほんのちょっとでもいいから僕のことを思い出してよ
君の中だけでも、僕は生きていたいから
君の中で生きていられたら、それだけで僕は幸せだから
〘 勿忘草 〙
―私を忘れないで
―真実の愛
お題:『勿忘草(わすれなぐさ)』
白い病室に、四季はあまり無い。寝たきりの僕は窓の外を、その青い空を眺めているだけだ。
そんな病室に飾られる季節の花が、唯一無機質な空間を彩ってくれる。
君は、忙しいだろうに毎日来てくれて、あと余命幾ばくもない僕の世話をしてくれる。
ある時君が持ってきた青い小さな花弁の切り花。
僕が綺麗だねというと、勿忘草よ、と君が答えた。
「忘れない、という花言葉があるの」
そう答えた君の瞳は痛いほど澄み切っていて、余命を縮めていくだけの僕の心に、痛みが生まれた。
「忘れていいよ」
「僕が死んだあと君は自由に生きていい」
思わず僕が呟くと――――それは僕の心からの本心だったのに、存外強い否定が返ってきた。
「いいえ。忘れない。
だから貴方も私の事忘れないで」
キレイにお化粧をした目を涙で潤ませながら君はそう言った。これから死に逝く者に対して忘れないも何もあったものじゃないと思うのだが、君は、張り詰めた顔で両手を腹の前で横向きに組んで、真剣だった。指先が、しなやかな手の関節が白く強張っている。
「私が、忘れないのは当たり前。
だから、貴方も私の事忘れないで」
その君の必死のお願いに、僕はこの人を遺して逝くんだ、というどうしようもない寂念が湧いてきて、気づけば涙を零していた。格好悪い。慌てて気だるい腕で涙を拭い、わざと明るく声を出す。
「そうだね。意識があるか分からないけど、努力はするよ」
「絶対よ」
君はそう言うと、今日初めて笑った。
僕はその笑みが、今日君が持ってきた勿忘草の儚さに似てると思った。
テーマ:勿忘草(わすれなぐさ) #82
リーリエもともにミッドナイト組織に立ち向かうことになった。僕はホラーハウスのようなララキの家を去ろうとするーー
『ほ、本当に行くの…?』
ララキが言った。
「あぁ。引き下がらない」
僕はララキに一緒に来てほしいと内心思っていた。しかし、ララキはなかなかここから出ない。さっきだって外に出たのが、非常に珍しいことだったのだから。
ララキは下唇を噛んでいた。
『真は死ぬかもしれないのに行くのか?』
ララキの言葉にぐっと一瞬、息が詰まる。『死ぬかもしれない』その言葉に怖気づいたのだろうか。
ただ、それも一瞬に過ぎなかった。
「誰が簡単に死ぬって?」
僕はララキを見る。自然と僕の口角は上がっていた。
「この命、簡単に取れるもんなら取ってみろ」
僕が言うとララキが目を見開いた。
『全く、ララキは心配性なんだよ』
シャドウがケケケッと笑う。
『大丈夫だ、ララキ。ちゃーんと俺が真のことを守る』
「うるさい。守られなくても、ちゃんと自分の身は自分で守れるわっ!」
僕はシャドウに言うとシャドウは
『あぁ。こんな威勢のいいやつは、簡単には死なねぇな』
そう言ってまた、ケケケッと笑う。
『お前ら…』
ララキが僕たちのことを見て呟くと大きく頷く。
『健闘を祈る』
ララキがそういった。しかし、それには続きがあった。
『と、いつもなら言っているが…。今回は僕も腹をくくろうかな』
「それって…」
『あぁ。着いていこうじゃないか』
僕はガッツポーズをした。
『リーリエ。大丈夫かな…』
僕はリーリエがちゃんと彼らの元へと行けたか、心配になった。
囚われているのは僕なのに、それはおかしいかな…?
そんなことは思わなかった。
『おい、お前。さっきからブツブツ言っているが何を言っているんだ』
見張りの1人がいう。怪しまれたか? そう思いながらも冷静に対応しなければ…。
『僕はこの胸ポケットにある、勿忘草(わすれなぐさ)の押し花にとある想い入れがあってね。変な話だとは思うが、それに話しかけてしまうんだよ』
僕は下手な嘘をつく。するともう1人の見張りが
『そりゃ、おかしな話だな』
そう言って、乗ってくれる。
『嘘だろ、お前。そんなのに騙されるのか…?』
『え、僕騙されてるの…?』
かなりの鈍感のようだ。
『まぁ、そう思われても無理はない。花が喋るなんて。ましてや押し花なんて枯れた花。話せるわけがない、とな』
この話で奴らの気が引けそうだ。そんなことを思っていたその時!
ゾクッと背筋に寒気が走る。そして、何かの圧を…。
その時見たのは……
勿忘草。この切ない名前だからだろうか、よく物語のように創作によく用いられることが多い気がする。私を忘れないでー。そう隠語のような感じで。確かに、忘れてほしいと感じている人間ならば、わざわざ勿忘草と絡めたりしないだろう、忘れてとわざわざ伝えるのは、忘れてほしくないからなのだと思う。忘れたいと思っているうちはきっとわすれることなんてできやしない。
『勿忘草』
一輪を
手紙に添えて
さよならと
勿忘草の
ドライフラワー
勿忘草
忘れないで、じゃない
絶対忘れるな、覚えとけよ、くらいのメンタルで
もともと花というのは強いものよ
【勿忘草】 #10
「私を忘れないで」
誰かが花に込めた思い
花言葉となって沢山の人のもとへ
舞い降りた
何千年後も花を通じて
人々の想いが繋がる
平和な世界であるように
「いにしえを忘れないで」と
私はそっと呟いた
夜も近づき街が暗くなり始めた頃。
今日も一日頑張ったなぁ、と
帰り道を歩いていた。
店仕舞いを始めた街はなんだか
少し寂しく見えて。
風が強いから感傷的なのかなぁ
そんなふうに風に揺れるコートの
裾を眺めてるとふと目に入る青。
ちょこん、と鉢植えだけが
店仕舞いをしている花屋の入り口に
ひとり置かれている。
なんだかそれがすごく
さみそうに見えて、ついつい
鉢植えを手に取ってまだ灯りのついてるお店に声をかける。
買っちゃったな、
鉢植えを抱えてさきほどよりも
軽やかな足取りで帰り道を歩く。
ひとりですわる姿が
なんだかこちらに気が付かれるのを待ってるみたいで愛らしく見えたから。
帰ってからこの花を調べると
なんだかすごく納得してしまった。
花言葉が、わたしをわすれないで
だなんて!申し訳ないけれど
すこし笑ってしまった。
いい出会いだね、この部屋にも
春が訪れた、かな。
__勿忘草
勿忘草が最初分からなくて調べました。
紫陽花の花に似てるなぁと思いました。
調べて出てきた写真は青色の勿忘草でしたが、他にどんな色があるのか。香りはどうなのかと興味を持ち始めました。
三月のある日、何も飾られていない教室の窓際に、
爽やかな青い花を飾った。
僕の席はその花瓶の近くで退屈な授業の中、ふと目をやった。
すると少しだが皆目を花瓶に向けてくれたような感じがして、うれしくなり、次の日はいつもより少し早めに来ることにした。
と言っても二、三人で、暇なやつが少し気づくくらいだと思う。その日もまた一本追加した。
それから次の日、朝練できていた人が数名いた。そこまで人は居なかったけど、5分ほど経つと誰もいなくなった。花瓶に目をやると昨日と変わらず二本入っていて、また一本追加した。
入って来た人は僕には一切の興味を示さず、友達を呼びに行った。その人を皮切りにどんどんと人が増えていき、あっという間に全員が集まった。
それから毎日一本追加していって、クラス全員が気づいている位にはなった。嬉しかった。
それから丁度一週間位経ったときに、その花が話しかけて来た。素直にびっくりしたが長い間話し相手が居なかったし、寂しかったのでゆっくり口を開きき、僕はこんにちはと言った。今は朝だし、あまりに的外れな発言だった。
それに対して花はクスクスと笑った。
そんな花の対応に悔しさも覚えたが反応を貰えた嬉しさの方が圧倒的だった。
ずっとここに居るのに、誰にも反応を貰えないという状態にずっと置かれていてこの会話に嬉しさを覚えない者は居ない。
その日は一日中話していた。その花も暇だったらしく付き合ってくれた。そして次の日もその次の日も話し続け、その間も勿論花を増やし続けた。
不思議な事に花の数が増えても声は増えなかったが
自分にとっては好都合で元々人が好きなタイプではなかった。それに加え、喋っていない期間が長すぎたので練習としては丁度いい。
その日からまた一週間後、この花の噂は隣のクラスにも伝わっていたようだった。それはとても嬉しく
花と一緒に、毎日噂話に、耳を澄ますようになった。
ある日、一日一本増えていく呪いの花として噂話になっていることを知った。
その噂の内容は、昔花瓶のある窓際の席に座っていた男の子が飛び降りて死んでしまった。
その男の子は、誰とも話さずいつもつまらなそうにしていた。いつも花の図鑑を読んでいた。
だから、花を一本ずつ増やして何かを伝えようとしている。
という話だ。
ねぇ、と花に話しかけた。
勿忘草の花言葉って知ってる?
花言葉は「忘れないで」
「勿忘草」
「勿忘草」
勿忘草を見つけたら
わたしのこと、思い出してね
「私のことを忘れようとしないで」恋愛(お題:勿忘草)フィクション。1枚目
あぁ…ダメだったんだ。約2年続いた私の恋が今日、今終わった。
「えっと。ずっと好きでした。付き合ってください!」
そんな私の勇気を振り切って
「ごめんなさい。他に好きな人がいるので」
何かに刺されたように心が痛い。苦しい。
こんな事になるなら告白なんて…しなければ良かった。と深く後悔した。
明日からどう接すればいいの。広められてたらどうしよう。なんて自分を追い込む。
朝だ…。鳥のさえずりが聞こえる。
少しぼーっとしていた。気づくと5分は経過していた。
いつもより時間が経つのが早く感じる。いつまでもこのままではいられない重い身体をゆっくりと起き上がらせる。
リビングに来るとみんな起きていた。
「おはよう。ご飯できてるわよ」
聞き慣れてる声だ。落ち着く
「うん…。いただきます」
そう言って箸をとる。サラダを1口、口に入れた。あぁー、美味しい。
それから、無心で学校の支度を始めた
あ、もう登校しないと遅刻しちゃう。頭の中が空っぽだったのにそれだけが思い浮かんだ。
「行ってきます。」
靴を履いていると
「おねーちゃん!行ってらっしゃい!!」
癒される可愛い。
「うん。じゃあね」
できるだけ元気な声で応えた。そうしてドアを開ける
冬だけど今日は少し暖かい。息を吐く度白い息が出てくる。
やだ。やだ行きたくない。この息のように昨日の記憶を消しててくれないかな。消せないかな。そんな気持ちで溢れる。
遂に着いてしまった。寒くて手が震えているのか怖いのか。分からなかった。
教室のドアをゆっくり開ける。できるだけ目立たないように静かに。
自分に何度も大丈夫。大丈夫と言う。
目を教室の方に向けた。
…あれ。意外と普通?目であの人を探した。
…いた。普通に話してる。
なんだが迷ってた自分がバカみたいに思えてきた。
自分の席に座り、スマホを取り出そうとする。…あれ
てか、私のこと忘れてる、?
なんだろう。全くこっちも見てくれないし。嫌なのかな。…ちょっと苦しい。あんな来たくなかったのに。少し寂しい、
そんなことを感じながらもインスタを開く。このクラスでインスタをしてる人とはみんな相互。もちろんあの人も。
(ん?あの人のストーリー上がってる)
それを見た瞬間。息を飲んだ。動けなかった。
だって… 彼女できた って。嘘だ、だって昨日、、と考えても考えてもぐちゃぐちゃになるだけだった。
涙が勝手に溢れてくる。心が潰されて苦しい。
苦しいけど、、でも、もういい。素直に祝わないと、そうだ。帰りにあの花を買って渡そう。
放課後だ。足速に花屋に向かう。
近くにあった気がする。曖昧な記憶のまま歩く。
…ここだ!!
目的のものは、白の勿忘草。花言葉が、私を忘れないで。
ちょっと重いけどいいんだ。これで、私のことを忘れないでくれたら。私が勇気を出したことを、
それをかき消すように彼女できた報告。腹が立つ。
とりあえず私は2輪買った。…よく分からないけど緊張の糸がほぐれた。
私は歩き出す。これで上手く恋が終われる。
誰かに忘れられた時、私は私を消してしまうことが怖いから。お願いだから。
私を記憶の中に居させてよ。
私を忘れないで。
あの花は、無惨にも川を流れゆく恋人に投げられたっていう逸話を元に名付けられたらしい。
そんな寂しいことに使わないでよ。
ただそこに咲いて、枯れて、また咲いて、
繰り返していく。
でも、
僕がここに生きているってことは、覚えていて。
『勿忘草』
勿忘草って花言葉をサラーっと見た感じ
「ドイツの悲話に、騎士ルドルフが恋人ベルタのためにドナウ河畔に咲くこの花を摘もうとしたが、足を滑らせて水中に消え命を落とした。 その時ルドルフが言った「私を忘れないで」という言葉をベルタは一生忘れず、この花を髪に飾り続けたという伝説があるということだったらしい。」
へぇ〜
<補足>
こんなくだらん文章を読んでくださった方ありがとうございました。そして、このくだらん文章のおかげで、
あなたの貴重な数分が消えました。
どんまいです。ありがとうございました。
(引退するわけじゃねぇ)
#勿忘草
勿忘草(わすれなぐさ)
勿忘草と聞くと直ぐに花言葉を思い浮かべる。
わたしを忘れないで‥。
では、わたしのこと忘れないでいてくれる人は居るのか?家族以外ではきっと居ない。家族でも、多分きっと居ないと思う。
夫も子供達も、わたしと死別しても、結構直ぐには忘れると思う。
わたしって、そんなに心に残る人では無い。優しくも無いし、人間性も低いから。
何だか世知辛い話しになってしまった。
勿忘草は、世知辛い世の中に争うための花言葉を背負っているようだ。
"ずっと一緒だよ!''
"もちろん''
"ねぇ笑なにしてんの笑''
"この花知ってる?
これはね真実の友情って意味があるの''
"もう笑ほら、行くよ''
"おいで。''
"ごめん、僕のことはもう忘れて''
嘘が下手だよ笑
最後に渡す花がこれじゃ、
まるで
忘れないでって言ってるようなものじゃないか
【勿忘草】
―――⚠⚠⚠┈┈┈┈┈
入学前からずっとあった藤の花とベンチ
思い出のベンチ
みんなが集う藤の花の下で
少しだけ危なっかしくて笑
馴染みやすい笑
蜂がいたときは皆で逃げて
竜巻が起きたら皆で写真を撮った
いつまでも僕の
大切な思い出になると思ってた
でも違った。
台風で藤の花の枝は折れ跡形もなくなった。
ベンチはひっくり返ってしまった。
その場所は黄色テープ赤テープで囲まれ
入れないようになった。
その日以来
"あの日の風景を見る機会はなくなった"
【藤の花とベンチ】