狼星

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テーマ:勿忘草(わすれなぐさ) #82

リーリエもともにミッドナイト組織に立ち向かうことになった。僕はホラーハウスのようなララキの家を去ろうとするーー

『ほ、本当に行くの…?』
ララキが言った。
「あぁ。引き下がらない」
僕はララキに一緒に来てほしいと内心思っていた。しかし、ララキはなかなかここから出ない。さっきだって外に出たのが、非常に珍しいことだったのだから。
ララキは下唇を噛んでいた。
『真は死ぬかもしれないのに行くのか?』
ララキの言葉にぐっと一瞬、息が詰まる。『死ぬかもしれない』その言葉に怖気づいたのだろうか。
ただ、それも一瞬に過ぎなかった。
「誰が簡単に死ぬって?」
僕はララキを見る。自然と僕の口角は上がっていた。
「この命、簡単に取れるもんなら取ってみろ」
僕が言うとララキが目を見開いた。
『全く、ララキは心配性なんだよ』
シャドウがケケケッと笑う。
『大丈夫だ、ララキ。ちゃーんと俺が真のことを守る』
「うるさい。守られなくても、ちゃんと自分の身は自分で守れるわっ!」
僕はシャドウに言うとシャドウは
『あぁ。こんな威勢のいいやつは、簡単には死なねぇな』
そう言ってまた、ケケケッと笑う。
『お前ら…』
ララキが僕たちのことを見て呟くと大きく頷く。
『健闘を祈る』
ララキがそういった。しかし、それには続きがあった。
『と、いつもなら言っているが…。今回は僕も腹をくくろうかな』
「それって…」
『あぁ。着いていこうじゃないか』
僕はガッツポーズをした。


『リーリエ。大丈夫かな…』
僕はリーリエがちゃんと彼らの元へと行けたか、心配になった。
囚われているのは僕なのに、それはおかしいかな…?
そんなことは思わなかった。
『おい、お前。さっきからブツブツ言っているが何を言っているんだ』
見張りの1人がいう。怪しまれたか? そう思いながらも冷静に対応しなければ…。
『僕はこの胸ポケットにある、勿忘草(わすれなぐさ)の押し花にとある想い入れがあってね。変な話だとは思うが、それに話しかけてしまうんだよ』
僕は下手な嘘をつく。するともう1人の見張りが
『そりゃ、おかしな話だな』
そう言って、乗ってくれる。
『嘘だろ、お前。そんなのに騙されるのか…?』
『え、僕騙されてるの…?』
かなりの鈍感のようだ。
『まぁ、そう思われても無理はない。花が喋るなんて。ましてや押し花なんて枯れた花。話せるわけがない、とな』
この話で奴らの気が引けそうだ。そんなことを思っていたその時!
ゾクッと背筋に寒気が走る。そして、何かの圧を…。
その時見たのは……

2/2/2023, 2:09:00 PM