『刹那』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
普通に聞いてほしい。
私の小学校の卒業アルバムの題名が刹那という件について。
当時の私たちにとっては、漢字がかっこいいというそれだけで、選ばれた言葉だった。
ただ、刹那の言葉の意味としては簡単に言えば一瞬の時。
そんな小学校は一瞬じゃなかったような...。
皆さんはどう思いますか?
って聞いたところで答えられないか笑
暗転 背筋から這い上がる愉悦
締めつけるような渇きが溢れて
蜂蜜のようにとろり甘く
琥珀色に吸い込まれるように
反転 白紙の上の物語は空虚
影よりなお仄暗い歓びに満ちて
蜘蛛の糸の如き救いは刹那
ふつり解けて空に立ち昇る
地を飛ぶように空を這いずり
唾棄した踏み台に足をかけて
刹那に思うことがある。
昨日から、私がよく通る道に捨て猫がいる。
可愛そうなので、拾ってあげた
#刹那
事を完璧にこなす狙い目は相手が1人になった瞬間だと、先人から学んだ。相手の性格、行動は既に調査済み。仕損じること、また目撃者がない場所に行くように誘導して、気づかれぬよう尾行し狙い目を探る。
……ココだ!同行者もおらず、周りに誰もいない!
そのほんの一瞬、刹那に私は先制攻撃を仕掛けた!
「私と付き合ってください!」
【刹那】
※作中に登場するカメラはフィルムカメラです。
「こうこうふぉとこんくーる? なんじゃ、それは」
「写真の出来栄えを競う大会よ」
「競う? かけっこか。写真が走るのか」
わしがそう言ったら、あやつは縁側から身を乗り出すように腹を折って、笑いだした。
「なんにも走らないってば! 写真がどれだけ素敵に撮れたかを比べるの。審査員がいて、これだ、と思った写真を一つだけ選ぶのよ。その写真を撮った人は、よくできました、っていうご褒美をもらえるの」
「ほう。自分で選べるわけではないんじゃな」
「自分じゃよく撮れたかなんてわからないもん。……ううん、自分でよく撮れたな、最高の出来栄えじゃん天才じゃん、って思っても、それが他の人たちに響くとは限らないんだもん」
あやつは傍らに置いていた〝かめら〟とやらを、そっと撫でた。小岩のようにごつごつとした真っ黒な塊から、れんず、と呼ばれる目のようなものが突き出して、正面に睨みを利かせている。人の創りし謎物体、かめら。
この謎物体は、人や獣や風景を含めた、刹那の時間を切り取るためにあるのだという。かめらで捉えた時間を特殊な紙にどうにかして焼き付けたものが、写真。切り取られた時間は、写真という形になって、ようやく人の目に映るものになるのだとか。
あやつの説明に興味を持って、試しにわしの刹那を切り取ってもらったことがあった。後日あやつが持って来た十枚の写真には、さまざまな角度から見た古い社、荒れかけた境内、そして、後ろの林と山が、真夏の鮮やかな深緑とともに切り取られていた。わしの姿は、どこにもなかった。
「君は神様だから、写せないみたい」
あやつは悲しそうに言った。
「わしの時間は、人の時間と比べると、あまりにも長く引き伸ばされているからのう。かめらでわしの刹那を切り取るのは、難しいんじゃろう」
それを聞いたあやつは、はっとした顔で「長時間露光」とつぶやき、後日〝さんきゃく〟とやらを担いできて、かめらでなにかの仕掛けを作っていた。そしていつの間にやらわしの刹那を切り取ろうとしたようだが、その際の写真にも、わしの姿はなかった。
「それで、そのこんくーるとやらがどうしたのじゃ」
「入賞したいのよ」
「すればよいではないか」
「それが簡単にできるなら、神頼みなんてしないわよ」
あやつは口を尖らせた。
「神頼み?」
「君、神様でしょ? コンクールに入賞したいっていう私の願い、叶えられるんじゃない?」
「そんな力、あるわけなかろう」
宮司は昨年いなくなり、ご神体と呼ばれていたものは持ち出され、賽銭箱も取り除かれ、供物のまんじゅうは持って来た本人がさっき遠慮なく食べきった、そんな見捨てられた社の神が、「存在する」以上の力を持っているわけがない。神は人の信仰を力にするものだ。
「ほかの神に頼めばいいものを」
「ほかの神様に知り合いいないもん」
あやつはまた口を尖らせた。
「君は話しかけやすい見た目だったからなんとなく友達になっちゃったけど、神様ってみんな、なんか怖いし……近づきにくいし……」
「だからといって、わしのようなものにすがりたくなるほど、こんくーるとやらは大事なのか」
「そりゃそうよ。将来カメラだけで食べていくなら、入賞の実績でハクつけとかないと」
「かめらは食べ物だったのか」
「違うってば!」
あやつはまた腹を折って笑った。
そんな会話から幾刻経っただろうか。神にとっては刹那よりも短い時間、人の時間でいえば半年ほどか。
暗い顔で境内まで登ってきたあやつから、
「コンクール、落選した」
という報告を受けた。
「そうか」
「あーあ、やっぱり神頼みはだめね」
あやつは縁側にごろんと寝転がった。
「私、カメラは好きだけど、カメラの才能はないのかも」
「なにもかめらにこだわらずともいいのでは? たとえば、おぬしは神が見えるのじゃから、巫女になればよいのではないか? 巫女の才能はあるぞ」
「やだー! 私はカメラマンになりたいの! 好きなカメラで評価されたいの!」
まるで赤子のようにじたばたと駄々をこねる。その拳に打たれた縁側の板が、ボコっと音をたてて一つ外れた。
「あ」
「あ」
とたんにあやつは申し訳なさそうな顔になって、しおしおと起き上がった。
「気にするな。いずれは朽ちるものじゃ」
「でも君、いまちょっと小さくならなかった?」
「わしはこの社の神じゃからな。社が壊れれば、そのぶん嵩も減る」
「わ、私、カメラマンになって成功したら、お金で直すから! 弁償するから!」
「そうか」
「あっ、気のない返事! 私ね、写真学科のある大学に行くんだよ。そこでカメラのことがっつり学んでやるんだからね」
「そうか」
「大学はね、ここから遠いところにあるから、私、もうすぐ引っ越すの。だからこれまでみたいな頻度では来れなくなっちゃうけどね」
「……そうか」
「ふふ、ちょっとは寂しいって思ってくれる? 帰省したらまた会いに来るからさ。それまで、元気でね。それ以上、小さくならないようにねー」
あやつは来たときとは打って変わって、いつもの明るい笑顔で去っていった。
そんな会話から幾刻経っただろうか。神にとってはつかの間だが、人の時間でいえば半年――それをいくつも繰り返すほどの、長い時間だったはずだ。
「やっと、来れた」
息を切らし、あやつがここまで登ってきた。境内ともつかぬ草むらをかき分け、わしの姿を見つけて、皺の多い顔でにっこりと笑う。
「いろいろあってさ、ずっと来れなかったの。元気だった? ……そうでもないか。ずいぶん小さくなっちゃって。でも、間に合ったね。私、弁償できるぐらいには、貯金できたよ」
あやつは背に負っていた荷物を下ろすと、中から一枚の紙を取り出した。社の縁側の、かろうじて残っている板の上に置く。重しのつもりか、端にまんじゅうも載っている。
「これは……」
「写真よ。君の」
驚き、横からまじまじと覗きこむ。
見覚えのある景色が、そこにあった。かつてあやつに切り取られた時間だ。縁側の板がまだすべて揃い、屋根も庇も残っている社。いまほど荒れていない境内。そして、後ろの山と林の、鮮やかな深緑。一つだけ過去に見た景色と違うのは、社の前面の庇に載っているものの存在だ。黒くでこぼことした小岩のような塊。そこから突き出した一つ目が、ギョロリと正面に睨みを利かせている。
「わしは、こんな姿だったのか」
「君、なんとなくカメラに似てたから、親近感持ってつい話しかけちゃったのよね」
あやつはカラカラと笑った。
「この写真はね、私の目が長時間、君を映していたから、描けたのよ」
「おぬしは絵師の才能もあったのだな」
「あっ、絵だってバレバレ? でも、すごいでしょ」
あやつが得意げに鼻を鳴らす。
「じつはね、これ、『友達』っていうタイトルで、絵のコンクールに出してみたの」
「ほう」
「落選した」
「……そうか」
「でも私自身は、いままででいちばんよく描けた、天才じゃん、と思ってるのよ」
あやつはまた、顔の皺を深めてカラカラと笑った。
刹那。きわめて短い時間。瞬間。
そんな、刹那の時間で人生が変わることがあると教えてくれたのは、君だった。
私が君を好きになったのにはずいぶんと時間がかかったように思う。ただ同じ空間を共にする仲間ではあったが、仲良くはなかった。
それがいつしか縁が結ばれ、私と君は親友になった。不思議な縁だ。きっと私と君に繋がる糸は、他の誰とも違う色をしているのだろう。
私は恋する乙女だった。いつも誰かに恋をしていた。誰かを目で追いかけていたし、夢に見ることすらあった。
ずっと、遠くの彼を見ていた。見ていた、その目を、ふと隣の君に向けただけ。その刹那、君の笑顔が私の胸を刺した。
それから、私と君の距離が変わっても、私はずっと君を見ている。君の影を追っている。誰とも違うこの縁を頼りに、逃がすまいと必死に追いかけている。
私は過去の奴隷だ。逆らうことも、逃げ出すこともできずに囚われている。私と君の、過去に。
刹那/2023.04.29
まるで日常と平穏の隙間を切り取ったかのような
刹那
「あ、これ漫画だったら背景もセリフもないヤツ」
【刹那】
その刹那、息を呑む。おい、誰がこんなことしろって言ったんだよ。目の前を免許取り立てのやつが運転する車と後ろから来るなんか凄まじいやつ。
「まじかよ。なんで、俺の前で止まるんだよ。」
時は遡って、今日の朝。
「なんか、面白いこと起きねぇかな。」
「平和な暇が嬉しいって今に気づかされんだよ。」
他愛もないいつも通り過ぎる会話。高校三年生でもうほとんどみんながやることを終わらせて後は卒業するだけの日常。あー、もうすぐこんな会話も終わるんだとかいう漠然とした感覚。
「そういや、おせぇな。」
「俺にはわかる、なんか面白い匂いだぞ!」
シャレにもならない。苦笑しているとあらぬ知らせ。非日常的な求めていたものが舞い込んでくる。
「えー、志田は遅れてくる。お前らは気にせずに過ごしているように。それと、岩城、黒田、佐々木はこっちに来い。」
嫌な予感とは裏腹に岩城の顔が輝いている。佐々木も普段顔に出さないくせに少しばかり顔に期待が出ている。なんで、こんなこいつら楽しそうなんだよ。
「志田、どうしたんすか?」
「聞いたことあるか、最近有名な都市伝説。見たら身体にある形が現れるって有名な悪夢。最近、俺もテレビの都市伝説特集かなんかで見たくらいなんだけど。」
聞いたことはあった。ニュースにはしにくいものの平和な日々で取り上げるしかないんだろうなと思っていたくらいの話。この前見たのは間部先生も言っている最近話題の都市伝説だったかな。
「それがどうしたんですか。」
と、佐々木。次に担任の間部が言わんとしていることは特に考えることなく分かってしまう。
「まさか、志田がそれとか言いませんよね?」
「言いたくないとか言わないけど、そのまさかなんだわ。 志田が今日朝起きなくて親が確かめたらしい。首元にキャンディーの痣があることに。」
俺たちは全員顔を向かい合わせて間部に呼ばれた意味の答え合わせをした。岩城が嫌に楽しそうな顔をする。佐々木も少し微笑んでいるし俺も少しだけにやけてしまう。
「間部先生、俺ら志田んとこ行ってくるけど付いてくるっしょ?」
「生徒三人の監督せにゃならんからな。てか、お前らが志田のとこ行くと思ったし元々俺がいなきゃ行かせない条件。」
「そうと決まれば今すぐにでも行くしかないよな、志田ん家。」
はぁ、とため息を吐いた間部がお前らやむを得んから出席停止と言って頭を搔いていた。岩城が楽しそうに卒業前の大冒険とか言って佐々木は間部に必要な物はありそうかと確認していた。
「俺も正直分かんねぇけど、志田を助ける心づもりとピュアな心!」
こんな流れで間部の車で志田の家元まで向かう。志田の家は大きい和室のある家だった。そこに志田が寝ている。志田のお母さんも戸惑っていたようで馬鹿やる俺らの顔を見たら安心しているようだった。
「おばさん、志田ぐっすり寝てんね。」
「そうね、岩ちゃん。起きると思う?」
「今から僕らが起こしに行くんですよ。」
間部が携帯で何かを調べている間に俺らは志田の首にあるキャンディーの痣を確認した。間部の調べものが終わったらしく俺らの方に目を向けた。
「よし、そんじゃお前ら寝るぞ。」
「それが、志田の悪夢に入る方法ですか?」
「不確かではあるが、テレビで言っていたのも今、調べたものもそれしか書いていない。だから、これがダメなら志田に頑張ってもらうしかない。」
案外、入り方は簡単だった。志田の家に着く前に下準備のためと言って買っていたキャンディーのシールを志田の痣と同じ場所に貼る。このシール夢に入るためだったのか、と三人で感心する。それで、シールを貼り終えた俺たちは川の字になって眠りにつく。意識が飛ぶのは一瞬だった。目を開けると志田の家ではない別の場所。
「成功したんだ。」
「不確かではあったけどまさかマジで成功するとはな。」
起き上がった俺の隣に間部が立つ。岩城と佐々木も立って辺りを見回していた。しかし、見覚えありそうでなさそうな場所。すると、俺らの後ろに人影。
「お前ら、先生まで何で来てんだよ。」
志田の声だった。振り返るといつもと変わらない志田が立っていた。
「お前の目覚ましに!」
元気に告げる岩城の肩を志田が押して岩城が尻もちをつく。志田の方を見るとやっちまったみたいな見たこともないような深刻そうな顔をしていた。
「何すんだよ!」
一瞬の出来事に岩城が叫ぶ。無理もない。皆が志田の方を見ると志田が笑い始めた。馬鹿笑いというよりはどこか乾いた笑い。
「俺、逃げるために此処来てんだわ。帰る気ねぇから。じゃあな。」
そう言って、志田が俺らの目の前から消えていく。
「何だよ、それ。」
珍しく佐々木が冷たい声を出していた。岩城は信じられないといった様子で志田がいなくなった後を見つめていた。
「都市伝説なのに有名で戻って来ないとか言われてた原因、分かったな。」
「現実から逃げるために悪夢と呼ばれる場所に来た。てか、悪夢って本人視点じゃなくて戻って来ないから他者にとっての悪夢って。」
「残酷。」
「皆して何辛気臭い顔してんの?」
岩城が立ち上がって俺らの顔を覗き込みながら言う。何だろ、この気持ち。岩城には感じたことねぇのに。
「俺ら、志田を起こしに来たんじゃん。おばさんにも約束したし。」
「何が起こしに来た、だよ。志田は出たがってない。俺も今お前といるとダメになりそう。でも、それでいいんじゃねぇの?」
佐々木が岩城の目の前に立つ。それだけ告げると志田が歩いて行ったのと同じ方向に歩いて行った。
「一回、解散してな。情報収集しよう。そんで、集まったらいいからさ。自由行動だよ、ほら修学旅行でもやったろ?」
間部がそう言って各々散策と言う形になった。俺からしてもありがたいことだった、今は。岩城の不貞腐れた顔を歩き出す前に見た。子供みてぇな顔。
どれくらい経っただろう。いつの間にか、岩城に対する感情とかは消えていて首元が痛いと思ったらシールが少し痣になりかけていた。変なの、夢だからかな。一人で歩いているとやはり見覚えのある景色。
「なんか、ゲームの世界に似てんだよな。」
昔、四人で遊んだやつ。なんか、冒険もの。キャラ選ぶときに岩城と佐々木が優柔不断出しちゃって志田と俺で笑ってた記憶あるやつ。なんか、移動手段がいっぱいあって武器とかも出てくるやつ。そうそうあとはこんくらいのモンスターな、モンスター!?
「嘘だろ。」
これで最初の場面に戻る。
「黒田! 迎えに来た!」
「なんで、間部が乗ってて免許取り立て岩城が運転しててさっきまで険悪だった志田と佐々木がいんだよ!」
混乱した。本当になんでこいつら一緒で間部が運転してないんだよ。佐々木と志田は笑ってるし。
「俺が呼んだ。」
「俺、呼ばれた!」
「調べてたらな、ゲームの世界ってわかったんだよ。で、俺が運転してなかった理由は情報収集のときに酒飲んだから。夢とはいえ都市伝説だ、どうなるか分かったもんじゃない。」
一理あるとは思った。現に、モンスターに岩城が突っ込んでくれなきゃどうなってたか分かんないし。志田は岩城がすぐに志田の匂いがすると言って見つけたらしい。匂いで見つけるってなんだ、犬か。犬なのか、岩城は。
「俺、親父のことで困ってたらプレッシャーとか跡取りとか母さんへの扱いとかお前らの悪口言われたときなんかさすがにダメで。でも、それ岩城が全部聞いてくれてさ。なんて言ったと思う?」
当の岩城の顔を見ると心底関係ないといったような顔をしていた。やっぱ、犬か。
「そんなん、遅いかもしんねぇけど卒業してからでよくない? とか言ったんだぜ。こいつらしいって笑えてきたらなんか、戻る気になったんだよ。」
「じゃあ、佐々木は?」
「岩城に誘拐された。まぁ、一人で歩いててつまんなかったし岩城に対する嫌悪感とか消えてたから。」
こっちはこっちで猫。
「さ、帰るぞ。現世に。方法は調べてある。」
たまにこの間部という男が怖くなる。マジでどうやって調べてんだよ。てか、何者だよ。まぁ、帰り方も行きと同様簡単だった。シールを剥がすだけ。
「痛くねぇよな?」
「あ、ちなみに気づいてたと思うけどこれ痣になってきてるよな。完全になったら向こうに戻れなくなるらしいぞ。」
それを聞いた岩城が有無を言わさず剥がしてこっちから消えた。俺も外して目を開けると志田の家だった。
「いい思い出になったんじゃねぇの?」
「こんな色濃い思い出会ってたまるかよ。」
やっぱ、馬鹿笑いするくらいがちょうど
「いってぇ!!!! 夢だから関係ないはずなのになんか頭いてぇ気がする!!!!」
やっぱ馬鹿笑いするくらいがちょうどいいらしい。
入れ替わった本当の理由
高貴 今日も疲れたな
心菜 うん、疲れたね
心菜 ちょっと休憩してかない?
高貴 そうだな
今だけでよかった
今がすべてだと信じた
もう明日はないのだと
誰かの言うことに
身をまかせ
思考を手放した
終わらない未来に
無限に広がる無重力の時に
置き去りにされるなど
あってはならない
きみは生きる
今だけを
そして無限の未来までも
#刹那
見ているだけでよかったのに――
きみに、恋をしてしまった
下界の生活を覗いているだけでよかった
暮らしを眺めているだけでよかった
一言言葉を交わすだけでよかった
その内下界に下りるようになり
世間話をするようになり
きみが、私に恋をした
惹かれ合って、結ばれてしまった
私にとって刹那の時間
きみにとっての一生の時間
きみは、それでもいいと言った
私と共に過ごせるだけでいいと
『これはわたしのワガママだから』ときみは言ってくれた
はじめに我儘を言ったのは私だというのに
自分勝手なことだ
きみを私の理に縛りつけて
きみの魂を
何度生まれ変わっても
私に恋をするように、変えてしまった
これできみの何度でも巡る刹那は
永遠に私のものになった
永遠の刹那/『刹那』
目を閉じる刹那に、君の笑顔が見えた。
目を覚ますと見慣れた白い天井が目に入る。
身体を起こして本棚の上に目を滑らせると、君が写真の中から微笑みかけている。
先程の記憶に虚しさを覚えながらも、写真立てに微笑みかけた。
「おはよう。今日もいい天気だよ」
刹那
僕は彼女に恋をした。
一瞬のうちに恋に落ちた。
一目惚れなんてばかばかしいって思ってた。
全然ばかばかしくなかった。
たかが一瞬、されど一瞬。
あの日の青い空を
覚えている
鮮明に覚えている
晴れわたり
雲一つない青い空
その青空を見上げながら
いつものこの道を通り
あの角を曲がった
暑くもなく
寒くもなく
爽やかなあの日
あの日のことは
一生忘れない
いえ
忘れられないだろう
ぬけるような青い空
山々の新緑とのコントラスト
眩しい陽の光
すべてが昨日のことのようで
まだ思い出にすることができない
もう少し
もう少しだけ
このままで…
🕊️4.29🕊️
刹那
ちょうど今日は
刹那的なことが起きた
四カ月前に自家用車の
左後ろのタイヤがパンクした
12月28日だった
今日は4月28日
ちょうど四カ月
運よく駐車場で
気づいたから
よかった
スペアタイヤに変えて
給油所行って
修理した
去年から出費が多く
ポットが壊れ
電子レンジ
オーブントースター
が壊れた
先週は運転席側の
パワーウィンドウがの
モーター壊れ
部品代が高く
結局4万円かかった
短い期間に
いろんなものが
壊れた
なんかあるのかな?
お金入っても
すぐ出て行く
出費が刹那的
カメラは、刹那を切り取る機械とも言える。
写真をとるその瞬間だけ、時が止まりモノとなり手元に残る。
フィルムなら色彩に、デジタルなら0と1の集合体に。
そのモノに価値を見出すかどうかは、その人次第だ。
「すごいなぁ…」
ベンチに座り頬杖をついて彼の訓練風景を眺めるのが好きだ。スラッとした長い脚は肩幅ほど開き、音もなく矢をつがえた真剣な横顔に惚れ惚れしてしまう。突風が吹いて矢の行く先は的から逸れてしまうが体幹がぶれることはない。
苦手な武器だと話す彼だが的を見る限りそうは思えなかった。用意した的すべて、ど真ん中に当たってどれも狙い撃ちされているのに。素人の私にはわからない武人の感覚が彼にある。
彼は私が飽きていないか視線を投げ掛けてくれる。それに手を振ったり、拍手を送って飽きないよとアピールしていた。
あまりに気にかけてくれるから訓練の邪魔になってるかも。次に目が合ったら帰えろうかな…。
気にかけてこちらを見てきた彼の視線は鋭く、突然弓を構えた。狙いは的じゃない…私?
矢じりが光り怯えて目を細めた『刹那』、びゅっと風を切り耳もとを掠める。
すぐ後ろで鈍く重い音がして射られて地面に倒れたんだと知った。私の周りには何もなかった記憶がある。彼に見とれて賊に狙われていたことに気付かなかった。
危機的状況に落ち着いて対処できるんだから、苦手と言う紹介はやっぱり無理があると思う。怪我はないかとこちらに走ってくる彼にそんなことを思っていた。
「刹那」
朝、目を覚ます。
「起きる?」「誰かを待つ?」
クローゼットを開ける
「ベージュ系?」「ピンク系?」
街を歩く
「カフェにする?」「ファストフード?」
友達とお喋り
「そうそう、わかる。」
「うーん、そうかなあ、でもね。」
ニュースを見て
「共感する?」「批判する?」
親と喧嘩して
「ごめんなさい?」「うるさい?」
今日いえにかえる?
それともかえらない?
好きな人に
「告白する?」「秘めておく?」
別れの言葉を告げられたら
「笑顔で?」「泣きながら?」
そしてあなたの最期のとき
「感謝を伝える?」
「恨み言を残す?」
それとも?
わたしの人生は 選択の積み重ね
あなたの人生も 刹那の積み重ね
なにもすることがない年金暮らしただぼんやりと生きるのみ刹那や
愛してるよ。
君からそう言われても、私は同等の愛を返せる自信が無い。
愛してる。
この一言がどうしても言えない。
ほんとうは伝えたいのに。なんで神様はいじわるしてくるんだろう。
愛を伝えることができない自分を醜く思い、
伝えられない自分に嫌気がさす
こんなのは、もう嫌だから。
彼には幸せになってもらいたいから。
私は彼に別れを告げた。
神様、どうか彼が愛してると伝えてくれるような
素敵な彼女をつくって幸せになりますように。
私はこの世界に刹那に願った。