『刹那』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
刹那
僕は彼女に恋をした。
一瞬のうちに恋に落ちた。
一目惚れなんてばかばかしいって思ってた。
全然ばかばかしくなかった。
たかが一瞬、されど一瞬。
あの日の青い空を
覚えている
鮮明に覚えている
晴れわたり
雲一つない青い空
その青空を見上げながら
いつものこの道を通り
あの角を曲がった
暑くもなく
寒くもなく
爽やかなあの日
あの日のことは
一生忘れない
いえ
忘れられないだろう
ぬけるような青い空
山々の新緑とのコントラスト
眩しい陽の光
すべてが昨日のことのようで
まだ思い出にすることができない
もう少し
もう少しだけ
このままで…
🕊️4.29🕊️
刹那
ちょうど今日は
刹那的なことが起きた
四カ月前に自家用車の
左後ろのタイヤがパンクした
12月28日だった
今日は4月28日
ちょうど四カ月
運よく駐車場で
気づいたから
よかった
スペアタイヤに変えて
給油所行って
修理した
去年から出費が多く
ポットが壊れ
電子レンジ
オーブントースター
が壊れた
先週は運転席側の
パワーウィンドウがの
モーター壊れ
部品代が高く
結局4万円かかった
短い期間に
いろんなものが
壊れた
なんかあるのかな?
お金入っても
すぐ出て行く
出費が刹那的
カメラは、刹那を切り取る機械とも言える。
写真をとるその瞬間だけ、時が止まりモノとなり手元に残る。
フィルムなら色彩に、デジタルなら0と1の集合体に。
そのモノに価値を見出すかどうかは、その人次第だ。
「すごいなぁ…」
ベンチに座り頬杖をついて彼の訓練風景を眺めるのが好きだ。スラッとした長い脚は肩幅ほど開き、音もなく矢をつがえた真剣な横顔に惚れ惚れしてしまう。突風が吹いて矢の行く先は的から逸れてしまうが体幹がぶれることはない。
苦手な武器だと話す彼だが的を見る限りそうは思えなかった。用意した的すべて、ど真ん中に当たってどれも狙い撃ちされているのに。素人の私にはわからない武人の感覚が彼にある。
彼は私が飽きていないか視線を投げ掛けてくれる。それに手を振ったり、拍手を送って飽きないよとアピールしていた。
あまりに気にかけてくれるから訓練の邪魔になってるかも。次に目が合ったら帰えろうかな…。
気にかけてこちらを見てきた彼の視線は鋭く、突然弓を構えた。狙いは的じゃない…私?
矢じりが光り怯えて目を細めた『刹那』、びゅっと風を切り耳もとを掠める。
すぐ後ろで鈍く重い音がして射られて地面に倒れたんだと知った。私の周りには何もなかった記憶がある。彼に見とれて賊に狙われていたことに気付かなかった。
危機的状況に落ち着いて対処できるんだから、苦手と言う紹介はやっぱり無理があると思う。怪我はないかとこちらに走ってくる彼にそんなことを思っていた。
「刹那」
朝、目を覚ます。
「起きる?」「誰かを待つ?」
クローゼットを開ける
「ベージュ系?」「ピンク系?」
街を歩く
「カフェにする?」「ファストフード?」
友達とお喋り
「そうそう、わかる。」
「うーん、そうかなあ、でもね。」
ニュースを見て
「共感する?」「批判する?」
親と喧嘩して
「ごめんなさい?」「うるさい?」
今日いえにかえる?
それともかえらない?
好きな人に
「告白する?」「秘めておく?」
別れの言葉を告げられたら
「笑顔で?」「泣きながら?」
そしてあなたの最期のとき
「感謝を伝える?」
「恨み言を残す?」
それとも?
わたしの人生は 選択の積み重ね
あなたの人生も 刹那の積み重ね
なにもすることがない年金暮らしただぼんやりと生きるのみ刹那や
愛してるよ。
君からそう言われても、私は同等の愛を返せる自信が無い。
愛してる。
この一言がどうしても言えない。
ほんとうは伝えたいのに。なんで神様はいじわるしてくるんだろう。
愛を伝えることができない自分を醜く思い、
伝えられない自分に嫌気がさす
こんなのは、もう嫌だから。
彼には幸せになってもらいたいから。
私は彼に別れを告げた。
神様、どうか彼が愛してると伝えてくれるような
素敵な彼女をつくって幸せになりますように。
私はこの世界に刹那に願った。
貴方に恋に落ちるまでの時間
ほんとに刹那だったよ
このキモチ、貴方に伝えたいな。届くといいな
大好きだよ♡
今日のことは、" 2人だけの秘密 " だよ。
そう言われた午後6時。
ついさっきまで青だった海も、夕陽に照らされて明るい朱に変わってゆく。
あんなにも刹那的だったのに、忘れられなくて。
海の青と夕陽の朱が混ざり合う致景も、微風に吹かれる目の前の少女も。
全部全部、私にとってかけがえのない記憶だから。
2人だけの秘密、だよ。
刹那
「刹那」って言葉、普段あまり使わない。
刹那って、仏教に由来する言葉なんだって。
時間の最小単位。きわめて短い時間。
「刹那主義」というのを調べてみた。
瞬時に至福や悟りを得ることができるとする仏教思想のこと。
忙しい生活やストレスから逃れるために、刹那主義に基づいた瞑想とか、流行ってる(?)よね。
そういう時間って普段意識しないけど、
意識するとまた違う考え方が出来るかも。
「刹那」
東の果ての男と 西の果ての女
果てなく長い旅に出た
やがて交わる
東西南北 朝と夜 天と地 男と女
刹那にすべてが混沌と…
やがてまた男は南 女は北へ
次なる刹那に向けて果てない旅へ
あの子と話して、一緒に笑って、
会話に花が咲く。
楽しい、嬉しい、幸せだ。
笑顔に見惚れたその刹那、
天使のいたずら、時が止まる。
【刹那】
【刹那】
。
「せつな」という名前の由来を知ったのは、小学生高学年のときだった。学校の授業で自分の名前の由来について調べる機会があって、両親に聞いてみたのだ。
母が、私が生まれたときのことを話してくれた。
あなた、生まれてくるときよっぽど胎内で暴れたんでしょうね。首にへその緒が2重3重に巻きついていて、それはもう大変だったの。もしかしたらダメかもしれない…担当医の先生がそう覚悟を決めるほどだったのよ。
でもね、私は何が何でもあなたを産みたかった。
あなたが生まれてくる数年前、初めて新しい生命が宿ったの。無事、生まれてきていたらあなたのお兄ちゃんかお姉ちゃんになる子をね。でも、それは叶わなかった。おなかの中で順調に育っていたんだけど、ある日突然消えてしまったの。まるで、ろうそくの火がふっと吹き消されてしまったように。
だから、あなたのときにはただただ生まれてきてくれることを願っていたの。どんな形でもいいから、この世に生を受けてほしいってその一心だった。
巻きついていたへその緒を首から外してから、
あなたが産声をあげるまでの時間の長かったこと!
ようやくあなたの声が聞こえ、力んで真っ赤になったあなたの姿を見て、出産に立ち会ってくれたお父さんにこう言ったの。
「この子の名前『せつな』にしたいんだけどいい?」
極めて短い時間、瞬間を表す言葉である「刹那」。
困難を乗り越えて生まれてきたあなたに、この先も一瞬一瞬を大切にして生きていってほしい。そう思ったから、それまでに沢山挙げてきた候補を全部やめて「せつな」 という名前にしたかったの。
生まれるとき、そんなことがあったなんて初耳だった。父も母も担当のお医者さんも、みんなで私の未来を守ってくれたんだ。その想いが「せつな」という名前に込められていると知り、心があたたかくなった。
ちなみに、3歳下の弟の名は「英剛(えいごう)」という。こちらは、父が「刹那」とは逆の意味を持つ「永劫」からつけたのだという。末永く、丈夫で優れた者になってほしいという願いの下、弟は中・高ではかなりイキってたものの現在では手に職をつけ、2児の父となっている。
私もいつか家族を持ち、我が子にその名前の由来を話すときがくるのだろうか。そのときは、私の名前に込められた想いについても話をしよう。
「せつな」の未来は、まだまだ続いていく。
『刹那』
高校になった僕は何部に入ろうかと悩んでいた2年前のことを思い出した。
特にしたいことも無く、そして部活に熱を入れたい訳ではなく。
こう言っては失礼かもしれないが、とにかく楽そうな部へ。そう思って入ったのが写真部だった。
当時の先輩たちは、僕に、僕たち1年生にとても優しく接してくれて、半年も経つと写真に夢中になっていた。
今も転部はせず、3年生として写真部に居続けている。
あれからいくつか賞を取ったが、最近、いやここ数ヶ月の間はこれだ、と思う写真が撮れていない。
僕自身、風景写真や不思議さ、謎さを感じさせてくれる自然が好きで、そんなような写真ばかり撮っていた。
今まで賞を撮ってきた作品たちもそう
池の水面で反射した、もうひとつの鏡の国
普段見ようと思って見ることのない、花の雄蕊
蟻の目線から見た世界
色々なものを撮ってきたけど、人は撮ってこなかった。
何故って、人を撮るのが苦手だから
そんな中、今はスランプ中で、とりあえず、何でもかんでも手を出してみよう。と思い
人を撮る
という思考に至った。
運動部の姿や、下校する生徒の写真、何種類もの写真を撮っては見たものの、納得いくものは取れなかった。
人は動くから、ここぞと言うタイミングでシャッターを押すのが難しい。
これも僕が人を撮ってこなかった理由の一つだ
そのことを同じ写真部の奴とはなしていると、
同じ写真部で3年の内村さんが来た、彼女は写真部に来るものの、全く喋ったことは無い
彼女のカメラを持つ横顔が好きで、密かに僕は思いを寄せている。
笑ったところを見た事は無いけれど
でも、どこか引かれる儚さがあった。
いつものように横目でチラ、とみていると、開いた窓の間から蝶が入り込んできた
その蝶は、ほかのものには目もくれず、一直線で彼女の構えるレンズの先へ飛んでいくと、彼女が取ろうとしている花に止まった。
それを見他彼女の口角は僅かだけど、確かに上がっていた。
その瞬間、僕の中でなにかがブワッとなって、
彼女に引き込まれたように感じた。
やっぱり人を撮るのは難しい
刹那の瞬間にも、画面に移る1枚は変わってしまうのだから。
その日、彼女は刹那のように過ぎ去った。
昨日までは私の隣で笑ってたのに。
数分前まで私の指に触れていたのに。
彼女は頭から血を流し
不協和音が響いている交差点。
“ごめんね”
彼女の声がうっすらと聞こえた。
少し微笑んでいたが、たちまち体に力が入らなくなった。
心肺蘇生を行っても、人工呼吸を行っても、彼女心臓の音は呼吸の音は聞こえてこなかった。
それが繋ぎ合わさり日々は始まる
ふりかえれば
残る刹那の香り
僕が生まれる前からそれはあり
風のなかへと消えていった
時の止まった白い箱の中で
今日も刹那に流され目を覚ます
刹那ってなに、???分からないから親友の事語る
親友は本当に私の生きる意味になってる
めっちゃ依存してるし親友からの連絡がないと
すごく心配するもん大好きだし私は恋愛的な意味で
親友が好きでも、親友は好きな人がいるらしい
それでもわたしは親友がずっと好きだよ
思い返してみると、彼といた時間はとても短かった。
僕は、彼のことが好きだった。
彼は刹那な人だった。
考えすぎて不安になる僕とは正反対で、今を大事にしていて、憧れていた。だんだんとその憧れは好意へと変わっていき、僕は彼に恋をした。
彼は男で、僕も男だ。
告白をしても彼が良い返事をくれる確率は低いだろう。
それでも、彼を嫌いになることはできなかった。
どんな関係でも、そばにいたいと思っていた。
彼と初めて出会ったのは職場。
両親の都合で行かされている憎たらしいあの会社で。
僕は、初めて両親と会社に感謝した。
行かないと下の弟たちが生きていけない。
高校まで行かせてもらえていたのが唯一の救いだ。
だが、子2人養うというのはとても大変なことだ。
いつも通り重い足取りで会社に向かっていたその日。
僕は、彼と出会った。
彼は本社の方から派遣されてきたらしい。
僕は職場の人が嫌いだ。
年のせいなのか、貧乏な故の見た目のせいなのか。
真意は確かではないが、そんな表面上で人を判断し、僕のことを無視したり、そんな奴らが嫌いだ。
どうせこいつも同じだ。
関係ない、さっさと仕事を始めようと席に向かう。
すると突然、
「佐々木さん、今日からよろしくお願いします!」
という大きな声が後ろから聞こえた。
声をかけてきた人物は、さっき派遣社員として紹介されていた男だった。
というか?なんで急に僕に声をかけてきたんだ?
これまで派遣されてくる奴はいたけど、話しかけてくる奴は初めてだ。
そのことについて聞こうと思った矢先、
「佐々木、漁さんですよね?って言うか、
なんでさっきから他の人と喋らないんですか?」
とよくわからない質問をしてきた。
来てそうそうなんだと思ったが、愚痴を言える相手ができたと思うことにした。そして、
わざと聞こえるような大きい声で言ってやった。
「みんな僕のこと無視するからな」
彼は、思っていたのと違う反応をした。
「そうなんですか?佐々木さん、かっこいいのに。」
僕は困惑した。今なんて言った?かっこいい?今までの僕の人生とかけ離れた言葉堂々のNo. 1だ。
というか、かっこいいってどう言う意味だ。
だいたいお前も綺麗な顔立ちをしているだろうが。
今まで僕に見向きもしなかったあの女子社員たちの熱い視線がお前には分からないのか!!
「どうかしましたか?」
とそいつに声をかけられて我に返る。
今考えるべきはこれではない。
なんでこいつが僕に声をかけてきたかだ。
「なんかぼくに用か?」
「え?佐々木さんって、僕の教育担当ですよね?」
間髪入れずに答えが返ってくる。
ん?待てよ?教育担当?
今日、初めて聞いたんだが?
上司や同僚に文句を言おうかと思ったが、どうせ無視されるだけで何も変わらない。
諦めて、なんとかこいつを教育する方に目を向けよう。
教育っていっても、何をしていいんだか、、、、、
それから数ヶ月。
結局初日聞けなかった名前は、福井秋。
それから福井とは、一緒に仕事をするようになった。
なんとかそいつを教育して、今に至る。
今思えば、こいつが僕に回されてきた訳もわかる。
相手が上層部だろうが取引先だろうが、自分がおかしいと思ったことはとことん問い詰め、解決しないと気が済まない。本当に困った奴だ、、、
何度僕が頭を下げたことか、、、、、、、
でも、意外とらしくなってきた。
もしかして僕、こんな才能が?教師にでもなったほうがよかっただろうか。まぁ、そんな金はないし今更だ。
それにしても、やけにこいつが僕に懐いてくる。
他の奴らの言うことは聞かないのに、何故か僕の言うことは聞く。
本当に問題児だ。
まぁ、言うことを聞くだけマシか。
それから僕たちは長い間仕事を共に過ごし、お互い
「漁さん」、「秋ちゃん」と呼ぶ仲になった。
僕の中でいつの間にか、秋ちゃんが、とても大切な存在になっていた。
そして、彼が女性社員たちと楽しそうに話すのを見ると、胸が痛むようになった。
そんな自分に戸惑いながらも、
秋ちゃんと過ごす日々は楽しかった。
多分、僕は秋ちゃんのことが好きだったんだと思う。
眩しい笑顔や、一見真面目だけどふざけた内面とか、優しく明るい声とか、秋ちゃんの、全部が好きだった。
でも、終わるのは急だった。
それは、秋ちゃんと出会って2年経った秋。
僕はすっかり、会社に行くのが楽しみになっていた。
いつも通り会社に向かう。
あまりにも当たり前になった日常が、僕に錯覚を起こしていたのかもしれない。
僕が幸せになれるはずなんて、なかったのに。
会社に行くと、いつも僕よりも先に来て、明るく迎えてくれる秋ちゃんが、今日はいなかった。
僕は、不安に駆られる。まさか。
いや、そんなことない、あるはずない。
冷静になって、L○NEを送ってみることにした。
結局、朝会の時間になってもあきちゃんは来なかった。
真っ先に秋ちゃんについて聞かれたのは僕だ。
当時の教育係を引き継いで、僕は秋ちゃんの上司になっていた。
秋ちゃんは、僕と違って同僚たちとは仲が良いほうだった。ただ、最初の頃に起こした無礼のせいで、上層部からは嫌われていた。
「おい佐々木!!福井はどうした!!!」
いつにも増して大きな上司の声に
痛めながら、
「僕は何も知りません。一応L○NEは送りましたが、まだ返信は、、、既読すらつきません。」
「上司であるお前の管理不足じゃないのか!!!」
「すみません、、、、」
それしか言えなかった。
あいつのことを庇いたい気持ちもあったが、僕には権利など何も無い。
むしろ秋ちゃんの方が、同僚からの信頼があるだろう。
同僚の秋ちゃんを心配する声と、僕を悪く言う声、クスクスと僕を笑う声。
その日は、本当に地獄みたいだった。
一向に秋ちゃんからの連絡は来ないし、ますます心細くなった。いつもの楽しみがなくなった僕は、抜け殻のようになってしまっていた。
幸い、僕のことを心配し、
声をかけてくるうざったらしい人はいなかっ
た。
次の日は休んだ。
妙な胸騒ぎがして、昨日から秋ちゃんの家に来ていた。
怒鳴られた。
今日も秋ちゃんは無断欠席をしているらしい。
僕は、疲れていたのか秋ちゃんの家に着いたところで、車の中で眠ってしまっていた。
慌てて会社に電話して今に至る。
こんな時にも会社に連絡をする自分に、呆れた。
つくづく社畜だなと思う。
思い返してみると、こんなに身勝手に会社を休んだり、人のために動いたりするのは初めてだった。
自分を縛っていた何かが緩くなった気がした。
急いで秋ちゃんの家に向かう。
インターホンを押しても当然反応はない。
もしかしてここじゃ無いかと思ったが、
きっとここで合っているはず。
こんな時、合鍵を持っていて良かったと本当に思う。
急いで家に入る。
念の為、
内側から鍵をかけて彼の寝室を兼ねた自室へ向かう。
部屋の扉を開けると、あの時と同じ光景が広がっていた
僕の弟は、1年前に死んだ。
殺された、の方が正しいのかもしれない。
その日、僕は具合が悪く
休憩室で仮眠をとって、念の為早退した。
家に帰ると、異臭がした。
鼻につく、吐き気を催す不快な血の匂いだ。
嫌な予感がした。
急いで部屋に入ると、そこには1番下の弟が変わり果てた姿で横たわっていた。
僕は呆然とそこに立ち尽くした。
長い間、弟の死を受け入れることができなかった。
金がないのはしょうがないが、立派な葬儀をあげられないことがとても申し訳なく思えた。
ただ、辛いことは1つでは終わらなかった。
上の弟はこの事件で心を閉ざしてしまった。
持病の発作も起こりやすくなった。
それに、何故かその日から、上の弟が僕のことを怯えた目で見つめるようになった。
ただ怯えるというだけじゃなくて、どこか、恐ろしい犯罪者を見るような、冷たい目だった。
徐々に避けられるようになって、顔を合わせることもほとんどなくなった。
そんな時、そばにいてくれたのも秋ちゃんだった。
いつも通りの明るさで。
でも、決して辛いと感じさせない。
不思議な心地よさで、僕のことを慰めてくれた。
そんな秋ちゃんが、今、
目の前であの時と同じように横たわっている。
その顔は、恐怖で歪んでいた。
僕は、もう、どうしたらいいのか分からなかった。
でも、そんなひどい姿でさえ、僕には綺麗に見えてしまった。僕はゆっくりと彼に近づく。
「秋ちゃん。みんな心配してたよ。
だから、だからさ、いつもみたく笑ってよ、、、、」
僕はそっと、彼の頬に触れる。
まだ、微かに、彼の温もりが残っていた。
僕は、彼にキスをした。
乾き始めた血が、生に縋るように纏わりついた。
あーあ、、、、、、
俺、流石に性格悪かったかなぁ。
実の弟にこんな仕打ちは流石に可哀想だったか?
でも、どれも漁を想ってのことだったのに。
1番下の弟の時。
あの時は、下の弟が中学に入って、上の弟の持病が悪化して。
ますます、漁は働かなくちゃいけなくなっていた。
漁が楽になればって思ったのに。
お葬式まで考えて無かったや。
今回は、叶わないかもしれないのに、もう絶望はして欲しくないのに、恋をさせたお前が悪い。
これで少しは漁が楽になればいいけど、、、、
小さな頃から優秀で、頑張り屋な漁が、俺は好きだった。
いつも明るく「狩!」と名前を呼んでくれるのが嬉しかった。
もう、俺のことは忘れてしまっただろう。
でも、両親が離婚して、
漁は母の方。
俺は父の方へ行くことになってしまった。
でも、漁の役に立ちたいと思って勉強するのは苦じゃ無かった。
むしろ、漁への思いで、刹那にも思えた。
まぁ、漁に見た目が似てることで上の弟にトラウマを植え付けちゃったのは、流石に漁が可哀想だったけど。
、、、、、、、
これからどうしよう。
もう、守りたいものは何も無くなった。
秋ちゃんとの日々を思い出した。
あの時は長い長い楽しい日々で、
これからも永く続いていくものかと思っていたのに。
こうしてみると、刹那に思える。
もっといろんな思い出作りたかったな。
「狩、、、、ごめんね。僕があんなこと言ったから。」
「!!」
もしかして、俺のことがバレて、、、、?
確かに、俺は、漁が
「狩とお別れやだな。悲しいのはやだ。」
「大丈夫だよ。俺がすぐ戻ってきて、漁を守るから」
それから俺は、漁のために生きるって決めたんだ。
「ありがとう。お兄ちゃん。」
掠れた声で漁が言う。
「漁、、、、」
初めて、漁との時間が、
刹那でなく、永遠に感じられた。
♯刹那
_俺、お前と居られて良かったよ
お前に出逢えてよかった
本当に心から想う
真夏、一緒に帰っていた透瀬(とうせ)が今にも泣きそうなしどろもどろの透き通った声で、急に言ってきた
「え、急にどしたん?w」
透瀬「え、俺なんも言ってないけど」
「は?今言ったじゃん」
透瀬「何言ってんのお前、威瀬(いせ)こそどしたんー?w」
威瀬「え、、あー、いや。なんでも」
透瀬「大丈夫か?しっかりしろよー」
気のせい、、か
透瀬「ってか、久々にあそこのばあちゃんのとこでアイス買いに行かね?」
威瀬「あー、うん。いいよ」
透瀬「おっ、ベンチあるやん。座ろーぜ」
威瀬「うん」
透瀬「1年ぶりだなー。」
威瀬「…」
透瀬「いせ、さっきからどうしたー?なんか顔色暗いぞー」
威瀬「ああ、ごめん」
透瀬「…よし!帰ろーぜっ」
威瀬「、そうだ、ね」
透瀬「いやー、それにしてもここの道も久しぶりだなー。…よくお前と帰ってたな」
威瀬「透瀬、、さっきからおかしい、よ…? 」
威瀬「…え」
僕は思い出した。透瀬は1年前、余命宣告されていて、亡くなっていたことを。
僕達はよく、一緒に帰ってた
毎日古いおばあちゃんの店のとこで、ベンチに座ってアイスを食べていた
この道も
…本当に、一瞬だったなぁ、
透瀬「ごめん」
威瀬「…」
透瀬「泣くなよ、俺も悲しくなるだろ」
威瀬「透、瀬…泣」
透瀬(ハグ)
透瀬「急に居なくなってごめんな」
透瀬は、僕のために天国からわざわざ来てくれたんだ
威瀬「…ありがと…う泣」
透瀬「ありがとう…?」
威瀬「ずっと傍に居てくれてありがとう!泣(なきじゃくる)」
なんだが、恥ずかしいな
帰り道、僕が1人で泣いているところも
いじめられている情けない姿も
見られてたのか
「…でもさ、透瀬。僕、今でも忘れられないよあの言葉が、」