むあ

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♯刹那

_俺、お前と居られて良かったよ
お前に出逢えてよかった
本当に心から想う
真夏、一緒に帰っていた透瀬(とうせ)が今にも泣きそうなしどろもどろの透き通った声で、急に言ってきた
「え、急にどしたん?w」
透瀬「え、俺なんも言ってないけど」
「は?今言ったじゃん」
透瀬「何言ってんのお前、威瀬(いせ)こそどしたんー?w」
威瀬「え、、あー、いや。なんでも」
透瀬「大丈夫か?しっかりしろよー」

気のせい、、か

透瀬「ってか、久々にあそこのばあちゃんのとこでアイス買いに行かね?」
威瀬「あー、うん。いいよ」
透瀬「おっ、ベンチあるやん。座ろーぜ」
威瀬「うん」
透瀬「1年ぶりだなー。」
威瀬「…」
透瀬「いせ、さっきからどうしたー?なんか顔色暗いぞー」
威瀬「ああ、ごめん」
透瀬「…よし!帰ろーぜっ」
威瀬「、そうだ、ね」
透瀬「いやー、それにしてもここの道も久しぶりだなー。…よくお前と帰ってたな」
威瀬「透瀬、、さっきからおかしい、よ…? 」
威瀬「…え」

僕は思い出した。透瀬は1年前、余命宣告されていて、亡くなっていたことを。
僕達はよく、一緒に帰ってた
毎日古いおばあちゃんの店のとこで、ベンチに座ってアイスを食べていた
この道も
…本当に、一瞬だったなぁ、

透瀬「ごめん」
威瀬「…」
透瀬「泣くなよ、俺も悲しくなるだろ」
威瀬「透、瀬…泣」
透瀬(ハグ)
透瀬「急に居なくなってごめんな」

透瀬は、僕のために天国からわざわざ来てくれたんだ

威瀬「…ありがと…う泣」
透瀬「ありがとう…?」
威瀬「ずっと傍に居てくれてありがとう!泣(なきじゃくる)」

なんだが、恥ずかしいな
帰り道、僕が1人で泣いているところも
いじめられている情けない姿も
見られてたのか

「…でもさ、透瀬。僕、今でも忘れられないよあの言葉が、」

4/29/2023, 2:45:05 AM