『冬になったら』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
空島から地上を見下ろしてみる。
緑色の木々の中に、赤茶や黄色が混ざっているのが見えた。
人間世界で言うところの、「秋」だろうか。
空島の気候は、基本的に変わらない。カレンダーを見るか、こうして地上を見下ろさなければ、季節の移り変わりがわからないのだ。
だが、季節の変化がないことを、私は寂しいとは思わない。
私の故郷が、雪の溶けることのない、山の上だったからだろう。
だから、あの滑落事故も。
私の中では、人間世界で言うところの「冬」の出来事だった。だが、実際は…私が見た新聞が間違ってなければ、「春」の出来事だったらしい。
…正直、この空島を離れるのは、今でも少しだけ怖い。
私がいない間に、空島が何者かに襲われてしまったら。ようやく見つけた居場所を、あの日と同じように失ってしまったら。…そんな不安が、頭をよぎる。
それでも…私は、空島の仲間達を信じている。
彼らの強さを、時間をかけて少しずつ…心で、理解していったから。
命日に則って花を添えるなら、白くなった大地が再び緑を取り戻した頃に戻るべきなのだろう。
だが、私達は雪鳥だ。氷と雪の世界で、雪と共に生きていく。
私達は雪と共にある存在だ。
空島から見下ろす地上が、白一色に染まったら。
花を片手に、私はそこに戻ろう。
雪に導かれて、皆が再びそこに戻ってきていると…そう信じて。
(「空島」―雪に手向け―)
夏は暑い。
私の旦那様は暑がりだから
ずっとくっついていたくても
夏だけは暑いからと
逃げられてしまう。
でも
だんだん寒くなれば
ずっとくっついていても怒られない。
白い息を吐きながら
年中温かい、カイロみたいな手のひらに
右手を包んでもらえる。
たとえ寒くなくても
“寒い”って言いながら
べったりくっつける絶好のチャンス。
寒い冬は嫌いだったけど
今は冬もけっこう好き。
だから早く
寒くなってくれないかな。
#冬になったら
早く冬が来ないかな、そう思いながらアイスを頬張る。
2XXX年、地球の平均気温はとても上がっていた。
あまりの暑さに体が痛くて外には出られないから、殆どの会社が夏に数週間の長期休暇を設けた程だった。
こんな日々だからか最近はとても冬が恋しくなっている。
冬が来たらあれを食べて、これをして⋯
なんて毎日考えている。
今の夢は冬だ。
だが、きっとその夢は叶わない。
薄々わかっている。
私が生きているうちには冬は来ない。
嫌でも気づいてしまう。
でも、もしも冬が来るなら。
また寒くなるなら。
「冬になったら」、実家で母の手料理を食べながら大晦日の特番を見たい。
そう、思った。
裸で
強火力
ハーゲンダッツを懐かしむ
一重サッシの街
#冬になったら#
冬になったら思い出すんだ。
貴方との思い出を。
1人寂しくまたこの道を通る。
思い出は忘れる事が出来ないから辛いんだ。
☆冬になったら☆
冬になったら外に出よう
みんなが家に閉じこもっている間、外に出よう
雪の積もった地面を駆けて、雪だるまを作るんだ
引きこもりの僕だって、頑張れば出来るんだぞって
何の気配もない、冬の空気に自慢してやるんだ
「冬になったら」
冬か。毎年やってくるね。でも、毎年やってくる冬でも、『同じ』冬はやって来ないんだよ。
みんなで遊んだね。みんなでこたつ入ったね。こたつ入ってみかんとか食べたね。勉強もしたね。時には雪合戦もしたね。あ、そういえば、そりで滑ったこともあったね。ほんとにあの頃は、すごく楽しかったね。
でも、もう戻ってこないんだね。また、遊びたいなみんなで。わいわい。みんなで、過去に戻りたいね。楽しかった学生時代に。
『冬になったら』
リストバンドの重みで目が覚める
整理しきらないままの記憶が目を伝い、滴った
飲みかけのコーヒーと、溶けきれぬ氷砂糖
窓から見上げた空の抜けるような晴天は
またどこかで降る小雨を嘲笑っている
時計を見やり、薬を飲む
氷嚢を、退けた
ここ南国にも秋が来ている。
窓を開けて寝ていると、季節の気配が直に感じられる。
このところ明け方はかなり涼しくなっている。
肩が寒い。
半ズボンから出た足が寒い。
蹴って身体から離れたタオルケットを手探りでつかみ、体に巻き付ける。この時間だけは毛布が肌恋しくなる。
記録的な暑さが続いた夏。乗りきった猛暑が一段落し涼しくなると、体がホッとして力抜けてしまう。
毛布を身体に巻き付けた
この瞬間を味わう。
また、冬になったら
寒さで力が入るのだから。
北風の強い夜が私は寂しい。
冬になったら
人生の冬になったら、冬眠するんだ
そして目覚めた時は
きっとここより自由な世界なんだ
慌ただしい夏が終わって、ようやく秋っぽくなったと思ったら、もう季節は冬になるらしい。
「冬になったら、何やりたい?」
「うーん、何もしたくないなぁ」
「冬眠?」
「あ、いいね。冬眠したい」
今年の夏、貴方は忙しそうにしていたから、燃え尽きてしまったのかもしれない。
涼しくなり始めてから、貴方はなんだか元気がなさそう。
「冬が一番好きなのに、夏で全力出しすぎた」
「部活も勉強も頑張ってたしね」
「頑張れてたのかなぁ。大した結果は出なかったし」
「じゃあ、今年の冬は来年に向けて冬眠だね」
「そうもいかないよ。来年に向けて頑張らないと」
「一睡もしなかったら、いつか倒れちゃうよ」
「だって、みんな、急かすんだもの。私だって、出来たら布団でぬくぬくしてたい」
貴方は冗談っぽく笑ってみせる。
いつも、冬になったら笑顔が耐えなくなる貴方なのに、今年は、なんだかいつか消えてしまいそうな、そんな弱々しい笑顔だった。
冬になったら
雪に閉ざされてしまう
一面真っ白な世界
幻想的と言えばそうかもしれないが
毎日の雪かき
除雪が追いつかず渋滞する道路
あちこちに出来る雪の山
吹雪の日はホワイトアウト
雪に対しては愚痴しか出ない
楽しみは家でぬくぬくと過ごすことくらい
冬になる前から春が待ち遠しい
ふわぁ
あーもうこんな時期か
まっしろしろへ
街の衣替えかぁ
あっしは一回も
見た事あらんもんなぁ
冬らしいお土産
よろ〜
じゃ数ヶ月後に...ふぁ
...おやすみぃ
冬になり
室内外に温度差ができると
窓に結露ができてしまう
窓は汚くなるし
カーテンはカビる
でも君と私の相合傘を書いて
乾いて消えるまでは
二人の時間を過ごしたい
憧れた都会
安心するほどの喧騒
でもなにかが違った。全然違った。
この喧騒が、この人混みが、この夜でも眩しいほどの街並みが、僕を急かしてくる。
煽られて生き急いでるそんな感覚だ。
叶えたいことが山ほどあるから、まだまだ疲れたなんて言えない。
でもそんな時に、自分の地元を思い出す。
そうだ。冬になったら地元に帰ろう。
見渡す限り白一色で染った、雪景色が見たくなる。
街灯のない綺麗な星空を見たい。
ゆっくり温泉につかって休みたい。
たまには立ち止まってもいいよね。
振り返ってもいいんだよね。
少し休もう。だってこれからも生き急がなければならないからね。
『冬になったら』
冬になったら美味しいものたくさん!
お鍋にコーンスープ、ホットココアにホットミルク……
あ、シュトーレンとかウイスキーボンボンも美味しいよねー。
でも何より美味しいのは……寒空の下で食べるコンビニ肉まん!
おてて冷たい中ホカホカの肉まんを持って、フーフーしながら食べる。
口の中も冷たいからヤケドしそうになるけど、ハフハフ言いながら食べるのがまた美味しいのよね〜。
……あー、思い出したら食べたくなってきちゃった。
早く冬にならないかなぁ。
冬になったら、あの頃を思い出す。もう4年前くらいかなあ。
わたしとあの子が離れた日。わたしじゃあの子に釣り合ってないと決めつけて、あの子の気持ちも考えないで。
自分勝手だ、本当に馬鹿だった。こんな後悔が煮詰まったような、透明で綺麗な冬の景色と匂いに傷付いている。
冬になったら、秋が過ぎたら、そしたらあなたに会えますように
冬になったら
フィルター越しに見た青い空は、入道雲が目に痛いほどでした。
『冬になったら私を思い出してください』
雪の降りしきる街路を一歩、進むたびに、指先に雪が触れて、雫が滴るたびに、その言葉を思い出します。
入道雲。
照りつけるあの白。
『冬になったら私を思い出してください』
春は朝 夏は白昼 秋は夕
夜が更ければ ただ眠るだけ
/お題「冬になったら」より