『入道雲』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
高校の夏、部活が終わりクタクタに疲れて、ぼーっとしながら自転車を漕いでいた帰りの道中ふと空を見ると入道雲がデカデカと浮かんでいた。とても幻想的だった。入道雲のあの優しく包みこんでくれそうな存在感に疲れ切った僕は何故か少し癒しを求めたくなった。
早く家に帰らねば
入道雲
雲の塊の巨大な姿は、空に彩りを添え風に揺れて流れる
その圧倒的な存在は、いつしか空を覆い嵐を巻き込む。
夏に影
未曾有の大地震によって
突如として全部を失った。
命までも…
-気が付くと、ずっと昔に見て覚えていた
古いアルバムの当時30代の父と母が
その当時の若かりし姿で手を繋いで
笑い合って私の目前に立っていた
「おうジュンコ!お前も自由に元気にやれよ!」
父さんがそう言い母と顔を合わせると
2人仲睦まじく歩き出し
私の背中に手を振って
歩いて行った
母の父である
祖父、亡くなっているはずのおじいちゃんが
にこにこ笑い
遠くで手を振る
私は突然の開放感の中で
多少は戸惑いながらも
自分の命が尽きていることを知った
まるで歩行者天国を歩くように
人の交差し合う白いモヤの往来の中を自分も
どこへ行くのかわからないまま歩いた
フラフラと行く当てもなく
モヤと人の中を歩くと
一つの行列に出会した
人の川のように連なる一本道
周りの白いモヤが突如として消え
周りには蝉の鳴く田園風景が現れた
遠くには山々がそびえている
青い空とそこに浮かぶ入道雲
何事もなかったかのように
トンビが鳴く
細い舗装もされていない一本道を
人は歩んでいる。まるで登山にでも
出かけるような出立ちの人もいれば
浴衣姿にうちわを持つ人も居る
反対方向に降って来る人もいて
道幅はそんなに広く無いので
往来の最中お互いどちらかが
道を譲り合う場面もあった
小鳥の声が聞こえてくる
風がゆるゆるとそよいでいる
向かい風だけどごく弱い風だ
暑いけれど汗ばむほどの暑さではない
風が通るおかげだろうか
時々道祖神と共に
大きなどんぐりの木も生えている
歩いて行く途中
小さな子が水風船で遊びながら
お母さんとみられる女性に連れられ
こちらをチラチラと、
まんまるな目をしながら見やると、
女性に「はようせい」と、手を引かれ
たったか歩いて行った
ヒグラシの鳴き声が聞こえる夕刻頃
空は橙色に染まっていた。かと思うと
行く手のもう少し向こうから閃光が
小さくヒュルリ躍り出るや否や
どんっ!と音が鳴った
夕方からの花火か。花火大会かな…
気が付くと辺りでカエルの合唱が聞こえ出して
一番星も見えた。
のどかである。
田んぼでカエルが鳴いている
だんだん薄暗くなる道を登って行くと
T字路になり
土手の先に川が流れているようだ
さらさら水音が聞こえる。
いよいよ花火が大きく川の向こう岸で
花開いている
ヒュルル…どんっ!パチパチパチ…
花火は上を見上げて見ながら土手に座った
ふ、と気付くと川から
蛍の光がちらほら見えている
宙を漂いながら、ふうわり光って
ふうわり暗くなる
周囲に目を遣ると
人が楽しげに
話し込んでいたり、花火に
見とれている人も居る
川のこちら側の人がちらほら
透き通っているような気がする
どの人も花火に見惚れながら
思い思いの時間を過ごす中
私は、花火を見ながら
何故か泣けてきて
ただいま、戻りました。と
呟いた。
と…身体の中を風が駆け巡るような
感覚がした途端、指の先から足の先から
髪の毛まで段々と感覚がなくなって行く
重力も感じないし、ここの空気に
身体が溶け出しているように感じた
身体が風になって行く…
私は次の瞬間
雲の中を駆ける風になっていた
ぐるぐると雲を駆け巡る
稲光りを間近に見た。
気分はどこまでも行ける幸せを感じて
しかし再び重力を感じ始めて
あっという間に雨粒のひとつとなると
地面にぴしゃんと落ちた。
染み込んだ先に草の種が有り
今風にそよぎ、ふわっと揺れて
笑ったのが今の私
勿忘草。
了
入道雲
入道雲を見つけたときは、
少し気をつけたほうがいい。
天気が変わっていくかもしれないから。
きれいな雲なのに。
入道雲。青空にもくもくと立ち上がる入道雲。夏をイメージすると候補に上がるものの一つである。入道雲が恋しい。
「こうも連日雨が降ると洗濯物が大変なんだよね……」
この時期はいくら干してもパリッと乾いた感じがしない。梅雨は毎年の事だし仕方ないのは分かっているけど、あの人をしっとりしたベッドに寝かせたくは無いのに。次に晴れた日は必ず屋敷中のシーツを洗おうと決意する。他の人の手も借りて、裏庭まで使ってシーツのカーテンをつくるんだ。全てはあの人に気持ちよく過ごして貰うため。
あの人の喜ぶ顔を思うと湿気の不快感も何のその。まだまだ頑張ろうと思える。
「……よし、洗い物終わりっと。干したら新しい服のデザインでも考えようかな?」
空にプカプカと浮かぶ大きな積乱雲を見て「ラ○ュタだ!」と友達と巫山戯合ったのは、もう何十年も前のこと。
永遠とも思えるような子供の日々は過ぎ去り。
あっという間に私は大きくなって、今や日々、その他大勢の大人と同様に仕事に追われている身。
今年も既に半分が終わって、あともう少し経てば学校は夏休みに入るだろう。
少しだけ、あの夏の日に浸りたくなって、小さな四角い窓の外、雲一つない青空を見つめた。
テーマ「入道雲」
ある日の午後1時、某公園にて、
「ボス、あれって入道雲ですよね?」
「おぉ〜、でかいなぁ〜。あんなにでかいヤツ久しぶりに見たわ」
「入道雲見ると、夏って感じしますね」
「暑いのは勘弁して欲しいが、こういう季節特有の景色が見れるのは趣があるな」
「ボスってこういうの、好きなんですね。周りの風景なんて興味無いと思っていました」
「さすがにそんなことは無いだろ。俺をなんだと思ってるんだ?ただのお仕事ロボットだとでも思ってたか」
「冗談ですよ、景色の風情を感じられる心がボスにあることぐらい、オレはちゃんとわかっていますよ。ところで、そろそろ休憩を切り上げて戻りませんか?」
「お、おう、午後も頑張ろうな、エリオ」
ー入道雲が喰らった初恋ー
入道雲が君の全てを覆い隠した。
あの夏 君は、本当はなんて言いたかったったのだろう。
「俺らは、ずっとこの距離だと思うよ。
良かれ悪かれね。」
真夏の空の下、大きな入道雲を眺めていたら届いた
君からの返信メール。
そこに書いてあったこの一言を、三年経った今もずっと忘れることができない。
誕生日おめでとう。
大人になってもずっと仲良しかな
それともお互い家族ができたりして、
会わなくなるのかな なんてね
確か、僕はこんなメールを送ったと思う。
先に好きになったのは、僕だと思う。
君は知らないだろうな、話したことがないから。
ヤンチャで派手で人気があって、大体の先生のお気に入り。一生関わる事なんてないと思ってた。
隣の席になった君は、思ったよりフレンドリーなやつで、僕がなにげなくいう一言にいちいち大爆笑してた。
中学に上がるまでには、周りからもセット扱いされるくらい仲が良くなっていた。
君は、僕になんども「好きだ。」と言ってくれた。
その度にこの言葉が僕の頭を支配する。
「大切すぎてどうすればいいかわからない」
君を失いたくなかった。
恋愛関係なんていつかは終わる。
長い長い学生生活の間、僕はただ必死に
''君との関係を永遠のものにしよう''と友達に徹し続けた。
二十歳の誕生日
僕が抱くこの気持ちは愛である、
そう気づいたときには、もうすべてが遅かった。
「俺らは、ずっとこの距離だと思うよ
良かれ悪かれね。」
いつからだったのだろう?
君に近づこうとするのに、ある一定の距離までしか近づくことができない。
それ以上先は、どうしても進む事ができなかった。
ーお前とは友達以上にはなれないよー
ーお前に俺の弱さの全てを見せられないー
そんな声が、聞こえた気がした。
失いたくないが故に僕がとったあの行動は、
僕らの絆を永遠にするものではなく
君と僕の間に目には見えない深い溝を作る行為だったと、僕はその日初めて気がついた。
君は恋人の家に入り浸るようになった。
弱さを共有し、互いに慰め合いながら生きているらしい。
永遠を望んだその先に僕が見たものは、
友情にも恋愛にもなりきれなかった行き場のない愛情と歪んだ執着心だった。
あのメールをもらった夏から三年。
君への愛情が、まだあと少し、ほんの少しだけ残っている。この夏に全て溶けてしまいそうなほどに、ほんの少しだけ。
「俺らは、ずっとこの距離だと思うよ。
良かれ悪かれね。」
君のことだからきっと、僕を傷つけまいと遠回りして言葉を選んだんだろう?
あの夏、本当はなんて言いたかったの?
見上げた空に、あの日見たような入道雲。
僕の中にある君への想いを全部、
この先永遠に覆い隠してくれる気がした。
ー入道雲が喰らった初恋ー終
「入道雲、あるいは雷雲。積乱雲の別名らしいな」
積雲、わた雲が発達して、バチクソ高いとこまで達しちまった雲で、上部が小さい氷の結晶でできてるんだとさ。某所在住物書きは自室の本棚の一冊を取り出し、パラ見して言った。
「真夏に多い夕立ちの、前兆として稲妻が光りだすのは、雨降らせてるのも稲妻光らせてるのも、同じ『入道雲』だからっぽい、と」
で、この「入道雲」のお題の何がてごわいって、
俺みたいなその日の天候や出来事をリアルタイムで追っかけて、連載風の投稿してるタイプの場合、
投稿日に丁度良くその雲が出ない可能性があるってハナシよな。 物書きは空を見上げ、息を吐き、
「入道雲『っぽい形』で、何かで代用するか……」
――――――
29℃、31℃、33℃。とうとう東京都も夏の気配。今回はこんなおはなしをご用意しました。
最近最近のおはなしです。都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が暮らしておりまして、
そのうち末っ子の子狐は、善き化け狐、偉大な御狐となるべく、稲荷のご利益ゆたかなお餅を売ったり、母狐が店主をつとめる茶っ葉屋さんの看板子狐をしたりして、絶賛修行中。
今日も、どんより影さす雲の下、それを吹っ飛ばすような氷スイーツを狐型の配膳ロボットにのせて、
とってって、ちってって。
茶っ葉屋さんの常連専用、完全個室な飲食スペースの、一番奥の部屋に向かって、尻尾をピンと上げて歩きます。大好きなお得意様が居るのです。
カリカリカリ。前足を上手に使って個室のふすまを開けまして、ご注文の氷スイーツの到着をお知らせするや否や、コンコン子狐猛ダッシュ。
お得意様のお連れ様、たしか「お得意様の職場の後輩」と言った筈ですが、子供なので知ったこっちゃありません。その女性の膝の上に陣取ります。
尻尾をビタンビタン振って、頬を指を顎なんかも、べろんべろんに舐め倒すと、
お得意様のお連れ様はすっかり気をよくしてしまって、注文用タブレットを手繰るのでした。
「よーしゃしゃしゃ。今日は何のおやつを頼んでほしいのかなぁ?ジャーキー?ペット用かき氷?」
子狐のやつ、学習したな。完全に味をしめたな。
チベットスナギツネのジト目で子狐と自分の後輩を見るお得意様。配膳ロボットが持ってきたお膳を受け取って、厨房へ返します。
「おい。溶けるぞ」
御膳の上には、2人のお客様に対して、5個のカラフルかき氷。デカ盛りの様子はさながら入道雲。
ふわふわの氷が、涼しいクリスタルガラスの器に盛られ、あとがけのシロップ、つぶあん、抹茶あん、わたあめ等々で飾られるのを待っています。
1人で2個半づつ食うのでしょうか?
いいえ、いいえ。違うのです。食いしん坊な後輩が、1人で4個、食うらしいのです。
「先輩!私の代わりにかき氷撮って!」
入道雲より子狐コンコン!個室に備え付けの猫じゃらしを左手に、同じく備え付けの抜け毛取りブラシを右手に持って、ご満悦な後輩。
「私もうちょっとだけ子狐くんと遊ぶから」
あぁでも、コンくん撮りたい、コンくんどうしよ。
後輩はモフモフな子狐を甘やかして、撫でて、ブラッシングして、日頃の心の疲れだの何だのを存分に癒やしておるようでした。
あのな。 とけるぞ。
チベットスナギツネなお得意様がジト目で小さく、ため息をひとつ吐きました。
5個のカラフル入道雲なかき氷は、5個セットでコンコンこやこや、5858円税込み。
名前は「夏空のかき氷セット 特大入道雲盛り」。
夜明けのブルーベリー、朝焼けのレモン、青空のブルーサイダーに白雲のプレーン、それから夕焼けのスイカで合計5色の氷を使いまして、
それぞれのフレーバーで色付けされたふわふわ氷が、バチクソにデカく降り積もっておるのです。
お得意様は、普通盛りサイズの「ひつじ雲」で十分だと止めたのです。後輩が大丈夫「入道雲」でも行けると押し切ってしまったのです。
ほんとに、とけるぞ。
コレに白玉団子だのシロップだの、諸々トッピングして撮影してからの、実食だぞ。
なぁ。……とけるぞ。 お得意様は再度ため息。
お得意様のジト目と、お得意様の後輩の幸福笑顔と、それからコンコン子狐の尻尾ブンブンの裏で、
クリスタルグラスに盛られた入道雲は、下の方に少しだけ、雨がぽたぽた、たまり始めておりました。
結局、5色の入道雲かき氷は、
お得意様の後輩が淡々と適切なペースで完璧に食べ終えて、お得意様の朝焼けレモンだけ水たまり。
レモンハニーシロップと強炭酸水を追加しまして、濃厚レモンスカッシュにしてお持ち帰りになったとさ。
おしまい、おしまい。
左右を生い茂った草に彩られた街道を、ひたすらまっすぐに歩いていると、前方に白い雲が大きく育っているのが見えた。
雨が降るかどうかはわからないが、確率としては高くなる。
降られるのも別に悪くないだろうと一人なら気にも留めない。むしろほてった体が冷えてちょうどいいかもだ。だが、今は連れがいる。
急いでも屋根がある場所まで辿り着けるかどうか。
隣を歩く相棒は途切れがちに話していた口を左右に引き結び、怪訝そうに自分を見てきた。
懸念を悟られたことに眉尻をわずか下げて、空模様について説明した。
さらに怪しげに雨具があるのだから使えばいいと言われた。その通りではあるのだが。
持っているのはレインコートで、雨が降ったとしても通り雨になるだろうし、濡れた雨具を乾かすまでに着続けなければいけないのが、なんとも蒸して嫌なのだ。
いえば、濡れるのは良くて濡れた雨具は嫌なのか。相変わらず変なこだわりがあるなと含んだ笑いをこぼされた。
呆れた様子に、少々面白くなく感じたが、指を差された地面を見る。
濡れ始めた地面に諦めて背の荷物を下ろした。
入道雲はどうして大きいのだろうか。
どうして凛々しいのだろうか。
僕は夏休み、空を見上げては何度も考えた。
だけど、全くわからないんだ。
もしかしたら、あの雲の中に巨人がいるかもしれない。
もしかしたら、あの雲は雲の王様なのかもしれない。
僕にはさっぱり分からないが、
きっとおてんとさまは知っているのだろう。
突如現れ
こっちの心を掻き乱して
あっという間に消え去って
まるでゲリラ豪雨だよ
#入道雲
エピローグ『人悪戦争』
とある惑星では、人間と悪魔が争う『人悪戦争』が巻き起こっていた。
そんな時、一人の混血児が現れ、?!
(20X X年3月)第一話
この話の主人公、狐屋晴翔は、一人、戦況を見渡していた
晴翔/、、人間って愚かだよね〜、、まぁ僕も、人間と同じ血が流れてるからいえないけどね。、しかし、やっぱ悪魔側が結構有利に進んでるねw
この少年の言う通り、悪魔は劣勢であった
この少年は、人間と悪魔の血が交わり合った、混血児だったのだ。
晴翔/まぁ僕は、悪魔側につくんだけどねw
と、少年は不気味な笑みを浮かべる
第二話『戦争』
ルシファー(堕天使)/人間は愚かだ!そんな存在が生きていてどうなる!この世界が滅びてしまう前に今、人間は滅ぼすべきだ!
と、大声で言いながら、悪魔の大群を指揮している
モブ(人間)/人間は決して愚かじゃない!人間がいるからこそ、悪魔や神は生きていられるんだ!
と言いながら、指揮している
晴翔/面白いね〜w人間は。自分たちが1番偉いだとか強いだとか。実際は、僕たちや、動物、植物、機械に頼らないと生きていけないのにw本当に愚かだね〜人間は。
と言いながら、目の前にいた人間の頭を吹き飛ばし、
『あーあ。もう終わっちゃったの?』と言い放つとその人間の頭を遠くに投げ飛ばした
ルシファー/おい!お前も手伝え!!
と怒鳴り声で、晴翔に言う
晴翔/えー、、まぁルシファーが言うならやるけどさぁ、。
とため息をつきながらめんどくさそうに言い
モブ/一気にたたみこむぞ!!
と言うと、人間の群が一気に悪魔軍に攻めていく
晴翔/(不気味な笑みを浮かべる)あははw本気、出してもいいんでしょ?
と言いながら既に何十人もの人間を殺してしまっている
ルシファー/その調子だ晴翔!!
と言いながら、ルシファーも何人もの人間を殺していく
モブ/(また劣勢になってきているな、)お前ら!こいつらに勝つぞ!!
次回に続く
第3話『人類の終焉』
晴翔/やっぱ楽しいなぁw人間なんて、差別の塊のようなものだしw
と言いながら大勢の人間を虐殺している
ルシファー/、、、(この調子だと、今日中には人類を滅ぼせそうだな)
晴翔/あははwみーつけたw
とモブに言う
モブ/、、、?!
晴翔/(モブの頭を吹き飛ばした)やっと終わったよ〜ルシファー〜!
どうやら、モブは最後の人間、だったらしい
ルシファー/そうか。(やっと、、やっと終わらせれたな、。)
(この戦争が始まってから、約50年。)
これにより、この戦争は、悪魔側の勝利となった
しかし、悪魔側はまだ、人間側に生き残りがいたことを知らなかった、。
次回!『人間側にヒーロー現る?!』
入道雲が近づくと、夏を感じる。
あの分厚い雲が夏を表している。
もうすぐくるね。
入道雲
天気予報のカレンダーに青い傘が連なっている。
そういえばもう梅雨の時期に入ったのだった。
勘弁してくれ。
もう布団を洗濯機に回しているというのに。
老婆心から窓の外を見ると、なみなみと沖を行く漁船のように、入道雲が呑気な顔をして、姿を現していたのだった。
僕にとって君は特別
でも君にとって僕は特別じゃない。
それが片思い。
君の横顔を思い出しながら
自転車のペダルを踏みしめて
入道雲に向かって走り出す。
やるせない 夏の恋の1日
入道雲
夏だなぁ
雨が降ってくる
隣を見ても誰もいない
また夏がやってくる
入道雲の立体感が好きだ。
まるで実体があるよう。
それに跳び乗る妄想をしたりする。
そんなこと実際は出来やしないから楽しんでしまう。
「入道雲」
青く澄み渡った空に遠く入道雲が発生している。
あぁ、本格的な夏が始まったんだなと感じる。
自転車のスピードを上げれば涼しかった風も熱を含み、涼しさを全く感じない。
ただただ、暑いだけだ。
今日で高校も修了式を迎え明日からは夏休みが始まる。
ーー明日から会えなくなるんだなぁーー
高校2年生の夏休みは貴重だ。
来年の今頃は自分が決めた進路の事だけ考え、勉強に集中しなければならない。
遠くに見える入道雲に目をやる。
こうして見ると、夏らしく白い雲が連なった大きな雲は綺麗でとても見応えがあるが、あの雲の下の地域や、雲の中はいつか見た天空の城に行くために突入したアニメの様に、あちこちで雷が発生し、前も見えず大荒れでとても今感じている気持ちとはかけ離れた物だろうと思う。
入道雲=受験と重ねてしまいそうだ。
「おはよ!どうした?」
学校近くになったから、自転車を止めてボーッと遠くの入道雲を見ていたら、僕の肩をポンと軽く叩いて挨拶された。
「おはよ!あれ、笹本、自転車は?」
笹本は中学から一緒だが、同じクラスになったのはこの2年生からだ。
中学の時も住んでる所が反対方向で通学路被らないし、そんなに接点無いから、あまり話さないと思っていたら、同じ自転車通学と言う事で自転車置き場で毎日顔を合わす様になり、お互いの教室まで一緒に行くのが日課になっていた。
今は同じクラスだから、教室まで一緒に行くし、同じ委員になった事もあるので、かなり仲良くなっていると思う。
……そう思ってるのは僕だけかもだけど……。
小学校からサッカーをしているらしく、中学でも高校でも主将となり、在校生だけでなく、外部からも注目を浴びている。
白いシャツの袖から伸びている腕は筋肉質でシャツが眩しく見える程、日焼けしている。
こんなに日焼けしていても、笑顔は爽やかで、コシはあるけど、触り心地の良さそうなサラサラの色素の抜けない黒い髪に同じ色の瞳が細められ、僕が女の子だったらときめいた事だろう。
……いや、女の子じゃなくても、僕は密かに毎度ときめいていた。
カッコいいんだよぉぉぉぉ!!!!
心臓に悪いから、あまり笑顔を振りまかないでくれ!!
笑顔を向けられる度に僕はそう思ってしまう。
今は性について、かなり寛容になりつつあるけど、この気持ちはまだまだ世間的には認められる物ではないとしっかり胸に刻んでいるので、距離感を間違えない様に過ごしている。
「もうすぐ予鈴鳴るのに、自転車無いからちょっと散歩がてら迎えに行こうと思ったら、見つけた」
え、わざわざ僕を迎えに来てくれたの?
僕目線だからか、少し照れくさそうに見えるんだけど……ダメダメ、僕はたまに恋愛脳になるんだから、期待したらダメなんだ。
バレたら気持ち悪がられるし、今の関係が無くなってしまう。
「そうなんだ。僕の存在感があって良かったよ」
期待する気持ちを抑えつけながら、いつもの口調で話す。
「泉の存在感半端ないよ、俺、泉が休みの日寂しいもん」
またァァァ!!また、そんな期待値上げる事を言う!!
あなたは友達多いでしょ?!笹本が休んでボッチになるのは僕の方です!!
心の中で顔真っ赤にして叫ぶ僕。
笹本 楓と鳴川 泉……笹本と僕の名前だ。
僕は笹本の事を上の名前で呼ぶが、笹本は僕の名前を下の名前で呼ぶ。
下の名前を呼ぶのは親しい人の証らしい。
そして、今の所、下の名前で呼ばれてる人は僕以外に居ない。
鳴川よりも泉の方が短いし、呼びやすいからかもしれないし、だからどうしたって話だけど、僕は自分の名前を呼ばれる度に舞い上がる気持ちを抑えなければならない。
「で、どうした?ボーッとしてたけど」
僕より頭一つ分大きい笹本が覗き込む様に、間近で僕を見つめる。
ち、近い!近い!!心臓に悪いからァァァ!!
「あ、空が綺麗だなって……夏だなぁって……」
焦りながらも質問に答える。
「本当だな、入道雲が出来てる。明日から夏休みだもんな〜。海行きて〜!!」
まだ日に焼けるつもりかと突っ込みたくなるけど、本心から出た言葉に聞こえて思わず笑ってしまう。
「なぁ、夏休みの予定は?」
突然、聞かれ驚くが
「んー、特に無いなぁ。お盆にお墓参りと親戚の集まりがある位?」
毎年の夏休みを思い浮かべながら答える。
「俺、午前中は部活あるけど、午後からはフリーだから遊ぼうぜ!遊べるのって今年だけだよな、去年誘うつもりだったのに、言えなくて……。
課題とか一緒にやるのも良くない?俺の家でも良いし、図書館でも良いし……」
ま、マジか……。これは夢かな。
「いいね!僕の家も親は仕事で居ないから空いてるよ!」
動揺を隠しながら、友達の自然のノリで話に乗る。
「お、泉の部屋見てみたい!最初は泉の家でいい?」
軽く乗っただけだったのに、僕の家決定か……部屋片付けないと……
「いいよ!笹本、運動だけじゃなく、勉強も出来るから一緒に出来るのありがたいよ!僕の部屋をジャンジャン使ってくれ!」
「じゃあ、クラスのグループメッセージから個人に行っていい?また後で連絡しとくな!」
「うん、いいよ!僕も後でメッセージ送っとくね!」
もう長い付き合いになるのに、学校でしか話してないから、クラスや委員会のグループメッセージだけで事足りていた為、個人間でのやり取りは一切していなかった。
あ、あれ、夏休みに遊ぶってだけで、こんなに繋がれるもんなんだな……。
トントン拍子に夏休みの話から、ここまで一気に距離が近くなった事に呆然としながら、嬉しそうな笹本の顔を見る。
「やばい!もう予鈴鳴る!行こうぜ!!」
「わ!本当だ!急ごう!!」
時計を見た笹本が教えてくれ、僕も時計を見て慌てる。
僕は自転車には乗らず、笹本と走って学校へ入る。
自転車を置きながら、青い空を見上げる。
大きく連なる入道雲。
見ている分には良いんだ。青い空に白い大きな雲。
近づき過ぎると危険な夏の雲。
この景色が僕の夏休みを特別な物に変えてくれた。
笹本と過ごす奇跡の夏休みもこれが最初で最後と思う。
僕はあの雲を見ているだけで良いのだろうか……。
それとも、この夏休み、冒険する勇気を持つのだろうか……。
〜END〜
読んで下さり、ありがとうございました😊
消えねども
心のなかに惑うように
アイス食べたい鈴音とともに