左右を生い茂った草に彩られた街道を、ひたすらまっすぐに歩いていると、前方に白い雲が大きく育っているのが見えた。
雨が降るかどうかはわからないが、確率としては高くなる。
降られるのも別に悪くないだろうと一人なら気にも留めない。むしろほてった体が冷えてちょうどいいかもだ。だが、今は連れがいる。
急いでも屋根がある場所まで辿り着けるかどうか。
隣を歩く相棒は途切れがちに話していた口を左右に引き結び、怪訝そうに自分を見てきた。
懸念を悟られたことに眉尻をわずか下げて、空模様について説明した。
さらに怪しげに雨具があるのだから使えばいいと言われた。その通りではあるのだが。
持っているのはレインコートで、雨が降ったとしても通り雨になるだろうし、濡れた雨具を乾かすまでに着続けなければいけないのが、なんとも蒸して嫌なのだ。
いえば、濡れるのは良くて濡れた雨具は嫌なのか。相変わらず変なこだわりがあるなと含んだ笑いをこぼされた。
呆れた様子に、少々面白くなく感じたが、指を差された地面を見る。
濡れ始めた地面に諦めて背の荷物を下ろした。
6/30/2024, 3:23:14 AM