『優しさ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【優しさ】
他人を優しいと評す人間は間抜けである。
私は幾度となく「優しい」と言われたことがあるが、「優しさ」の定義は何だろうか。
間抜けはその意味も知らず発言している。
私は優しいと直接相手に言う人は信用できない。
荘子曰く「面と向かって人を褒めたがる奴は、影に回ると悪口を言いたがる」だそうだ。
同感だ。いつの世もこのような人間がいる。
私も荘子側の人間であると思うと、位が10ほど上がった心地である。
大概「優しい」と言う人は相手のことを真剣にみていない。
どこが優しいかと詰問すれば口ごもるだろう。
特段相手に良いところがないから「優しい」という耳触りの良い言葉に逃げるのだ。愚かである。
何をもって優しさとするのか、具体性を伝えれば良いのだ。
誉めるところがないからといって「君には良いところがないね。バイバ-イ。」と言えば良いものでもない。
そんなことを言えばバイバイされるのはあんたの方だ。正直すぎるのも困ったものである。
私にとって優しさとは、私の心が喜ぶもの。
私が好きだと思えるものが優しさ。
私は私が優しさだと思えることをする。
私が優しければ、誰かも優しくなるかもしれない。
すべては私から始まると思えば、優しさの重要さは計り知れない。
誰かから受け取る優しさも私は好きだ。
心が一瞬にして晴れる感覚はこの時に訪れる。
私の優しさなど大したことはないが、意図しない人の優しさはなぜか心が喜ぶ。
荘子曰く「自ら其の適を適とす。」である。
君と街中を歩いている時、横の路地の方で不快な音がした。そちらを見ると、派手な格好の女がガラの悪い男3人に囲まれ、うずくまって震えている。どうやらリンチに遭っているようだ。僕は息をのみ、隣にいる君に
「助けてあげようよ」
と耳打ちする。しかし君の反応は期待にそぐわぬものだった。
「放っておけ。これはあいつら4人の問題だ。私らの出る幕は無い」
言葉遣いこそ冷たいものの根は優しいと思っていた君が、どうしてそんな態度を取るのか、僕には理解できなかった。だって、目の前に困っている人がいるんだ。それなのに手を差し伸べないなんて。
「君ならあの女の人を助けられるだろうに、どうして?そこら辺の男や僕よりも筋肉あるし、何かの武道でだって黒帯持ってるんでしょ?困った人がいたら助ける。それが優しさってもんじゃないの?」
「私には関係のないことだ。行くぞ」
僕の説得には聞く耳も持たず、君はその場を去ろうとする。それでも、僕は諦めきれなかった。
路地裏へと踵を返し、ガラの悪い男たちの側へ近づいていく。君は呼び止めるがその声は無視する。
「なんだ?おまえ。」
男たちがこちらに気づく。僕は少し震えながら息を吸い込み、
「あの、弱い者いじめは良くないと思います」
と、男たちの目を見据えながら言った。
「理解できないな。なぜ無関係な面倒事に自ら首を突っ込む?」
僕を追ってきた君が、後ろから呆れたように言う。
「そうだぞ??坊ちゃんには関係のねぇことだ。そこのねーちゃんの言う通り、大人しくしてりゃ良かったのによぉ」
男たちの1人が僕に近づき、鬼のような形相で睨みつけてくる。しゃがみこんでいる女は、恐怖と不安を帯びた眼差しでこちらを見つめている。
「ほら、助けてあげようよ…!」
僕は後ろにいる君に再度ささやく。しかし君は少しばかり女の方を見た後、ため息をついた後こう言い放つ。
「助けも乞えない能無しに手を差し伸べるメリットなんて無いだろう」
僕は絶句し、男たちは途端に笑い出す。
「だとよ???残念だったな、人を救うヒーローになれなくてwww」
その時、ずっと無言だった女が不意に声を上げた。
「助けてください」と。
君は少し目を見開き、女に問う。
「助けたら何か私に良い事があるのか?」
女は言葉の意味をすぐには噛み砕けず、目を泳がせる。
「助けたらお礼のものくれるのか?と聞いてるんだ」
女はハッとして、指にはめていた指輪を君に見せる。
「これは…高級ブランドので、えっと……ここにルビーが埋め込まれてます」
「助けたらソレをくれるのか?」
「あげます、あげます……だから助けてください……お願いです……」
消え入りそうな声で女は懇願する。その横で僕は唖然としていた。人が困っている時に、助けた後の見返りを求めるなんて…!純粋に人を助けようという気持ちはないのか…?
見返りがあると聞いた君は深く息を吐き、男たちにナイフのような鋭い視線を向ける。
「そういうわけだ。早くここから立ち去れ」
スイッチが入った君は、男たちに食ってかかる。
男の1人が君を軽く鼻で嘲笑い、予想外の発言をする。
「オイオイ、俺たちはこの泥棒女を成敗してただけだぜ?」
「泥棒女?」
聞き返すと、別の男が饒舌に語り出す。
「そうさ。こいつは俺たちが汗水垂らして働いてやっと手に入れた大金を盗みやがったんだ。他の仲間も何人もこいつの犠牲になった。こいつはスリの常習犯さ。どうせその指輪も、スったカネで買ったんだろうよ」
僕らが衝撃の事実に愕然としていた隙に、うずくまっていた女が急に立ち上がり逃げ出した。
「あっ!待てゴラァ!!!」
女の逃げた方向へ、男たちもあっという間に去っていった。
残された僕らはただ立ち尽くす。やがて君は大きなため息をついて、数分前僕が言ったセリフを復唱する。
「……困っている人を助けるのが優しさ、ねぇ。……なぁ、この場合、困っているのはどっちだったんだ?優しさって、なんなんだ?」
僕は答えられず、黙りこくるしか無かった。
【183,お題:優しさ】
優しさを向けられると混乱する
自己肯定感が、底辺どころか床突き抜けて地球の裏に行きそうな程には低いから
優しさを向けられると脳内が、?でいっぱいになってしまうのだ
優しさは居心地が悪くてむず痒い
照れてるんだと、周りは勘違いしてるけど
綿で首をじわじわ絞められてる感じがする
少し苦しいけど温かくて、自分自身この感じが何なのか分かりかねている
氷点下の雪が、あたたかさを連れてくる。さり気ない気配が愛おしい。
#優しさ
与えられる方も
与える方もいつか壊れてしまうもの
いつしか我慢へと変わるもの
目に見えない、気づけない
気がついた時にはもうない
ふとした瞬間に消えている
それが優しさだ
300字小説
秘められた優しさ
人間と魔族の戦いが激化するなか、魔族に庇護され育てられた人間の娘など、あってはならない存在だった。
『お父さん』
と呼ぶ娘に
『利用価値も無い能無し』
と酷いことも言った。そして、密かに部下に調べさせ、善良な人間の営む孤児院を見つけ、大枚の寄付と共に『売り飛ばした』。
「あれから二十余年、まさか人間と魔族が和睦を結ぶ日が来るとは」
魔族側の使者として来た私の前に、人間側の使者として中年の女性が現れる。
「……お前は……」
歳はとったものの、忘れるはずもない面立ちを宿した彼女に愕然とする。
「お久しぶりです。お父さん」
彼女が笑む。
「やっと再会することが出来ました。私が貴方の優しさに気付かなかったと思いましたか?」
お題「優しさ」
優しさ 求めるだけじゃ無意味だね
⒈優しさ
初めに俺には好きな人がいる、生徒会長の俺よりしっかりしてて、綺麗で、皆に優しくて、それでいて自分には厳しい…そんな人を好きになった。
―
今日は文化祭だった、その文化祭も終わり皆、片付けに入っている。
一緒に片付けをしていた友人に急に言われた。
「あのさ」
「?どうした」
「生徒会副会長の麗香さんいるじゃん?」
「ああ、いるけど」
今言うが、俺の好きな人は五十嵐麗香(いがらし れいか)という人だ。
「麗香さんがどうしたんだ?」
「俺麗香さんに告ろうと思っててさ」
「……ぁ」
その言葉に反応出来なかった、反応の仕方が分からなかった。
俺の友人はイケメンでその上高身長、成績優秀でスポーツ万能…
まさに“主人公”という言葉が似合う男だ。
「そッ…そうか…いいんじゃね…?」
本心を隠して言った。
「噂で麗香さんが俺のこと好きって聞いて、単純だけど俺もそっから意識しちまってよ〜!w」
「…そっか…」
「おう!」
親友に等しい人と好きな人が被った
「お前も応援してくれるよな!」
「っ……」
そんな悪気のない言葉を向けられた
「ぉ…おう、当たり前だ…!!」
咄嗟にそう答えてしまった、答えてしまったからにはもう引き下がれない
かっこ悪いが諦めてしまおう…本当に…ダサいな
こんな時、自分に自信があれば良かったなんて今でも振り返ってしまう。
作︰水無瀬 陽鳴、酔狂
「優しさ」
私は、幼い頃から周りから言われる長所が
いつも「優しい」だった。
だけど、私はこの褒め言葉が苦手。
だって、一部の人は「優しい≒都合いい」って
無意識に思ってる気がする。
『優しいから断らないでしょ?』
優しいしか褒められない私は、
優しくあるために断れなくなった。
私はもう、ただ優しい人ではいたくない。
強く優しい人になりたい。
『優しさ』
私はよく「優しい人」と言われていた。
確かに、相手の嫌がることはしたくないし自分より
相手に幸せになって欲しいという考えはある
別に自分が遠慮をしているわけではないけど、
相手に合わせるのは得意だ。
でも、もし相手が悪いことをしようとしても私は注
意できるような人ではない。
かと言って一緒に参加するようなこともしない
ずるい人間だと思う。
私が好きになった人は優しくはなかった。
思ったことを全部口に出すし、相手を傷つけること
もすぐ言っちゃう人だった。
でもそれは羨ましいことだと思った。
自分の軸がしっかりあってダメなことはダメと
好きなことは好きと言えるはっきりとした人だった
少しデリカシーが無い彼だからあまり人からは好か
れていなかったけどでも
私はそういうところが好きだった。
昔の家の
広い庭に
小さな私は
小さな小さな青い花をつんで
ぴょこぴょこ動いて
笑っている
その花がいつの間にか
夏のホコリになって
車に閉じ込められて
やがて駅に流れてゆき
雑踏の中
スーツケースの毛玉になったりして
やがて日本海を北上し
空に舞って千切れて
大きくなった私のもとに
雪となってふわふわふってきてくれる
【優しさ】
優しさ
緩く滑らかな静けさ
薄く鮮やかな傷口
淡く儚げな明確さ
呆気なく痛みのない一振り
明らかな違いだと思う
優しいとは届かない違いで
優しいとは違わない想いで
優しくとは届く気遣い
優しさとは側から見えた考え
どこかには届くかもしれない
それがどこを向いてたはともかく
簡潔に言うと
優しさは痛みである
痛みを感じないものもいるね
他の痛みで誤魔化しる
そのことに気がついてないと
ほとんどは無力で
ただ優しくしても無駄になる
伝わらない思いに意味がある
それは伝えたい側に
いつかそれとなくわかるなら
それはその時に意味をなす
しばらくは待つしかない
それはもう既に
伝えられた側の問題だから
優しさ
すべてを包み込んでくれる
すべてを忘れさせてくれる
自分の中の素直な感情に気づかせてくれる
それを求めていた
求めていたつもりだけど
与えてばかりだ
与えていたつもりだけど
実はたくさん与えてもらっていて
それに気づいたときには
自分はただの自己中野郎になっていた。
優しくされたら、優しくできる。
優しい人は、優しくされた喜びを知ってるから優しい。
優しさは一方通行じゃない。
だから嫌いな人や苦手な人には優しくできない。
一方通行の優しさは、いつか心が折れる。
真の優しさには見返りはいらない。
優しさの連鎖で世界が丸くなれば、戦争もなくなるのかなぁ。
まずは身近な家族から優しさの連鎖を始めよう。
優しいって難しい。
誰かに良くすれば、優しい。
手伝ってくれれば、優しい。
話を聞いてくれれば、優しい。
否定しないで黙って聞いてくれたら
黙らず意見を出してくれたら
怒らないでくれたら
ちゃんと叱ってくれたら
そんなの主観の違いだ。
分かってるよ。分かってる。
世の中って変に優しいにこだわり過ぎなんだよ。
僕はそう思う。
現に僕も優しいに甘えてる。
こうして、目の前で僕を殺そうとしてる君が
もし僕を見逃してくれるなら、君を僕は『優しい』と言うだろう。
じゃあ、君がもし僕を殺したら、君は……
俺は、なんて優しい人間なんだ。
目の前にいるこいつを苦しまずに解放してあげるなんて。
苦しんでいるやつの為にオレがこの世界から
みんなを解放してあげるんだ。
天国に行けるように。
さて、次は誰をカイホウシテアゲヨウカ
タイトル:優しさ
ボクは優しくなんかない
どう思われるか怖いから
本当の気持ち隠したいから
責任から逃げたいから
本当の事が言えないダケ…
だから
キミに対して優しい
怒ってあげられる人になりたいんだ
優しさの大部分は愛情からできていると思う。
だけど世間の優しさの大部分は、たぶん打算や下心の偽装でもあって、そこが難しいし面倒になる。
他人を思いやる気持ちや行動。
優しくなりたいと人は常に感じている。
それを失うことは社会性を失うことに他ならず
孤立してしまうからだ。
自分勝手に行動することも大変なんだ。
僕が通ってる中学校は、歩いて30分くらいで着く。
いつも通りの通学路。
けど今日は、なにか違った。
カン、カン、カン、カン、、、、
踏切が鳴る。
それを横目に見ながら通り過ぎようとした時、ある少女が目に入った。
「ッ……タッタッタッタッ」
「ッはっ?」
少女は踏切が鳴っているにも関わらず、線路の中に走っていったのだ。
よく見ると、同じ学校の制服。
鞄は踏切の隅に置いてあった。
電車が近ずいてくる。
「…ッガシッ」
ガタンゴトンガタンゴトン
……
「はあッ…はぁッ…危ないだろッ?!」
何とか直前で少女の手を引き、2人とも助かった。
ここは人通りが少なく、僕が手を引いてなければ彼女はきっと死んでいただろう。
数分経って、やっと彼女が口を開く。
「……なんで助けたの。」
「…は、?」
「私、死にたかったのに。消えたかったのに。なんで、、」
「…君、僕と同じ中学だろ?それに、目の前で人が死にそうなのに、助けない方がおかしい。」
「…それってほんとに私を助けたの?」
「え、、?」
「私がなんで死のうとしたかも知らないくせに、勝手に私の心の中に土足で入り込んでこないでよッ…」
ー作者解説ー
今日のテーマは〖優しさ〗。
自殺しようとしてる女の子と、それを止めた男の子を書いてみました。
皆さん、優しさってなんだと思いますか?
確かに、男の子がした事は、きっと世間的には正しいことなのでしょう。
でも、女の子にとって、その行動は本当に正しい優しさでしょうか。
この後2人はどうなったんでしょうね。
暇な時にでも、優しさについて考えつつ、この物語の続きをあなた方が完成させてみてください。
それではまたお会いしましょう。
私は、あの人の優しさに酔いしれ、溺れ、胡座をかいている気がしてならない。どんな言葉も、どんな憂いも、どんな行動にさえも敵わない。あの人が羨ましい。空虚な自分なんて消えてしまいたい。きっと、そんなことをしたら、あの人は悲しんでしまう。それだけは、悲しむ顔だけはさせたくないんだ。何故って、それは、あの人が私の親友であり、片思いの人であり、唯一無二であるから。愛おしく、儚げで、可愛らしい。いつの日か、どれ程私があの人に救われたのか伝えたい。どれ程好きなのか伝えたい。人生一度きりと言うのなら、明日、伝えよう。明日の夜8時半に、通話越しに。直接会って、告白したいから。好きなのは、まだ言わないけど。もし、付き合えたら、どんな風に、私を愛してくれるのだろうか?考え得る限り、優しい温かい愛なのは間違い無さそうだ。ただ、空っぽな私は、君の優しさや気遣いや好意に値する程のものを返せない。そんな私が隣に居るのは、嫌だろうか?案外、女々しいあの人の事だ、私に主導権を握らせることだろう。あの人の口から先に好きと言わせる戦略を立てられると思うと、存外面白い。
私は、あの人を好きなのだろうかと、時々考えてしまう。切なさと、自分に対するあの人を信じきれていないことに嫌気がさす。でも、きっと愛せるって、根拠のない自信だけが宙を舞っている。元カレに植え付けられたトラウマのせいで、人の愛し方を失くしたけれど、それで良かったんだ。私は、あの人だけの愛し方を作っていけばいいと考え、行動に移せるのだから。あの人との時間の共有は、心地良い。最近、知ったのは、あの人は意外にも話すことが好きだと言う事だ。いつもは寡黙で、聞き役なのに、私の前でよく話すようになった。私がもっと知りたいと言ったからだろうか。私は、大切な人とは、沢山話をしたいと思っているので、嬉しい。どんな苦痛が私を襲っても、あの人が居て、隣で話が出来たなら、私は乗り越えて見せるよ。
あの人は、私が他の男性と話していると、暗い顔になって、こっちを見てくれない。嫉妬しているのだろうか?最近は慣れたと言っていたが、寂しそうな、悔しそうな顔をしているのは、気のせいだろうか。こちらとしては、あの人の周りの女性の方が気になるのだけれど。それはそうと、あの人は私と面白いくらい真逆なんだ。私は、男性の友達が多い。だが、あの人は女性の友達が多い。私は、何時間でも本を読めるくらい読書が好きだ。あの人は、両手で数えられるくらいしか本を読んだことがない。あの人は、音楽ではラップが好きだ。でも、私はラップがあまり好きではない。あの人はマンゴーやアボカドが苦手だ。私は逆にマンゴーなんかは大好物だったりする。こんな調子だが、共通点が無い訳でもない。私もあの人も冬が好きだ。苺を一生食べていられる。甘党。珈琲はブラック。好きな色は青。好きな時間は夜から朝方にかけて。
私は、あの人と親しくなって、親友に成れたことは、誰が何と言おうと、嬉しかった。あの人の心の内に触れ、優しさに支えられ、共に苦難を乗り越えられ、今に至ることに、意義と言い表せない程の深謝と幸福に満たされた。私とあの人がこれからも共に過ごす時間があるのなら、私は、幸せだ。