悠々

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私は、あの人の優しさに酔いしれ、溺れ、胡座をかいている気がしてならない。どんな言葉も、どんな憂いも、どんな行動にさえも敵わない。あの人が羨ましい。空虚な自分なんて消えてしまいたい。きっと、そんなことをしたら、あの人は悲しんでしまう。それだけは、悲しむ顔だけはさせたくないんだ。何故って、それは、あの人が私の親友であり、片思いの人であり、唯一無二であるから。愛おしく、儚げで、可愛らしい。いつの日か、どれ程私があの人に救われたのか伝えたい。どれ程好きなのか伝えたい。人生一度きりと言うのなら、明日、伝えよう。明日の夜8時半に、通話越しに。直接会って、告白したいから。好きなのは、まだ言わないけど。もし、付き合えたら、どんな風に、私を愛してくれるのだろうか?考え得る限り、優しい温かい愛なのは間違い無さそうだ。ただ、空っぽな私は、君の優しさや気遣いや好意に値する程のものを返せない。そんな私が隣に居るのは、嫌だろうか?案外、女々しいあの人の事だ、私に主導権を握らせることだろう。あの人の口から先に好きと言わせる戦略を立てられると思うと、存外面白い。
私は、あの人を好きなのだろうかと、時々考えてしまう。切なさと、自分に対するあの人を信じきれていないことに嫌気がさす。でも、きっと愛せるって、根拠のない自信だけが宙を舞っている。元カレに植え付けられたトラウマのせいで、人の愛し方を失くしたけれど、それで良かったんだ。私は、あの人だけの愛し方を作っていけばいいと考え、行動に移せるのだから。あの人との時間の共有は、心地良い。最近、知ったのは、あの人は意外にも話すことが好きだと言う事だ。いつもは寡黙で、聞き役なのに、私の前でよく話すようになった。私がもっと知りたいと言ったからだろうか。私は、大切な人とは、沢山話をしたいと思っているので、嬉しい。どんな苦痛が私を襲っても、あの人が居て、隣で話が出来たなら、私は乗り越えて見せるよ。
あの人は、私が他の男性と話していると、暗い顔になって、こっちを見てくれない。嫉妬しているのだろうか?最近は慣れたと言っていたが、寂しそうな、悔しそうな顔をしているのは、気のせいだろうか。こちらとしては、あの人の周りの女性の方が気になるのだけれど。それはそうと、あの人は私と面白いくらい真逆なんだ。私は、男性の友達が多い。だが、あの人は女性の友達が多い。私は、何時間でも本を読めるくらい読書が好きだ。あの人は、両手で数えられるくらいしか本を読んだことがない。あの人は、音楽ではラップが好きだ。でも、私はラップがあまり好きではない。あの人はマンゴーやアボカドが苦手だ。私は逆にマンゴーなんかは大好物だったりする。こんな調子だが、共通点が無い訳でもない。私もあの人も冬が好きだ。苺を一生食べていられる。甘党。珈琲はブラック。好きな色は青。好きな時間は夜から朝方にかけて。
私は、あの人と親しくなって、親友に成れたことは、誰が何と言おうと、嬉しかった。あの人の心の内に触れ、優しさに支えられ、共に苦難を乗り越えられ、今に至ることに、意義と言い表せない程の深謝と幸福に満たされた。私とあの人がこれからも共に過ごす時間があるのなら、私は、幸せだ。

1/27/2024, 12:56:56 PM