『何気ないふり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今日も私は目を逸らす。
随所に転がるほかの女の痕跡を。
私が知らない香水も、私の知らないキスマークも。
全部全部見ないふり。
そうすれば、きっと幸せに暮らしていられる。
今日も私は、自分のために、あの人のために、見て見ぬふり。
‐何気ない振り‐
♯23
表情にも出さない、声にも出さない。
...貴方に、悟られたくないから。
頑張って、頑張って隠してる
溢れだしそうな程の、貴方への好意を。
---二作目---
「いってらっしゃい」
って、笑顔で送り出す。
「いってきます」
って、そんな声と共に扉が閉まる。
その瞬間に、涙がボロボロと零れてきた。
...本当は、離れたくない。
ずっとずっと、そばにいて欲しい。
でも、そうした迷惑をかけるって、分かってるから。
今日も笑顔で、送り出す。
#何気ないふり
256作目
「ことなしぶ」
薄暗い闇の雲の中、吾は呟く。
眼下には、吾には眩しすぎる光が広がっている。
ヒトの夜も、吾がよく陸空へ降りていた頃に比べると、かなり明るくなった。ヒトが、吾の姿を捉えられる陸空へ降りなくとも、街の様子がよく見える。
「ことなしぶ」
吾は呟く。
あるヒトが、疲れた顔をして、手に持つ電子機器に目を落としながら、歩いている。ヒトの通る道の端、母猫に捨てられた子猫がうずくまっている。
「ことなしぶ」
吾は呟く。
あるヒトが、ヨレヨレの服を整えることもできず、寝たふりをしている。目の前に立つヒトもまた、何もいうこともできずにぼぅっと、席に座るヒトの後ろの窓を眺めている。
「ことなしぶ」
吾は呟く。
吠え声を上げ、荒事を楽しむヒトの群れ。
そのヒトの群れから、目を逸らして通り過ぎるヒトの群れ。
「ことなしぶ。ヒトの世は昔も今も変わらぬもの」
吾の両眼が見えたのだろうか、一匹のヒトの子が、吾の方を指差し、叫ぶ。
「ママ!あそこ光ったよ!UFOかな?飛行機かな?」
「…バカなこと言ってないで、さっさと帰るわよ。もう夜遅いんだから」
「でも、ほんとに光ったよ!ぼく見たもん!ママも見た?」
「はいはい、もういいから。ほら、もうお化けの出る時間よ」
「うしみつどき?」
「はいはい、さっさと帰るわよ…いい子はもうねんねの時間よ」
疲れ切った顔をしたヒトが、寂しそうな顔をしたヒトの子の手を引き、帰路に着く。
「ことなしぶ。何気ないふりのなんと愚かなことよ」
ヒトが素知らぬふりなどやめれば、吾の亡魂も少しは浮かばれようものよ。
「だが、しかし、ヒトの世とは、何気ないふりをせねば、生きていけぬものよ」
吾は呟く。
「ヒトは皆、くたびれておる。何気なく素知らぬふりでもせねば、全てに心を尽くしておれば、ヒトの心は疲れ切り、荒びてしまう。吾が浮かばれぬのも仕様のない宿命なのかも知れぬ。ことなしぶ、誠にことなしぶ世の常よ」
もうすぐ夜が明ける。
朝になれば、吾はまた、鵺塚に戻る。
吾の身体はバラバラに振り分けられ、いくつもある全ての鵺塚に戻るのだ。
だが、吾はもはや、吾が浮かばれることを望んではおらぬ。
「ヒトよ。ことなしび、闇の中で生きよ」
吾はゆっくり帰路に着き始めた。
毎日、同じスピードで時間は流れている。
一週間は7日間だし、東から日が昇って西に沈む。
今日も朝がくる。でも世界は変わらない。
君がいないこと以外は何ひとつ変わらない。
君がいない朝。
君がいない教室。
君がいない帰り道。
君がいない。
ただ、それだけ。
それ以外は何ひとつ変わらない。
学校にいる人たちは笑っているし
授業だっていつもと変わらずに進む。
いつもと同じ、なんともない日常。
泣いていた君がいないだけ。
いつも隣にいた君がいないだけ。
君がいないだけの、何気ない日常。
そんな 何気ない 日常が また 訪れる
「ふり」って凄く大変でそれでいて凄く必要なことだ。自分の気持を全てさらけ出していたら人はだれも寄り付かない。生きる上で立場上有利になるように使う騙し細工だ。自分を殺し感情を押し込め黙って笑って人に好かれるような言動を繰り返す。これができなければ人と関わることなどとても不可能だ。嫌われ、罵倒され、人間の輪から外される。浮いて二度と溶け込めない。
人生に細工は不可欠だ。傷つきすぎた脆い硝子の心を細工して、美しく、華々しいことしか見えないように。壊されないように。もう二度と心を失うことがないように。傷ついたら細工して、細工したら傷ついて。学ばない。学べない。人間は皆弱いくせに、自分の心を隠すから皆、傷つけ合う。本当は皆、弱くて脆い。
私はずっと人間誰でも心根は同じだと思っていた。そうならいいと思う。皆違うのだということに気づくまではどれだけ何を言われても、睨まれても平気だった。この人も根っこは私と同じで怖がりなんだ。こうやって容赦無い言葉を浴びせかけてきても、睨んできても、虚勢を張っているだけで本当は、今、とても怖いんだって。本当にそうならどれだけいいだろう。人に嫌われ、孤独になることを恐れ人生に「ふり」という細工をして、自分を誤魔化す。自分が嫌いだ。大嫌いだ。時々触れた針のような言葉に心がグサリとえぐられ細工が剥がれそうになる。また、大丈夫だよ。全然平気だよ。人の反応が怖くて相談できない。きれいな硝子細工の心を誰も疑わない。気遣わない。全てを放置して全てを投げ捨てて消えてしまうことができれば。こんな人生に細工を施すためだけに生まれてきた訳じゃないのだから。終わらせてしまいたい。この硝子を割ってしまいたい。心なんて「ふり」で、「嘘」で、凍ってしまえばいい。
お休みなさい。
何気ないふりが一番辛い、、
期待しちゃうじゃん、、、
それとも期待してもいいの、?
目の前で一生懸命何かを探す女性。
俺と同じくらい背が高く、一つにまとめた髪とパンツスタイルがよく似合っている。
「川原さん、何を探してるんですか?」
俺の声を聞いて、ハッとしたように目を見開く彼女は、少し幼くて可愛らしい。
「あ、柳さん。ちょっと債権回収の本を探してて。確かこの辺にあったはずなんですけど…」
「え、それもしかしてこの本ですか?」
棚に戻そうと思い手に持っていた本を見せる。
「あっ!それです!柳さんが持っていたんですね」
「はい。もう見ないので、このまま渡しますね」
本を彼女に渡そうとしたら、彼女と手が触れた。
少しだけびくついた彼女。俺は怖がられているのだろうか。まだ先は長いな。
「ありがとうございます!」
にっこりと彼女が笑う。
「ーーー可愛いですね」
「え?」
しまった。笑った顔がとても可愛かったものだからつい真顔で口にしてしまった。
まずい、引かれる…。
「柳さん、冗談でも、びっくりします…でも、ありがとう、ございます…」
うん?思っていた反応と違う。
顔を赤くして、本を胸に抱いて俯く彼女。
抱きしめたくなる愛らしさだったが、怖がらせないように、落ち着いた大人の男を装って、何気ないふりをせねば。
「す、すみません!さ、さて、そろそろ戻りましょうか」
「い、いえいえ!そうですね、も、戻りましょう、柳さん!」
落ち着いた大人の男は失敗したが、資料室の外に向かううちに、少し俺は落ち着いてきた。
やっぱりこんなチャンスそうそうないし、柳さんも嫌そうじゃなかったし、少しだけ。
少しだけ、気持ちのかけらを伝えてもいいかもしれない。
資料室のドアの前、急に立ち止まった俺を不思議に思ったのか、どうしたんですか、という彼女の声が後ろから聞こえてきた。
くるりと彼女の方を向き、彼女と視線を合わせてーーー
「さっき可愛いですねって言ったの、冗談じゃないですからね?」
笑顔と共にそう伝えた時の彼女の顔は、俺だけの秘密にしておこうと思った。
テーマ『何気ないふり』
何気ないふりをしていつも通り過ごしている。でも、それは他の人から見ればとても幸せなのかもしれない。貴方にとっての『幸せ』とはどんな幸せですか? 【何気ないふり】
何気ないふり
高校は退屈だ。
別に頭がいい訳では無い。
ただ単につまらないだけの日常を送っている。
ただそれだけの事。
友達なんて居ない。一匹狼が格好良いから憧れている奴と一緒にしないで?そんなんと違うから。
って僕は誰に話してるんだか......。
そう思いながら、窓の外を見ると先輩達が体育の授業を受けていた。
(外の授業だし、この季節は陸上か......。)と何となく見ていたら、1人の先輩がこっちを見ていた。
その先輩と目が会った瞬間、ニコッと笑顔を見せてこちらに手を振ってきた。
ビックリして、机の上に置いてあったペンを落としてしまった。隣の席の奴は「どうした?」と聞いてきたけど、そこまで仲良くは無いため、何気ないふりをしてしまった。
一旦落ち着いて、もう一度窓の外にいる先輩を見ると校庭をを走っていた。
その走る姿が素敵で、少し授業をサボってみていた。
何気ないふりして
君はちゃんと分かってくれてる
わたしのこと
ずるいな
もっともっと
好きになってしまう
「いつまで私とこうしてるの...?」
『え、そっそれは...』
「ねぇ」
『えーっと...』
「...」
『私が君を救い出せるときま...え?』
「ごめんね...でもこれでもうあなたは解放されたでしょ...私もすぐ行く...早く解放されたい...この呪毒から... 」
(何気ないふり)
何気ないふり、、
そんな、日常。。
何気ないふり。
何気ないふりが
今日は
できたかな?
今日はゆうのギターは
伸び代。
何気ないふりで
今日も大好き。
みんなの前では、笑って、何気ないフリしてる、、、
だけど、裏では、ずっと病んでるし、泣いてる、、、
上履き袋に体操着
お道具箱に防災頭巾
もちろん背中にランドセル
黄色い帽子の1年生
「よこせよ、持ってやる」
ふたつ上のお兄ちゃん
「オレはめっちゃ力持ちだから」
「こんなの小指一本で持てる」
えっ、そうなんだ!
お兄ちゃんてすごいんだなぁ
そう思ってたけど
すごく、優しいんだった
「何気ないふり」
#376
何気ないふり
当たり前のように傍に居てくれたのは
僕のため…?
──なぁんちゃって
そうだといいなって思っただけだよ
「おはよー!」
後ろからがばっと抱きついてくるのは、俺の幼馴染。
高校生になってもするこの挨拶は、小学生から続いている。
もう高校生で、体つきも育ってきているのに、健全な高校生男子にはきつい事である。
しかし今日も、何気ないふりをする。
「んにゃ、おはよ」
そんなふうに始まる一日。学校生活はあまり話すことはない。そして家に帰り、1人の時間が…と思う日もあった。
俺の部屋でゴロゴロして、無防備な格好でいる幼馴染は、今日も変わらず漫画を読んでいる。
そして、俺とこいつは家が隣なこともあり、遅くまでいることが多い。
なので、お風呂に入ってからくることが多いのだが、それがまたきつい。
なんかいい匂いするし、少し湿った長い髪は色っぽいし、ラフな部屋着でいるため、服の裾から覗く横腹がまたまた…
しかし、俺はそれも何気ないふりをして、なにも考えないようにベッドの上に座り、スマホをいじるふり。
「ねぇー、この漫画の新しいのない〜?」
めんどくさいため、
「自分で本棚探せ」
と言うと、「えー?」と言いながら、俺の横に座ってくる。
ぎしりと、ベッドが鳴る。
「とってきてよ〜、ね?」
と言いながら俺をじっと見つめてくる。しかし、俺は無視を貫く。すると、ぶぅ、とした後に、何かを思いついたのか、ニヤリと笑い、俺に寄ってくる。
そして、毎朝するように、俺にふわりと抱きついてくる。そして、妙に色っぽい猫撫で声で
「お願い、とってきて…?」
俺はもう我慢できなかった。
がばりと幼馴染に覆い被さり、顔を近づける。
幼馴染は、なにが起こったのかわかっていないようだ。鼻が触れるか触れないかの距離で、俺は話す。
「毎日俺にベタベタ触りやがって。こっちは毎日モヤモヤしてしかたねぇんだよ。そっちがその気なら、こっちもその気になってもいいってことだよな」
そう言うと、幼馴染は驚いた顔をした後に、緊張した顔になって、頬を赤らめながら、目を逸らし
「…いいよ。あんたになら、なにされても…」
俺は、辞めるつもりだったが、その言葉を合図に、自分を止めることはできなかった。
俺とお前の、唇が触れた。
緊張してるが、ここでも、何気ないふり。
しばらく連絡を断っていた人
煙たがっていた人
けど血の繋がりのある人
久しぶりの電話があった
気が向いて出てみたら
何もなかったかのように話してくる
何気ないふりしてるのかな
何も考えてないのかな
長電話は疲れるってずっと言えなかったから
1時間になるから切るねって
やっと言えた
断るための第一歩
がんばったよね、わたし
#皿の中の味
ドブの味のするスープの具合はどうだ?
お口に合ったか。
とてつもなく絶望し、しかし自己愛を捨てきれず、
投げ捨てた筈の空の皿を見下していた筈だが?
ぁあ?
腹の虫が鳴るのを放っておいただろう?
まぁ、そこの皿に入っていた飯が気に食わなかったのは分かる。
大いに理解しよう。
その反抗心たるや天晴れだ。
俺もそうだった。
さぁて。
どんな味だ。
お前が初めて自分の手で掴み掛かった皿のそいつは。
あぁー俺の時は、トマトの味がした。
塩も胡椒も何もない、トマトを潰したスープだったなぁー。
「お前は?Mr.」
「... ドブの味だろ。」
「そうか。お前はもっと美味いものを食えよ。」
さて、では次に行こう。
「あんたは?Ms.」
あんたが味わった
希望の味を、俺に教えてくれないか?
あなたは何気ないふりをして、いつものようにねるねるねるねに水を加えて、混ぜ合わせました。
しかし、ねるねるねるねの色は、誤魔化せません。
あなたがどうして、あんな稚拙な嘘をついたのか、私にはどうしても分かりませんでした。
いずれにしても、簡単に嘘を付く人とは仲良くなれないと、私は思いました。