冬華(トウカ)

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「おはよー!」

後ろからがばっと抱きついてくるのは、俺の幼馴染。
高校生になってもするこの挨拶は、小学生から続いている。
もう高校生で、体つきも育ってきているのに、健全な高校生男子にはきつい事である。

しかし今日も、何気ないふりをする。

「んにゃ、おはよ」

そんなふうに始まる一日。学校生活はあまり話すことはない。そして家に帰り、1人の時間が…と思う日もあった。
俺の部屋でゴロゴロして、無防備な格好でいる幼馴染は、今日も変わらず漫画を読んでいる。
そして、俺とこいつは家が隣なこともあり、遅くまでいることが多い。
なので、お風呂に入ってからくることが多いのだが、それがまたきつい。

なんかいい匂いするし、少し湿った長い髪は色っぽいし、ラフな部屋着でいるため、服の裾から覗く横腹がまたまた…

しかし、俺はそれも何気ないふりをして、なにも考えないようにベッドの上に座り、スマホをいじるふり。

「ねぇー、この漫画の新しいのない〜?」

めんどくさいため、

「自分で本棚探せ」

と言うと、「えー?」と言いながら、俺の横に座ってくる。
ぎしりと、ベッドが鳴る。

「とってきてよ〜、ね?」

と言いながら俺をじっと見つめてくる。しかし、俺は無視を貫く。すると、ぶぅ、とした後に、何かを思いついたのか、ニヤリと笑い、俺に寄ってくる。

そして、毎朝するように、俺にふわりと抱きついてくる。そして、妙に色っぽい猫撫で声で

「お願い、とってきて…?」

俺はもう我慢できなかった。
がばりと幼馴染に覆い被さり、顔を近づける。
幼馴染は、なにが起こったのかわかっていないようだ。鼻が触れるか触れないかの距離で、俺は話す。

「毎日俺にベタベタ触りやがって。こっちは毎日モヤモヤしてしかたねぇんだよ。そっちがその気なら、こっちもその気になってもいいってことだよな」

そう言うと、幼馴染は驚いた顔をした後に、緊張した顔になって、頬を赤らめながら、目を逸らし

「…いいよ。あんたになら、なにされても…」

俺は、辞めるつもりだったが、その言葉を合図に、自分を止めることはできなかった。

俺とお前の、唇が触れた。

緊張してるが、ここでも、何気ないふり。

3/30/2024, 10:43:27 AM