『不条理』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
不条理だらけの世界で
抗おうと生きた君は
世の中の不条理に殺された
苦痛に歪んだ君の顔
私はこの世の残酷さに嘆いて
不条理だらけの世界を憎んだ
ー不条理ー
寝る前に私は食器を洗う
水がはねない程度に
強めに蛇口をひねって
コップから皿、箸、フライパンと
泡に包ませ一気に水に流す
シンクの泡がすべて排水溝にくるくると
吸い込まれたのを確認して
蛇口を止めハンドクリームを塗る
そんな別に大した事ない
淡々とした行動に
この世界の不条理に苛立つこころが
少しだけしぼむ
朝起きて乾いた食器と
さらさらな手に安堵して
昨日の自分にちょっとだけ感謝する
不条理
不条理
この世ってのは、大抵不条理でできている。
実際大体が辻褄合わせで付け足されたもので、誰もが身勝手なものだ。
誰かが身勝手に振る舞えば、そのツケはまた誰かに降りかかる。
言わば水の掛け合い。世界は不条理のパズルで回っている。
……少なくとも、自分の目からは世界がそう見えただけだ。
自分は誰かの尻拭いをしていて。
また他の誰かに自分の身勝手の尻拭いをさせている。
もし誰もが同じなら、
道理がどうとか気にせずに、身勝手でいいから幸せに生きちゃあ駄目だろうか。
不条理な世界?
そりゃそうだよ、この世界は不条理でできてるようなもんだと思えばいい。
それじゃ不安定だから、何かに当てはめたくなるのはわかるけどさ。
必ずはみ出すものがあるんだよ。
変な隙間もできたりしてさ。
それでいいじゃない。
ピタッと当てはまるものだけが美しい訳じゃないんだよ。
そもそも美しいって何だよ?
何を美しいと思うか、そこにもほら、不条理はあるじゃないか。
不条理に腹を立てるだけ、時間のムダだ。
世の、不条理が私の首をぎゅうぎゅうに締める。
世の、理不尽が私の背にずごんずごん伸し掛る。
世の、非合理が私の耳にがつんがつん突き刺す。
それでも、打ち勝たなくちゃ生きていけない。
社会貢献に徹するロボットでも、家に引こもるニートでも、学生でも、猫でも、犬でも、社会人でも。
降りかかるネガティブに打ち勝てないと……
『今夜、不条理の庭で』
観葉植物が観られることを忘れて踊る 独りパーティーをする 来客のフリ 乾杯のフリ グラスの中身はなんだっけ? プラスにもマイナスにもならない
変わった人のフリをしよう 自己欺瞞がビオトープで
息を潜めている
しかし現実は上手いこといかない
客からのどうにかしろ!の問い合わせやどうしたらそうなるんだと嘆きたくなるような対応に追われ、この世の不条理さにちくしょう~…!と内心腹をたてている
今日の勤務ははなんとか片付いたから次回は平和だといいな!
…そんな期待も打ち砕かれる
前回とはまた違った嫌な問い合わせや困った対応に終われ再びこの世の不条理に嘆くことになるとは
私は君がいってから人生は不条理だ。君に会うために死のうと何回もした。だが君は怒るだろう。だから頑張ってる。私はいつも不条理だ。
「不条理だけど君に怒られるから。」
お題『不条理』
『不条理』
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。大雨の降る中、俺は傘もささずに走り続けていた。足元は既に泥にまみれ、見るも無残な姿になっていることだろう。それでも、俺はわき目も降らず走り続けていた。奴らに捕まらないように。捕まったら最後、死は免れない。どうして…どうしてこうなってしまったのだろう。
別になんてことない日だった。お腹がすいたはいいものの、家に食べられるものが碌になく、近くのコンビニに買い出しに出ている最中であった。俺の家からコンビニまではそこまで遠くない。徒歩で五分かかるかかからないか、といったところか。人通りこそ少ないものの、街灯の少ないこの場所では貴重な光源である。俺は定期的にこのコンビニに通っていた。コンビニには、珍しくパトカーが停まっていた。どうやらパトロール中の警察官がここで一休憩入れているらしい。結構なことだ。最近はやれ救急隊員が休憩していただ、パトカーが意味もなく停まっているだ、世間がうるさいことこの上ない。自己を主張しやすい世の中になったのはいいことだが、いきすぎた主張はかえって世の中を生きづらくする。何故それを理解できないのだろうか。…おっと、口が過ぎた。予定通り何か食べられるものを買って帰るとしよう。俺はコンビニに入り、おにぎりとスナックを買った。
それは、コンビニからの帰り道であった。いつも通る道の途中にある路地裏から「うぅ……」とうめき声が聞こえてきた。この路地裏はよく酔っ払いが飲んだくれているから、今日も誰かが泥酔しているのだろうと気にせず通り過ぎようとした。しかし、ふと鼻に入ってきたにおいが、普段のアルコールのにおいとは明らかに違った。なんだろう、鉄のような……。血?まさか、誰かが倒れて血が出ているんじゃないだろうか。ここまで血のにおいが流れてきているのであれば、相当出血している可能性が高い。そうであれば話は別だ。このまま帰るのは気が咎める。俺は急いで暗い路地裏を進んだ。
スマホであたりを照らしながら、声の主を探す。声の大きさからしてそこまで遠くはないはず。倒れている人の声を逃さないよう静かに、慎重に進んだ。少しすると、声の主らしき人が倒れているのが見えた。暗がりながらも、赤い血だまりができているのも確認できた。
「大丈夫ですか!」
焦って近づこうとした、その時だった。倒れている人とは別に、違う人もいるのに気が付いた。その人は、倒れている人の目の前にいた。いや、正確には一人ではなかった。複数人いた。どうやら倒れている人を無視して去ろうとしているところであったようだ。全員こちらを振り向くような体勢になっていた。なぜこの人たちは倒れている人を助けようとしないのだろう。そう思いつつ、救急車を呼ぶようお願いしようと息を吸った時だった。
「ヒュッ」
吸い込んだ息を、もう一度吸い込んだ。彼らの内の一人の手に、大きめの刃物が握られているのが目に見えたからだ。しかも、その刃物は赤く光り輝いていた。
間違いない。倒れている人は、彼らによって殺されたのだ。死体をそのままに去ろうとしたところで、俺が出くわしてしまった。現状を、瞬時に理解してしまった。
彼らが何を話しているのかわからない。耳鳴りがし、聞こえてこない。ただ、この現場を見てしまった俺の処遇をどうすべきか話をしているのだけはなんとなくわかった。今俺にできることは、今の状況を背にして逃げることだけであった。
そのまま走る。走る。家に帰るわけにもいかず、焦ってコンビニとは逆方向に走ってしまい、どこを走っているのかもわからなくなってきた。いつの間にか雨が降り始め、アスファルトで覆われていた地面は、雨を吸い込んだ土に様変わりしていた。
とうとう足がもつれて倒れてしまった。と同時に、俺の後ろ髪を思いっきりつかまれ、無理矢理顔をあげさせられた。目の前には先ほどの集団の内の一人の顔があり、微笑を浮かべながらこちらに語りかけてきた。
「すまないね。見られたからには生かして帰すわけにはいかないんだ。君の運の悪さを恨むがいいさ」
目の前の男が言う言葉が、遠くなってきた。
なぜ、なぜこんなことになっているんだ。俺は荒事が苦手だから、誰の邪魔にもならないように静かに生きてきたのに。なぜ「見た」だけでこんな目に合わないといけないんだ。なぜ、このような不条理を受け入れなければならないのだ。
俺は、そのまま意識を失った。
不条理
優しすぎると浮気される
素直すぎると騙される
「正直者は馬鹿をみる」この世の中がおかしいと思う人でいたい
「誓っていたのに」
いまどきこんなことってあるだろうか。
護られるべき血統と、命をかけて護る一族。
この時代になっても続いている、しきたり。
こんなことは自分たちの代で終わらせる。
そう誓っていたはずの親たちも、いつしか子供たちに繋いでいた。
もしも、ふたりが普通の家に生まれていたら……?
ごく普通の家で育った、ごく普通の幼馴染のふたりは、ごく普通の恋をして……
何度も空想し、願っていたこと。
ささやかな空想は、希望だった。
それが叶うことがないものだとは知らずに。
君は俺の前に飛び出す。
────不条理
すべては不条理
すべては偶然
根拠のない人生
根拠のない私
かつては意味が欲しかった
今もやっぱり求めてしまう
でも意味なんてなくていいと
最近は生きている
不条理
なんで…ねぇ、どうして…
眼の前の光景が…
国道に止まっている車の上に、他の車が乗っていたり、電信柱や電線に、木の枝葉が引っ掛かっていたり、崖崩れで道がなくなったり…8月7日の朝、前夜の大雨の後の姿に愕然とした…平穏な日常が、大きく変わり、真夏の猛暑も加わり、消毒の匂いと溝の臭い…あの水害が怖くて、恨めしい…
必ずしも芽吹くとは限らない。
それでも、重ねてきた努力が何一つ報われないなんて、そんなの。
最後に残されるのが結果だとしても、苦しみの過程の上に成り立ってきたのだと胸を張れるように。
世界でたった一人、味方が自分の肯定感だけになってでも、心を貫き通せる人であり続けたいんだ。
【不条理】
不条理なこの街を 白いカーテンで隠して…♬
あの人から引き継いでくれて、ありがとう!
複雑な想いは通り過ぎたやろか?
四半世紀を飛び越えて…。
【WANDS 上原くんへ】
こめかみが軋むほどの怒りを覚える。
世の中の不条理さに俺一人が嘆き、怒り狂ったとて世は変わらない。
"それでも、許されぬべきことが今どこかで起こって、その度に、傷つく誰かがいることが俺は許せない。"
いつかの英雄は語った。
理不尽で淘汰されるべきの弱者だと諦めず、彼は世に抗った。
その結果、彼は不条理な定理の多くを覆し、代償として、美しく散った。
そして今、その英雄は世間に石を投げつけられている。
彼は命を賭してまで俺たちのために働き、犠牲となったというのに。
結局、人は利益の追求ばかりを考える醜い生き物だ。
救われた恩など知ったものかと、それは昔の話だと棚に上げ、救われた身でありながら平気でその墓石に唾を吐きかける。
どうせ、こうなるんだ。
命を懸けてまで、こいつらを救う価値などなかった。
お前が死んでもなお、世の中など何も変わりやしない。
緑の茂みに身を隠しながら俺はかつての友であり、もう会うことは叶わない英雄に悪態をつく。
男は、彼の墓に供えてあった花を踏み荒らされ、蘇らぬ墓の主である友の彼を罵られようとも、息を殺しながら怒りと恐れに身を震わせることしか出来ない。
ほら、お前一人が不条理に立ち向かっても、何も変わらない。
俺たちのような愚か者は、お前が身を犠牲にしても、まだ震えて、その場で足踏みすることしか出来ないのだ。
だから、不条理な世のままで良かったから、それで構わなかったから、まだ、せめてお前は、俺の良き友人として生きていて欲しかった。
男は、体を震わせながら、叶わぬ望みを、墓に眠る英雄にぶつけるほかなかった。
それしか、目の前の男には出来なかった。
―――変わらぬ世
お題【不条理】
誰かの創った世界。主人公に必然的な道筋があるのなら好都合、見切り発車のご都合主義ならこの不条理に身を任せるしかない。創造主が筋書きを準備してくれるまで。
「あなたにはこの花がぴったりね」
そういって母親は4人の娘にそれぞれ花を手渡した。
庭で育てていたその花はちょうど4色あり、それぞれ娘が嫁いだり独り立ちするときに鉢植えごとプレゼントしていたのだ。
上の2人の姉はすでに嫁いでおり、長女には白色を、次女には青色の花を贈った。そのときに手紙と一言、その花の名前とともに言葉が添えられるのをみたことがある。
いつか私たちにもくれるのだと楽しみにしていた。
そして私たち双子は今日でこの家とさよならをする。
母をひとり残していくのは不安だけれど、いつかは訪れる避けられない別れだ。
双子の姉が呼ばれた。母が待つ庭に出ていく後ろ姿を見送って、お祝いに用意されたケーキを食べながら待つ。
あの花が咲きほこる庭で採れたハーブを使ってお茶を淹れ、飾りに花を浮かべれば完璧だ。母の味には敵わないけれど上手くできた。
姉が薄紅色の花を抱えて戻ってきた。
ご機嫌に笑いながら「あなたの番よ」と告げる。あんまりにも嬉しそうに笑うから私もつられて笑ってしまう。
もうすぐ私もそうなるのか、はやいものだ
戸を開けて花で溢れかえる庭に出た。
少し離れたところにある水場の近くで母が手を振りながら待っている。穏やかで静かな、余裕のある女性の表情だ。
「とうとうあなたで最後ね、寂しいわ」
握りしめていた手紙を私に差し出しながら母はいう。
少し色褪せた便箋には今は亡き父親の字で私の名前が書かれていた。まだ幼い頃に亡くしてしまったから懐かしさやらは薄くて、なんだか不思議な気分だ。
「この花はね、ロベリアっていうの」
ガーデンテーブルの上で風に揺れる花をみた。
蝶のように愛らしい形の花は、今が見頃なのか鉢いっぱいに紫色の花弁が広がっている。
一目でさっき姉が抱えていた花と同じだと気がついた。
「…あなたは賢いから言わなくてもわかるでしょ」
もし父が生きていてくれたら、姉たちが嫁がず家にいてくれたなら。そんなありもしない妄想を何度しただろう。
そうでなくても誰かが気づいてくれたらよかったのに。そうしたらこんなことにはならなかったのに。
「その鉢も、この家も、紫のロベリアでいっぱいだね」
その花言葉は誰に向けたものなのでしょうね。
【題:不条理】
コロナに罹って
死を
ちょっと意識した。
好きな仕事をして
そこで罹って
別に
相手に
恨みはないんだけど
あーあ。
わたしの人生
ここまで
かもしれないのか。
明日も
生きられますように。
そう思いながら
夜眠った。
結果、
後遺症はあるけど
とりあえずは
生き延びた。
わたしの人生は
幸い
幸運だったみたい。
多分
わたしみたいな人が
日本に
世界に
大勢いる。
生きるって
タイヘンだ。
#不条理
人は誰も皆、それへの処方箋を持っている。
音楽だとか、恋だとか、睡眠だとか。
でも、誰にも迷惑をかけない範囲で発散するのに、もう限界が来てしまっているような気がする。なんせ、この世の不条理は多すぎる。到底一人で戦えない。いつも私を支えてくれる錠剤たちはひとつ、またひとつと病の猛威に力を失っていく。
そんな時に私を救うのは、万能薬の、ときぐすり。
時間を溶いたどろりとした液体。私の心に張り付いた不条理を剥がしてくれる。時間はかかるけど、確かに効く。
いつしか時は流れ、一瞬の不条理はそれよりもずっと強い条理に敵わず歴史に埋没していく。
セピア色になった不条理は、私の人生を暗く縁どり、いっそう際立たせる。
そうやっておくすりが効いてくるまでは。
この不条理と、一緒に生きていかねばならないようです。