『不完全な僕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夏休みはふたりで海に泊まりがけで旅行した。
場所に関しては、サプライズ旅行にして旅程も俺自身が選んだ。
それは良かったが、最後の夜は花火をやろうと企画していたのに花火を家に忘れてしまっていた。
ルンルン気分で部屋に戻って、カバンを漁った時に、花火が見つからなくて流れる冷や汗と言ったらすんごかった。
笑顔で話したかったけれど、思わず引き攣ってしまった。
そして、状況を説明すると彼女は微笑むと、俺の手を取ってくれた。
「まだ時間もありますし、花火が売っているかもしれません。聞いてみましょう!」
そうして、ホテルのスタッフさんに教えてもらったお店に歩いていた。
俺の足取りは気持ちとともに重い。
「なんとも不完全で、ごめんね」
先に歩いていた彼女は俺に振り返り、いつものように笑ってくれた。
「謝らないでください。これも思い出です」
そして俺の腕に手を絡めながら、見上げる。
「なんでも完全じゃなくても良いんです! 私のためにいっぱい考えてくれて嬉しいですし……」
彼女は背伸びをして、俺に耳打ちしてくれた。
「そんな貴方が大好きなんです」
おわり
百七、不完全な僕
僕はちゃんと人間なはずだ。
呼吸をしている。
瞬きもする。
食事だって摂らないといけない。
睡眠も不可欠。
あと…
人らしさを構成するものってなんだろう。
人間関係?普通か…良好。
仕事も問題なく進めているし。
こうやって思考を巡らせることも可能だ。
ちゃんと今を生きている。
ね、君もそう思うだろう?
…確かに生きているはずなのに。
どうしてそんなにも悲しそうにするのだろう。
わからない。
わからない。
悲しみも、頬に伝う雫の意味も。
───『不完全な僕』(2024.08.31.)
43日目
僕が完全になることはきっとない
欲望には際限が無い
一旦満たされたとしても
よりよい理想を求めてしまう
だからこそ幸せでい続けることはできない
よく言えば向上心があるのだろう
でも次を求めなければきっと不幸は減る
進歩せずに停滞するだけだとしても
満ち足りるのならば幸せではないか
不完全な僕と完璧な君
ゴミくずと宝
この差はもがきようのない、大きな差だ
もし僕が自殺をしても誰かに殺されても、この世界のゴミを助けようとする人なんて居ないましてや、ゴミくずなんかを……
皆どうせ、助けようとするのは宝ばかりだ
そんなこの世界の宝の君を僕は妬ましかった
君が少しミスをしても、皆笑ってなぜか場は和んでしまう――
僕がミスをすると皆僕をせめて、罰だと言って仕事を増やす……どうして、こんな世界が生まれてしまったのか僕なんかには分からない
この世界に生まれた、僕は生まれた時からゴミだったのかもしれない
僕を産んでくれたお母さんに失礼かもしれないけど『何で僕なんかを産んだの!』ってお母さんに言いたかった…でも……そんなことをお母さんに言えなかった聞けない
僕にはお母さんが居ない、僕を産んですぐ急変して死んだと後になって聞いただからもう会うこともしゃべることも聞くことも出来ない
誰でもいい
お願いだ…僕がこの世界に必要だって言って欲しい
でもこの心の叫びは誰にも届かない、響かない
それでも、これを読んでいる人たちの心に胸に響いてくれたら嬉しいな―――
この世界には僕よりもっと、もっと酷いことをされている人が居るかもしれない、あなたもそうかもしれない僕には分からないでも今苦しんでる人たちが生きていける場所を皆が先人をきって、リードしてあげて欲しい
こんなゴミくずの僕が言っても無駄かもしれないけど
この先10年、50年その先ずーっと
明るい未来が作られることを僕は願っている
未完全なあいつを見ると俺は思う
あいつはまだ全然足りないくせに
完全になるまでには程遠いくせに
まだ伸びしろがって、先があるかもしれないくせに
何故その少しに手を伸ばさないか意味がわからない
腹が立つ、悔しい、哀れ。
まぁ、いいとしよう 許しはしないがいいとしよう
先のない不完全な俺のようなやつの内側なんて
どうせあいつにはわからないだろう
そんな気持ちを抱く俺も所詮比べたあいつと変わらないのだろうか
損なった自尊心と乏しい能力
灰色の世界で見つけた光
たった一つの極光に焦がれて
手を伸ばして、背伸びした末路
人生の全て、私の何もかもを犠牲にして
身を焼いて、魂を砕いて
漸く、眩い光を地上に落としたのです。
不完全な僕
完全なあなたを求めているわけじゃない
だからあなたはあなたらしくいてほしい
毎号ついてくるパーツを組み立てることで自立思考型アンドロイドを作ろう!
という触れ込みの雑誌をご主人が買い続けてくれたおかげで僕はここにいる。
ただ、あまりに膨大なパーツを細分化して販売されていた結果、ご主人は3855号を購入したあたりで遂に破産してしまった。
AIとして必要なパーツは最初の1000号ほどで完成したのだが、
左腕は無く、左脚もパーツが一向に増えないので、木の棒で継ぎ足されている。
衣服で誤魔化されているが外装もほとんど無い。
頭部に至っては創刊号のバインダーを髪の毛のように被せてある有り様だ。
この世界のどこかに、最終巻のパーツまで組み込まれた完全な僕は存在するのだろうか?
差し押さえられた不完全な僕には皆目見当もつかない。
不完全な僕
アボガド6さんの題名にありそう。
好きなのよね。
画集集めたいな。
チャレンジ42(不完全な僕)
子供が生まれた時、手のひらサイズの人形を頂いた。柔らかな生地でできた、クマのぬいぐるみである。胴体にはビーズクッションのような粒が入っている。赤ん坊にも持ちやすい。さて、この人形を見た私の祖父が一言。
おい、腹減ってないか?
ビーズの粒が控えめで、人形の腹がへこんでいる。腹ペコに見えたらしい。戦後の食糧難を生きた祖父には、食べたい物を心ゆくまで食べられることが大切だったのだ。
あの人形、じいちゃんにあげたら良かったな。話し相手になったかもしれない。
ちなみに、家内は当時、腹減ってないか? に対し、赤ちゃんには、ちゃんとミルクあげてます、と答えていた。あたしもまだ若かったわね、と笑っている。
テーマ「不完全な僕」
焼きたてのパンを買って帰った。
さて、今日はアイスコーヒーと、それから買ったばかりのカレーパンを食べることにする。
うん!おいしい!
さくっとした外側とちょっとスパイシーなカレーがたまらない。
こんな些細な幸せって大事だよね。
不完全な僕にだって。
直哉が戦慄くのが見えた。
「…ほんまに、わかっとるんか椋くん。
『ソレ』を捨てたら、今の力も地位も消えるんよ?もう二度と、あちら側には、」
無くすのは椋なのに、悲痛な顔をしているのは直哉の方で。
椋は首をかしげる。
「そうですね、今の『コレ』があったから、ぼくは『完璧な僕』を演じてこれた。あちら側が見える位置にも来られた。
でもぼくはそれよりも、明日ハンバーガーが食べたい」
「は…?」
椋は、晴れやかな笑顔で言葉を続ける。
「人目を気にせず安いハンバーガーにかじりつきたい。
口の周りにソースが付いてる『不完全な僕』がいい。
完璧で完成された未来より、ゲラゲラ笑いながらポテトを頬張ってお喋りしても赦される明日がほしい。」
「だから、さよならをするんです」
「まっ…!!」
静止の声を無視して、椋は整った蝶々結びの『縁』を、ほどいた。
【不完全な僕】
「不完全な僕」
僕は、不完全な人間なのかもしれない
ある人は、「そんなことはないよ」とか
「いや、君より、僕のほうが不完全だよ」とか
よく、言われる。色々、聴くからわからないものだ。
「不完全な僕」
私が思う、私の"完全"はどんなものか
そんなものはないと思う。いつでもそれが完全で不完全なのだ。
完全な状態というのは私にとっては理想だと言い換えができると思う。しかし、理想を叶えたところでまた次の理想ができるのは目に見えている。追い求めすぎると今度は、原型がよかったと思うようになる。でも元には戻れない。
だから私たちは理想を楽しまず、不完全な状態を楽しむことが必要だと思う
不完全な僕
なんで僕は不完全なんだろう。
何をとっても人より出来ない。
"人並み"というレベルのものは何も無い。
いつも他の人より出来なくて笑われる。
でもあの子だけは僕を受け入れてくれた。
「わたしがたすけてあげる!」って幼いながらに言ってくれたっけ。言葉通り本当に助けてくれて彼女は僕を庇って轢かれた。
完璧な君を含んでいる僕はなんでまだ不完全なんだろう。
「不完全な僕」
何をしても完璧には出来なくて。
自分では上手くいったと思っても、振り返るとアラが見えて来る。
何だかどれもこれも中途半端で、キチンとは出来ない気がする。
いつも不完全な、僕。
納得出来ず、自分自身に不安と不満を抱えて過ごしていた。
そんな日々が、君と出逢って急変した。
僕の足りない所を君が補ってくれる。
君の足りない所は僕が補える。
お互いにビックリするくらい、凸と凹が上手く噛み合ったね。
世の中には完璧な人もいるけど、凡人の僕達は支え合って、補い合って生きていける。
そして、完璧じゃないから人を頼って、だからこそ人を信じる事が出来る。
完璧じゃないからこそ、見えた景色や知れた知識がある。
君と出逢って、世の中の景色が変わったよ。
そして、不完全な僕を好きになれた。
有難う。そして、これからも宜しくね。
「不完全な僕」
キズだらけで
穴だらけで
壊れたとこばっかりで
だから
その度に修理してツギハギだらけ
とにかく不完全な
僕という存在…
それでも
心臓を動かして
呼吸をして
血を巡らせて
筋肉を動かして
何故か完全な僕の身体...
同じ年齢で 同じような顔をしていると
完全のレベルは決まってくる
皆より少し成績がよく
足が速くてスポーツができ
友達に大切にされて等々
なにか飛び抜けてできるよりも
できないことがない事が大切
完全の条件は無数で
突き詰めて考えられなくなる
不完全な僕は
とりあえず今日は眠ろう
皆僕を褒めたたえた
皆僕を羨ましがった
金があって、頭も良くて、容量も良い
コミュニケーションだって難なくできる
嫌味を言うやつもいたが
僕は気にしない
僕はいい人だからね
僕は完璧人間だから
僕は
もう
完璧でなければ
いけない、から
「香水と不完全な僕」
ドルチェ&ガッバーナかどうか知らない僕だけど、僕の部屋のカーテンについていた君の香水の香りにときめきメモリアルの僕はなんて不完全な人間なのであろうかと思う。
むかし聞いたヒット曲の男のように
背を向けてABAYOと言って
「行ったきりなら幸せになるがいい」なんて言いながら、その後の「戻る気になりゃいつでもおいでよ」に想いをかけていた自分に気づく。
君が僕を見る時に眉間に寄せる皺が
レントランで注文に30分かかる君が
少しとぼけたような口調と声色が
忘れられない
君の抜け殻探して
カーテンに顔を埋めた
相当に気味悪い不完全な僕
せめて、少しは格好つけさせてくれ
この、みっともない無様な姿を
酒のせいにでもさせておくれよ
眠らない街で、朝までふざけよう。
君の香水の香りと不完全な僕と。
令和6年8月30.31日
心幸