『七夕』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
七夕
私が子供の頃は、8月7日が七夕だった…時季になると、近所のお店では、七夕セットや笹、折り紙や千代紙が沢山並んでいた…短冊も沢山書いた記憶が…風に揺れる七夕飾りは、綺麗でちょっと気恥ずかしい様なそんな感じが…今でも七夕飾りを見かけると、あの頃の記憶が蘇る…そして、その片隅で手を繋ぐ私とあの人の姿…
「雨でよかったねぇ」
雨がしとりと街全体を濡らすのを見つめながらそう呟いた妹に思わずコントローラーを握る手が止まる。昨日までは晴れないと天の川が見えないと天気予報に文句を言っていたというのに、一体どうしたというのか。
「雲の上は晴れてるんでしょ?」
「まあ」
「ならやっぱり雨でよかったね」
窓に当たって流れ落ちていく雨粒を指先で辿りながら、雲で隠れてないとイチャイチャできないもんね、とおませな妹はくすくすと笑った。
/七夕
一年に一度。
川を越えて会えるのに
毎年のように雨が降る。
そうこうしてるうちに
どんどん霞む織姫の星。
会えないけど愛し合う
川の向こう側の人。
願いをかける短冊は
風に乗って空を舞う。
今年は晴れて良かったね。
今宵も二人が
愛し合っていますように。
–七夕–
私のお願い事はこれだけ
“私の彦星になってください”
今日は何日だったか。そう思いカレンダーを見ると、
7月7日だった。
.......七夕か。
昔は願い事が叶うんだよと言われて書き続けていた。
でも、いつの日か七夕なんて意味ないなと思い始めた。だって、願いが叶うんだよと言われて書いてもそんなの一生叶わない。意味がない。
ただの御伽話。
何でこんなものに昔は執着していたのかわからない。
でも、普通に子供としての本能だろう。
願いが叶うと言われたら誰でもそれに期待して願う。
七夕という行事を見たり聞いたりするたんびに思った。
この行事意味無いでしょ。
叶わないんだよ?
なんでみんな書いてるの?
どうして期待しているの?
そんなもの唯の人が語ってる戯言だよ?
どうして信じるの?
でも、きっとさこれ読んでる人は思うでしょ?
どうしてそんなに否定しているの?って。
教えてあげるよ。
僕さ母親に2歳以降あったことがない。
それで、会ってみたいと思って書き続けた。
でも、いつまで経っても叶わない。
高学年になって幼心がなくなった頃、僕はこんな行事に
"意味は無い"って感じ始めた。
願っても叶わないなら願わない。
期待しない。
だから僕は七夕を否定し続ける。
# 56
あなたに会えますように
と願いを込める
会えないけど画面越しに見える君は輝いている
1年ぶりだ
大好き
いつまでも
愛してる
【七夕】#21
七夕、けっこう経験しているはずなのに短冊に何をお願いしたことがあるのか全く思い出せない。なんなら最近お願い自体もしていない。
今日のお題をみて、年間行事への興味関心が失せてフレッシュさの喪失を感じていたが、ついさっき私は思い立ち、映画の販券の裏に願い事を書いてコルクボードに貼った。
なんだか悔しくなったからだ、漫然と日々を過ごしている自分に対して。これはちょっとしたあがきなのである。
来年の七夕ではこのコルクボードを見て今日のことを思い出したい、私は七夕にこんなお願いをしていたなと。そうすれば少しだけ特別感を得られる気がする。
笹の葉も短冊もないけれど、これは行事にかこつけた自分なりの楽しみということにしよう。ごめんね笹の葉、短冊。覚えていたら来年会おう。
七夕
昔から行事ごとには、あまり興味がなかった。だから、大抵、行事のことは頭にこびりつかず、次こそはと意気込んでみた時もあったが、半日も覚えていなかったことを今、思い出した。そんな事が、毎年繰り返されてはリセットされる日々を私は送っている。
今日は、七夕だ。私にとってはいつもの日常とちっとも変わらない。わざわざ、短冊に願い事を書こうとも思えず、とりあえず頭に浮かんだ願い事を脳に数秒記憶する作業を行った。おそらく、この願い事は半日も記憶されないことだろう。だが、それでいいのだと思う自分がいる。なぜなら、それは忘れるほどの価値しかない願いだと、私の脳はすでに答えを出しているからだ。
この苦しみが、誰にもバレませんように。なんて願い事を知るのは彦星と織姫だけだろうか。なら、都合がいいと言えるだろう。なぜなら、彼らは現実の人間達に干渉するなんて真似はしないと分かっているからだ。だから、私は形に残さず祈ることを選ぶのだ。
いつか、また、星に願いをかけて。
お終い
短冊に願いごとは書かない。
叶ったら消えてしまいそうだから。
七夕と言われても…
俺は…今夜ミーチャンに会えないから…
あぁ~切ないねぇ~
ミーチャンは今夜も金麦に恋してるから…
俺は…彦星ほどかっこよくないから…
ただ明日を…信じて戦うだけ…
コンビニのお兄さん…
さっき買い物した時のレジのお兄さん…
キミへの上の人の圧な発言は
愛だと思いな!
客から見て
キミは日々真面目に働いているよ
辛い言葉も愛と思えよ…!
キミが来年の七夕に
レジ前に居ても大切な人の隣に居ても
その優しい顔で…みんなの彦星でいてくださいね✨
友達で、彼女と年に一回しか会わないようにしていた子がいた。会うのは7月7日、七夕の日だ。
家が遠いわけでもないのにそうする理由が長年わからなかった。聞けばすむ話なのだがなんとなく大きい理由があったらどうしようとか、例えばロミオとジュリエットみたいな、身分の違いがとかそういうの。
だけどやっぱり気になって、会ったときにめちゃめちゃ勇気だして聞いて、最近教えてもらえた。それも結構あっさり。
理由は、ばかみてぇにくだらないことだった。
「七夕の年に一回に会うくらいが距離感とか楽じゃん。」
だそうだ。
彼は面倒な付き合いを続けるのが苦手な上、彼は付き合った女の子を次々にメンヘラ化させる才能の持ち主で、何度も会うと大抵、4回ほどで彼女はやばくなるらしい。四又したら右の横腹を刺身包丁で深くまで刺されるほどやばくなるらしい。それが嫌で距離を空けながら年一で会っていると。
彼女のいない僕からしてみればメンヘラでも愛してやれよと思うのだが、イケメンの思考はよくわからん。
というかまず、四又して横腹刺される心理がわからん。
織姫様と彦星様は出逢えたかしら
あなた達の物語に救われている男女は星の数ほどいるんです
みんなの祈りで天の川をかけますから
きっときっと晴れて逢えますから
七夕か。
今年も星を見ることは叶わなかった。
でも厚い雲の向こう側には輝かしい星達が瞬いていると信じている。
今はまだ見えていないだけ。
#七夕
彦星と織姫は出会えたんだろうか。
そんなに想い合える関係。羨ましい。
『悲娘星(ひこぼし)』
今日は唯一僕が神様になれる日なんだ。
「また、会いに来てね」
そう、君から聞こえた。
ぼそっとだったけれど、僕の耳には、はっきり届いた。
君の笑顔はどこか悲しげだった。
千年前の記憶、僕は確か川に落ちたんだ。
そうして溺れた僕を、君は必死に助けようとしてくれた。
薄れる意識の中で君の美しい声が響いた。
「お願いします。神様……どうかこの人を」
目が覚めたら、君はいなかった。
走って走って、走って走って。
竹中をひょいと越えて、
走って走って、走って走って。
君が居たんだ。
「こちらに来ないで」って君は言った。
「そちらに行くよ」と僕は言った。
だからだったのだろうか。死のうとしても死ねなかった。
神様は許してくれなかったんだ。
だから、君と僕を彼岸と此岸に分けたんだ。
僕が溺れた川、そう天の川で遮って、君の声だけが僕の耳に残り続けた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
そう謝り続ける日々に、神様も、もう飽きたんだろうか。
「一年に一回ね」
やっと会える。そう、この日だ。
薄い懐かしの羽衣を羽織って、君に会いに行くよ。声だけを便りに。
大丈夫。君たちの声もしっかり聞こえてるよ。
なんてったって今日は唯一僕が、神様になれる日だから。
「また、会いに来たよ」
お題『七夕』
※彼岸(ひがん)=生死の海をさまよって到達する、悟りの世界。
※此岸(しがん)=私たちがいる世界。
7/7 お題「七夕」
よりによってこの日に喧嘩をするなんて。溜息しか出ない。もっとも、この日でなければ喧嘩すらできないのだが。
家臣たちと共に牛車に揺られ、川が後ろに遠ざかって行く。謝ろうにも、来年まで会えない。こんな重い気持ちを抱えたまま、一年を過ごさなければならないのだ。
その時、背後から声がした。
「おーりーひーめーーーー!」
はっとして振り返り、牛車から身を乗り出す。その声も、川向こうの姿も、覚えがありすぎた。
「彦星さま?!」
「織姫、ごめん!! 来年は、」
彦星は星の川の向こうで、両手を口に添えて力の限り叫んでいる。
「来年はちゃんと、織姫の好きなチョコミントのアイス用意しとくからねーーー!!」
「…織姫様、その…、チョコミント派でいらっしゃるのですね…?」
「………………ばかーーーーー!!!!」
(所要時間:12分)
七夕
1年に1回しか逢えないと
言われている織姫と彦星
1年に1回会えるなら幸せだろう
僕は君にまた逢えるか
すら分からないのに
#七夕
旧暦では秋の行事であった七夕は、今や夏の風物詩となった。暦が変わって7月7日が梅雨の季節に移動してしまったのは、織姫と彦星にとっては不運なことに違いない。今夜も雨だ。私が物心ついた頃からの記憶では、織姫と彦星の逢瀬は一年に一回どころか数年に一回になっている。
とはいえ、ストーリーの原作である中国の「牛郎織女」の物語によると、織女は万物を支配する天帝の衣を織っている女であるし、牽牛も天帝に認められた男である。彼らが普通の人間であるわけがないし、そもそも彼らは人間なのだろうか。なにせ引き離す時に彼らの間に置くものは、天の川である。織女と牽牛は星の精霊か何かなのかもしれない。とりあえず普通の人間ではないのは確実だろうと思う。
そんな彼らが、地上にいる人間が暦を変えた程度で影響を受けるのだろうか。彼らは人間のやることなど気にしておらず、人間の心配などつゆ知らず、今も旧暦の時期、梅雨が明けた頃に再会しているのではないか。そんな考えが浮かんで天気予報を見て一喜一憂するのが馬鹿らしく思えてくるのと同時に、ほんの少し安堵する私がいた。
七夕(2023.7.7)
「…ん?」
「お、どした?」
何気なく通り過ぎた廊下の視界の端に、見慣れない緑色が目に留まって、立ち止まる。
プラスチックの笹に、色とりどりの短冊。
「あー、そういえば今日、七夕かぁ」
一緒に歩いていた七海が、納得したような声を上げる。
「七夕ねぇ…」
思わず皮肉げにつぶやいてしまった。
「なんだよ、七夕アンチなのか?いいじゃん、七夕。ロマンがあってさ」
まぁ確かに、リア充同士がいちゃつく日だってのは、癪に障るけども、なんて一人で葛藤している七海を尻目に、短冊に書かれた願い事を読んでみる。
「なになに…お金持ちになりたい、家内安全、合格祈願、彼氏が欲しいです…なんか、欲望の煮凝りって感じだな」
「微妙に嫌な表現するのやめろよ…」
呆れたような、少し引き攣った顔をする七海。
「そもそも、こんなご時世に、短冊に願い事を書いてお星様に叶えてもらいましょう、だなんて笑えると思わないか?」
七海は何か言いたげだが、言葉が上手く出てこない様子だった。だから、構わず言葉を続ける。
「だってさ、そのお星様直々に、この世界をぶち壊しに来てくれるんだぜ?」
本当、最高の皮肉だよな。
そう言うと、やっぱり七海は渋い顔をして、
「お前、本当いい性格してるよな…」
数瞬の後、二人で噴き出した。
教室に置きっぱなしのスマホには、ひっきりなしに隕石到来のニュースの通知が届いている。
俺たちの夏は、今日終わる。
仕事の帰り道、ふと空を見上げた。
今日はなんだか一段と、星が美しいなぁ。
隣の家から、子供達の楽しそうな声が聞こえる。
あ、そういえば…今日は七夕か。
家に帰って筆をとる。
何をお願いしようか。
…決まってる。
妻と息子に合わせて欲しい。
二つの遺影を眺めながら毎日床につくのは、
もう…たくさんだ。うんざりだ。
どうか、どうか。
そう願いつつ、目を閉じる。
翌朝。
俺は妻と息子に会えた。
思った感じと大分違うけど、まぁ…いいか。
でも、祖母には悪いことしたなぁ。
今日から、三つの遺影を眺めながら、床につくことになるのだから。