キトリ

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#七夕

旧暦では秋の行事であった七夕は、今や夏の風物詩となった。暦が変わって7月7日が梅雨の季節に移動してしまったのは、織姫と彦星にとっては不運なことに違いない。今夜も雨だ。私が物心ついた頃からの記憶では、織姫と彦星の逢瀬は一年に一回どころか数年に一回になっている。

とはいえ、ストーリーの原作である中国の「牛郎織女」の物語によると、織女は万物を支配する天帝の衣を織っている女であるし、牽牛も天帝に認められた男である。彼らが普通の人間であるわけがないし、そもそも彼らは人間なのだろうか。なにせ引き離す時に彼らの間に置くものは、天の川である。織女と牽牛は星の精霊か何かなのかもしれない。とりあえず普通の人間ではないのは確実だろうと思う。

そんな彼らが、地上にいる人間が暦を変えた程度で影響を受けるのだろうか。彼らは人間のやることなど気にしておらず、人間の心配などつゆ知らず、今も旧暦の時期、梅雨が明けた頃に再会しているのではないか。そんな考えが浮かんで天気予報を見て一喜一憂するのが馬鹿らしく思えてくるのと同時に、ほんの少し安堵する私がいた。

7/7/2023, 1:49:12 PM