『モンシロチョウ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
◎モンシロチョウ
#77
もうすぐ春になると爺やが言ったのは三日月の夜。
悲しそうに、哀しそうに、子守唄を歌ってくれました。
節くれだち、乾いた肌は温かく、眠気を誘います。
微睡みの中で一言二言、言葉を交わしました。
何気ない話でした。
木蓮を見に行きたいと言う私にゆるりと頷き、涙をはらはらと流すのです。
かつては鬼武者と恐れられ、いつも眉の間に皺を寄せていた爺やが泣くのです。
歳をとると涙脆くなっていけないと、爺やは月を見上げてしまいました。
それが、爺やとの最後の会話でした。
私は白装束を纏い、春の良き日に旅立つこととなったのです。
長物を携えた御仁の瞳に曇りはなく、これは幸せなことだと思いました。
前に進み出ますと、御仁はひとつ確かに頷きました。
整えられた場に座りますと着物の裾に土が着いてしまいましたが、気にはしません。
父上も母上も爺やも辿った道と思えば誉れのようにも感じれたのです。
武士の娘として、覚悟はできています。
いざや、潔く、華々しく散りましょう。
それでもひとつ。心残りがあるとすれば。
それは春の世。
木々の腕から零れ落ちていく春に出会えないこと。
家の名は罪に濡れて重く、未来は閉じていたけれど、私の心は晴れている。
輪廻の先で、この春の空を舞う名も無き蝶になれたならと耽るほどには、軽やかなのだ。
赤い花の上に広がる羽は、春の気配に色付いていた。
青天。
少し暑いが、風が吹くたびにまあいいかという気分になる。日差しを鬱陶しく感じつつも、そんなことを言い始めたらこの先やっていけない。小さな不満を引き出しの奥に押し込んで、いつもの道を歩く。
横を、何かが掠めた。
白いような黒いような、何とも言えない色。形はぐにゃりとしていて、掴みどころがない。深い水底に沈んでいる記憶が、ゆっくりと浮き上がりかけてまた沈んでいくときの、あの感じに似ていた。それでも確かに動いていた。踊るでもなく飛ぶでもなく、スキップのような、軽くて陽気な動きで。
モンシロチョウ、と思った。
アゲハほど自分を信じていない。モンキチョウほど無邪気でもない。大人になりかけで、まだ着地点を決めかねているような、そういう宙ぶらりんの感じ。
でも、モンシロチョウにはまだ少し早い季節だ。色も形もはっきりしない。それじゃあ何なのかという話だけれど、なんでもないと片付けてしまうより、なんでもないところに何かを見つけるほうが、同じ散歩道が少しだけ違う道になる気がする。こじつけで構わないと思っている。むしろそうした方が面白い。
ただ、こじつけを楽しめるのは、たぶん、こじつけだと知っているからだ。信じすぎず、疑いすぎず、その両方をどこかに手放さないでいる。それがなければ、こんな余裕は生まれなかった。優しくも、なれなかったと思う。
風が一度、強く吹いた。引き出しの奥で、何かがそっと動いた気がした。
モンシロチョウ
昆虫博士の発見日記
ちょうちょ、ひらひら、春の心地。
モンシロチョウ見つけた。
後ろから可愛い声。
''まま、みて、ちょうちょ''
"違う違うあれは蛾、ちょうちょじゃないよ"
これはなんと
モンシロチョウもキヤシドクガも
彼女にかかればひらひらちょうちょ。
ちょうちょ、ひらひら、春の心地。
モンシロチョウ
実家は学校付近と呼ばれる場所にあった
始業ベルが聞こえてきてからでもギリギリ間に合う近さだった
ある時我が家のキャベツ畑に子供たちの声
聞けばチョウの観察日記を書いているという
母に知らせたら
「せんせにたのまれたけん
理科の勉強するんやって」と呑気に言っている
それからというもの春の菜園は小学校の子供らの巨大飼育箱と化して賑やかだった
一面黄色の花に彩られたキャベツ畑をたくさんの白い蝶が飛び交う姿は確かに圧巻で
観察日記の締めくくりとして絵になる光景だった
今になって思い返すあのたくさんの蝶…人が穴だらけの葉っぱを食べていた記憶はないが
堆肥を入れ農薬を使っていなかったんだろう
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実家を離れて久しい
母校が数年前に127年の歴史に幕を下ろしたと聞いた その後実家も他人に譲った
モンシロチョウを見る度頭をよぎる光景がある
それは母校の制服姿の子供らで賑わう実家のキャベツ畑とそれを2階の窓から微笑ましく覗き見している私…フィナーレは黄色の舞台でのモンシロチョウの乱舞だ
時は緩く流れ続ける
些細な事がかけがえのないものに変わって行く
今ではこれも特別な思い出
蛹の中で死んだモンシロチョウ。
春を迎えられなかった、可哀想な蝶。
暖かな季節を迎える頃に、綺麗な白いドレスを着て、菜の花に囲まれて世界一幸せな蝶になるはずだったのに。
海でのプロポーズも。
控えめなダイヤが1粒ついた婚約指輪も。
一緒に決めたカーテンの色も。
お揃いのお茶碗も。
全部、全部、蛹の中でぐちゃぐちゃになった。
あの人は、地味で何処にでもいるような私じゃなく。
美しくて華やかなアゲハ蝶へ移り気したの。
カラカラに乾いたモンシロチョウの蛹を踏み潰す。
クシャッと潰れた蛹の屑が、風に吹かれて散って行く。
「モンシロチョウ」
夏霞モンシロチョウがひらり舞う「あっ!ちょうちょ!」と次女が指差す
【モンシロチョウ】
ヒラヒラと
飛んでいる姿を見ると
ふわっと優しい気持ちになる
飛べたら
どこへでも行けるのに…
チラチラと視界に入ってくる君は
僕を揶揄うように可憐に飛び回る
暖かい陽だまりの中では生きられない僕を
嘲笑っているのかい?
捕まえようなんて思わないけど
もう少しだけ気を紛らわせてくれ
死にたがりと太陽と君との延長戦だ
闘え 世界 さよなら イエスタデー
今日もなんとか生きてやるぜ
(モンシロチョウ)
キセキは願うものでも起こすものでもない
一人一人がちゃんと持っているもの
母の中で命を与えられた瞬間
お前というキセキが始まったんだ
その光を曇らせるか
より一層光らせるかは
これからの自分次第
だからなによりも自分の可能性を信じて
キセキってのは信じていくものだから
そして忘れないでほしい
命が燃え尽きる瞬間までキセキは有り続ける
イヤフォンを着けて
好きな音楽を聴きながら
浜辺で海を眺める
ぼーっとしてたら
1日が終わってた
みたいな日もあっても
良いよね
白い着物に黒い家紋。
庭にモンシロチョウがいる。
そっとつかめば鱗粉が指につく。
はなすとひらひら飛んでいった。
昔の喪服は白だったんだって。
通夜の日に、そんなことを思い出した。
2026年5月11日
お題→モンシロチョウ
桜が散った。
夏の訪れを感じた。
少し肌寒くなった。
秋の訪れを感じた。
雪が降った。
冬の訪れを感じた。
モンシロチョウが飛んだ。
春の訪れを感じた。
𖧷モンシロチョウ𖧷
(…モンキチョウにはご縁があるんだけどなあ!)
春って感じがすごくする蝶々だよね!
わたしは春が好きなんだけど、
もう夏が近いよね〜
乗り切れるかな?
あの暑さ!!
モンシロチョウを見て追いかけるほど子供ではないが、
モンシロチョウを見て目で追いかける程度には子供です
『モンシロチョウ』
ふとカーテンを開ければ
庭にはモンシロチョウがいる
たんぽぽに止まる姿は
天使と黄金の草原に見える
風に煽られながら飛ぶ姿は
白い衣をまとった舞姫のようでもある
そんな神秘的で優美なものは去る背中から
春の終わりを教えてくれた
モンシロチョウや、モンキチョウが居て、モンカチョウ、モンリョクチョウ、モンセイチョウが居ないとあらば作ってしまおうというのが小市民マッドサイエンティストの仕事である。最近では花屋でも色素を吸わせた新しい色の花を売っている。これで大儲けだ! そのためにまず、色のついたキャベツを作る。それを食べればその色になるという計画だったが、いやまて、緑のキャベツを食べてもモンリョクチョウにはならないではないか。それでも試してみると、色とりどりのアオムシ爆誕! そして成虫になったらやっぱり白いモンシロチョウのままであった。ひらひら。
モンシロチョウのモンくんっていうのか。
かわいいね。公園で捕まえたのかい?
え?とまっても羽を閉じない?
君はよく観察しているね。
そういう病気なのかもしれないね。
菜の花の
蜜を吸ってる
モンシロチョウ
ただただ無心に
羽を広げる。
無心に自分が夢中に
なれるものを探したいと思った
初夏の日
モンシロチョウ
あれ、みんなには見えないの?
こんなにヒラヒラとキレイなのに
そっか、わたしもうこの世にはいないみたい
「モンシロチョウ」
高く飛べないモンシロチョウは、車に当たって死ぬ。
車で走っていると、道路を横断するモンシロチョウに、高く飛ぶ個体と、低く飛ぶ個体がいるのを見る。
モンシロチョウが車の脅威を認識しているとは思えないので、きっとこれは“習性”によるものだ。そして、高く飛ぶ習性をもつ個体が選択的に生き残り、そうでない個体は淘汰されていくだろう。
その結果、いずれ種としてのモンシロチョウの飛行高度は高くなっていくのである。
こうやって、ヒトは知らず知らずのうちにモンシロチョウを変えていく。
知らんけど。