『モンシロチョウ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
モンシロチョウ
「見て見てママ!学校でモンシロチョウの卵をお世話する授業があったんだよ。僕、毎日忘れずにお世話したから蝶々までなったんだよ。凄いでしょ。今度ママに見せるために家に持ってくるね。楽しみにしててね。」
「おや、珍しい客人だ」
ひらりと舞う白の蝶。
手を差し出せば、大人しく指先に止まるその様に苦笑する。
「まだ目覚めるには早いだろうに。それとも、逢いに来たのか。蛟の子に」
難儀なものだ。
人としての生を終えたのだから、しがらみを断ち切れるだろうに。敢えて自ら囚われにいくのか。
それは子の本質か。或いは血に刻まれた因果が故か。
「あちらだ。奥の水牢にいるだろう」
蛟の子の在る方へ指先を示す。
静かに翅をはためかせ宵闇に消えていく白を見届けると、ほうと息が漏れた。
「まったく、人というのは難儀なのだな…微睡む刻すら惜しいらしい」
先刻より背後で待つ男に、振り返り声を掛ける。
「独りでは在れぬのでしょう。お互いに」
「そのようだ」
微笑んで手渡された風車は、あの白い蝶の魂振であったもの。その色は真白のまま、澱みの一つすら浮かばずに。
どこまでも純粋な鬼の子の魂を、哀れとすら思った。
「さて、どうするか。このままというわけにもいくまい」
「存外、問題ないのかもしれませんよ。あの娘の魂はとても強いですから」
手慰みに弄んでいた風車を見、男は笑う。
「娘が戻って来られたら、考えれば良い事です。さぁ、そろそろお休みください」
風車を取られ、半ば強引に床へ促される。
相も変わらず我が強いその様に、呆れながらも大人しく従い床に着いた。
難儀なのは、人だけで十分だった。
「おやすみなさいませ、長」
行燈の灯りを消し、部屋を出た男は足音一つ立てず。
その薄い気配を辿りながら、仕方なしに瞼を閉じた。
子は逢えたのだろうか。
境界を超え、堰を破った罪人に。罪を重ねる程に逢いたいと切望したその盲愛に、何を思うのか。
蛟の子は、気づくのだろうか。
白き蝶の鬼の子の魂に。揺籠から抜け出し、囚われるその最愛に。
微睡む意識の端で、只人として生きる事を許されなかった子らを想う。
せめて、刹那の逢瀬は安らかに。
柄もなく、願った。
20240511 『モンシロチョウ』
「モンシロチョウ」
モンシロチョウを見るとあの日を思い出す。
小さい頃、わたしはひとりで家の裏にある草原によく遊びに行っていた。
いつ行っても、人はいなかった。
四つ葉のクローバーを探したり、たんぽぽの花でかんむりを作ったり、そよ風に吹かれながら絵を描いたり。
ひとりぼっちだったけれど、とても楽しかった。
ある日、いつものように草原に行くと、真っ白なワンピースを着た女の子がモンシロチョウと戯れているのが見えた。
こんなところに誰かがいるなんて珍しい。
そんなことを思っていると、彼女はこちらを向いて微笑んだ。
「何してるの?」と聞くと、「モンシロチョウとお話ししてるの。」と答えた。
「ちょうちょはなんて言っているの?」
「北の方に蓮華のお花畑がある、って。」
「他には何か言ってた?」
「西の町で悪いことが起きるみたいだって。」
「もう、あなたは帰ったほうがいいよ。雨が降るから。」
こんなにいい天気なのに?そう思ったけれど、この子を疑う気になれなかったので家に戻ることにした。
家に帰って少ししたら、あの子の言った通り土砂降りの大雨が降ってきた。
それからというもの、彼女は時々草原に来て蝶や小鳥と遊んだり、草笛を吹いたりしていた。
わたしは彼女のことが気になって、いろんなことを聞いた。
名前は?どこに住んでいるの?
どうしてちょうちょの言っていることがわかるの?
彼女はなんにも答えてくれなかったから、結局なにもわからずじまいだったけれど、彼女と過ごした時間はずっときらめいていた。
ある時、わたしは引っ越すことになった。遠い、遠い街に。
もうあの子に会えなくなってしまう。
せめてお別れの挨拶をしなくちゃ。
けれど、いくら待っても彼女は来ない。
またいつか会おうね、ってそう言いたいのに。
わたしはついに引っ越し当日を迎えてしまった。
今日会えなかったらもう二度と会えない、そんな気がして、急いで草原へと向かった。
そこには初めて会った日のようにモンシロチョウと戯れる彼女がいた。やっと会えた。
わたしはついにお別れの挨拶をした。
本当はもっと一緒にいたかったけれど、ちゃんと伝えた。
彼女は少し寂しそうな顔をしたあと、こう言った。
「また、この草原で会いましょう。」
しばらく見つめあっていると、家族がわたしを呼ぶ声が聞こえた。急いで戻らないと。
「また、会いましょう。」
彼女の囁きを背に、わたしは家族の元へと向かった。
父の車に乗って、草原の方を見る。
蝶と遊ぶあの子が見えた。
とても美しかった。
大人になった今、モンシロチョウを見て思い出した。
あの子は今、どうしているのだろう。
大きくなったわたしに気づいてくれるだろうか。
あの子にまた会いたい。
そう思って、わたしはかつて暮らしていた場所へと向かった。
そこには草原はもうなかった。
わたしが大人になったように、草原は住宅街になっていた。
彼女は、どこに行ったのだろう。
草原は、どこに行ったのだろう。
わたしの心に、あの子と草原の形をした穴がぽっかりと空いてしまっている。
ただ、それだけだった。
雨によって羽を濡らし、飛べなくなった蝶を見たことがある。白かったから、多分モンシロチョウだと思う。バタバタと羽を動かし抗う姿に心打たれた。
その日から、雨が降る前に虫に伝えた。
「今日は雨が降るよ。」
もちろん、伝わるわけがないが、一応言っておく。折角羽を授かり、空を飛ぶ自由を持っているのだから、雨のせいで地に落ちるのはあまりに可哀想だという、ただのエゴでしか無かった。
だが、伝わっていないはずなのに、虫たちは屋根のある場所や、葉の下へと身を置いた。雨に濡れず安全な場所へ。
雨の降る日、私は必ず傘をさしてある場所へ行く。モンシロチョウが死んだ場所へ。意味があるわけではないが、自然と足が動き、気がついたらそこに立っていた。そんな日が続く梅雨時。私はまたフラフラとモンシロチョウが死んだ場所へと向かっていった。
「…あ、また来ちゃった。」
意識が鮮明になり、自分がしていたことに毎度ながら新鮮味を感じて家に帰ろうとしたとき、ふと足元に蝶々が居た。
「君、雨だよ。濡れたら死んじゃうよ。」
そう、声を掛けると後ろから、石を踏む「ジャリ」っという音がした。本能的な動きとともに振り向くと、可愛らしい女の子が立っていた。
「優しいんですね。虫に雨を伝えるなんて。」
「え、あ、なんとなく、伝えなきゃなって思ってて。」
「…私のことは見殺しにしたくせに。」
その表紙に突き飛ばされ、地面に頭をぶつけ視界が曇った。目に雨が入るが拭う力がなかった。押された部分を見ると、白い鱗粉がついていた
No.15 _モンシロチョウ_
『モンシロチョウ』
保育の仕事で
幼い子どもたちと散歩している時に
公園でモンシロチョウが
ヒラヒラと飛んでいるのを
見かける
子どもたちが
「あ、チョウチョだ」
と小さな手で指差し、追いかけていく
私も幼い頃に
チョウチョを見つけて追いかけていた
子どもたちの
そんな無邪気な行動に
自分の小さかった頃を思い出し
時間の経過の早さに感慨にふけります
【創作】モンシロチョウ
飛び立つ 君の羽は白く
あまりに美しかったから
地を這うだけの醜い僕には
もう二度と届かないものなのだとその瞬間理解した
だけど
その理解に気持ちは追い付くことはなく
僕は君の羽を毟りたい衝動に駆られ
醜い顔を更に歪めるばかり
ああ、僕が君と同じ羽で飛び立てたら…
衝動を夢に換え、目を瞑り僕はただ夢を見る
僕が夢うつつなら
きっと君は幸せになれるから
僕が居ない世界で君だけは自由でいて
綺麗な物が好き。
蝶や花、宝石に絵画、移ろいゆく景色。目に写るもの全てが綺麗だと思えた。
でも普通の人とは違って欠けている部分がある。
綺麗な物が好きだけど、その綺麗な物を壊すのはもっと好き。
気づいたのは子供の頃だった。綺麗だと思って摘んだ花を踏みつけたくなって、踏んでぐしゃぐしゃに潰した。
親にそれが見つかって、なんでそんなことするの?お花さん痛いでしょう?って言われたから
『なんで?リサはおはなじゃないから、いたくないよ』
って言ったら悲しそうな顔をされた。あぁ、これは普通ではないんだな、と子供ながらに悟った。
それからは隠れた衝動をどうにかして晴らそうと虫を育てて、観察して、色々な形で標本にして。心の中にある欠けた部分を補うように、どんどん小さくしていった。未だに衝動はあるけど落ち着いた方。
そして今、野原に虫を探しに行っていると目の前をモンシロチョウが羽ばたき始めた。
キラキラと日光を反射する白い羽が綺麗。
(...これを手の中に納めたら......)
モンシロチョウは気づかずに花に止まる。
そっと手を伸ばす。
あと少し。
もう少しで。
「やっ!!」
頭上で声がして、突然視界が真っ白になった。
「わ、えっ、え、え、え」
「あ、逃げた」
頭に被せられた物を剥ぐとモンシロチョウは居なくなっていた。
「何してるの雪(ゆき)くん!」
「ごめん、実験用の蝶捕まえようとして失敗した」
「も~そんなので捕まるの?」
「素手で蝶捕まえようとしてたリサこそ、実験用に使う気ないだろ」
「ちゃんと捕まえようとしてたよ~!」
そう怒ると雪くんは呆れたように他の方へ向かっていった。
「...あとちょっとだったのになー」
先程までモンシロチョウが止まっていた花をギュリッ、と握り潰す。
まだ人までに手をかける気はないけど、雪くんも綺麗だと思うよ。
お題 「モンシロチョウ」
出演 リサ 雪
モンシロチョウ
ずっと書くことないなとか思ってたけど、
そういえばあった。
モンシロチョウに対して思ってたこと。
モンシロチョウとモンキチョウってたまに
見分けつかないよね。
モンシロチョウってアゲハチョウとかモルフォチョウよりなんとなく地味なイメージだけど、かわいいよね。
素朴っていうか、素直っていうか。
なんか好き。
ひら、ひらり。
白い蝶が幼子の前を踊るように横切った。
「あっ、もんしろちょうだ!」
その幼子は近くにいた母親らしき人に笑顔で話しかけている。
あの時の私は、モンシロチョウで一喜一憂していたな。
そう思いながら、コーヒーを口につける。
ふとした時に、子供の時の気持ちに戻りたくなる時がある。
あの時は何にでも好奇心を持てたなぁ…
今じゃ、あまり何かに好奇心を持つということは無くなったし、
友達からのおすすめも見なくなった。
モンシロチョウのように軽い気持ちで過ごせたらいいな、
そう思いながら、カフェを後にした。
【モンシロチョウのような軽い気持ちで】
愛のベクトルが違うんだ。
君が僕を5思っていても僕は80思ってる。
100本ある愛の花のうち、
君は僕に渡したより多くの花を他の人に手渡すから。
虚しいんだ。
僕を置いて進む君が。
目移りを抑える心が。
果てなく報われないのに謙虚でいようとする体が。
僕の心に塗された君の鱗粉が払えないんだ。
神様みたいに白く清く美しい君が
僕の手の内で孵化したのに。
蛹から孵ってすぐ、羽ばたいて行ってしまう。
見てるだけじゃ物足りない。
もっとずっと僕を求めて欲しい。
あわよくば添い遂げて、君の死に顔を眺めたい。
そうしてずっと、僕だけ見ていて欲しい。
こんな気持ちを抱えるくらいなら、
もう叶わないことを願うなら、
君なんて握り潰してしまえばよかった。
「モンシロチョウ」
最近はモンシロチョウをみただろうか?
記憶ないな?あの白い羽。たぶん、キャベツ畑をみていないぁ?
子供頃は、よく見たけど。なぜだろ?キャベツはあるのに。
色々、なくなっている。なぜだろ?
ちょうちょが、京都の東本願寺を今日も楽しく舞う
去年の大晦日に東本願寺はじめておとずれ、今日で2回目 わたしひとり、ちょうちょのように
酒が入った席の後に誘い、誘われるがまま一人でふらふらとやってきたのが彼との最初だった。誘っておいて言うことではないが、あまりにも簡単に掛かったから少し心配したものだ。それはある意味杞憂だった。この家で自由に過ごしながらも、常にこちらのことを見ているのだ。少しでも隙を、あるいは牙を見せれば蹴飛ばしてでも出て行きそうな、そんな気配がいつも彼にある。ひらひらとした翅の下に針が仕込まれている。気づいた瞬間、刺し貫かれてでも手の中に収めたいと思った。だから逃げられぬよう、慎重に。口実をいくつも拵えて通話をタップする。今宵もこの家に蝶を呼ぶ。
(題:モンシロチョウ)
モンシロチョウ
モンシロチョウが一匹、ひらひらと飛んでいた。おぼつかない軌道を描いて、鉢植えに舞い降りる。疲れているのだろうか。ゆっくりと細い脚を動かしている。
こんなところまで、ご苦労なこった。
アパートの五階。地上から飛んできたのだとすれば、かなりの高さだ。何に釣られてきたのかはわからないが、種族の中でははぐれ者だろう。メスかオスかはわからないが、つがいがいる場所ではない。
地上へ帰りな、と心の中で諭す。だが、あろうことか、その蝶はまた上の階へと彷徨っていく。
空へ上りたいのか。
幼虫の頃、空を知りたいと願ったのだろうか。地上から離れ、生物としての使命すら置き去りにして、高みを目指すことを決めたのか。
頑張れよ。
階上へと消える白い蝶を見送る。
俺だって負けてられないな。
机に向かい、今日も創作の世界へと舞い上がる。
今日のお題は
「モンシロチョウ」である。
思いつかないので二度言います。
今日のお題は
「モンシロチョウ」なんだよ。
伝説の白色モンキ探してる 目立たぬふりで紛れるソレを
モンシロチョウ
「世界一キレイな蝶って知ってる?」
そう聞いてきたのは誰だっけ?
でも確か私はこの問いに答えられなかったんだよな。
だから適当に知ってる名前を言ったんだったけ?
そしたら、「それは、お前な」ってバカにした
返しをされたな。
お前よりもっと美人がいるんだよって……?
………んだとゴラァーー!!!!
ーーモンシロチョウ
モンシロチョウ
この時期、何気なく庭に目をやるとたくさんのモンシロチョウがいた
ぼんやりと眺めているとあるモンシロチョウが目に留まった
あの子…あの輪の中に入れないのかな…
そう思ったが、人のエゴで小さな檻の中に閉じ込める訳にもいかなかったのでそのままにしておいた
モンシロチョウ。アゲハチョウには勝てないけど楽しそうオスは残されたたった10日の時間で必死にメスを探すそう。春も夏も秋も。