『ベルの音』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ベルの音
ベルの音がリズムに乗って夜の世界に音色を響かせる
今年もクリスマスがやってくる
きっとサンタさんはもうこない
この願いが叶うことはきっとない
だけど、
親友という存在を
表だけの関係じゃなく
互いに信じ合える人を
誰かを信じられる勇気が欲しい
暗闇の中で
そう、ただただ願う
『ベルの音』
何処か遠くで鐘が鳴っているようだった。
私の住む街でもなく、隣街で鳴っているわけでもない。
ただ、それが「合図」なのだ。
街の皆はその鐘の音を合図に、一斉に動き出す。私もその1人だ。
ここから1週間はかなり忙しくなる。ポストを確認し、服を新調して、埃を被った赤のボディを車庫から出し、可愛い我が子のツノを磨いてやる。手間暇かけて1週間を有意義に過ごす。どうやら最近では色々とレンタルできるらしいが、それは性に合わなかった。
今年、私に届いた手紙は24通。
一昔前までは100件だなんてざらにあったというのに。毎年少なくなる紙束に不安が募った。
近年、欲しいものを手に入れる事が容易になり、私達が居なくとも困らなくなってきているらしい。
それでも、こうして送られてきた手紙を前に喜ばずにはいられなかった。
『あたらしいクツを下さい』
『クッキーとミルクをよういしてまってます』
『くつしたのなかに入れておいて下さい』
『ゲームきをよろしくおねがいします』
『いいこでまってます』
内容は様々であった。自然と笑顔になっていくのが自分でもわかった。
確認が終わると、買い出しをしに私は家を出た。
また遠くで鐘が鳴った。
12月21日(木)
とても暇だ。ずっと薄暗い館の中、椅子に座り続けている。こんな状態で何年間も一人でいたから、思考回路がおかしくなっていたんだと思う。
「今日から店を始めよう」
誰もいない館に、この一言が響く。さて、善は急げということで、早速開店の準備をしなければ。訳のわからない使命感に駆られ、久々に館から足を踏み出した。
店を開くと言っても、何が必要なのだろうか。街に行き、歩いている途中にふと思う。見本を見ればなんとなく分かるだろうと、喫茶店へ行くことにした。
窓から店内を覗いてみる。テーブル、椅子、カウンター、料理を作るための器具…意外とたくさんあるなと呑気に感想を述べた。
どこかでベルの音が鳴る。音が鳴ったほうを見ると、ちょうど客が入店したところだった。その音に、少し不快感を感じた。なにか雑音が混ざっている気がした。その不快感を何故感じたのか理由を探るため、ベルを売っている店に行った。
…結論としては、なぜそう感じたのかは不明のままだった。しかし、このまま店を始めたとしてもろくな事にはならないことは分かった。そのため、店を始めるのを断念することはした。
『ベルの音』
「ピーンポーン〜」玄関のベルが鳴った。配達員が寒そうに段ボールを持っている。宛名は私だ。こたつに戻り、箱を開けると中には手紙とゲームのカセット。今年もサンタさんがアマゾンに頼んでくれたらしい。信じていればかならず来るうちのサンタ。あと3年ぐらいよろしくね。
PM. ベルの音
なんだか私、夢の中にいるみたい
ベルの音が鳴るたびに私の夢は終わってしまう
なんかごめんねずっと、愛してる。
鮮やかなブルーに
白い雲が映えた
ある晴れの日に
公園を訪れた
カフェからは
コーヒーの
芳ばしい香りが漂う
カフェの前に広がる池
太陽の光でキラキラ輝く
ベンチに腰掛け
私は作ってきた
おにぎりを頬張る
美味しい
一個目のおにぎりを食べ終え
場所を変えて
芝生にシートを引き
公園の景色を見渡しながら
二個目を食べる
子どもたちが遊ぶ声が賑やかで
野外で食べるおにぎりは格別だ
そう思いながらカーンカーンと
遠くから鐘の音が聞こえる
目線を山側に向ける
小高い丘の上に塔が見える
あそこから鐘の音が聞こえてくる
あの小高い丘に登ってみよう
急な坂道を登り橋を渡って
細い小道を行く
階段を登り終えた
やっと塔に着いた
塔の階段を登り
壁の穴から見渡した景色
わぁなんて素敵なんだと
感嘆の声が思わず出てしまった
公園が一望できる
しばらく佇み見つめ続けた
「どんなに高いタワーからも、
見えない僕の故郷〜」
ついマッキーの「遠く遠く」を
口ずさんでいた
歌いたくなるほどワクワクする景色
またこの景色に出会えますように
この公園にいる人達が
ここからの景色を眺められますように
最後に力一杯鐘を鳴らした
[ #51. ベルの音 ]
チリンチリン!
どけろってか。イライラすんな。
いつからチャリがそんな偉くなったんだよ。
振り返ってどける前にはもう突っ込んできてる。
日焼けカバーのクソババアめ。
チリンチリンチリン!!
やめろよ。
やめてくれよ。
こんなことでも限界を超える最後の一滴になる。もう溢れるんだよ。
「ベルの音」
鳴り響くベルの音が
静かな夜空に響く
時を刻むその音色は
心に響き渡る
遠くから聞こえるその音は
誰かが帰ってくる合図
待ちわびた人々の胸に
優しく寄り添うように響く
いつかはこのベルの音も
止まってしまうのだろうか
だけどその時が来るまでに
たくさんの思い出を重ねていこう
ベルの音が鳴り響く度に
新しい一日が始まる
明日もまたこの音と共に
歩んでいけるように
「ベルの音」
ミのフラットで
オクターブで奏でるその出だしは
私にとって思い出深い音
重厚で、でも煌びやかで。
ヨーロッパの建物の、大きなベルを連想させる。
私もあんな音が出せるようになりたい。
ベルの音
あ、ベルの音がどこからか聞こえる…
それはクリスマスを奏でるステキな音色だった。もうすぐクリスマスを迎えるね。
ベルの音がどこからか聞こえる。
ベルの音と共にクリスマスソングが流れてきた。クリスマスソングもステキだな。
眼の前に焼け野原。
ついさっきここは空撃されたばかりで、あちらこちらに煙が上っていた。僕も、ここから早く逃げないといけないらしい。僕の身の安全を考えてくれる人がいないから自分で決めなくちゃならない。家族はこの前の襲撃で離れ離れになってしまった。生きてるのか死んでるのかも分からない。もしかしたら、あそこに広がってる瓦礫の下に埋もれているのかもしれない。それくらいひどい惨状があたり一面に広がっていた。
今日はクリスマスなんだって。誰かがさっき逃げながら言っていた。キリストの生誕日にこんな火の海の景色が見られるなんて悪趣味にもほどがある。こんな不幸な街には、どんなにいい子にしてようがサンディクローズもやって来ないだろうな。
遠くでまた、爆撃が聞こえた。誰かの悲鳴と男の人の怒号とサイレンが一気に聞こえてくる。ぐちゃぐちゃになって見事な不協和音を奏でている。聖なる夜に、こんな音楽が流れることがあるだろうか。祈りを捧げる日だというのに、誰もそれどころではない。ならせめて僕だけでも、神に祝福と敬愛を。
その場で寝転んで夜空を見上げた。コンクリートの上は固くて冷たい。最高に寝心地の悪いベッドの上でサイレントナイトを口ずさむ。なんだかベルの音が聞こえてきそうだ。地上はこんなに荒れていても空はいつものように綺麗なままだった。
「Silent night , Holy night...」
あのどれかの星が、僕のもとへ落ちてきてくれないかな。そして願いを叶えてくれないかな。もうこんな日々は嫌だ。プレゼントもご馳走も要らない。代わりに早く戦争を終わらせて。もし来てくれたら、僕はそう願うんだ。
「『鐘の音』は8月に書いた」
当時は「風鈴」で書いたわな。某所在住物書きはベッドに寝転がり、右脚の付け根の痛みに耐えながらスマホをポンポン。
捻挫と思われる。足首は経験済みだが、その時の痛み方によく似ている。
なにより動いて悪化したあたりが、もう、もう。
「にしても、昨日は『ぼっち』だろ、今日は『ベル』だろ。あきらかに、クリスマス意識してるよな」
これは24日か25日、あるいは双方どちらも、クリスマスに関するお題が来ることだろう。
物書きは予測し、しかし特にネタも浮かばず……
「……ねんざいたい」
今インターホン、ドアベルの音が鳴ったら、自分はどうすれば良いだろう。
――――――
最近最近の都内某所、夜。
平日ながら、買い物客でにぎわう商店街。
ショーウィンドウに並ぶフェイクフラワーの中に、キク科モチーフの何かを見つけた「自称人間嫌いの捻くれ者」の藤森は、
店を通り過ぎて4歩あたりで、不意に心が跳ねた。
「あっ」
そういえば、最近「あの店」に行っていない。
己のアパートの近所で、稲荷神社のすぐ近く。看板狐の居る茶葉屋。日本茶の他にも、ハーブティーや紅茶、台湾茶等々、幅広いラインナップのそこ。
そうだ。最後に行ったのはいつであったか。
藤森はふと気付き、店へ向かった。
明日から2日間、予報では気温が低くなる。
ジンジャーの効いたカモミールでも貰えば、体を温めるのに役立つかもしれない。
なにより、12月22日は冬至だ。限定品のゆず餅を、追加で購入するのも良いだろう。
と、思っていたのだが。
「なんだ。お前、来ていたのか」
チリンチリン。
扉を押し開き、店内に入れば、ドアベルの可愛いげな高音が、客の来訪に揺れる。
そうそう大きいでもない店内、商品棚の一角に、藤森は見知った女性を発見した。
「先輩だ」
先に定時で帰ったと思った彼女は、どうやらここで、寄り道をしていたらしい。
「なんか、呟きックス死んでたでしょ?」
商品棚に並んだ缶に興味を戻して、後輩が言った。
「また不具った時のために、ひとつくらい、時間つぶしとリラックス用に。みたいな」
香りと茶葉の状態を示すサンプル、複数並んだうちのひとつを手にとって、フタを開け、鼻を近づける。
好ましかったらしい。唇が嬉しそうにつり上がった。
「そうか」
ぽつり。
適当に返した藤森は、人差し指で商品名をなぞり、
目当てのカモミールティーのティーバッグ、それからその上の、ハチミツの小瓶を手繰った。
「先輩のそれ、なに?」
「カモミールと、ジンジャーの。これから寒くなるだろう。それで」
「カモミールとジンジャー、寒さに効くの?」
「ジンジャーは効くだろう?生姜だから」
「あー、はい。納得」
ところで「例の件」、締め切り注意しろよ。
後輩の肩をポンポン叩き、棚から離れる藤森。
他にもいくつか品を拾って、店主の待つ店の奥へ。
後輩は後輩で、
数秒フリーズした後、ぎこちなく、スマホを取り出しスケジュール機能を呼び出していた。
アレ、その締め切り、いつだったっけ……?
ベルの音
どこからかベルの音が聴こえてくる
その音を聴くともうすぐクリスマスが来るのだと感じる
本当は大好きなあなたとクリスマスを過ごしたいけれど、忙しい方だからそれもきっと難しいだろう…
鳴っていた、と言う。その日ベルは鳴っていて、彼らは順調に街を回り、つつがなく子どもたちにプレゼントを配り、そうっと帰った。
「聞こえなかった」
「君が望んだ」
「そうかも」
ただひとつのベルの音で良かった。私はそれで満たされてしまった。だからもうおしまい。新しいベルの音は聞こえず、子どもたちの喜ぶ声だけが耳に届く。赤い服がよく似合うあなたが私の目の前で笑い、星のかたちのキャンドルに火を灯す。
わたしの心のドアベルが
鳴らないからと
ドアを激しく
叩かないでくれませんか
壊れたドアベルを
修理しないでいることが
今のわたしの気持だと
どうか
わかってください…
# ベルの音 (355)
外に出るとクリスマスの曲が聞こえてくる
今年は誰と過ごそうか
淡い期待を胸に電話をかける
―只今電話にでることができません―
聞こえた声は機械音声
来年もって口に出すのは簡単なんだよな
と思いつつ空を見上げる
今日は雪が降る予報だったのに…
天気予報も期待も外れる
もう一度電話をかける
聞こえてきたのは私が聞いてるのと同じベルの音
君も同じことを考えていたのかと思い微笑む
気づいたら空からは雪が降っていた
今年も居間でクリスマスツリーを飾った。
金、銀のベルや丸い物体に赤いリボン。そして電飾。
このベルは飾りだから音は鳴らない。見て楽しむものだ。
それでも無理矢理振ってみる。
カサカサと軽い音がした。
だいたい一週間位飾って、クリスマスが終わったら
正月飾りに取って代わられる。
また来年のクリスマス一週間前までしまわれるツリーに飾り達。
しまう前にもう一回鳴らしてみるか。
カサカサっと。
(ベルの音)
ベルの音が鳴り響く
その瞬間何かを察した
これだ!僕らが待っていたものは!
〚ベルの音〛
私の妻は結婚式の前日に不慮の事故で亡くなった
悲しみに明け暮れる日々
妻のことを思い出しては泣いていた
ゴーン ゴーン
私が涙を流している時、決まって聞こえてくる結婚式のベルの音
そして温かい何かで包まれるような感覚
きっと妻が慰めてくれているのだろう
私は情けなかった
私が妻をこの世界に無理やり引き留めてしまっている
私が未練や後悔をだらだら引きずっているせいで妻は天国へ行けない
私は覚悟を決め、妻を天国へ旅立たせるために、なるべく泣かないように、そして笑顔でいることを心がけた
すると、徐々にベルの音が聞こえることが少なくなってきた
──私は久しぶりに妻のお墓を訪れた
妻との思い出が一気に頭を駆け巡り、涙が頰を伝う
もう、ベルの音は聞こえない
ベルの音。
この音で僕は目覚める。また新しい一日。
今日は何をするのか
誰と話すのか
何を食べるのか…
数え切れない選択が始まる。
それが正解か間違いかなんてない。自分のした選択は全部自分。
その選択で良いことも悪いことも起こる。
それも全て自分。自分にしか出来ない経験。
受け入れられない事もある。背負い切れないものもある。
進んでいこう。
前に前に。
また新しいベルの音が鳴る。