『ベルの音』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
チリリリー…ン。
細く、けれどよく通るこのドアベルの音が好きで、よく通ったし、待ち合わせた。
今日は…1人かな?
仲の良いスタッフのお姉さんに、少し寂しげな表情で聞かれる。
私はホットコーヒーで、彼はココア。
さらに絶対にケーキも食べるという彼を、いつも胃の重くなる感覚を携えて見ていた。けれど、嬉しそうな顔。甘いものが嫌いな私でも、どれだけ美味しいものなのか食べてみたくなっちゃうくらいの。この店のケーキを口にした瞬間の顔が、本当に大好きだった。
チリリリリ…ン。
メニューから顔を上げてしまう。
……ああ、違った。
並んだケーキと、コーヒー。前回はケーキとココアを頼んでみたが、その後一日中何も食べられなくなったので、今日はコーヒー。
チリリリーン。
…違うか。
…食べ切れないケーキを頼んでしまったと泣きつけば、来てくれたりしないかなどと浅はかな考えを浮かべながらゆっくり食べ進める。
…違う。……違う。チリリリリン。……また違った。
違うって知っている。わかっている。けれど。
ベルが鳴るたび、何度もドアの方を見遣ってしまう自分を止められない。繰り返すうち、あんなに苦手だったケーキから、みるみる味がなくなっていく。
砂糖のたっぷり入った生クリームが突然しょっぱい。また耳に入る高いベルの音。何度鳴っても、もう君はここには来ない。知っていた。わかっていた。
このベルの音は私にとって、君を連れてきてくれるものだった。
*ベルの音
ベルの音
ピンポーン ピンポーン
「はーい。」
ガチャ
「郵便局でーす。」
短い間だけアニメの背景画の会社で働いていた事がある。
朝は10時からで夜は7時まで
の、はずだったが……。
美術監督さんが出勤するのが午後2時である
みんな10時からの出勤ではなく、10時は新入りの私1人。
私は美術監督さんのメモどおりにお掃除をしてからお仕事をする。
いつも掃除機をかけている時に郵便屋さんが来て、たわいも無い話をして帰って行くが、
エプロンをして掃除機をかけている私を
絶対に、お手伝いさんかなんかだと思っていたのだと思う。
私の机の上のメモに
昨日描いた夕方の雲の背景がやり直しになった理由が書いてあった
「もっと可愛く描いてください。」
くぅ〜。わかる〜。可愛く無かった……。
雲でも、ちょうど可愛い形ってのがあるのだ、
ちょうどいいモコモコ具合のね、
具体的にどうとは言えないが……。
「シャンシャンシャンシャン』
ベルの音がバックに流れる洋楽の陽気なクリスマスソングが鳴り響いていた。
クリスマスシーズンの吉祥寺はキラキラしていて楽しかったな。
歩き回れたのは、昼休みだけだったけど。
イタリア料理のお店のイタリア人の従業員さんに
「あなた、毎晩見かける、今晩店の前で待ってるね。」
って言われて、帰り道変えたなぁ
デブ専だったのかなぁ……。
なんて、のんきな事が言えるのも思い出話だからであって、
実は締切が明け方の3時。
「おはようございまーす!」
ってテレビ局の人が取りに来るんだよ
挨拶が芸能界って思ったね。
それとも単に朝だったからかな?
新人だから多目に見て7時に帰してくれてたけど、
朝の3時まで仕事していたら、朝10時に出勤なんかできないよね。
山積みになった自分の分の仕事……終わるのか?と言う不安……いや、終わらせねばならぬ、絶対にだ!
社長さん兼、1番絵が上手で偉い美術監督さんも不安なのか、チェーンスモーカーになっており
さっきまで、私の頭の上にあった
社長さんのタバコの煙雲が鼻から下に下がって来た。
「く、苦しい……。」
私は昼休みにソニプラで買っておいた
小洒落たフレーバーの飴が止まらなくなって
(サーティワンのアイスの味とか変わったやつ)
口の天井がザラザラ……血の味までしてきた……。
美術監督さんはアロマやお香を焚いていたようだ
あの、濃厚なタバコの煙雲の中で香りが効いたのかは謎だった……。
社長さんの好きなノーメロディ系の即興ジャスが大音量で流れている。
普通の職場よりは格段にオシャレな職場ではある。
だが、しかし……。
不安と疲労で頭が爆発しそうで両足のふくらはぎが浮腫んでパンパンだ。
1番苦労したのが、私の絵の描き方が独特で遅かった事だ……。
それは致命傷だった。
結局、私はインフルエンザのA型とB型に同時にかかって死にかけて辞めたのだった。
そのインフルエンザを美術監督さんに移してしまって本当に申し訳無かった……。
最後に仕事した日も、いつも温厚だった社長さんの殺気も感じた。
代えが効かない仕事なのに、大事な美術監督さんを……。
『本当にすみませんでした。
今でも、よく、思い出して罪悪感で胸がチクチク痛みます。』
良いワインも、美味しいケーキも食べさせてもらったのに、
クリスマス会にオシャレなご自宅に招いていただいて、
ジョン・レノンの描いた絵も見せてもらったのに
でも、
「かわいそうに、りくのさん、もう、油絵一生描けないね。」
って、陰で言われたのは絶対に嫌だったんだ。
保育園の時、音楽会でハンドベルを鳴らしてきらきら星だかなにかを演奏したな、たしか2回鳴らす人がいて、私はどうだったっけ
ハンドベルはカラフルだったから、自分の欲しい色があったけど
その色は使えなかった気がする(;_;)
その頃の私はいわゆるいい子だった、でも外面がいいだけで、
家だと癇癪持ちの厄介な子だったと思う
私には特にすごいところがないと自分でわかっていたから
他の子よりいい子でいようとしていたのかもしれない
昔、自分を現実よりましに見せようとしてしまうくせがあって、
それは中学生になるまでずっとそうだった、、
中学生になってからは、自分のできなさ加減をみんなに
知って欲しくて、あー、あいつダメダメだから仕方ないよ、、
って逃げ道を作っていたな、まあそれは今もなんだけど
ベルの話からだいぶ遠くなっちゃった、!!
(ベルの音)
ベルの音
二年半ぶりに行ったライブ
久しぶりの人混み
懐かしい場所
待ち焦がれた高揚感
とうとう始まったね
「日常」がまた始まった
『ベルの音』
ベルの音が鳴り響く
早く起きろと鳴り響く
いつまで夢を見ているつもり?
いつまで目を背けるつもり?
そう僕に叫びかけるベルの音
いつからこのベルは鳴っていたのか
いつから僕は鳴っていることに気が付いていたのか
気が付かないフリをしていた?
でも、気が付いてしまった
気が付いてしまったベルの音が嫌でも耳に刺さる
あぁ、目を背けていたい
あぁ、何故夢を見せてくれないのか
目を開くことが正しいこと?
このまま夢見心地で終わることができるなら
それが僕の真実になるのかな
そうして僕は目を閉じる
暗く湿ったラブホテルの、開ききらない窓をできるだけ開けて外を眺める。
いま隣にいる男は小一時間前に対価を払い、ひとしきり私の体を貪ったあと眠りに落ちていた。
高らかに響くいびきに呆れ混じりのため息が漏れる。
馬鹿馬鹿しい。残りの時間目一杯寝かせとこうかな。
日曜日の午後。憂鬱な時間。そろそろまた鳴るかなぁ。日曜日はやっぱり一日に何度も鳴るなぁ。
ただでさえ寝ている男の発する音がやかましいというのに、さらに気持ちは落ちていく。
…きた。
低く鳴り響くウエディングベルの音。
厚みはあるけれどどこか軽やかに鐘の音を遠くまで響かせ、ここに幸せなカップルがいますよと主張している。
なんでチャペル付きのホテルの近くにラブホがあるのよ…
抜けるような青空の下、ハレの日の装いで、泣いたり笑ったり人生最上級の幸せを味わってる人間が今日だけで何組もいるというのに。裸のまま、汚れた身体もそのままにしてるのも手伝って、自分だけか世界から切り取られる感覚に陥っていく。
テーブルに乱雑に置かれた金。しわくちゃのシーツ。山盛りの灰皿。
…こんな仕事しといて幸せな結婚とか、ねぇ…
私という存在をゆっくりとかき消すように、綺麗なベルの音は何度も鳴り響いていた。
*ベルの音
どこからかベルの音が聴こえる。
今日も夢を見る。
ドアを開ける時の楽しげな音。涼しげな音。
軋むような建てつけの悪い扉の音。
隣で君が椅子を引く音。
そのまま笑い合う。
目が覚めて、心が踏まれる。
鳴らすのは待ち人来たるお土産のベル。
いつまで経っても君は来ない。
『ベルの音』
―嘘だ!何てことだ!
もう残された時間はわずかであった。
いったいどれ程のものを切り捨てただろう。
―年頃の娘である私が何故こんな目に合わなくてはいけないのだろうか。
そう思うと同時に、母の最後の言葉が蘇る。
「…っ!」
残された自分の足を信じるしかない。
この道を走り続けなくては。
ようやくたどり着いたこの建物。
あとは階段を登り、扉を開くだけ。
ガラガラガラッ!
キーンコーンカーンコーン
間に合った。
―1時間前―
「お母さん!何で起こしてくれないの!」
リビングの扉を開けるが誰もいなかった。
テーブルの上には包まれたお弁当と朝食が用意されていた。
一緒に置かれたメモには、
『今日は早番だったから起こせなくてごめんね~。ご飯とお弁当はちゃんと用意したから許してね!』
「うぅ〜、時間がない!ご飯はしょうがないな」
メモを置き、急いで支度を始める。
「やばい!テストなのに〜」
「う〜ん、眉毛だけは最低でも」
「髪は……、時間が…」
いつものメイクやヘアセットは諦め家を飛び出す。
自転車に乗り爆走する。
「あっ!」
お弁当を忘れたことを思い出す。
しかし、取りに戻る時間はない。
どれ程のものを切り捨てただろう。
―なんでこんな目に合わないといけないの。
苛立ちとともに母の昨晩の言葉を思い出す。
『もう!あんたいい歳なんだから余裕を持って行動しなさい!』
「…っ!」
自業自得であった。
向かい風でボサボサになった髪で教室にたどり着く。
ガラガラガラッ!
キーンコーンカーンコーン
『ベルの音』
チリン チリンと可愛くなるベルの音
もう時期クリスマス
このクリスマスは1人でいるのか
大切な人といるのか
今度の自分の行動しだい
ベルの音
寒くなってきたので、ピンクグレージュ色の
ダウンコートを出して着た
10年以上前のクリスマスに、主人から
サプライズでプレゼントされたものだ
……ベージュかブラックの方が良かったな
……私はサプライズがキライだ
自分で選んでいない物→自分好みの物が欲しい
予定していない出来事→予定外はただ単に困る
冷めた人だと思われても
事実だからしょうがない
そんな私にも、ジングルベルの音が
聞こえてくる
ベルの音が鳴る
もう時間だ
帰らなければ…
今日だけは一緒に
いさせて…
それでも
ベルの音鳴り止まず
気持ちも溢れたまま立ち止まる
一緒にいさせて
まるで
心の声がベルで溢れるようだ
その声は
届く筈もなくて……
あなたは去って行く
最近、貴方が夢に出てこなくなった。貴方と夢で出会う度に、朝の目覚めが悲しくなっていた。もう会えないという寂しさで眼を涙で真っ赤に染めて、一日が始まっていた。
でも、最近はそんな悲しい朝を迎えることがなくなってきた。貴方のいる夢は滅多になくて、朝も涙を流さずに起きていた。こんなに清々しい朝はいつぶりだろう?
でもね、やっぱりどこかで寂しさと悲しさがあるの。多分それは、貴方に無条件で会う手段がなくなってしまったからなの。現実では貴方に会えないことはわかっている。でも、夢で会えていた。翌朝が多少辛くとも、貴方に会える喜びに変わりはなかった。今ではそれすら許されない。もう、貴方とは一生会えないのかもしれないと思うと、夢で貴方に会った翌朝よりも辛く、胸がギュッと苦しくなる。どうしたらいいの?この痛み。
あー、私やっぱりどうかしてる。忘れなきゃいけない人なのに、まだ会いたがっている。しかも夢の中でも構わないってさ。あんなに悲しい朝を迎えていたのに。だめね、天邪鬼な私…。
『ベルの音』
終着駅だと誰かは言う
金と爆弾のカタコンベ
途中下車のつもりだった
行き先不明の案内板
止まぬカウントダウン
膨らみ続けたスーツケース
回送列車は此処にはない
大音量のオーケストラ
声を張り上げる弁舌家
泣くも笑うもご愛嬌
やがてゼロになった世界
ぼくにとってそれは、君との出逢いを思い出す運命の音。
その音を聞きながら、今日も電車に揺られるのだ。
◎ ベルの音
〘ベルが鳴る〙
ベルが鳴るとみんな教室に入ってくる
「今から何の授業?」
「多分社会だったはず」
そんな話をしながら
卒業までもう少し
あと何回ベルが鳴る?
学校で最後のベルの音を聴けるのはあと何日?
あぁずっと言ってるけどやっぱり卒業したくないや
自分の志望校はみんなとは全く違うから全部受かってもみんなとは絶対に会えない。
ベル鳴らないで欲しいや
「ベルの音」
発車のベルが鳴る。
わたしは故郷を離れるんだ。
さよなら、みかん畑。
さよなら、おばあちゃん。ありがとう。
ドアにもたれた。
涙が頬を伝う。
頑張ろう。
不安もあるけど頑張ろう。
今年も雪が降ってる
あー雪かきしたくないな
今年の雪は重たいな
絶対腰痛くなるなー
よし、やるか
無心で雪かき
ソリを見つけて
ふと、昔のことを思い出した
雪降ってきた~!サンタさんいついつ~!
終わりの見えない雪かきに目処をつけ
家に戻った
ストーブの前でぼーっとしていたら
小さい頃に戻った気がした
ベルの音が聞こえる
今年はきっと懐かしいあの頃に
幼い頃に少しだけ戻ってみよう
ベルが鳴ったので
お腹の中からでてきたの
扉を開けて
そして
もう一度ベルが鳴ったら
私の持ち時間は終わり
遠くで誰かのためのベルが鳴るのを
優しい気持ちで聞いている
甲高く、家のベルが鳴る。
それは、友達が来た事を告げる音。
静かに、玄関のベルが鳴る。
それは、親戚が来た事を告げる音。
ゆっくりと、家のベルが鳴る。
それは、久しく懐かしい友達が来た事を告げる音。
堂々と、玄関のベルが鳴る。
それは、酔った父が帰ってきた事を告げる音。
ただ高く、アパートのベルが鳴る。
それは、見知らぬ勧誘が来た事を告げる音。
単調に、アパートのベルが鳴る。
それは、宅配便の届けを告げる音。
優しく、扉からベルが鳴る。
それは、母が差し入れを持ってきた事を告げる音。
点々と、玄関からベルが鳴る。
それは、唐突に友達が来た事を告げる音。
軽快に、家のベルを鳴らす。
それは…
私を待つ人に、帰った事を告げる音。