ブランコ』の作文集

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ブランコ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

2/1/2023, 1:47:12 PM

「 私 、優しくないよ 。」
ブランコを漕ぎながら 、急にそんなことを
呟く彼女 。
一体どうしたのだろう。そんなことを思いながら 、私はなんて返そうかと 考えた 。
それでも何も思いつかなくて 、
私は彼女に対して 何も返答できぬまま俯いた 。

「 そんなことないよ 」
なんて 、なんだか無責任な気がして 、私には到底言えなかったのだ 。


その無言の空気を切り裂くように 、
彼女は言葉を続けた 。
「 あんたみたいに 、」
…と。でも、私にはそれがどういう意味か
分からなかった 。


「 どういう意味? 」
そう聞こうと思った瞬間 。
紺色の靴が一つ 、宙に舞った 。

── 彼女の靴だ 。

その靴は思ったより遠くへ飛んだようで 、
彼女は少し焦りの表情を見せつつ ブランコから立ち上がり 、無言で片足を上げながら必死に 靴の飛んだ方向へと向かった 。

そして紺色の靴をしっかりと履き直した彼女は 、
「 じゃあね 。」と 一言 。
私も咄嗟に「 またね 。」と返す 。




そんな出来事から 、 約数ヶ月が経過した 。
彼女には未だに あれがどういう意味で 、どういう意図があったのかは聞いていない 。
いや 、聞いていないのではなく 、聞けていないの方が正しい 。

私は 、誰もいない教室で1人 。
彼女の机の前に立つ 。
そっと木目をなぞり 、 椅子を引いて 、彼女の席へと座る 。
窓から入ってくる爽やかな風と 、キラキラと光る太陽の日差しが心地よくて 、なんだか眠ってしまいそうだ 。
そういえば彼女は 、この席でよく授業中に居眠りをかまし 、先生に怒られていたな 。
なんて 、懐かしい思い出に浸る 。

彼女の机の上に置いてある 、白い一つの花瓶と 、その花瓶の中に咲いている一輪の花 。


「 ねぇ 、私だって 、優しくないよ 」

彼女がどういう意味を込めて 、
あの日私にあの言葉を向けたのかは 、
彼女に聞かないと きっと永遠に分からない 。

でも 、一つだけ言えることは 、本当に私は優しくなんかない 。ということだ 。
私は優しいのではなく 、「 断れない性格 」なだけである 。

だから リーダーシップのある 、正義感の強い彼女に 、私はずっと憧れてた 。


私が いじめられていることに気づいて あなたが私を守ってくれた あの日のことは きっとこの先もずっと 忘れない 。
… まるで 昨日のことのように 、鮮明に思い出せる 。

でも 、そのせいであなたは 、
あの日からいじめの標的になった 。
それに私は気づけなかった 。
気づいたのは 、 あなたがいなくなったあと 。
「 … ねぇ 、どうして 、言って … 」
くれなかったのか 。
言ってくれたら 、もしかしたら助けられてたかもしれないのに 。

「 … 確かにあんた 、優しくないよ 、」
私に隠し事するところとか 、
私を置いて1人で先にいってしまうところとか 、
1人取り残された私の気持ちも考えずに 。

言ってよ 。いくなら 。
言ってくれたら 、私も一緒に いってたのに _ 。


「 ねぇ ? 今からでも遅くないかな 、? 」

私は 優しくないから 、あんたの気持ちなんてこれっぽっちも考えていない 。

それでも 、分かってる 。私がそっちにいってあなたに会えば 、大激怒されることくらい 。
でも 、もし大激怒されたら 、私も大激怒してやるんだから 。
「 怒りたいのはこっちだ ! 」ってね 。

で 、2人して疲れるまで激怒しあったらさ 、
またいつもみたいにバカ笑いしようよ 。
だから 、…
「 まっててね 。」


Fin .

2/1/2023, 1:42:46 PM

ブランコに乗ると、手が鉄臭くなる。強く記憶に残っている匂いだ。
 大人になった今も、ブランコを見かけると、子供の頃に、遊んだあと手に移った鉄と錆の匂いが脳裏に浮かぶ。
 でも不思議なもので、子供をつれて公園へ行き、一緒にブランコで遊んでも、あの冷たい鉄の香りを感じることはできないんだ。大人になって、嗅覚が衰えたか?
 たぶん、衰えたのは感受性だと思う。色々なものを離れた視点で見るようになり…あの頃のダイナミックな、直接的な感動を感じることは少なくなった。

 ブランコに乗っていた私の番は終わり。
 次は子供たちへ、順番を譲ろう。
 楽しんでくれればよい。
 楽しんだら、また次の世代へ譲ってあげてね.。

2/1/2023, 1:42:35 PM

テーマ:ブランコ #81

突然現れたリーリエと名乗る妖魔族は、勝瑠の付き人…いや付き人外らしい。勝瑠から伝言を預かってきたというーー

「リーリエ。勝瑠は無事なのか?」
『はい…。怪我をしているわけではなく、喋ればするのですが、鎖に繋がれ勝瑠のそばには組織のものと見られる人に警備しています。それにしても、人なのでしょうか…あの人たち』
リーリエはそう言って首を傾げる。
『リーリエはどうしてその警備をくぐり抜けてこれたんだい? 強行突破、してきたようには見えないが…』
『はい。何でなのかその人たち、勝瑠が能力者であることは知っているものの人外は、見えないみたいで…』
その言葉がさっき得た情報と重なる。
人でも人外でもない…。化け物。
「リーリエ、それで勝瑠の伝言は?」
『あっ、はい!! えっと…。『奴らは僕たちの能力を知っている。むやみに近づくな』って』
リーリエはそう言った後、俯いた。リーリエだってその言葉の意味を知っていっているのだろう。
「なるほどな」
僕がそう言うとリーリエはナニか言おうとして口を開き…そのままくるりと背中を向ける。
『勝瑠はいつも私に言うんです。『ブランコ』を大切にしろって』
「ブランコ?」

『   ブつかって
    ラくにならなくても
  がまン強く粘り
 自分をコろしても相手を傷つけるな』

 の『ブランコ』です。変ですよね。自分を殺してまで 
 相手を傷つけるなって』
ハハッと笑っているリーリエは眉をハの字にして笑う。
『勝瑠は優しすぎるんです。人を傷つけるくらいなら死んだほうがマシだって言ってるようなものじゃないですか。もっと頼ってほしいのに。何でも1人でやってしまうんです』
リーリエは下唇を噛んでいた。
『こんな時にしか、私は役に立てないんです…』
「リーリエ…」
僕は震えるリーリエを見てそう呟く。
『確かにな。1人で突っ走ろうとする姿はやっぱり、兄弟なんだな』
『…え?』
リーリエがシャドウの言葉に顔を上げる。
『まぁ、人を傷つけることを嫌うってとこもか』
「そうか?」
『そうだろ。この前も人助けしていたし』
「あれは、たまたまだ」
『そういうとこが可愛くねーんだよ』
シャドウがケケケッと笑う。
「リーリエ、侵入する経路は?」
『え…』
「だーから。そこの建物、侵入する経路は?」
僕がそう言って手を組むとリーリエは首を横に振る。
『だめです! 勝瑠は真様が傷つくのが一番嫌がります!!』
リーリエは首がもげそうなほど振っている。
「勝瑠の伝言無しでもそうしていた」
僕がそう言うとリーリエは首を振るのをやめた。
「僕の弟なんだろ? 助けない意味がない」
僕は片口角を上げる。
『でも…』
「これは僕の考え。リーリエはちゃんと伝言を僕に伝えた。それでいい。これから僕が侵入するときは、全部自己責任でやる。だから、情報教えてよ」
リーリエは僕をまっすぐ見ていた。リーリエの目に涙が溜まっていった。それはもう少しで零れ落ちそうなところ小さなリーリエの手がそれを拭う。
『わかりました。私も援護します』

2/1/2023, 1:40:51 PM

昔はブランコが大好きだった。
ノーマル乗り(?)、立ちノリ、2人乗りといろいろやったものだ。当時は純粋に楽しくて楽しくてしょうがなく、ブランコを見つけると何の迷いもなく飛び乗っていた。よくブランコの取り合いで喧嘩をしたものよ。
今久々にブランコを見てまず思うことは、「服が汚れそう」、次に思うこと、「壊れないか心配」そして実際に乗ってみると、すぐ酔ってしまい楽しめず…。
なんだかなあ…。
大人になっていろんなリスクを考えるのは大事なんだけど、昔の何も疑わず純粋に楽しむということがなかなかできないことを寂しくも思うねえ…🍃

2/1/2023, 1:40:25 PM

ぶらんこ


高く 強い陽射し
乾いた熱い空気

生きものたちが皆 光から身を隠している時間

大きな木の ゆたかな葉陰に 揺れるぶらんこ

腰かけて つま先をついたままゆらゆら揺れる
葉がつくりだす 涼しい風

揺れながら 本を読もう
遠い海の 山の 知らない国の物語を

ゆらゆら揺られて
こころはかぎりなくひろがっていく







「ブランコ」

#4

2/1/2023, 1:38:29 PM

近くの小さな公園。二人でブランコになった記憶。
時間がゆっくり感じられて、幸せだった。

2/1/2023, 1:33:09 PM

学校帰り、ブランコで立ちこぎして、高く高く上がるのをよくやった。

小学生の頃のはなし。

ブランコだけじゃなくて、ほかにも色々遊具があった。まだ危険とかなんとか、あれこれ言われて撤去される前の時代。今思うと、危険とは隣り合わせだったのよね、ほんとに。そのギリギリのスリルが楽しかったのかもしれない。

ブランコの記憶からあれこれ芋づる式に思い出して、われながら意外だったのが、ほとんど、ひとりで遊んでいたこと。友達と遊具で遊んだ記憶がほとんどない。なんでかはわからない。けど、ひとりでも楽しかったような氣はする。

登り棒に登って、てっぺんからあたりを眺めるのも好きだった。あの頃の身軽さに戻れるものなら、戻りたいなあ。

2/1/2023, 1:32:03 PM

2023/02/01 今日のお題:ブランコ

キーコーキーコー

ブランコが揺れる

夕暮れに、君と。


はいーっ…最近短いね‥w(すいません)
今日、いいねが100いって、一日中深夜テンションでいました(笑)
嬉しいな!あははっ!
ありがとうございます。
私の文を読んでくれてる人がこんなにいるんだって....!!!
もっと丁寧に書こうと学びました!

さて!今日のお題はブランコ!
ブランコといえば皆さんは何を思い浮かべますか?
私は…小さい頃に友達と夜になるまで遊んでたなぁ…って感じです!

今回は『君』と一緒に社会から逃げ出してきたこのお話でした!
       (あとは想像におまかせします…)

疲れたら一回休むのも、大事だよねん(^o^)
さあ!今日もしっかり疲れを取って、また頑張るぞ!!
もうすぐで金曜日だ!!ファイトーっ!

ここまで読んでくれた諸君!!!
礼を言う!
さらばだっッッッッッッ!!!!!!

2/1/2023, 1:29:58 PM

お題:ブランコ


「お、公園だ。珍しいな、今時。」

彼女がふと横を向いて言った。

視線をそちらにやると、春の日差しに包まれた小さな公園がそこにはあった。
といってもあるのは小さなブランコと、あたりに咲くたんぽぽの花だけだ。

「珍しいね。最近見なくなったよなぁ。」

なんとはなしに返事をして歩いていると、視界の隅にいた彼女が消えた。
ん?と思って後ろを振り向くと、すでに彼女は公園に足を踏み入れていたのだった。

「え、どうしたの?」
「ちょっと遊んでいこう。」
「えー……、ご飯どうするのさ……。」

まったく、なんのために出かけたんだか。

彼女はずかずかと公園に入り、躊躇いなくブランコに腰掛けた。

「ジーパン。汚れるよ。」
「こんな面白そうなものを前に服の汚れなんて気になるか。」

ただ、小石が尻に当たって痛いな。
とぼやいた。

……僕たち今年で28なんだけどなぁ。
まあ本人が楽しそうならいいかぁ。

彼女はたまにすごく子供っぽいことがある。
なんというか、昔付き合っていた頃より感情豊かになった。

よく笑い、よく不機嫌になる。
笑う時も以前のお淑やかな笑みとは違う、無邪気な笑み。
その顔はきっと、大人になった証だ。

「お、いいこと思いついた!」

彼女は口の端をにっと歪めた。
嫌な予感がする。

「祐介、私の前に立って……いや、違うもう少し手前。そう。おっけー。」

目の前で棒立ちになった僕を見ながら、彼女はイタズラっぽく笑う。
そして地面を蹴った。

彼女を乗せたブランコはゆっくりと動き出す。
彼女が足を動かすたび、ブランコは徐々に大きく揺れていく。

そしてようやく彼女の体が目の前に来た時だった。

彼女の足が僕の腹を直撃する。

「あふっ。」
「あははははっ!」

小気味よい笑い声が遠ざかっていく。

「服汚れちゃっただろ!ご飯どうすんのさ?」
「カップ麺!」

再びこちらにきた足は、今度はちょんと触れる程度だった。

「なんかさ、いいよなぁ。ブランコ。ぶらぶら揺れるー。」

彼女が口ずさむ。

「祐介がー遠ざかるー、祐介がー近づくー。」
「楽しいのか?」
「楽しいよ、なんか昔の私達みたいじゃない?」

近づいて。
遠ざかって。

よっ。
と彼女はブランコを飛び降りた。
僕のすぐ隣に並ぶ。

「あー、こんな気分の時に吸うタバコは美味いだろうなぁ。」
「医者に1日2本までって言われてたでしょ。」
「ちぇっ、後1本かぁ。」

彼女は軽やかな足取りで公園を後にする。
もちろん僕も一緒にだ。

「あ、じゃあ祐介が粉薬飲んでる時に吸うことにするかな。
あの薬飲んでる時の祐介、顔が岩石系モンスターみたいで最高なんだよね。」
「……なんてやつだ。あの薬本当に苦いんだよ……。」

笑いながらきた道を引き返していく。

今日はなんだか、風が一段と暖かく感じた。

2/1/2023, 1:28:23 PM

ブランコ

 夕暮れ時、いつも第八公園の奥にあるブランコに乗る。その、ふたつしかない片方に座って、足を振りだしてみる。そうすれば、夕日にさらされた影は近づいたり、大きくなったりする。
 それでも影はたったひとつ。昨日も今日も、明日も。きっと、ここでずっと待っている。影がふたつになるまで。

2/1/2023, 1:24:21 PM

「ブランコ」

少し頑張って少し上にいく。

とにかく頑張って少しでも上にいく。

そんなブランコが好きだ。

ーー4月ーー

新学期が始まった。勝負の年だ。

そう言うのも今年は受験生だ。入試は2月。残り10ヶ月で少しでも上を目指す。少しでも得点を多く取れるように……

ーー5月ーー

なんだかんだ言って受験を経験していない僕からしたら、どうすればいいのか分からない。

中2の時初めて塾に通って、やっと良い勉強法を見つけた。それまでは適当にノートに重要用語を書いて終わっていた。

良い勉強法を知らなかった僕は何が勉強かもあまり知らなかった。

それと同じ状況が今起こっている。受験を経験したことがないから、何もすればいいか全くわからない。

ーー6月ーー

徐々に塾や学校から内申の話が出てきた。けどやっぱり分からない。内申が大事なのは分かってるのに、心のどこかで舐めている自分がいる。

ーー7月ーー

今思えば、今この状況は中2の頃と変わらない。受験だからといっても僕は何も変われなかった。

ーー8月ーー

夏期講習。そこでやっと気づいた。塾長からの話で僕のすべてが目覚めたように感じた。

ーー9月ーー

後半戦だ。前半戦では何も変われなかった。でも今は違う。変わったんだ。心の中にあったサボりたいという気持ちも無くなった。全部受験の気持ちに変わった。

ーー10月ーー

「このままじゃキツい」

たった一言で人はこんなに変われるだなんて知らなかった。

その一言を聞いてから、より頑張った。

ーー11月ーー

過去は変わらない。それが今分かった。内申は全く足りていない。

ーー12月ーー

少し勢いをつけて上へ行こうとした。でも変わらなかった。そんなブランコだった。

ーー1月ーー

「キツい」

そっか。結局僕は心のどこかで舐めていたんだ。もっと頑張れるだろ。

ーー2月ーー

勉強。この一心。すべてを注いだ。

ーー2月下旬ーー

少し勢いをつけて上へ行こうした。今回は前と違かった。






上へ行くことができた。



そんなブランコだった。

2/1/2023, 1:11:54 PM

今でも好き
たまに乗りたくなる
でも乗れない
時間って残酷


ブランコ

2/1/2023, 12:58:36 PM

大人はブランコには乗れないと

 大人になって初めて気づく

 子どもの時だけの特権

 もう二度と乗れぬと知っていたなら

 もっとブランコに乗っていただろうか

 高い高い空へと、力強く漕いでいけただろうか

 私は首にロープをかける

 人生の最期がブランコなら

 ほんの少しだけでも報われるのではないか

 あの日見た、真っ青な空へと昇っていけるのではないか

2/1/2023, 12:57:38 PM

ブランコ


小学生の頃凄いブランコしてた。
何がそんなに楽しいのかわからないくらい。
休憩に入るとダッシュでブランコ取って遊んでた。

何だったんだろう?
あのブランコへの執着。

2/1/2023, 12:54:11 PM

小学生の頃は特別な時間が流れていて、ブランコに乗りながら何時間も友達としゃべっていた。

何時間も、というのはほんとうは気のせいで、実はほんの1時間くらいしか経っていなかったのかもしれない。

話の内容はだいたいクラスの全員にあだ名をつける話とか、独特なギャグの開発とか、そんな感じだった。

ただそれだけで楽しかった。
と言いつつ、今もけっこうそういうのが好きで、やろうと思えばできると思う。

/ブランコ

2/1/2023, 12:46:59 PM

漕ぐ者もいないのに何故か きいきいと寂しげな軋んだ音を鳴らし前後に動く孤独な遊具。

かすかに積る雪に覆われ周りは白く染め上げられている。一人分だけ残された小さな足跡はこの寒い中遊んでいたであろう子供の存在を残す。



この年になれば公園の中へ入ることはおろか視界へ入れることすらも無いに等しい。忙しない日々の中で視線は自然と下がり,どこか不思議な魅力を放っていたその場所は認識されることも無く過ぎ去ってゆく。

滑り台もブランコもシーソーも在りし日に遊んだ思い出のひとつ。今では遥か彼方の過去となりかわった。


それでもここへ足を踏み入れたのは,銀世界の中の公園があまりにも眩しかったから。キラキラと光を反射するそんな白の中たたずむ遊具に心を奪われたから。

ほんの10年前まではしゃいでいたはずの そんな空間。夕暮れに染められるまで飽きもせずただ時間を過ごした。

確かにあの頃とは変わっている。遊具自体も塗装の色も。似ているところを探す方が難しいかもしれない。それでも,同じ雰囲気が空気が流れていた。


だからだろうか,無性に懐かしい気持ちを感じるのは。久しく忘れたはずの思いが蘇るのは。



丸太をモチーフにした椅子に荷物を預け,足跡をなぞるように動きを止めたそれに近づいてみる。

そっと 大切なものに振れるように冷たい鎖へと手を伸ばす。体温を奪ってゆく金属独特の硬い感触。錆びたような香りが指先へとまとわりつく。


おそるおそる 鎖の繋がった板に体重をかけ眺めた景色。椅子に座るよりもなお低く見上げた空はいつもよりずっと青く高い。ふっ と小さく息をついて,確かめるようにもう一度鎖を握りながら 軽く地面を蹴る。

その瞬間 揺れて流れる景色。前後にゆっくりと周りの物達が動いてゆく。思うよりはずっと早くて高くて妙な興奮に襲われる。

このままどこまでも行けるんじゃないかって そんな錯覚を覚える。思い出に刻まれた 遠いいつかの記憶。それはまざまざと蘇り襲うようにして感情を揺さぶる。


「たの しい」

こんな感情はもうずっと感じてこなかった。そんも得も何も無いただ純粋で自然な思い。ただ純粋で自然な思い。どこまでも自由で可能性にみちたそんな 悦び。

ついさっきまで酷く小さく見えていた空間が箱庭が,果てのない開かれた場所へと様変わりをする。


そうだった。世界は広くて美しくて 不可思議な魅力を放っていた。とらわれることも無く好きなだけ駆けてゆける遊び場だった。

自由になったはずの身はいつの間にか不自由になってがんじがらめで,忘れていた。翼はあった,空はひらかれている 未来は明るく夢に溢れる。なんだってできた。


「変わったのは自分か」

世界はこんなにも同じだ。さっきと今では,数分では変わらない。それでも見えている景色は違う。


「また来よう」

この思いを失う前に。今度は,滑り台に乗ってもいいかもしれない。もしくはジャングルジム。一つ一つ大切に思い出をなぞるように。




テーマ : «ブランコ»

2/1/2023, 12:44:57 PM

昼間のブランコは人気者だ。子供だけで競ったり、親が押して子供がはしゃいで。心なしかブランコも楽しそうに見える。色褪せた赤色のブランコが本来の色を取り戻したかの様に。


 誰もいなくなった夜の公園。風に揺られて時折「キィ……キィ…」と悲しげに軋む音が辺りに響いていた。夜のブランコは名の通り宙ぶらりん。誰にも構って貰えず、ただただ寂しく日が高くなるまで耐える。明日も沢山遊んでもらえるように。


「ブランコ」

2/1/2023, 12:44:27 PM

『気分は空中ブランコ』
ランチプレートに残ったスリル グレイビーソースでいただきます 張りつめた心が弾けたら僕はどんな顔をしたらよいだろう 思わず飛び散る鮮血をジェリービーンズで誤魔化して ついに僕は作り笑いの天才になる

2/1/2023, 12:42:03 PM

・ブランコ


昔は怖いもの知らずでした
信じられないほど
高く高くこいでいました

今はどうでしょう
恐怖心が勝ってしまって
あのころの体験を
味わえないようになりました

2/1/2023, 12:38:12 PM

このブランコを蹴り上げて
あなたの腕の中へ
抱き留めてくれなきゃ嫌よ
あなたの1番はあたしだけ
あたしの1番はあなただけ
ずっとずっとあたしだけ
離れるなんて許さない

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