『セーター』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あみあみセーター
夫へ、愛情こめて
あみあみセーター
作るのだ
あみあみセーター
あと少し
あみあみセーター出来上がり
不器用なりに作ってみたの
どう?
お前にしちゃあ上出来
セーター
灰色の
編み目に込めた
この恋が
木枯らしに急く
貴方を抱いて
しゅる
しゅるしゅるしゅる
しゅっ
「なが~い!」
「セーター」とかけまして
「みんなでエアコンのリモコンを探す」と解きます。
その心はどちらも「あったかい/あったかい?」です。
お気に入りのセーターを着た
まだそんなに着ていないから
ほつれたり毛玉は出来ていないけど
お気に入りだから着ると幸せになる
それだけで心もあったかくなる
冬とセーターが好きだ
菫は大学の講堂前のベンチに座って、空を仰いでいた。
辺りを焼き尽くすのではないかと思うほどの熱波を放つ太陽が、燦々と輝く長い長い夏が、ようやく終わって秋が来た。それで喜べたのもほんの束の間で、あっという間に冬がやってきた。
今日の朝は特に寒かった。だから、ヒートテックのシャツを着て、もこもこのセーターを着て、ニットのスカートに裏起毛のタイツもばっちり。手触りのいいフリースの上着も着ている。昼間になると却って暑いかもしれないが、そのときは脱げばいいだけのこと。
実際に昼になって、こうやって外にいると、日向にずっといれば確かに暑いかもしれない。でも、日陰にあるベンチに座る菫にとっては、時折、冷たい風も吹くから丁度よかったと思っている。
空は北の方向は真っ青で、南の方向が灰色になっている。家に帰る頃には、もしかすると雨が降っているかもしれない。折り畳み傘を持ってくるのを忘れてしまった。最寄り駅から家までの短い時間、雨に濡れることになるかもしれない。――そんなとりとめのないことを考えながら、菫は彼を待っていた。
ふと視界に影が差した。菫、と名前を呼ばれたので、彼女は振り向いた。
「待たせて済まない」
彼女の顔がぱっと明るく輝いた。
「伸くん!」彼女はぽんぽんと自分の隣に座るよう彼に促した。「さっき来たところだから大丈夫だよ」
彼は菫の隣に座りながら、掌を彼女の頬にあてた。彼女の頬はひんやりとしていて、到底数分前に来たとは思えない。彼女の顔をよく見ると、鼻先や頬骨の辺りが赤くなっている。
「……の、伸くん?」
自分を見つめる彼の真剣な眼差しにどぎまぎして、菫は恐る恐る声をかけた。彼が寡黙で思索に耽る性質だということはわかっているものの、ずっと凝視されるのは気恥ずかしいというもの。
「ああ、いや……寒かっただろう」
彼は控えめな笑みを口許に浮かべると、自分のマフラーを彼女に巻いた。ふわふわのマフラーに菫の顔が埋もれてしまう。何とか顔を出した菫は彼に向かって大丈夫だとでも言いたげに、にっこり笑った。それにしても、この肌触り、憶えがあるぞ。
「伸くん……これって、もしかして」
ちらりと彼を見やると、彼は頷いた。
「ああ。お前に貰ったものだ。愛用している」
彼の率直な言葉は弾丸のようで、菫の心を撃ち抜いていく。嬉しさと気恥ずかしさで菫は顔を赤くした。
「気に入ってくれてるなら……嬉しい」
彼女はそう言うと、はにかんだ。
セーター
セーターはチクチクして、毛玉になって嫌だけど、母は編み物が得意でよく編んでくれた。
私が大きくなって、セーターが縮むと、セーターを解いてその毛糸でぬいぐるみを作ってくれた。
お金がない私達家族は、友達の誕生日にそのぬいぐるみをプレゼントした。なかなかの好評で、私は誕生日会にたくさん呼ばれた。
母の思い出である。
セーター
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.11.25 藍
いつだったかな。喫茶店に行ったんです。そこには雑貨も置いてあって。手編みのセーターが、7500円でね。安いね、って話してみたくなったんです。そんなに安くなくっても、いいとも思ったんですが。
喫茶店はいい香りがしましたよ。コーヒーの香ばしい感じもあるけれど、アロマの精油も取り扱っている店でしたから。感じる、って、どうして大事なものです。忘れがちだけれど、あんまり自分の頭の中に閉じこもっていると、置いていかれてしまうから。
素敵なものを見て、いつだって素敵だなあって思えるわけじゃない。精一杯、そうあれるように足掻いているだけだからね。
ね、手作りってすごいですよね。作った誰かの、時間と手間をそのまま手にするんです。向こう側は、まだ、秋に見える。もしかしたら夏だったり、春だったかもしれないけれど。
『明日の東京都の最高気温は、マイナス18℃を予想しています。各自、外に出ないようお願いします』
異常気象。いくら師走とはいえ、マイナス18℃は寒すぎる。
明日は吹雪になるそうだ。去年はこんなことなかったのに。
「戸締りはしっかりして、明日の分のご飯はいまのうちに買っておこう。明後日には晴れるはずだから……あ、念の為にお水も買っておこうかな。非常食になりそうなものもいくつか買っておこう」
重たい買い物袋を持って家に帰ると、室内なのに吐く息が白かった。
此処もきっと寒いんだ。
買ったものを片付けて、すぐにお風呂に入る。
温かい。生き返る。
肩まで浸かって数を数えた。この瞬間が至福の時だ。
ふかふかのバスタオルで濡れた身体を拭いて、下着を付けてパジャマを着る。
ふと、買ったはいいものの着ていないセーターがあることを思い出した。
普段は選ばない赤色のセーター。もこもこすぎて、なんとなく着るのを躊躇っていた。
でも。
「明日くらいは着てもいいかな」
誰に見せるわけでもないし、このまま着ないのは勿体ない。
買った時はセーターを服の上から当ててみただけだけど、似合うといいな。
異常気象。退屈な日常の中に、ちょっとした楽しみが出来た瞬間だった。
#43 セーター
セーター
冬の季節の定番の服。それが自分にとってはいわゆるセーターというものだ。
でもこのセーターが中々厄介で、自分の体質なのか冬場の静電気が酷い。金属であれば何でもバチバチと鳴る。最悪生き物にもバチィときたらもう何にも触れられない。
本当に、好きな人と手を繋ぐ時でさえ静電気が起こり気まずくなる。毎回、静電気が起こり、痛い思いをしないと繋げないとかどんな悲劇…。
だから静電気対策でブレスレットをしてみた。静電気が起こらないらしいブレスレット。試しに使ってみたけど中々良い。バチバチこない。これでお揃いのセーターも着れるな。
なんて甘い事を考えながら君の手を取る。バチバチしない。素直に嬉しい。でも君は…
「静電気こなかったね」
「静電気ってお互いの電気を送りあってるみたいでちょっと好きなんだよね」
って言うから。次からはセーターを着てブレスレットも外すかもしれない。
【セーター】
恋人がくれた白色に黒猫のワンポイント刺繍が入ったセーター。
とっても暖かくて心も身体も暖まる。
お題 セーター
今時珍しいな。手編みのセーターをプレゼントする女とは。
濃紺と明るい紫の糸が織り込まれて、あたたかみのあるセーターだった。
「紺と紫は高貴な方の纏う色なんだよ」
その女は可愛らしい笑顔でそう言った。
「高貴なのか?オレそんな奴じゃないぜ」
それでも女は眩い笑顔で微笑みかけうんと頷いた。
だが1年と経たずに、女はオレの元を去っていった。
オレとは気が合わなくて、他の男に取られてしまった。
女の重たい想いが詰まったセーターを残して……
そしてそのセーターを捨てられないオレだった。
もうオレが着る事は無いのに……
パーカーは楽だよね。
パーカーこそ至高だよ。
中学生の頃の僕はこんな風に思っていた。
いや、高校の時も同じか。
大学に入り、私服が平日に必要になり、周りのオシャレさに衝撃を受ける。
この衝撃を受けた人は意外といると思う。
大学1年の冬、僕は例年通り、パーカーで過ごしていた。
周りのオシャレさに衝撃を受け、今までの見え方が完全にぶっ壊れた僕の目には、セーターを着ている人達がオシャレに見えた。
なんて大人に見えるのだろう。
パーカーも良いけど、、、
「セーター、オシャレだな」
ふと、無意識に言葉が溢れた。
そして、週末、すぐに買いに行ったのであった
セーターを。
#セーター
私はチクチクしてしまって
肌に合わなくて
着れないから
イメージだけど
心(しん)の真ん中を包(く)るんで
身も心も温めてくれる
そんな相方──
(2023.11.24/セーター)
あったかいけど、首元がチクチクするから、あまり着たくない。けど、かわいいから着てしまう。罪な服。
「はい、いつものね」
ことり、とグラスの置かれる音と共にはっ、と顔をあげる。注文していたジンジャエールが届いたらしい。
騒々しい店内は活気が止むことなく、まるであちらこちらで反響しているみたいでなんとなく楽しい。
仲間内でわいわいと酒を盛る時間はさぞ、楽しかろう。パーティを組むことの良さは卒業までに散々叩き込まれたつもりだ。......私の不甲斐なさも。
今の私にはパーティではなく、実力が必要なのだ。彼らに見合うほどの実力が。
「すいません、さっきの依頼ご一緒しても良いですかね?」
「はっ!え......?」
ジンジャエールをつまみに回想に浸っていた私は突如声を掛けられ現実に戻された。
顔をあげると、そこには制服のブレザーの下にセーターまで着込んだ青年と、同じくブレザーを着用した背の低い少年がいた。
一瞬ナンパ関連かと思ったが、そうではないらしい。でなければ横にいる少年がこんなにも愕然とした表情をすることは無いだろう。
「お前、まじかよ......」
飲み込むことが出来なかったらしい少年の言葉は青年に届いたのか否か、店内の騒音に消されていった。
『セーター』
セーター
昔、友達が着ていたミルクティ色のセーターは、おばあちゃんが編んでくれたものだと言っていた。 丁寧に編まれたとてもきれいで凝ったセーターだったと思う。
「すごいね! 手編みって分からなかったよ」と言うと、友達は随分誇らしげな顔をしてたっけ。
心も体も温かくしてくれるセーターだったね。ちょっとうらやましかったな。
まだ覚えているよ。
#98
『赤いセーター』
目が覚めると、外はまだ暗いようでカーテンの隙間から光は入り込んでいなかった。私は、眠い目を擦りながら布団から這い出て、顔を洗いに行く。カレンダーを見ると、今日は木曜日。燃えるゴミを捨てる日だ。普段なら前日に準備して寝るのだが、完全に忘れて寝てしまっていた。急いで各部屋に散らばっているゴミをかき集める。最後の部屋である寝室のゴミも粗方集めきったところで椅子にかかっているモノに目が留まった。赤いセーター。滅多に着ない色をしたその服は、そこが自分の特等席であると言わんばかりに鎮座している。
昨日着ていたセーター。きっと気にいるだろうと思って買ってみたモノだった。この服を着ている間は、私が私でなくなるような気がして、特別な気持ちになった。周りからも普段とは違う視線を向けられ、口角が上がってしまうのを我慢するのが大変だった。
私は、そのセーターを、ゴミ袋に突っ込んだ。
セーターとスウェットは、同じ語源だったよね。汗を吸うって意味が有ったよね。