『スマイル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
口角をきゅっとあげて、目は軽く見開いて。
少し口をすぼめると、アヒル口になってほら、可愛い。
アップライトに照らされて、たっぷりパニエのスカートを翻す。
スマイル満点!ほら、可愛い私を見て!
色とりどりのサイリウムの中から明るいレモンイエローを探す。
あぁ、今日も私は愛されてる。
耳を澄ませば聞こえる私へのラブコール。
偶像だって良い。作った笑顔も可愛ければ最高。
愛された分私もみんなに笑顔を振り撒くから、
だから
もっともっと愛して欲しい。
愛されるならなんだってする。
もっと
もっともっと
もっと…
運動も、勉強も、コミュニケーションも
自信が無い僕だけど
君を笑顔にすることだけは
世界でいちばん得意だよ
笑顔だった。気色の悪いくらい。
死に際さえ声を出さずに、ただ張り付いたような笑顔が、こちらをのぞいていた。
『スマイル』
昔から笑うという事が苦手だった
ほぼ判別が付かない集合写真は兎も角として、
身内の祝い事や数少ない友人との写真を撮る時など
毎年幾らか訪れる恒例行事が億劫になる程に
愛嬌があるように見えるだとか
明るく見えるとかそんな事はどうだって良くて
楽しくもないのに笑う事が出来る
他人の心理というものが私にはまるで理解出来なかった
可愛げが無いとか、ひねくれてるとか
そんな言葉は聞き飽きるほど告げられたけれど、
私からすれば本心と表情が一致しない皆の方がよっぽど
ひねくれてるし、可愛げどころか恐ろしいとすら思うのだ
たまたま入ったカフェの壁に『地下鉄のザジ』の笑顔のポスターが貼られていた。1960年代のフランス英語。水色の背景に、すきっぱのおかっぱ少女ザジの、ニカッと笑った顔がのっていてとてもキュート。ポスターはオレンジ背景にイラストのバージョンもあるけど、ここに貼ってあるザジは写真の笑顔だ。
7歳はなれた姉が映画好きで、部屋に映画雑誌をよく置いていた。私はその紙面でこのタイトルを知ったんだと思うけど、昔はネット検索もなく、レンタルビデオも田舎ではマイナー作品は置いてなく、観てみたいと思いながらも今まで来てしまった。
このポスターのザジは若いころの姉にそっくりで、見るたび笑える。実際の姉はどういうわけかいつも押し殺したような表情で写真に写ってるので、別の世界線の姉を見てるようではある。
でも、大人になって酒に酔った姉の笑顔はこんな感じ。何のしがらみもなく、屈託もなく、今この瞬間だけの感情で笑っているいい笑顔。
カフェに一緒に入った私の彼氏は私の姉を知ってるので、彼もポスターを見て笑った。そっくりだから。
自分の背後のポスターを振り返って見て「似てる!」と私に顔を戻したその顔も笑顔で、パシャっと撮ったらいい笑顔が2つ並んだいい写真ができた。
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【54】スマイル
中身のないスマイルをずっとしてると
自分は明るいピエロだと思い込んで
みんなもそういうつもりで扱って
それはそれでうまくいく気がするんだ
だけど
ある日突然笑えなくなる時がくる
今までの自分は嘘だったと気づく日がくる
笑わないピエロ
あなただけの人生のはじまり
私はあんまり笑わない人間らしい。これまでに色んな人に言われてきたので、そんな感じなのだろうと思う。ちなみに、自分ではよく笑うと思っていたりした。でも、興味のないことや面白くないことには完全に「無表情」だし、普段からそれほど表情が豊かでは無い自覚も出てきたので(昔から表情が少ないとは言われていた)、笑顔もそんなに多くは無いのだろう。あんまり笑わないですね、と言われたこともある。
かつて仕事の関係で(接客業だ)、笑え笑えと言われて指導されたことがある。笑顔でお客様対応をというのは、そりゃそうだ、と思うのだけど、あんまりにももっと笑えと言われすぎたせいで、私はそんなにも笑顔ができないんだなあと完全に自信を失った。軽いトラウマである。
そんな接客業も引退して十年以上の時が経った。
今でも、あんまり笑わない(そもそも私は精神疾患があるので、精神状態で笑うことが出来ないのもあるんだけど)私であるが、笑顔を強制させられない生活はほんとうに気楽である。無理して笑っている時もあるけど、それは私がそうしたいからしているのであるし。
笑顔っていうのは、できない人間からすると、大変なものなのだ。
スマイル
人のために、自衛のために
スマイルは武器になる
笑いたくなくても、笑ってみせる
それが意味を為す、どうしようもない社会へ
最高のスマイルを贈る
すまいる
最近大笑いした記憶がない。テレビのお笑いをみてもあまり笑わなくなった。歳を重ねる毎に少なくなった気がする。少年時代今の10倍は笑い楽しんでいた。毎日が新鮮な気持ちで遊び心が豊かだったあの頃。石ころを蹴飛ばしながら歩く、葉っぱを用水に浮かべて船レース、ドングリでコマ、コーラーの缶に穴を開けたり。毎日新鮮な気持ちで遊び心が豊かだった。
パッと思い浮かぶのが 飽き、周りの目が気になる、気付かない、興味がない、世間体などが挙げられる。
つまり大きな楽しみでしかやり甲斐がなく満足できなくなったのだ。小さな幸せ、少しの笑い、目線を下げてこれらに気付ける本来の人間らしい生き方をしたいものだ。
はじめまして! 旅のお方!
通りすがりですが、お会いできて嬉しいです!
本日はどのような旅をしておられるのですか?
……ふむふむ、なーるほど、『スマイル』……つまり、笑顔を探す旅に出ておられるのですね!
それって、とっても素敵です!
例えば落ち込んでいても、クスリと笑える出来事があったりなんかすると、暗い気持ちなどもいつの間にかどこかへ飛んでいってしまったりするものです。
誰かが笑顔になると、それを見た誰かも笑顔になる。その輪がみるみるうちに広がっていく……。ほら、想像してみると、とても――心がポカポカって、あたたかくなりますよね。
えへへ、そろそろお別れの時間ですから、名残惜しいですけど最後に、いつもあちこち旅して頑張っているあなたを、ぎゅーって抱きしめさせてくださいね。
まだまだ旅を続けられるのでしょう?
きっとこれから、私以外にも様々な方とお会いするのでしょうね。
今日のあなたが笑顔になれるような、よき出逢いがありますように!
それではまたいつか、どこかの片隅でお会いいたしましょう。
行ってらっしゃい!
スマイル
僕の子供の頃のあだ名は金太郎飴でした。
どんなにいじめられてもヘラヘラ笑っていたから。
そんな僕が教師になるなんて、笑えない冗談だ。
案の定、僕はクラスで起こっているいじめをただ傍観している。
いじられているのはスマイル。軽い知的障害があって、いつもニコニコ笑っている。まるで子供の頃の僕じゃないか。
どんなことをしてでもスマイルを守らないと。
大丈夫。
僕は刑務所でも笑ってられるから。
今日がいい日になるように
スマイルを窓ガラスに描く
この絵が私のルーティン
ただの暗示だけど
今日がいい一日になる気がしてる
─────『スマイル』
「スマイルください」
店に入ってきた男はカウンターの前に立つ無愛想な店主らしき男にそう言った。
「スマイルだけですか? 他の商品もいかがでしょうか――」
「スマイルだけでいい」
店主に聞かれ、男は遮るようにそう返す。
店主は一瞬悲しみを含んだような、そんな表情を見せたが、すぐにいつもの無表情に戻ると会計を始めた。「スマイル一つ100万になります」
支払いを終えた男は受け取ったそれをすぐに装着し、嬉しそうに店を出て行った。
その数日後、近所の男が自殺したらしいという噂が入ってきた。
「……いくら笑顔でいれば世の中を生きやすいとは言っても、本音を隠して笑顔だけでいるのは、抱えた苦しみを誰にも気付いてもらえず、辛さは増すばかりなんですよ」
店主は今日も店に立つ。いろんな表情の仮面を並べて。
『スマイル』
❋スマイル
笑おう 貴方の為に
貴方が ゆっくり眠れるように
笑おう 家族の為に
これ以上 余計な心配はさせられない
笑おう 私の為に
この先の幸せは 私次第
娘の恋ばな♡です。
人見知りでぶっきらぼうな男の子に出会い
友達だけに見せる”スマイル”を
自分にも向けて欲しい!からの恋の始まり。
家に遊びに来るようになって
もう 一年以上たつのに
今だに私たちの前では カチンコチン。。。
娘にだけ見せる”スマイル”を
微笑ましく 眺めている。
すべての人が笑うことは無理かもしれない。それでも、いつかあなたの笑顔が見たい。
【スマイル】
スマイル…
忘れ得ぬ思い出の中やわらかな
あなたの笑顔がわたしをほどく
涙の理由は聞かないで
ただ側にいて欲しいの
キミは我儘な女性だね
最上級の褒め言葉だよ
ボクは外を見つめてる
キミは下を向いたまま
大体の事は把握してる
泣きたいだけ泣いたら
顔を上げこう言うのさ
……お腹空いちゃった
ごはん食べに行こうよ
キミは我儘な女性だね
いつも振り回されてる
ころころ変わる表情に
『スマイル』
笑顔の値段(テーマ スマイル)
(疲れた。)
自宅にたどり着いたのは、0時過ぎ。すでに翌日が始まっている。
別に飲み会があったわけではない。
仕事が終わらなかったのだ。
(夕方に今日中期限の仕事を持ってくるなよな。)
家族サービスが、とか言いながら仕事を押し付けて帰っていった課長を思い出して、気分が悪くなるため切り替える。
(独身者へのあてつけか、それは。)
一応、自分にも自宅には一人同居人がいるのだ。
夜が遅いのに、ドアの開く音を聞いて猫が寄ってきた。
「ただいま」
同居人は人間ではなく、飼い猫だ。
(猫だけが癒やしだ。)
冷蔵庫からビールを出して、買ってきた弁当を電子レンジで加熱して、テレビをつけて、食べる。
翌日も仕事だから、あまりゆっくりもしていられない。
かまってほしいのか、足を引っ掻いてくる猫をたまに撫でながら、ビールを流し込む。
夜食代わりに餌を猫に出してみると、バリバリと食べ始めた。
夜まで仕事漬けの生活が続いているため、自動餌やり機を導入したが、足りなかったのだろうか。
「お前も一日中部屋の中は辛いよな。」
遅くなる日が続いている。
帰ってきても猫は寝ていることも多く、こうしてコミュニケーションを取るのも久しぶりだった。
とはいえ、キャットタワーとか入れて自分が仕事漬けなので、もはや「ペットがいる自分の家に帰っている」のか、「ペットが住んでいる家に毎晩泊まらせてもらっている」のか、わからなくなる時がある。
猫に声が出せれば、もしかすると
「お客さん、最近ご無沙汰だったじゃん。」
とか言われたかもしれない。
「そういえば、昔、スマイル0円とかやってたな」
猫を膝の上の乗せ、猫の口の口角を上げ、無理やり笑顔にしてみる。
突然の暴挙に、フギャーと声を上げて猫は去っていった。
猫にスマイルはないか。
そういえば、自分もあまり笑っていないな、と口角を上げてみる。
鏡を見ていないが、絶対に笑顔じゃない。これは。
目が笑っていないし。
こういうとき、独身でいいのかと考えるが、同時に、独身でよかったとも思う。
誰にも心配も迷惑もかけないから。
帰ってくるのが遅いと文句を言われることもない。・・・猫以外は。
だが、「だからといって、こういう日が続くのがいいのか」と考えることはある。
「生きるために仕事をしている」ではなく「仕事するために生きている」状態。
(こんな状態で、笑顔なんて無理。)
昔、スマイル0円をしていた店員は、忙しい中で笑顔も作らなくてはいけない、ひょっとしたらものすごく辛いことをしていたのではないか、と埒もない事を考えた。
(せめてテレビ見て笑えるくらいの余裕はほしいね。)
明日は、夕方に仕事振られそうになったらトイレに行ってみるか。と、これまた埒もないことを考えた。
明日も仕事だ。
ホステスに傘を差してもらって上機嫌の酔いどれ客が街を去り、ネオンの少しずつ消えた歓楽街のあちらこちらから事務的な蛍光灯がつき始める。
今宵の売上を数える老マスターと、ドレス姿のまま慣れた手つきで椅子をテーブルに上げ、水拭きをするホステスたち。
小さい店なんでね、清掃はキャストで行うのさと、腰の曲がらない老マスターを気遣ってガニ股のホステスたちが店の中を隈なく行き来する。
もういいよ、上がって。ありがとうね。
その言葉を合図に安物のドレスを躊躇なく脱ぎ去って、日払いのお給金を嬉々と受け取る面々。
店の門戸を開けると、既に日が昇り始めている。
深夜に急に降りしきった雨は束の間のことだったみたい。
あんた、今日昼職は? 休み? じゃあこれから飲み行こうぜ。朝からやってるイイ店知ってんだ奢るから。
さんせーいと店の拙い外階段を駆け降りていく女たち。
ハゲた化粧を見合って笑いながら、女たちの1日はこれから始まる。
お題:スマイル