『カーテン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
カーテン
引越しが終わり
ダンボール箱を端に寄せ
床に寝転ぶ
爽やかな風が入ってくる
カーテンをつけないとなぁと思いつつ
風が運んでくる香りを楽しむ
カーテン
カーテンの裏に何かいる。
人の影のようだ。
でも、ここはマンションの10階で、カーテンの裏に何かいるはずはない。
家族は今は外出中で、部屋には誰もいない。
家族の誰かや、不審者や友人がサプライズで隠れてるわけでもなさそうだ。
なぜかというと、黒い影には足がないから。
足はないのに、影の形は人間の頭と胴体のみがある。
晴れた昼間で、光彩が入りいつもはとても明るいはずの部屋が、今日は薄暗く感じる。
気味が悪くなり、思わず夫に携帯で電話をかけた。
会社はちょうど昼休みだから、多分出るはず。
しかし、電話が掛かる前に、後ろから耳元で声がした。
「掛けても無駄だよ」
了
「カーテン」
蝉の声が全ての静寂をかき消し、うだるような暑さが全ての意思を崩していく。
扇風機で部屋の空気をかき混ぜてみても風鈴はうんともすんとも鳴らない。
奥の水槽から聞こえてくるぽちゃぽちゃ音だけが唯一涼をもたらしてくれている。
夏休みは暇だ。
最近は暑すぎて外にも遊びに行けないし、デートするような相手もいない。課題をする気は起きないし、テレビはつまらない。
何か世界が一変するような出来事が起こらないだろうか。宇宙人が現れるとか、急に異世界に飛ばされるとか、突然隣に超絶美少女が引っ越してくるとか…
ぼんやりとソファに寝転んで外の景色を眺めた。
倒れた鉢植えが太陽の光を存分に浴びている。
鉢植えの前でミミズが体を懸命によじらせて日陰を求めている。
あのままでは干からびてしまうぞ…。可哀想に。水をやろうか。しかし体が動かない。
ああ、僕も水が必要だった。
コツコツと窓から音がして目を開ける。
いつのまにかレースのカーテンが閉じられており、その向こうにゆらりと影が見える。
誰だ、泥棒か?
影に気付かれないようにそっとカーテンに忍び寄り、恐る恐る裾をめくった。
そこは、海だった。
サンサンと降り注いでいた太陽の光はゆらりゆらりと弱く揺れている。
鉢植えがあったところはあざやかな珊瑚礁になっていて、穴からウツボがこちらをじっと見つめている。
カーテンに映っていた影は魚影だったらしく、大きな魚がひらりと水面に泳いで行く。
これは夢だ。
だけど妙にリアルで溺れそうな感覚になる。
なんとなく体がひんやりとして背中に汗が流れる。
僕は慌ててソファに駆け戻りもう一度目を閉じた。
これは夢だ。早く覚めよう。
それでもゆらゆらとした光模様はまぶたを貫通してくる。
だんだんと息苦しくなってくる。できるだけ肺に空気を入れて息を止めた。
つま先が水に浸されている感覚がする。家の中にまで水が入ってきたのか!
早く覚めろ!覚めろ!
まぶたに力を込めても水は迫ってくる。
ふと頬に冷たいブニッとした感触があった。
目を開けるとさっきのウツボだ。
焦点の合わない小さな目が顔の真横にあった。
「うわあ!」
叫んだ拍子にゴボゴボと泡が漏れる。
水が鼻や口に入って苦しい。
ウツボは溺れる僕の様子をじっと見ていた。
ピシャン!と頬に鋭い痛みを感じて目が覚めた。
制服を着た姉が焦った顔で覗き込んでいる。
「あんた大丈夫?」
僕ははぁはぁと肩で大きく息をしながら辺りを見回した。太陽は強くジリジリと窓から部屋を照らし、鉢植えもそのままだ。水が入ってきた跡ももちろんない。
ただ、僕だけ水をぶっかけられたかのようにびしょびしょだった。
「頭痛くない?吐き気は?」
姉が珍しく体調を気遣ってくれている。
「大…丈夫…」
涙か鼻水か汗か、顔の水を拭った。
「一応病院行った方がいいかもね…。そこ水置いてるから飲みなさい。私ママに連絡してくる」
姉がこんなに甲斐甲斐しいのは千年に一度あるかないかだ。素直に水を飲み干す。
姉が日差しを避けるために引いてくれたカーテンを少しだけめくる。
植木鉢のミミズは力尽きていた。
朝カーテンをあけたら
昨日にもどってないかな
普通に朝ごはんを食べて
いつものように家を出て
バスに揺られて
夜に帰れば
おかえりと無愛想なひと言
今日は忙しかった
いつもより蒸し暑かった
紫陽花がきれいに咲いてきたね
普通に話して少し笑って
また明日が来ることを
何も疑わずに
おやすみを言って
眠りにつく
変わらない一日
まだしばらくは続くと思ってた
どこに行っちゃったの?
目の前に広がるのは
あなたに二度と会えない世界
どんなに会いたくても
もうどこにもいない
《カーテン》
※短い上に雑!オチなし!
「んー、いー朝ー!」
とある夏の日の朝、私、熊山明里はカーテンをガラッと開けて強烈な朝日に目を細める。
朝日に照らされるのは抜けるような青空。もうすっかり梅雨は明けてしまい、本格的な夏がスタートするのだ。
『……今日の最高気温は猛暑日になるそうなのでこまめに水分補給を……』
さっきつけていたラジオから天気予報が聞こえる。うん、今日も暑くなりそう。
手早く朝ごはんを食べて、お弁当を作って、身支度を整える。
それからカーテンを閉めて、出かける準備は完了。
「それじゃ、行ってきまーす!」
誰もいない家にそう言って、私は家を飛び出した。
(終わり)
2025.6.30《カーテン》
朝起きて。目が覚めて。
僕はクマではないけれど、ぼんやりと体を起こす。
ゆうべ見た夢は、体を起こした瞬間に消えてしまった。
(面白い夢だったと思うんだけどな)
意識の端にすがりつくまどろみの残滓を払いのけるように、僕はカーテンを開けた。
布がレールを動く音と共に入る朝陽。
まぶしさに目をすがめつつ、誰にともなく朝の挨拶をした。
「おはよう」
/7/1『カーテン』
ざぱんっ。
プールの飛び込み台を背面から飛び込んだ。
怖さは一瞬。痛みは数秒。
水面にライトがにじんでいる。
ゆらゆらとまぶしいライトが揺らめくのを見ながら、体を浸水させていく。
深く深く。
淡い水色は青色へ。
(これが海ならば、ずっと沈んで、闇に溶けてしまえるのだろうか)
/6/30『青く深く』
カーテン
カーテンを付け替えに行くだけの要員としてでも、家に呼ばれるならそれは本望だ。
ひらひらと舞う僕の痛みや悲しみを隠すようにはためくカーテン
レースの向こうに誘う影
甘やかな声でやわらかな唄で
レースの向こうで揺れる影
手招くように楽しそうに
カーテンを閉めれば聞こえない
レースを開けたら見当たらない
窓の向こうの空すら見れない
いつでもいつまでも呼んでいる
‹カーテン›
深く深く海に沈む
脚のつかない暗い深淵
深海は宇宙と同じくらい
前人未到なのだとか
遥か遥か空に駆く
脚のつけない暗い無限
小さな死骸がゆらふらと
帰る先を探してる
息も出来ずに目は散った
静か静かに揺蕩って
‹青く深く›
カーテン
ふわり、ふわり
ひらり、ひらり
風に揺られてカーテンが揺れる。
揺れたカーテンの先には一体何が待ち構えているのだろう。
――雨上がりの夜に、一人で外に出てはいけない。
幼い頃から母に何度も言われてきた事。
その理由を、母は悲しげな目をして海に攫われるからだを説明した。
私も、周りの友人達も、その話を親から聞かされてはいたが、誰一人信じてはいなかった。
「雨上がりの夜に、外に出ては駄目よ」
「どうして?」
「――布に攫われてしまうのよ。海から現れた、柿渋色の布が子供を攫うの……お母さんの好きだった人も、昔攫われてしまったわ」
悲しい目をして笑う母に、信じていないなど言えるはずもなかった。
「布が怖い。赤の布がやってきて、連れて行かれる」
梅雨入り前。友人が学校に来なくなった。
お見舞いに尋ねると、部屋の隅で友人は震えながら布が怖いと繰り返した。
「赤い布?茶色の布じゃなくて?」
「違う。赤い布よ。部活の帰りに見たの。海の方から赤い布が来るのを……私、行きたくない。知らない人のところになんて、そのままずっと帰れないなんて絶対にいやっ!」
首を振って泣きじゃくる友人は、それから数日が過ぎて姿を消した。友人の両親は何も言わず、それから程なくして残された一家はどこかへ引っ越してしまった。
それから、少しだけ布が怖くなった。
柿渋色の布。赤い布。攫われた母の好きだった人や友人。
友人は知らない人の所へ行ってしまったのだろうか。友人の家族も、友人の所へ行ったのだろうか。
はぁ、と溜息を吐く。学校からの帰り道。
朝に降った雨のせいで地面はぬかるみ、じっとりとした湿気が肌に纏わり付いて気持ちが悪い。早く帰ろうと足を速め、何気なく海の方へと視線を向けた。
海の上を何かが漂っている。海に溶けてしまいそうな深い青が、海の上でゆらりと踊り、風に乗って空に舞う。
布だ。青の布が空を漂い、風に乗ってこちらへやってくる。
――海から現れた布に攫われる。
――布が、怖い。
ひっと短く悲鳴を上げて、急いで家に駆け込んだ。
部屋に籠もり、深く息を吐く。扉を背にずるずるとしゃがみ込んで、吹き出す汗を拭い乱れた呼吸を整える。
心臓が痛いくらいに脈を打っている。悲しそうな母の目、友人の怯えた目が浮かび、涙が滲み出す。
不意に、視界に青が揺らいだ。
びくりと体を震わせて、恐る恐る視線を向ける。
「――なんだ。カーテンか」
青いカーテンが、僅かに空いた窓から吹き込む風に揺れている。
迷いながらもカーテンに近づいた。外に近づくのは怖かったが、開いた窓をそのままにしている方が怖ろしい。
ゆっくりと窓に近づき、手を伸ばす。窓をしっかりと閉めて鍵を掛け。
何気なく窓の外へと視線を向けて、息を呑んだ。
遠く、海の方からゆっくりと。
あの深い青をした布が、近づいてきていた。
あれからずっと、あの青の布が離れない。
どこへ行っても、何をしていても、視界の端に必ず青がちらついていた。
柿渋色でも、赤色でもない。底の見えない海のような深い青色。
青が離れなくなってから五日が過ぎ、六日が過ぎて。
外に出るのが怖くなった。
「お母さん」
「大丈夫よ。家から出ないでね。招き入れなければ、きっと大丈夫だから」
母はそう言って私を抱きしめ、朝早くからどこかへ行ってしまった。
神仏に頼りに行ったのかもしれない。
部屋の中で一人、膝を抱えて蹲る。少しでも窓から離れるように。
そう言えば、姿を消した友人も同じように窓から離れて怯えていた事を思い出した。赤い布に怯えていた彼女。
彼女は今、どこへいるのだろうか。
ふわり。
視界の端に青がちらつき、はっとして顔を上げた。
いつの間にか部屋は暗く、じわりとした湿気を纏う空気が漂っている。どうやら少しばかり眠ってしまっていたようだ。
部屋はしんとして静まりかえっている。母が帰ってきた様子はみられない。
ひらり。
視界の隅に青がちらつく。
視線を向ければ、締め切った青のカーテンが少しだけ揺れているのが見て取れた。
窓を開けた記憶はない。別の所から吹いた風にカーテンが揺らいでいるだけだ。
そうは思うが、不安は消えない。カーテンの向こうは見えず、窓が開いているのかも、あの布が外にいるのかも分からない。
ゆっくりと立ち上がり、窓に寄る。変わらずカーテンは微かに揺れて、向こう側を見る事は出来ない。
手を伸ばした。揺れるカーテンに、一度だけ躊躇して触れる。
その瞬間、カーテンが手を掴むように絡みついた。
「――っ、いや!」
慌てて振り解こうとするもカーテンは解けない。それどころか手首に腕に絡みついて、全身に巻き付こうとする。
必死に藻掻き暴れていれば、足が縺れて倒れ込んだ。痛みに呻いている間にも布はどんどん体に巻き付いて、身動き一つ取れなくなってしまう。
僅かに動く首を動かして、窓を見た。
「そんな……」
カーテンはそこにあった。
揺れる事もなく、私の体に巻き付くでもなく、静かにカーテンはあった。
「お母さん」
目を伏せて、力を抜く。視界を覆い出す布に、じわりと涙が滲んだ。
どうして、という疑問よりも、帰れなくなる事が悲しかった。
気づくと、暗くて狭いどこかにいた。
開いた扉から差し込む、丸くて淡い二つの光以外に灯りはない。それでも室内を見渡せる暗いには部屋は狭く、何もなかった。
ただ一人、目の前にいる男の人を除いて。
「だれ……?」
首を傾げて問いかける。
知らない男の人。小さく息を呑んで、彼は手にしていた布を私の背に掛けた。
そのまま引き寄せられて、告げられる。
「お前の、夫となる者だ」
夫。それは何を意味していただろうか。
考えて、けれど何も思い出せない。頭の中に靄がかかっているように、思考がまとまらない。
深い青の中に沈み込んでいくような、不思議な感覚。絡みつく青から、目を伏せる事で逃げ出した。
「行こうか」
抱き上げられて、暗い場所から外へ出る。
外もまた暗く、細かな雨が降っていた。
湿った土の匂い。青々とした草木の香り。
私の記憶にはないもの。踏み締める土の音や雨の音すら、馴染みがない。
ここはどこなのか。
私は誰なのか。
絡みつく青が思い出す事を許さない。
「――あぁ」
小さく声を上げた。
耳の奥に残る波の音が消えていく。鼻腔を掠める潮の匂いが、雨と共に流れ落ちていく。
――私は、この人のもの。
浮かぶ思考を、青に染まりきらない私の欠片が否定する。
けれどそんな僅かな欠片もすぐに塗り潰されて。
涙となって頬を流れ落ち、消えてなくなった。
20250630 『カーテン』
「ん」を連続で描くと
レースが出来上がり。
スカートの裾に描いて
オシャレなスカートの絵。
なんて親戚のおばさんが
絵を描いてくれていた。
で、「ん」の最初を長く伸ばして
カーテンになる。
さらさらとカーテンの絵を描く。
感動だったな。あのアイデア。
(カーテン)
眠れずに朝を迎えるなんて何年ぶりだろう。
窓を開けたら意外と風があって、部屋のカーテンをゆらりと動かした。
寄せて返すようにひるがえるそれを、あの時も眺めていた。
なんかキモイ。
そんな言葉で延々なじられた放課後。
理由なんて多分どうでもよかった。
目の端で教室のカーテンが、波のようになびいて。
美しいなと感じた瞬間、聞いてんのかと殴られた。
いっそ、たなびく青いカーテンの海に潜り込めたら良かった。
波のような穏やかさに沈めば、静かに消えていけたかもしれない。
現実の僕は消えずに、ただ今が通り過ぎるのを待った。
震える手を握りしめて。
子供みたいで融通がきかないのを、青いなんて言うけれど。
もっともっと容赦なく僕は青いままでいたかった。
自分の鈍感さに気づかないほど、青く深く潜りたかった。
『青く深く』『カーテン』
カーテン
ふわっと浮いて
授業中の私たちに襲いかかる
一生懸命に勉強する貴方に
あたって邪魔にならないように
一つ後ろの席の私は
バレないようにカーテンを押さえる
そうやっていることを知らなくていい
好きだからやってしまうことに気づかないでいい
私の嫌いなのがカーテン。だってカーテン開けたら苦手な人がいる。私には夢中になってるアイドルが居るが、なんと隣の部屋に住むことになった。すると、窓から音がした。カーテンを開くとそこには私の推しのなにわ男子の姿が。気まづいと思いつつも中に招いた。すごい元気な様子。私は顔を赤らめつつも気を引かせて自分の部屋に行った。私の推しの大西流星が、ふと、本気で好きと、言う声が聞こえた。私は顔を赤くして部屋にこもってしまった。すると大西くんがふと扉を叩き私は開ける。すると抱きしめて付き合ってと言う。私は頷く。大西くんは笑顔になって抱きしめそっとキスをした。私はそれからカーテンが好きになった
『 カーテン』 あやこ
風になびくカーテンを見るたびに
思い出す。
窓際の席で静かに本を読んでいる………きみ
話しかけるとか、友達になろうとかは、なかったけれど
なんだか目を離せなかった。
もしかしたら…………私は恋をしていたのかも
あぁ〜毎日暑い。窓を開け放つ。カーテンがなびく窓際。なびく度に外から差し込む光があっちいったりこっちいったり。まるでカーテンと日差しがダンスしてるみたい。リズミカルな音楽でもかけようか。そんな事を思いながら、うだるような暑さで動けぬ私は今日もダラダラ、スマホの上で親指タップダンス。
もっと傲慢でいいのかもしれない。
カーテンを締め、1人。
呟く。
もう会えない貴方に。
求めすぎるのは、ダメだと。
本能で分かったし。
そうだと教えられてきた。
だけれど、
逢いたいと思うのは。
普通なのではないか?
カーテンは少し空いてて、
隙間風から、貴方の香りがした。
願うだけじゃなくて。
叶えて欲しいと思うのは、
傲慢だと言わないのであれば。
僕は、いつだって願う。
貴方に逢いたいから。
貴方に、好きだと伝えたいから。
ひらひら揺れるカーテンは、
こんな僕を無視して、楽しそうで。
貴方を思い出した。
天国では、"笑顔でいてね"
なんて。
押しつけなんてしてみたり。
そして、ふと。
気づいた。貴方も傲慢だったと。
勝手に居なくなったのだから。
お互い様。
なら、いいよね。
だって、いいんだもん。
閉ざされた外と、中の空間。
誰も見えない、カーテンの中。
ただ、ひとつ。
ガタッ
という音だけがした。
傲慢で、浅はかな僕は。
最後まで、傲慢だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
一応説明とか何とか...。
昔のにも貼ってこようかな。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
貴方は、亡くなってる。
言わずもがなだけれど。
主人公の「僕」は、優しかった。
人より、何倍も。
それゆえ、自分を抑制。
そして、都合が良すぎる子だから、
相手からも抑制されていた。
そんな時、出会ったのが貴方。
「もっと意志を持っていい」と。
外の世界へ、引っ張り出してくれた。
そんな貴方は、「僕」に何も言わずに。
自殺した。
それを、「僕」は、傲慢と呼んだ。
傲慢とは、「自己中心的で、尊大な態度」
のこと。
だけれど、理由を知れば、
貴方にそんなことを、
言ってしまったことを後悔する。
絶望まみれた1人の部屋で。
初めての感情に触れる。
「貴方に逢いたい」
「貴方が好きだった」
「話したい、行かないで」
と。
優しい「僕」からしたら、
こんなことを望むことは罰当たりで。
でも、これは、
普通のことだと、気づいてから。
あることに気づいてしまった。
貴方に、"逢いに行けばいいと"
気づけば、腕と足は動いてて。
首をつけて、
ガタッと、足場をければ。
「僕」は、傲慢のまま、終わってしまう。
当然、【カーテン】は、閉まっており。
誰も気づかない。
例え、貴方でも。
隙間風からした匂いは、
貴方が連れ出してくれた外の世界で。
懐かしむ間もなく。
ただ、終わってしまった。
それだけのお話。
カーテン
このカーテンを開けてしまえば、この幻想も終わってしまうのかな
響くカーテンコール
立ち上がり拍手を送る観客
応えるように礼をする演者
カーテンを隔てて二つに分かれた世界
布切れ一枚で世界が変わるなんて
とても律儀な世の中だ。
拍手が鳴り止むまで
この幕は開き続ける
が、新しい物語が始まるのは
まだ先のことだった