『カレンダー』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
4:カレンダー 15
母親の7人に1人が
父親の10人に1人が
産後うつを経験しています
昔テレビで見たのを、なんとなく覚えてた。
なら、今の母さんと父さんもそうなのかな。
弟が出来る前は普通の家庭だった。
口うるさいけど優しくて私の事を真剣に考えてくれてた母さんに、怒ると怖いけど優しくてよく頭を撫でてくれてた父さんに、どこにでもいるちょっとワガママな私。
下の兄弟が出来るって分かった時、私も父さんも母さんもみんな喜んだ。今でさえ幸せなのにもっともっと幸せが増えるなんて、って凄く嬉しかった。
でも、弟は生まれる前から幸せじゃなく嵐を呼んできた。
つわりとイライラがとても酷かった母さんは、ずっと目の下にクマを作ってたまに壁を思いきり叩いては手の甲に血を滲ませてた。
荒んだ状態の母さんを見ていた父さんは、最初こそ母さんを支えていたけど遂に限界を迎えてあんまり家に帰らなくなった。
私が話しかけると、2人とも凄く嫌そうな顔をして「疲れてる」なんてお決まりの言葉を吐いて私から目線を逸らしてた。
生まれた後は更に酷くて、弟は泣き止む事が珍しいくらい泣きっぱなしの癇癪持ちで家はどんどん散らかって悪臭を放つようになっていった。
大声で怒鳴り母さんを責める父さん、泣きながらヒステリックに叫び返す母さんが日常の光景で、怒鳴り合いが始まるたびに私は甲高く泣き叫ぶ弟を抱いて別の部屋に避難し続けた。
毎日に疲れて、疲れて、疲れ続けて物凄く辛いのに、昔家族で仲良くめくっていた埃を被り黒ずんだカレンダーからいつも目を離せない。
(※フィクションです)
カレンダーは、私にとって大切なアイテムの1つです。
なぜなら、予定や目標などを忘れがちな私にとって、気づきを与えてくれるアイテムだからです。
私は、壁掛け、卓上、スマホアプリとそれぞれタイプ別で使っています。壁掛けは、様々な予定を書き込んで可視化できますし、卓上はパソコン作業をしながら、パッと確認できます。スマホアプリは、持ち運びできる分、手軽にどこでも予定を確認したり追加・修正できます。
カレンダーといっても、色んな形や使い方がありますよね。今回紹介した中の1つでも全然良いと思います。自分にあったもので、気づきを得ながら、毎日を大切に過ごしていきましょう。
子供の頃からカレンダーというものが好きだった、目に見えて色んな予定がわかるから
「ねえお母さん!次のお出かけの日はいつー?」
「次はこの日だね!」
そう言ってカレンダーを見ると次のお出かけの日がメモしてある、それを見ると毎日とても頑張れた、カレンダーというものは未来の色んな楽しい予定を可視化してくれるものだとずっと思っていた
しかしいつの日にかカレンダーなんて器用なものは買わなくなり、全ての予定管理はスマホですることになった
「次の予定は…そうだ、もうすぐこの資料の締切だ」
今の自分にある予定なんて全て会社の仕事関連のもので楽しいことなんか一つも無かった
カレンダーを活用してる人はすごいなと思う✨
私にはできない💦
何故かって?
出来ないからꉂ( ᵔ̴̶̤᷄∇⃚⃘⃙̮ ᵔ̴̶̤᷅ )タ”ハハ
カレンダーとかけまして俳優業と解きます
その心は
縁起(演技)の種類があります
ふーちゃんです!
一昨日、家のカレンダーが落ちた。画鋲で上下釘を打っていたのに。壁にはスイカのタネくらいの穴があいてしまい、みっともないし汚いな。壁紙の穴を治すにも、近くに石膏を売っているところは思い浮かばないし、賃貸の壁に穴を開けてしまったのでどうしよう。
賃貸の部屋より、カレンダーがかけられないことのほうが辛い。ヨーロッパの農場の風景が描かれていておしゃれで可愛いのに。カレンダー無いと困るんだよね。今日が何日かわからないし。
3部屋のうち、間にある部屋なので壁に打ちづらい。壁が堅い。
鏡も置けないから嫌だなぁ。
生きてるうちにしかカレンダーはめくれない。
"カレンダー"
カレンダーの上 世界中
年中無休のhappy birthday
どこいった私の誕生日
うるう年生まれはごめんね
四年に一度だけなの
四年分を一度に祝うと疲れるのよ
でも安心して サンタさんは
ちゃんと毎年プレゼントをくれるから
「カレンダー」
カレンダーに記した楽しみな予定までの間は本来より長く感じるし、その間頑張れる。ような気がする。
嫌な予定までの間はあっという間に前日になってたりするし、心なしか憂鬱な日が多い。
カレンダー通りの休みでなくなって4年くらい経つ。
流石にもう慣れたけどたまに懐かしくなる。
数年前の日付で止まったカレンダー。
ふと目に入って気が付いた。
仕事で疲れた私はその瞬間まで存在自体忘れていた。
気付いた所で仕事に行くだけの日々。特に書き込む事もない。
雑にごみ箱に捨てて少しでも体を休ませる為にさっさと横になる。
学生時代の所々用事の書かれていたカレンダーを思い出し
寂しくなりつつゆっくりと目を閉じた。
ーカレンダーー
私は必ずその日に丸を付けるのです
楽しみにするために 楽しむために
思い出すために 忘れないために
風化しないものなどないと思うけれど
今日も今日とてはなまる気分で付けるのです
カウントのアップダウンを繰り返して
変わる街並みをそれとなく眺めながら
やっぱり丸を付けてしまうのです
もう楽しくはなくなってしまっても
楽しかったことを思い出すために
色々な感情が色褪せても
なんとなくかなしくなれるように
そして
いつかは忘れることを忘れないように
それでも今はただ丸を
あなたに丸を
今年の5月で時が止まっている壁掛けカレンダーがある。
それは別に、何か忘れられないことがあって捲れないとか、
5月の絵柄が好きだから飾っておきたいとか、
そういうイイ感じの理由があるわけではなくて、
ただシンプルにズボラである。
この文章を打ち込んでいる間にも、カレンダーは恨めしくこちらを見ている。
6〜8月のページが日の目を見ることはもはや無いだろう。
彼らの口惜しさたるや、測り知れない。
使わなければ買わなきゃいいのにと思うけれど、
毎年この時期に文具店で所狭しと並び始める、個性豊かなカレンダーを眺めるのが好きで、いつもやたら時間をかけて厳選している。
シンプルながら機能性に優れたもの
柔らかいタッチのイラストが描かれたもの
祝日にポップアップがついた個性的なもの
どれも中々に魅力的だ。今年はどれにしようかな。
脳内会議を楽しみながら、様々なカレンダーを見て回る。
「いや自分途中で使わんようになるやん」というド正論カットインはとりあえず無視した。
ちなみに今年はなんと日めくりを購入した。
小さなモチーフが描かれているデザインの可愛らしさにときめいてしまったのだが、
どう考えても捲る難易度が跳ね上がっている。大丈夫か。
来年の今頃、この日めくりは果たして今日の日付まで捲られているのだろうか。
乞うご期待。
カレンダー
壁に掛けられたカレンダー。
カレンダーに並ぶ、
数字を眺める度に、
貴方が居ない日々の長さを、
実感します。
そして。
一週間とは、
一ヶ月とは、
一年とは、
こんなにも長かったのか、と。
カレンダーを捲る度に、
溜息を吐くのです。
季節は巡ります。
昔は楽しみだった、
お正月も、お花見も、夏祭りも、
ハロウィンも、クリスマスも。
貴方が隣にいなければ、
それらは、単なる、
365日の中の1日にしか過ぎず。
どんな日々も、
淡々と過ぎていくのです。
そして。
すっかり心躍らなくなった、
カレンダーを眺め、
貴方が居なくて、
色褪せてしまった日常を、
私は、今日も過ごすのです。
ひとり、またひとりと仲間が消える。
ひらひらと散っていく者もいれば引きちぎられる仲間もいる。私たちの仕事は1日だけ。
仕事まではずっと待機して、終わったら捨てられる。
でもそれでいいんだ。
私たちはそういうものだからこそ1日の大切さが分かるから。
カレンダーはいつの間にか九月
アスファルトの上を撫でる風は
生暖かくて
まだまだ暑いけど
ある日突然、秋が始まりそうだから
ワンピースにサンダルは
今日で終わりにしよう
物置の下で涼んでる猫に
ちょっと声をかけたら
あなたに会いに
風通りのいい
生成りのワンピースを着て
出かけます
わたしたち
今日で終わりにしよう
なんてね
「いつまで待つんだろうか・・・」
カレンダーの大半を埋めるバツ印。
毎日寝る前、カレンダーにペンを走らせるのも
日常になったのもいつからか。
いつ来るのかわからない相手を待ち続けて数ヶ月、
なんて言ってるが、もうすぐ1年にもなる。
最近心なしか、ため息が増えた気がする。
待つのは得意な方だが、さすがの自分も堪えているようだ。
代わり映えのない毎日。あいつと過ごす日常はどんな風なのか、想像するのももう飽きたぐらいだ。
春夏秋冬、色んな想像をしてきた。
「1周回っちゃうぞ、もう、ちょっと飽きてきた...」
もうすぐ365日、色んな想像をしながら眠りに落ちてきた。書いたバツの数だけ、増えていく。
「来たからには、このバツの数を塗り替えるぐらいには思い出、作ってもらわないとゲンコツだ。」
めくったカレンダー、書いたバツの数だけ思い出に塗り替えられる日が来ると信じて、今日も私は眠りに落ちる。
人生の暦は九月に始まった
いまさらだけどさっき気付いた
生まれ日を元日にしたカレンダー
人生変わるか!?変わりゃしないかぁ…
母用のお薬カレンダー御役御免
一日一錠手渡しする
#カレンダー
カレンダーを見るたび
月日の流れが早くなる
こんなこと言うとおばさんみたいかな
歳を重ねてる実感が湧く
何もない私は少し焦りさえ覚える
もっとこうありたいなあ
を明確にイメージしていく
私の理想の未来像
来年のカレンダーを見る時は
きっと焦りなんて消えてる
わくわくにこにこ楽しみにカレンダーをめくる
カレンダーとは私の未熟さを教えてくれる、必須なものだ。
いつもやらなければならないものを後回しにしてしまう私に警告してくれる。やらなくていいの?って
分かってるよ、明日やります。
その宣言は本当かな?
そう言って過去にちゃんとやってたっけな?
……、今やります。
そしてカレンダーとは
やる気を与えてくれるスグレモノだ。
皆さんもカレンダーを有効活用してみたらどうだろうか?
教室のカレンダーは、いつの間にか9月になっていた。
気の早い誰かの仕業かな
もうすぐ夏休み 高校二年生の夏がはじまる。
私は密かに決心した。次、担任の月田先生と二人きりになった時、絶対に告白する。
月田先生は数学が専門の36歳独身、おじさんだ。かっこいいかと言われるとちょっと違う。身長だってあまり高くない。でも、なんか気になって仕方がない。
「あっ雨。」
遠くで唸る様な雷が鳴っている。昇降口で何人かの生徒が通り雨が過ぎるのを待っていたその時、月田先生がやって来て教室で待機するようにと私たちに伝えた。
私のクラスは私だけだったので、教室に先生と二人きりになった。
「藤谷、雷雨だからすぐにあがるだろうけど家の人に連絡してみたらどうだ。」
「はい…あの…先生、わたし…」
「どうした。」
「月田先生の事が好きです。付き合ってください。」
我ながら唐突すぎたかなと思った、でも今しかない。
「藤谷、先生もお前のことは好きだ。でもそれは生徒として大切に思っていると言うことだ。」
「じゃあ、どうしたら先生の彼女になれますか。」
「藤谷の事は可愛い生徒の1人と思っている。だからそれは変わらないよ。」
雨の音がより一層大きくきこえた。
雨があがって、アスファルトがきらきらと太陽の光で反射しだす。空には薄いけれど虹が架かった。
私は月田先生の事が大好きだ。夏休みもきっと先生に会いに来てしまうと思う。
大人の事情で断られても、そんな事は想定内だから。
「先生、月田先生、夏祭り一緒に行きましょう。今年は花火も3万発上がるみたいですよ。行きましょう、先生。」
教室のカレンダーはいつの間にか9月になっていた。気の早い誰かの仕業なのだろう
これから暑い夏が、はじまる。
月田先生の髭の剃り跡が好き。声も好き。話す間も好き。大きな手も、あんまりはっきりしない顔も大好き。数学は苦手だけど好き。
私だけのものにしたら、それは贅沢?
「…以上になります、夏休みを有意義に過ごし、また9月にこの教室で会いましょう。」
私は早速、月田先生を花火に誘うため携帯のスケジュール表を開く。教室のカレンダーは、気の早い誰かの仕業で9月になってしまっているから。
【カレンダー】
『カレンダー』
「ん?」
馴染みの古本屋で掘り出し物のミステリーを探していた私は、1冊の本を手に取り首を傾げた。
色褪せた文庫本はおよそ300ページ。そのちょうど真ん中辺りに1枚の紙が挟んであった。
最初は前の持ち主が栞代わりにでも挟んだのだろうかと思ったのだが、どうも腑に落ちなかった。
紙といってもメモ用紙やコピー用紙でもなければ、スーパーのチラシやレシートなんかでもないのだ。
4つ折りにされた紙を開いて私は思った。
一体、誰がなぜカレンダーを本に挟んだのだろうか……
上の方が大雑把に引きちぎられたようになった1ページ分のカレンダーは9月の日付で、いつの年のものかは書かれていないものの、日付と曜日の組合わせからして今年のものに間違いなさそうだった。
このカレンダーはおそらく毎月ページを切り離してめくるタイプのカレンダーだ。だから、いらなくなった前の月のページを咄嗟に栞代わりにしたというのなら分からないでもない。
だが、これはそういうことではない。
なぜなら今は9月、しかも今日は9月が始まってまだ5日目なのだ。
私は思わず、そのカレンダー付きの古本を店主のいるレジへ持っていった。どちらにしろ、ちらりと見た感じでその本自体に興味を惹かれていたのだ。まあ確かに、決め手は謎のカレンダーの存在だったのだが。
店を出て家に帰る道を行きながら、再び本の間から先程のカレンダーを引っ張り出した。
このカレンダーの持ち主は、まだ始まったばかりの今月をカレンダーなしで過ごすのだろうか。今の時代、スマートフォンがあればそう困ることもないのだろうが、そうまでしても本の栞になるものを必要としていたというのだろうか。
ふつふつと疑問が湧き出すものの、答え合わせの方法は検討もつかない。
ミステリー好きの性だろうか。店を出てからもずっとその謎が頭から離れなかった。
いっそのこと、古本屋の店主にこの本の前の持ち主のこと聞いてみたいと思ったが、私がそれなりにあの店の常連とはいえ、さすがにただの客に個人情報を教えてくれるわけもないだろう。そもそも、まったく他の客がカレンダーだけを適当な本に挟んで店を去った可能性もあるのだ。
ぐるぐると頭の中で考えを巡らせていたせいか、最短で家に帰るために曲がるべき角をいつの間にか通り過ぎていた。
だが、そのお陰で私はあることに気がついた。
古い家が並ぶ入り組んだ路地を抜けた先の大通りで、今まで隠れていた太陽が頭上に現れ、手元のカレンダーを照らす。
あれ? と思った。
カレンダーの9月12日——ちょうど今日から1週間後の欄に、わずかだが何か文字が消されたような跡がある。
心臓が一度ドクンと強く打った。ようやく謎を紐解く手がかりを見つけたかもしれない。
急いた気持ちで足がもつれそうになりながらも、できる限りの早足で私は家へと急いだ。
本やドラマではよく見たことがあるが、実際に試すのは初めてだ。
何かの景品でもらった新品の鉛筆を探してきて、唯一家にあった色鉛筆用の鉛筆削りで先をがりがりと削る。そして、元々何かが書かれていたであろうカレンダーの1か所をそっとなぞった。
だが、なぜだろうか。いくら鉛筆を動かしても思ったように文字が現れない。それどころか、白い部分がただただ深い灰色に塗られていくばかりだった。
私は静かに肩を落とした。
どうせ文字が現れたところで何が起こるわけでもないのだ。落ち込んでも仕方がない。
これも誰かにもらった新品の消しゴムの封を開け、鉛筆で塗った部分を綺麗に消しながらまた考える。
その時ふと、買ったばかりの古びた本のタイトルが目に入った。
「——なるほど、その手があったか」
それから1週間が経った9月12日の午前10時50分。私は駅前にいた。
駅前の広場には私の他に待ち合わせと思われる人々が数人いて、彼らはスマホをいじりながら、時々誰かを探すように顔を上げた。
私は空いていた広場のベンチに1つに腰を下ろし、カバンから例の古本を取り出す。
買った日に1度読み終わり、その余韻のままその日に所々読み返したので、これでおよそ3周目ということになる。
想像以上にこの本はとにかく面白かった。いや、それ以前に私の好みにどストライクだった。
これが特に知られた作家の知られた作品というわけでもないことを考えると、カレンダーの持ち主とはもしやさぞ気が合うのではないかと思ったことも、私が今日ここに来た理由の1つだった。
こうして来てはみたものの、本当に誰かが現れるかどうかは正直賭けだ。それに誰かが現れたとして、自分が何をしたいのかも実のところよく分からない。
ただどうしても気になって、いても立ってもいられなくなってここまでやって来てしまった。
緊張で速くなる息を整えようと、カレンダーを挟んだ本を一旦閉じ、顔を上げる。
その瞬間、一人の男性と視線が合った。
いや、正確に言うと、私は彼を見ていたが彼は私の持つ本を見ていた。そして元からまん丸い目を、より一層まん丸くした。
ああ、この人がこの本にカレンダーを挟んだ人なのだ、と直感した。
『氷の摩擦』と書かれた本のタイトルと一緒に、ここに来る前に買ってきた『こすると消えるペン』を男性に見せると、彼は表情を崩して可笑しそうに笑みをこぼし、それから頷いた。
この本のタイトルをカレンダーの謎と結びつけて考えなければ、私はここまで辿り着くことができなかっただろう。
この類のペンで書いた文字は、摩擦で消えてしまったとしてもある程度冷やすことで元に戻るというトリックを以前他の小説で読んだことがある。
それを思い出したのでカレンダーを一晩冷凍庫で冷やしてみたところ、予想通り文字が現れていた。
タイトルが明らかにヒントになっていることからしても、誰かが意図的にこの謎を作って他の誰かに解かせようとしているのだろうと思った。
当然怪しく思わなかったわけではなく、ここに来ることにまったく抵抗がなかったと言えば嘘になる。だが、謎を解きたいという気持ちの方が遥かに上回ってしまったのだ。
「もし、その本を気に入っていただけたのなら」
大きく1歩くらいの距離まで近づいた時、彼は言った。
ズボンの後ろポケットから彼が1冊の本を取り出す。
「僕とお茶をしませんか——」
何度も読み込んだのであろう彼の手にある本と、これからもっと読み込んでいく私の手の中の本。
本を胸の前に抱いた私はそこから小さく1歩踏み出す。
「——はい、ぜひ」