『カラフル』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「そのポケット、どうしたんですか」
スタイリッシュなジャケットに似つかわしくない、パンパンに膨れたそこを指差して尋ねた。
まるで、子どもが手当り次第に拾った小石を詰め込んだような光景。本当に似合わない。
あ、いけない、若干笑みが抑えきれていないかもしれない。大目に見てほしい。
「ふふふ、実はね……じゃーん!」
こちらの焦りに少しも気付いていない相手は、惜しげも無くこちらに笑顔を振り撒きながらポケットの中身を披露してくれた。
「キャンディだよ! 包み紙が可愛くてついね」
「わあ、たくさんありますねえ」
「迷いに迷って……全種類いっちゃった」
一切の後悔を感じさせない口調がまた面白い。
ころころと机に乗せられる色とりどりのキャンディに驚く。ひとつのポケットに入っていたとは思えない数だ。今、自分はこの飴玉と同じくらい目が丸くなっているかもしれないな、とどこか他人事みたいに考えていた。
「おひとつどうぞ。おすそ分け!」
「ええ、いいんですか?」
弾む声につられて返事が上ずってしまったのはご愛嬌だ。そしてどの味にしようか決めきれない。全種類買ってしまうのも分かる気がした。
悩むこちらを察してか、横からすっと伸びる手。相手が迷いなく取ったのは。
「じゃあ、オススメのこれをあげちゃう」
濃い紫色の包み紙。ぶどう味。とびきりの綻ぶ顔に、心臓が跳ねた。
「甘酸っぱくて、すごくおいしいよ」
「あ、ありがとうございます……」
他にも二、三個の飴玉を机に残して、ポケットに戻していくその手を、ただぼんやりと見ていることしかできなかった。
「それもよかったらどうぞ、じゃあまた!」
「はい、あの、いただきます」
僅かにスリムになったポケットと共に去っていく後ろ姿を見送る自分は、一体どんな顔をしているだろう。
手のひらに乗るぶどう味を見る。どうしよう。何だか、食べる前から甘酸っぱい気分になってしまった。
【カラフル】
カラフル
目覚めた心を、何色に染めてみようかな
今日は何色に染めてみようかな
モンブラコン*
~~~~~~~~~~~~~『カラフル』
オレ、モンスター姉弟末っ子。只今読書中。
我が家の二階には一部屋、小さな図書館があって
、何か調べ物をする時はここを頼るのだが、肝心の、何を調べるつもりだったのか、小さい頃に読んだ童話集を見つけたおかげで、忘れた。
「…ぬじえろの♪︎ずえりぃ~~♪︎」
下の階で姉さんの甲高い歌が聴こえる…。
急に、バラバラバラー!!と、
何かビー玉でも落とした音がした。
同時に姉さんの歌が止む。
見に行ってみると、こないだ駄菓子屋で買ったカラフルな飴玉が、廊下に散らばっていた。
変な風に開けたらしい飴の袋が、台所の椅子に置いてあり、暗い顔した姉さんが、下唇を噛みながら、小脇に抱えたボールに、落ちた飴を集めている。
「…テイちゃん(兄)は?」
「テイちゃん(弟)けいらんばん、ジジィんとご」
気の回るテイちゃんがいたら防げた事態だ。
いや、オレが横着な姉さんをサポート出来ていれば…。
食べ物(主に甘い物)に敬意を持っている姉さん、食べ物を落とした、というだけの事で相当しょげている。
いつも賑やかテンションの姉さんがそんな調子だと、オレまで暗くなりそうだ。
「大丈夫だよ、水でサッと洗えば良いんだよ」
と言ったら、姉の顔はみるみる明るくなり、
「お…おぬし!やぱ、あちゃまええのぅ!」
絶賛されました。
数メートルの廊下を並んで飴拾い。
「色とりどりの飴が廊下に反射して綺麗だねぇ」
「んだ♪︎」
さっき、何を調べようとしたんだっけ…でも、
いつもの姉さんの歌が戻ってきたから、
まぁ良いか♪︎
『 カラフル』
人間と同じでそれぞれ個性がある。
同じ色でも人により
見え方が違うように
人それぞれ考え方は
違っていい
カラフルな世界であっていい
#カラフル
絵を描いている途中で手が止まる
思ったような色にならない
ああでもない
こうでもない
悩みながら色を混ぜていくけど
何だか違う
何度も何度も試行錯誤を繰り返し
ようやく求めていた色を作り出せた
良かったと達成感に包まれた私の周りには
気付けばいつの間にかたくさんの色が咲き誇る
それはなんともいえないほどの鮮やかさで
私の視界をカラフルに染め上げた
【カラフル】
【カラフル】
もし…悲しい時、辛い時があったら
涙がこぼれないように
上を向いて歩こう
空を見上げてご覧
そう言われても…空には青と白しかない
でも
じっと見つめていると
何かが見つかるかもしれない
青は青でも薄い色なのか濃い色なのか
白は白でも、濁っているのか、透明なのか
空は空でも水色の澄みきった昼空なのか
オレンジで染まった空なのか
暗い色の中に月と色とりどりな星が散りばめられた
夜空なのか
星は何色か、水色か黄色か赤色か
じーっと見つめていれば、世界はカラフルなのだ。
そしてそれを人と共有していることに
感謝する
そのピンクのギターはやたらと目に付いた。
まだ出会ったばかりで、彼女の愛器を見た事がなかったのもある。
彼女の巻き髪は綺麗な黒色であったし、メイド服を思わせるこれまた黒い服装も相まって、事務所のロビーで軽い調整が行われている突然のパステルカラーに、少しばかり驚いてしまった。
「あ、おはようございますにゃん」
こちらに気づき、あはっと八重歯を覗かせた元気の良い笑顔が彼を迎える。
「よお。そいつがお前の相棒かー。結構イカすデザインしてんじゃねえか」
ハート型のギターというのは、見るからにカワイイものが好きそうな彼女にはピッタリだ。
ソファーへ近づき声を掛けると、彼女は大切そうにギターの面を一撫でして目を細めた。
「良かったにゃんイチゴちゃん、先輩に褒められたにゃ!」
まるで人へ話し掛けるような口調に、少し不思議な子だなあ、と頭の片隅で考える。しかしその純粋さこそが、ファンやメンバーの心を良い意味で解きほぐす魅力なのだろう。
「うっし」
パシッと、拳を掌に当てた彼は思い付いた妙案を口に出す。
「今度オレ様の相棒も見せてやるぜ!」
「え、良いんですかにゃ?」
期待に心が疼いた事の表れか、彼女の猫耳がピンと立つ。
「カッコよすぎて腰抜かすなよ?」
歯を閉じたキシシという笑みを寄越すと、彼女は目を輝かせて興奮した様子を見せる。
「嬉しいです! その約束忘れないでくださいにゃ!?」
「って言っても、二日後のライブをこなした後になるけどな。期待して待ってやがれ!」
漫画ならば頭から音符が流れ出そうなテンションで黄色い声を上げる彼女。
ふと合った目の色にどきりと心臓が大きく揺れる。ものの価値なんて分からないが、その瞳は磨き上げられた宝石と同じ美しさを秘めていた。
思わず逸らしてしまう。
新たに見つけた緑がかったその青色にも、心が不可思議な音を鳴らしながら驚いていた。
ひらひら。舞い踊る蝶のように指先をひらめかせて、彼女は「いいでしょう」と笑った。私はがく然とした。
ほんの少し前。確かそう、今朝までは確実に。彼女の指は白く滑らかで、その先端には桃色の爪が桜貝のように光っていた。
今はその自然な色合いは覆い隠されてしまっている。赤。青。緑。紫。黒。毒々しいまでの派手な原色が、彼女の薄く小さな爪を彩っている。
「どうしたものかな」
私が溜息を吐くと、彼女は驚いたか、呆れたように目を丸くする。
「あら。こういうのも、大人っぽくて素敵でしょう?」
「君にはまだ早すぎるし、派手すぎる」
「そんなこと無いわ。もっとキラキラに、光るように出来れば良かったとは思うけど」
ああ言えばこう言う。
私はもう一度溜息を吐いて、油性ペンで彩られた娘の小さな手を握った。
『カラフル』
愛する人を失って、私の世界から色が無くなった。
もう会えない。
色も温度も味も、何も分からない。
あの人に恋をした瞬間から、私の世界は色鮮やかになった。
また、あの鮮やかな世界に居たい。
思い出すことさえも辛いけど。
目を閉じていないと浸れない、あの優しい世界に。
色が溢れるカラフルな世界に。
重い荷物を家まで運ぶ途中、空から雨のシャワーが降ってきた。
シャワーというより、学校でプールに入る前の地獄の水みたいな。
ニュースでは晴れだと言っていたし、空も水色。それなのにこの雨って。
「重い荷物を運んでるっていうのに、この雨は流石にないでしょ…」
あーあ、何かいい事起きないかな。
そう思った瞬間、雨のシャワーは降らなくなった。雨が降らなくなっただけで幸せなのかな。
暫くすると、目の前にカラフルな橋が架かった。
「虹…」
そう、虹だ。私にはまるで7色の架け橋のように見えた。
目の前のカラフルを見ただけで、さっきまでどんよりしていた気分が一気に軽くなった気がする。
「いい事って…この虹の事だったのかな」
〜カラフル〜
あなたのひとみ、いつだって色が違うのね。
目の色を変えて、とか。目を白黒させる、とか。この目の黒いうちは、とか、云うじゃない?
それなら黙っていたら、あなたの本当のひとみは、何色なの? もちろん、色眼鏡は無しよ。あなた自身のひとみで、空を、風を、わたしを見て。
さあ、どんな色になっているかしら。恥ずかしがらないで、見せてちょうだい。
(カラフル)
色のない世界。
全て白と黒のモノクロでしかない。
空も雲も地面も人も物も全部全部。
それなのに、あなただけは違った。
あか、あお、きいろ、みどり。
あなたは色んな色を持っていた。
あなただけはカラフルだった。
そして、あなたが触れたものには色が宿る。
パッと花を咲かせるみたいに、たくさんの色を作っていく。
でもあなたを見ているうちに気付いたんだ。
あなたが好きなものに触れた時、それはあか色に変わるんだって。
私は何色になるんだろう。
あなたの色に染まりたいのに、触れられたくない。
だから私は今日も明日も白いまま。
カラフル〜!
私にとってのカラフルは、
み ん な
だよ。
例えばね、
学校にいる人のカラフルは、
イロ
陰キャさんは暗いけれど素敵な 彩 を持っている。
イロ
陽キャさんは明るい、綺麗な 彩 を持っている。
みーんながみんな、色を持っている。
例え死にそうな人でも、
みんな
性格の彩をもっているんだよ。
カラフル=彩とりどりってこと。
みんなそう、平等な彩をもっているんだよ。
ビタミン
キャンディ
ショーウィンドウ
ローズにダリアに
百日草
「カラフル」
混ぜる
混ざる
赤と黄
黄と青
青と赤
混ぜる混ぜる
混ざり合う
橙 緑 紫
赤に橙
橙に黄
黄に緑
緑に青
青に紫
紫に赤
そして、白と黒
どこまでも何色にも作ることが染まることができる
真っ白にも真っ黒にも、原色にも濃淡をつけることもね
それは自分次第
#カラフル
カラフルな色。
ぐちゃぐちゃで、ふわふわで、あおあおとした色ばかり!
一つ口に含めば目の前は震えて光出して、二つ口に含めばさらに世界は色づいて星空になる!
ああ、なんて素敵なオクスリなのかしら!
#カラフル
森絵都 作
〖colorful〗
初めて読んだときの衝撃は忘れない。
「カラフル」
個性という名の色が溢れたら
世界はたちまちカラフルだ
今のあなたは何色?
カラフル
「いや待って」
「え?」
大皿に盛ったロールキャベツをテーブルに置いた瞬間、××が顔を手で覆った。俺はその行動の理由が分からなくて首を傾げる。
「何、どしたの」
「違う、どうしたのって聞きたいのはこっち」
「え?」
いつもコンソメスープで作ってたから、たまにはいいかな〜と思ってクリームスープにしたんだけどダメだったのかな。××はコンソメ以外のロールキャベツは認めない派?
「これ、どうしたの」
「どうっていうのは」
「色」
「ああ!」
ぱんっと手を打った俺はすぐに納得した。そう、今日のロールキャベツは青色なのだ!
「食紅だよ、食紅」
俺は台所に入って、カウンター越しに小瓶を見せる。体を伸ばした××に渡すと、不思議そうな顔をしながらまじまじと見た。
「しょくべに」
「そう。職場の人がくれたからさぁ、せっかくなら使いたいじゃん?」
「食べられるのか?」
「食べられるよ! お前なぁ」
席に着いて、缶ビールのプルタブを起こす。グラス2つに分けて注いで、1つを××の前に置いた。
食紅の小瓶にまだ意識は引っ張られているようだけど、××はビールの入ったグラスを持つ。乾杯といただきますは合わせるのが俺たちのルールだからだ。
「味見もしたから大丈夫」
「青いんだよなぁ……」
「明日は白玉団子に色つけるから」
「んんー」
「カラフルで可愛いぞ〜」
××の眉間にシワは寄ったままだったけど、ロールキャベツを一口食べればすぐに消える。な? 美味いだろ?
得意げな俺に××は少し笑って、ごめんと謝った。
「明日の白玉団子楽しみになってきた」
「フルーツ缶もあるからね」
「豪華だなぁ」
せっかくの休みだもん、美味しいもの食べたいからね!