『エイプリルフール』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題《エイプリルフール》
「この箱庭から出られるんだよ、この星の鍵さえあれば」
水のように澄んだ微笑みだった。
この箱庭からは出られない。そうずっと聞かされ育ったニーナはまさか、と思いながらもその甘い蜜のような言葉を信じてしまった。
「はい、あげる」
「カインは行かないの?」
「うん。ぼくは、いいんだ」
この時は不思議に思わなかった。だってカインはいつも優しくて、本当の兄のようだった。――だから氷結の森を抜けようと際、星の鍵が粉々に砕け散った瞬間――心が夜の底へ、壊れたのは箱庭から出られるかもしれないという希望なのか、カインへの信頼なのか、何もわからなかった。
果てしない嘘しかこの箱庭にはない。
知っていれば、壊れなかったのに。
エイプリルフールに
嘘をつかないことにしている。
理由は、
嘘を考える時間に理由を見出せなくなること
嘘をつくことで得られる幸せが見つけられないこと
どんな嘘でも本当でないなら誰かを悲しませてしまうリスクがあること等だ。
しかしながらエイプリルフールというのは
私達にとって存在意義があると感じている。
何故ならこの日だけは大なり小なり
「嘘」を意識して一日を過ごすことになるからだ。
日頃嘘をついている人は、その愚かさに気づいて姿勢を正したり、はたまたもっと大きな嘘を思いつくかもしれない。また日頃から誰かに騙されているような人は、この日に次々と訪れる見える嘘や見えない嘘に怯えて暮らすかもしれない。
そういう私も、この日は嘘はつかないと言っておきながら
日頃は無意識に話を盛ってしまったり、相手が傷つかないように方便として意図的に婉曲に表現したりする、そういうきらいがあると自覚した一日だった。正確に言えば、私はエイプリルフールにしか嘘をつかないのかもしれない。
そう考えるとぼんやりとした真っ赤な嘘が、急に後ろに突っ立っているような気がして怖くなったのだ。
あなたにとって
今年のエイプリルフールはどんな日でしたか?
エイプリルフール
4月1日
今日は"ウソの新年"。
「今日は何度でも嘘をついていいのだよ。
どんな嘘でもね、いいのだよ。」
小さな胸を仰け反らせて
まるで貴族のように振る舞う我が妹。
「…どうしてかしら?
どうして今日は嘘をついても良いの?」
「むむ!貴女はかの有名なお嬢様!
ふふん♪特別に教えて差し上げましょう!」
すると、おもむろにスマホを取り出した。
「…………」
「えーと、あったあった…
こほん!えー、"フランスでは、3月25日を新年として4月1日までお祝いをしてい……(割愛)。"」
ながながとwikiかなにかを読み上げる我が妹。
「あ、あと大事なことが一つあるのだよ!」
指を立ててさも重要なことだと言いたげな顔をする。
「それはね、お昼になったら嘘だったって
ちゃんと言わなきゃなのだよ!」
たっぷり時間をかけて言葉を繋いだ。
「でもね、我が妹よ。」
「ん?なんだね」
「もう夕方なんだけど、いつまで続ける?」
愚かな妹。
エイプリルフール
エイプリルフールは貴族の遊びになったけれど…。
って国があるかもしれない。
って思ったらいいのかなって
ゲームだっだただ。
嘘
愚者
馬鹿
オオカミ少年
嘘つきは泥棒の始まり
信用
信頼
崩れるのは一瞬
積み上げるのは時間がかかる
ジェンガ
間違えて空気が凍る
苦手で下手で
上手く繕えない
ツボが人と違う
間違えないように
壊れないように
口を噤んで
言葉を呑み込み
表現することできなくなった
のみこんだ言葉が
心の内に積み上がり
強固な壁になって
でられない
どんな嘘を、ついてもいい日なら
君の事が好きでしたって、そんな本音も
笑い話のように、口に出来るのかな?
---二作目---
嘘だって、そんな風に言われてもいいから
一度だけでもいいから、想いを伝えてみたかった。
本音を伝えてみたかったんだ。
「...俺、お前の事が好きなんだ」
笑って言ってみる。
お前は今日が何の日か知ってるから、きっと笑い飛ばすんだろうな。
大きく見開かれる瞳。
...それが、三日月を描く
「ふふ、私もですよ」
俺が嘘を吐いたのは、十二時の金が鳴った後だった。
#エイプリルフール
258作目
嘘はいけないことだと小さい頃から教わって、実際嘘は好きではないが、エイプリルフールの人を楽しませる嘘は大好きだ。
「ばーーか!エイプリルフールの嘘に決まってんだろ!」
そう叫び、赤い顔を隠しながら走り去った昔の自分を、毎年この日に必ず思い出す。
自分が言ってすぐ嘘だと否定した言葉に頬を染め、返事をしようと薄く口を開いたあの子が、その後どんな顔をしていたのか、本当は何を言おうとしたのか僕は何も覚えていない。
ただ、大人になってもこの日が来れば懺悔でもするように思い出す。
ああ、どうして誤魔化してしまったんだっけ、あの子が友達と話していた好きな人のことが気にかかったんだっけ…。
あの数秒間だけ彼女の好きな人が自分だと思い込めなかったものだろうか。そうしたらもしかしたら………。
僕はなんて卑怯な男なんだろう。毎年4月1日、新生活の初めに必ず地の底まで自己肯定感が落ちる。なんでも嘘をついていいあの日に絶対についてはいけない嘘をついた罰を、もうずっと受けてる。
並木道の桜をぼうっと見上げながら毎年同じことをぐるぐる考えている。もう会社に着く、そうしたらまた仕事をして、帰る頃にはすっかり疲れて忘れて、そして明日スマホで日付を確認した時に一瞬でも失念した自分を責める。
ああ、憂鬱だ。
「おはようございます。先輩。」
鈴のような美しい声が聞こえた。僕に向けた挨拶だと気がつくのに時間がかかった。軽く挨拶を返そうとした時、その人が何かとても楽しそうな様子であることに気がついた。僕になにか期待しているような……。
「………さくら?」
おずおずと尋ねると、可笑しそうにふふっと笑い、覚えててくれたんだと笑う君。忘れるわけがない。毎年君を思い出していたよ。もしもう一度逢えたら次は……。いや、その前に謝るんだ。
口をひらきかけたが、彼女の方が一瞬早く話し出した。
「私は貴方の事なんて今日まで忘れてたよ。だけど、院出て就職決まったって友達に話したら貴方も同じ会社だって聞いて…。ふふ、最悪!」
……そりゃそうだ。次なんて、あるわけない。あの時の彼女の返事がどっちだろうと、最後までちゃんと聞かなかったことは少なからず彼女を傷つけ不快にさせただろう。
情けなくて、何年も頭の中でシュミレーションしていた謝罪とは到底程遠く、口の中でもごもご小さくごめんと呟いた。
それを聞いた彼女はもっと笑顔になって言った。
「ばか。エイプリルフールの嘘だよ。」
「すき」
世界中の人が何千万回とこの日に言ってるだろうと思う。
だけどそれにのっからないと言えない。みっともなくても言いたい。
そういうのがあるって、あんたに会って初めて知った、
2024/04/01 エイプリル・フール
きょうはエイプリルフールだね
そうだね
でもオレたのしくない
え なんで泣き始めんのちょっと
なんで泣くの 去年は楽しんでたじゃん
だって
だって
だって
おまえに嘘つくのヤになった
はあ
やっぱり嘘ついておけばよかった
って後悔しないようにね
メイフールとかセプテンバーフールとか
ないんだから
今日だけだよ嘘ついていい日
わかったじゃあ嘘つく
涙とまんの早すぎ
めちゃくちゃピタって止まるじゃん
涙腺操作してるの?
操作してる!
わ
嘘?
嘘!なんでバレた!
はい
僕たちのエイプリルフールおわりね
詩『エイプリルフール』
あいつのあだ名は、四月バカ
憎めぬうそを言うからさ
秋でも冬でも、四月バカ
まじめな場所でも笑ってる
遺影となって何年だろう?
四月の命日、また来てしまう
スキだと言ってた
菜の花添えて
今年はおれが言ってやる
「そっちに行ってもいいかな?」
だめ!と言ったら
それがうそにもなる日…なんだよね。(笑)
エイプリルフール
本音が言える、素直に言える
すべてが本当の
四月バカ。
1年に1度きりの 4月1日
どんな嘘を言おう
こんなこと言ったら・・許される?
思いつく嘘は
自分の妄想と欲望と 黒い気持ちもあらわれる
嘘を言ったら、爽快感と
少しの後ろめたさと
どうやら
エイプリルフールを楽しむ
春の風のような 軽やかな心意気を
わたしは持ち合わせていないようだ
エイプリルフール
エイプリルフールだったらいいなと思うことがある。
しかし、悲しいかな、現実だ。
後悔して、やり直すことができるなら、そうしたい。
例え、それが間違ってないとしても。
そんなふうに考えるのはおかしい。
ただ、そう仕向ける人は気が付かない。
悲しい人だ。
そのまま気が付かず、生きてください。
後悔などせずに。そのままの貴方でいてください。
起きてきて開口一番が「今日は早めに帰ってくる」と、下らない嘘を真顔でつく父親。
去年の今頃は同じ事を言って遅れてきたし、それどころか毎日0時を回ってからも帰ってくる様子はない時も多い。
顔なんか忘れそうなくらいすれ違ってるのに、どうして信じれるの?と半目で睨めつけると、散れといわんばかりに手をさっさと振って学校の支度を促される。
支度を終え、玄関のドアノブに手をかける時に二度寝を決めようとする父親に「パパのそういう所、信じられない」と吐き捨てて勢いよく扉から出ていく。
今日がエイプリルフールだから、いつもより強気な発言を言えてスッキリした。
道中で一個下の妹分に挨拶をして、学校に向かい、何時もの変わらない日々を消費する。
帰りの帰路で夕暮れの空を見ながら思いふける。誰もいない部屋にただいまと言って虚しさを抱えながら夜を過ごすのだろう。
それが日常なのだから、もう何も期待することはない。
そう考えてるうちに家についてしまった。
でも、どうして期待してしまうのだろう。嘘なのに。帰ってくるとその言葉だけで胸が締め付けられる。
ドアノブに手をかけると、不意に後ろから振ってきた声に口を強く結んで振り返る。そして言ってやるのだ。
「嘘なんでしょ」
#エイプリルフール
嘘つきって
みんなが私のことを
そう呼ぶんだ
そんなこと今更
たいした気にもならなくなったけど
教えてよ
嘘の一つもつかない人なんて
いるのかな
他人(ヒト)にも自分にも…
今日だけは嘘もいいよね?なんて
笑って言う奴なんて嫌いさ
嘘にもたくさんのカタチがある
嘘にはたくさんの意味もある
ただし嘘には寂しさがセットで
ついてくるものさ
今日も私は嘘をつく
孤独なんてなんてことない
嫌いなヒトなんてひとりもいない
世界中のみんな
心から愛してるよー!
春の始まりの日に叫んだ
「エイプリルフール」
エイプリルフールに何か嘘を言って、みんなをびっくりさせたいという願望はある。
でもいつも忘れてしまう。
1日が終わる頃に思い出す。
「そうだ、今日はエイプリルフールだった。今年も出来なかったな。」と。
今回もそうだった。
忙しすぎて、それどころではなかった…。
陽光に花かんむり越し覗き見る四月道化のわらべたるきみ
題目「エイプリルフール」
「あなたの事が好き!」
5年間片思いしてたあの子から告白されたのは、
4月1日でした。
‐エイプリルフール‐
♯25
「嘘つきエイプリル」
好きで嘘をついたんじゃない。
メイの猫が居なくなっちゃったのは、多分死期が近いから逃げ出したんだろうって思ったけど、それを言っても悲しくなるだけだから、本当のことを言わなかっただけ。
ジュンの友達がジュンの悪口を言ってたけど、それをわざわざジュンに教える必要はないから、本当のことを言わなかっただけ。
「嘘つきエイプリル!今日はお前の日だね!」
4月1日。
嘘が嫌いなみんながこぞって嘘をつく日。
「エイプリルはいつも素直ね!」
「エイプリルは本当のことしか言わないよね!」
「エイプリルと友達で良かった!」
普段は聞けない皆の優しい言葉が聞けるこの日は私は嫌いでは無い。
「みんな!私もね、私も…」
「みんなの事がとってもとっても大好きよ!!」
キャンディ雨が空から降って校庭の子どもたちは大はしゃぎ。
だけど街はベタベタに覆われて騒然となり清掃作業が始まった。
気象庁と超常現象研究所は緊急調査中。
題「エイプリルフール」