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起きてきて開口一番が「今日は早めに帰ってくる」と、下らない嘘を真顔でつく父親。
去年の今頃は同じ事を言って遅れてきたし、それどころか毎日0時を回ってからも帰ってくる様子はない時も多い。
顔なんか忘れそうなくらいすれ違ってるのに、どうして信じれるの?と半目で睨めつけると、散れといわんばかりに手をさっさと振って学校の支度を促される。
支度を終え、玄関のドアノブに手をかける時に二度寝を決めようとする父親に「パパのそういう所、信じられない」と吐き捨てて勢いよく扉から出ていく。
今日がエイプリルフールだから、いつもより強気な発言を言えてスッキリした。
道中で一個下の妹分に挨拶をして、学校に向かい、何時もの変わらない日々を消費する。
帰りの帰路で夕暮れの空を見ながら思いふける。誰もいない部屋にただいまと言って虚しさを抱えながら夜を過ごすのだろう。
それが日常なのだから、もう何も期待することはない。
そう考えてるうちに家についてしまった。
でも、どうして期待してしまうのだろう。嘘なのに。帰ってくるとその言葉だけで胸が締め付けられる。
ドアノブに手をかけると、不意に後ろから振ってきた声に口を強く結んで振り返る。そして言ってやるのだ。

「嘘なんでしょ」

4/1/2024, 11:49:59 AM