『エイプリルフール』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あー、なんも嘘つかなかったな。
いつも過ぎてから気づく。
少しもったいないことした気持ちになる。
見たい番組見逃したときみたいに。
(エイプリルフール)
四月一日、エイプリルフール。
今日この会場で世界一の嘘つきを決める祭典が始まろうとしていた。
嘘やまやかしが蔓延るこの現代社会。
誰もが誰かを騙し、騙される。
そして多くの人が心に傷を負い、財産を取られてしまう。
みんなが嘘に複雑な思いを抱える中、この大会は開催された。
事の発端は、とある富豪が詐欺にあった事に始まる。
その際、少なくないお金をだまし取られたのだが、彼は悔しがるどころか『逆に世界一の嘘を聞いてみたい』と言って、この大会を開催したのだ。
大々的に告知し、広く嘘つきを集め、世界各地で予選を開催。
あるものは『世界一の嘘つき』と言う名誉のため。
またあるものは『優勝者に与えられる莫大な賞金』に目が眩んだ者。
そしてあるものは『人を騙すことに快感』を覚えている者。
さまざまな嘘つきたちが、大会でおのれの自慢の嘘を披露した。
そして今ここにはその予選を勝ち抜いた、ツワモノの嘘つきどもがこの地に集まっている。
だが悲しいかな、この予選を勝ち上がる嘘つきには共通点があった。
そう詐欺師である。
多くのアマチュアの嘘つきとは違い、プロの嘘つきである詐欺師との実力差は歴然だった。
日々嘘を磨いている詐欺師たちに対し、なんとなく嘘をついている一般人が勝てる道理などは無かったのだ。
結果、本選の参加者は全員が詐欺師。
この詐欺師たちが、果たしてどんな嘘をつくのか……
世界中から注目されていた。
そして開会式の時間になり、司会者のアナウンスが始まる。
「えー、時間になりました。みなさま、お静かに願います」
司会者の言葉を促すように、会場が静けさで満ちる。
「それは、これより世界一の嘘つきを決める大会を始めます。最初はこの大会の主催者、鐘餅さんから挨拶です」
司会者から紹介され、鐘餅と呼ばれた男が壇上に立つ。
「えー、皆様。おはようございます。
『世界一の嘘が聞きたい』という私のわがままに付き合って頂きありがとうございます。
そして皆様に、一つお詫びをしなければいけないことがあります」
一拍置いて、会場の参加者たちに鐘餅は爆弾発言をした。
「大会は中止、中止です」
会場のあちこちからブーイングが巻き起こる。
無理もない。
彼らは自分の自慢の嘘を披露するために、ここまでやってきたのだから……
だが次に鐘餅から発せられた言葉により、詐欺師たちは言葉を失うことになる。
「世界一の嘘つきを決めるなんて、馬鹿な大会。あるわけないでしょ」
その言葉を合図に、警官隊が入って来て、手際よく会場のすべての出入り口が封鎖される、
そう最初から鐘餅は警察とグル……
詐欺師に騙された鐘餅は復讐の機会を伺っていたのだ。
警察と入念に作り上げられた計画に、詐欺師たちが逃れる術などなかった。
「はい、それではみなさん神妙にお縄についてください」
警察官たちに次々と捕まっていく詐欺師たち。
そんな様子を見て、鐘餅はほくそ笑む。
警察官に組み伏せられた詐欺師の一人が、そんな鐘餅に向かって憎々しげに言い捨てた。
「この大嘘つきめ」
「エイプリルフール」
世間様では、嘘を付いても許される日だけど、
嘘でできている僕たちだから、
エイプリルフールくらい本当のことを言おうか。
や、自分、実はあんまり覚えてなくて。
ここまで生きるのに必死だったもんですから。
親のように接したらいいったって、
親世代の上司の方に言われても。
ほら、この通り、何もわからんもんでして。
障害者のひとり親。
不登校の妹。
もう一人の親?
やだな、とっくに亡くなってますって。
はは。意外とうまく話せるもんですね。
どこからも、どれがも何もありませんよ。
ほらだって、今日って、あの日じゃないっすか!
「エイプリルフール」
ついていい日に限って
毎回つかない
[エイプリルフール]
エイプリルフールそれは嘘をつく日。
「 自分は嘘をついた事は無い。」
その言葉すら、嘘かもしれない。
エイプリルフールだけれど、ウソつくことも嘘いう相手もいない。
この時期になると、何か陽気な人達がちらほら湧いてくる。
春という季節柄か、花見時期だからか、頭の中がお花畑の輩がちらほら。職場や〇〇友会やらもそう。
4月1日だからといって、はた迷惑な冗談を言ってくる。
(あの・・・口動かす前にやることやれよ笑汗)
となる。新人さん達の入社式、人事移動後の後の会(親睦会や歓迎会?)も、中々厄介なものだ。
半分酔ったというか、調子に乗ったベテランの一方的なお花畑話を聴くのは、誰もが本音苦痛だろう。
・・・いったい、誰が「エイプリルフール」と名付けたのだろうか。
多分、その人物が馬○。
−エイプリルフール−
アスファルトに蟷螂の死骸を見つけた。
死骸になってからだいぶ経ったのだろう。
死んだ後に出る液体も蒸し暑いアスファルトに溶け込んだみたいだ。
見るも無惨なその死骸は何も言わない。
虚しくそこにあるだけ。
「例えば...こんな話がある。死んだ蟷螂はトラブルの暗示だと。蟷螂は幸福の象徴だ。だから死骸は不幸の兆しなんだ」
「ねぇ、本当に死んだのは蟷螂だったの?」
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4月2日。
世間は春休み真っ只中というのに私は春の夏期講習で忙しい
日々を送っていた。
「いいよなー頭いいやつは。春休みも夏休みも遊び放題じゃ
ん?」
「しょうがないよー。あたしらクラスでも最底辺のC組になっちゃったんだし?」
机を囲んで騒がしいのはクラスで陽キャと称される人達。
私が通う学科では卒業するまでに3つ以上資格を取らなければならない。取らなければ卒業させて貰えない。
「はやく終わらねーかな。終わったら即バイトでさ」
「バイトやってんの!ウケるー。見つかったら謹慎だよ〜」
「そういや昨日のエイプリルフールなんの嘘ついた?」
「彼氏に浮気ドッキリ仕掛けた〜!!」
「サイテー!エイプリルフールって罪のない嘘や悪戯で笑わせる日なんだよ〜」
この人達には卒業は差ほど重要ではないみたいだ。
今もスマホにメイク道具にと手は、違うことで忙しそうに動いている。
「そういや知ってる?同じクラスのあいつ。頭よかったけどこの授業は何故か赤点でうちらと同じC組の...」
「あー。七瀬?」
「そいつそいつ。なんかこの間から行方不明なんでしょ?」
「うそ〜!!七瀬くんちょっとだけいいなぁって思ってたのに」
悔しそな女の声と同時に机に置いていた筆箱が、音を立てて机から落ちていった。
その音に反応してみんなが一斉にこちらを凝視していた。
「針野ちゃん大丈夫?」
「大丈夫。ごめんね」
前の席の友達は心配そうに後ろの席の私を見てくれた。
「七瀬くん…見つかるといいね…」
コソッと耳打ちで友達は私に話してくれる。
それは彼女なりの気遣いだ。
私と七瀬くんが内緒で付き合っているから。
もちろん、彼女以外は誰も知らない。
先程も七瀬くんが唐突に話題にあがり驚いて筆箱を落としてしまった。
「連絡も取れないんでしょ?」
「うん。既読にもならなくて…」
「そっか…」
教室の隅でこんな話をしているとは夢にも思っていないだろう。
クラスの陽キャと言われる人達は、まだ七瀬くんの話題をあげている。
「七瀬ってよくわかんねーやつだったよな。いつもニコニコ笑ってて…不気味つーか」
「男子お前らはわかっていない。顔もイケてて頭もいい。王子様のような包容力。その逆にお前らは友達以下だよ」
「はぁ?王子様??夢見すぎ。痛すぎ…」
思うことは人それぞれ。
でも確かに七瀬くんは王子様のような包容力はあった。
運動は苦手でも頭はよかった。
デートしたあともマメに連絡してくれたり。
電話もできる日は毎日のようにしている。
「家が遠回りになるのに一緒に帰ってくれていたの」
昨日の事のように思い出してしまう。
「針野ちゃん…」
友達が私に何かを言おうとした時、教室の扉が開けられた。
ガラガラと無機質で味気ないその音だったが、開けた人物を見てみんなの視線が一気に集まった。
「おまえ…えっ?七瀬?」
「七瀬くん…?どうしてここにいるの?」
「えっ?僕が居たら何か悪いことでもあるの?」
いつものように笑顔を浮かべているが、何処と無く目が笑ってないように感じるその表情に私は息を呑んだ。
「おまえが行方不明になったってみんな言ってたんだぞ!」
「今までどこにいたの?!
「ちょっとね。色々あってさ」
「なーんだ!おまえもあれか?家出したかったんか?」
みんな七瀬くんを囲んで今までのことで質問攻めをしている。
七瀬くんはいつも通りの笑顔で明るく振舞っているがどこか違う。何かが違う。
これは七瀬くんじゃない気がする。
ストンと胸に落ちた見解に私は頭に血が上るのを感じた。
「あっ、ごめんね針野さん」
「えっ?」
「今日さ一緒に帰ろうか。連絡しなくてごめんね。そのことで謝らせてよ。あと少しだけ寄り道したいんだけど」
「えっ…?あぁ…ううん。大丈夫だよ」
にこりと微笑むと自分の席に戻っていく。
その後ろ姿を眺めて、私は七瀬くんに対する違和感が拭えないままでいた。
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「今までごめんね。心配させてしまって」
放課後、いつも通り七瀬くんは家が遠くなるのに「家まで送る」と言って車道側を歩いている。
「心配はしたけど…何もなくてよかったよ」
「そっか…心配させてしまったのか」
「だって、いつも真面目で優しい七瀬くんだよ。急に家にも帰らないってなったら…みんな驚くよ」
通学路には誰もいない。
春休みという事もあるのか、いつもなら他の学校の学生も帰っているのに今日は誰も通っていない。
「そうだよね。あぁ…寄り道したい所はこっちから行くんだ」
七瀬くんは私の腕を強く掴むと細い路地裏に足を進めていく。
嫌な予感が脳裏を過ぎる。
そちらに行っては駄目だと。
「ねぇ。君だよね」
「えっ…と?何が」
先頭を切って歩いていた七瀬くんは立ち止まってしまう。
それにつられて腕を引かれていた私も立ち止まる。
「覚えているよね?忘れたなんて言わせないよ?」
「七瀬くん…大丈夫?」
「思い出せない?これを見ても?」
暗がりから出ると真っ先に見えたのは…
「ななせくん…?」
アスファルトに横たわる死骸。
死骸になってからだいぶ経っているのだろう。
死んだ後に出る血液も蒸し暑いアスファルトに溶け込んだみたいだ。
ハエが集りまだ腐敗臭も辺りに漂っている。
見るも無惨なその死骸は何も言わない。
ただそこにあるだけ。
「覚えているよね?」
「し、知らない!私は何も知らない!」
「そんなことないよね?!君は昨日の事を覚えているはずだ。ここであった出来事も!」
お互いの息遣いが聞こえそうな距離にいる。
こんな状況じゃなければ、少女漫画でよく見る胸きゅんな展開だ。こんな状況じゃなければの話し。
「話してよ!君が一体…俺の弟に何したのかを…」
「おとうと…えっ…違う!」
「違わないよ。君は弟と俺を…間違えたんだろう?」
「間違えてないよ!だって……七瀬くんでしょ?私と付き合ってるのに…他の女の子と…!」
昨日の出来事がフラッシュバックする。
他の女の子と…キスする七瀬くんの顔が…
私は気持ち悪くなりその場で吐いてしまう。
口内には酸っぱい臭いが充満している。
「まず、俺は君と付き合ってないよな」
この人は本当に七瀬くんなのだろうか。
「そ、そんなことない!いつも一緒に帰っていつも電話して…この間のデートも楽しかったって言ってくれてたじゃんか…」
「妄想しているだけだ。そういう俺を妄想しているだけ」
七瀬くんの口から飛び出す言葉に私は絶句してしまう。
私と七瀬くんは付き合っている。
いつも一緒に帰っていつも電話して。
この間デートもした。
「それに俺が七瀬なら君が昨日の殺したのは一体誰なんだよ」
死骸に群がる蝿たちのなかに小さな蟷螂がみえた。
「七瀬くん…状況はやめてよ。エイプリルフールなら昨日終わってるはずだよ」
「そうだね。エイプリルフールならどんなに良かったんだろうな。弟がいなくて…見つかったのがこんな姿なんて…」
七瀬くんは足で勢いよく蟷螂を踏み潰した。
アスファルトに液体が広がる。
「例えば...こんな話がある。死んだ蟷螂はトラブルの暗示だと。蟷螂は幸福の象徴だ。だから死骸は不幸の兆しなんだ」
「ねぇ…本当に死んだのは蟷螂だったの?」
蒸し暑いアスファルトに溶け込むのは私の罪のある嘘。
エイプリルフール
今年はどんな冗談を言おうかな
【エイプリルフール】
エイプリルフールが終わるまであと30秒
ゆっくりと歩いていく
エイプリルフールが終わるまであと20秒
地下まで行って扉を閉める
エイプリルフールが終わるまでまであと10秒
ひとつ毒を吐き出す
エイプリルフールが終わるまであと0秒
「さようなら」
せっかくのエイプリルフールなので嘘をついてみようと友達に「オレンジジュースよりりんごジュースが好き」って言ったけど「そうか」としか言われず私のエイプリルフールは終わった。
「……好きだ」
塔の鐘の音がなり響いた後、僕はそう告げた
少し沈黙の後、彼が口を開いてこう言った
「…知っているさ、今日はエイプリルフールだろう?
昨年さんざん騙されたんだ、もう引っ掛からないよ」
「ふふっ」
「何がおかしい」
「いや、ついね、すまない」
彼は頬を少し膨らませ目を細め見てきたが、
軽く謝り話を続けた
「君は、知っているかい?最近は午前中までしか、
嘘は許されないらしいんだ」
そう、さっきの鐘は午前の終わりの音
「…そっか、えっと、そのえっと…」
意味がわかったのか、彼は段々と頬をあかく染めていく
とても愛らしかった
「それで、君の返事は?」
「…わかってるくせに」
「ははっ、まぁね」
暖かな春の始まりに、少し甘い二人の少年のお話
「エイプリルフール」
.
.
.
友達に騙され続けた日。
多分、私は
人を騙すよりも
人に騙される方なんだな、と
感じた日でした。
嘘がつける日かぁ
あなたが好きですって冗談交じりに言えたらなぁ、
夜中ぴったりにあなたが好きですって言ったらそれはもう本当のことになる?
エイプリルフール
何度も 口に した ことを
言い出せ ない ふりをした
邪魔だと 思った 言葉を 遠い 雲へ 吐き出した
それでも 空は 無情に 青くて
僕らを 置いて 行くように 流れてく
追いつけない スピードが ほしくて
毎朝の ニュースよりも
早く 動く 世界の 動きを 追うために さぁ
君の 知らない ところで 毎日が 変わり行く
君の 天気も 情熱も 乾いた 風で
あれだけ 素敵だった
言葉も 仕草も ハートも
忘れて 行きそうだ
エイプリール フールに限って
僕は 大丈夫 一人で いれるよって
笑い ながら 君を 抱きしめた
もう少し 時代が 柔らかな 動きを してたら
君を 恋した ことも
おざなり 過ぎた 言葉も
急ぎ 過ぎた 軽薄な 仕草も
何度でも 君に 謝れたのに
君の すべてが 僕の中 変えてく だろう
あれだけ 見つめ合い
過ぎ去る 歌が 浮かび
抱きしめ あえたのに
エイプリール フールに限って
僕は 大丈夫 一人で いられるよって
少し 我慢 してる ふりしたよ
それでも 空は 晴れていて
君が まだ 遠くへ いかないうちに
僕は 戸惑い ながら
ほんとは 君が ここに いる間
流れる 空気と 見つめ合う 時間が
足りない 君の そばで
ため息 ついて 君を 抱きしめる
エイプリルフールは午前中だけらしいよ
午後には自分がついた嘘をばらさないといけないんだって。
【エイプリルフール】
「ねぇ、好き、付き合って?」
混乱した。
だがハッと気付く。
今日は4月1日、すなわちエイプリルフールだ。
つまり、先程の発言も嘘だろう。
「嫌です」
勘違い野郎になるつもりはないので丁重にお断りする。
いくら幼馴染みとはいえ、おふざけが過ぎる。
もし、僕がお前のこと好きだったらどうすんだよ。
本当は、好き......なんて、言うわけ無いけど。
要らぬ期待は生まない方が良いと思うな。
「ちぇ、釣れないのー」
プクっと頬を膨らませる君は、悔しいほどに可愛いかった。
全部本当だったら良かったのに。
エイプリルフールなんて嫌いだ。
るあ
エイプリルフール
今日は、嘘をついてもいい日らしい
らしいというのはあまり意識したことがないから
嘘をつくなら大事にならない程度につこう
懐かしき
会津若松
想い女(ひと)
いずこと馳せる
古き友旅