NoNameという名前

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「……好きだ」


塔の鐘の音がなり響いた後、僕はそう告げた
少し沈黙の後、彼が口を開いてこう言った

「…知っているさ、今日はエイプリルフールだろう?
 昨年さんざん騙されたんだ、もう引っ掛からないよ」

「ふふっ」 

「何がおかしい」 

「いや、ついね、すまない」
彼は頬を少し膨らませ目を細め見てきたが、
軽く謝り話を続けた

「君は、知っているかい?最近は午前中までしか、
 嘘は許されないらしいんだ」

そう、さっきの鐘は午前の終わりの音

「…そっか、えっと、そのえっと…」

意味がわかったのか、彼は段々と頬をあかく染めていく
とても愛らしかった

「それで、君の返事は?」

「…わかってるくせに」

「ははっ、まぁね」



暖かな春の始まりに、少し甘い二人の少年のお話


4/2/2024, 8:47:43 AM