『また会いましょう』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
[また会いましょう]
「またって嫌なイメージで、使われることが多いけれど、
僕は嫌いじゃないんです」
「だってあなたに約束ができます」
「明日が少しだけ楽しみになるんです」
『“また”が、“いつ”か分からないのに?』
「分からないから、いいんじゃないですか」
その時の私は、気づかなかった。
「また会いましょう」
あなたが別れ際に言う、その言葉に、
どれだけ心が奪われていたか。
どれだけ会えた時間を嬉しく思えていたのかを。
あなたからの連絡がないだけで、こんなに寂しいなんて。
こんなにも好きになっていた、なんて。
僕には良く覚えている夢がある
その夢では毎回とても危険な経験をする
そんな夢の中、毎回僕の手助けをしてくれる人がいる
誰かわからないけど、僕が知っているような人
その人が必ず出てきて、僕を生かそうとしてくれる
僕にとって非常に有り難い存在
だけど、その人についてとても不思議なことがある
毎回毎回夢が覚める前にその人は「また会いましょう」と言う
そして、言われた瞬間夢から覚める
どんな状況でも夢から覚める前に必ず「また会いましょう」と言われることがどうしても不思議でならない
その人はどうして僕が夢から覚める瞬間がわかるのだろう
どうして僕がいなくなることを知ってるのだろう
今日にでも暇な時間があったら聞いてみようか
あの夢に暇なんてないから聞けないかもしれない
それに、答えを知らない方が幸せかもしれない
好奇心が勝つか恐怖心が勝つか今日の夢で証明される
「来世があるのなら君と一緒に幸せになれるかな?」
荒れ果てて硝煙の匂いが香る戦場で貴方は呟いた
「ああ、きっと世界も平和になって俺たちも幸せに
暮らせる」
俺の返事を聞いて貴方は満足そうに笑みを浮かべる
俺たちを隔てるものは数多ある
身分、戦禍、人種、性別
この世界に輪廻転生があり、新たな人生を歩め
俺たちに塞がる全ての障害を取り除くことが
できるならばこんな幸福なことはないだろう
そして貴方に新たな戦場への招集がかかる
「また会いましょう」
そう言って君は一人で戦地へと赴いた
一週間後に俺のもとに届いたのは
貴方の名前が刻まれたドッグタグだけだった
俺はドッグタグにキスをする
それが貴方への最初で最後のキスだった
ドッグタグを首にかける
これからもずっと一緒だ
もし貴方が語ったように来世があるのならば
生まれ変わっても貴方を絶対に見つけだしてみせるよ
「待ってよ」弱々しい自分の声を聞いて更に虚しくなった。
「また会いましょう」笑顔で言われた言葉が守る気のない約束だと分かっていた。頭では今日が最後の日だと知っていたから、この記憶も数時間後には消えてしまうだろう。輪郭が朧気になっていくのを黙って見ていることしかできない己の無力さが情けなかった。次は上手く行くと思ったのに、明滅する最後の光が爆ぜた瞬間に辺りから音が消えた気がしたのは愛しいものが世界から消えたからだった。
自室で正装に着替えるのは何年振りだろうか?全ての業務を任せていた近侍が何の前触れも無く消えてから他本丸の知人の所に初めて行くことになった。気心知れた仲だったが普段着ではなく正装で、と指定されていた。どのような意図があるか分からない。
「ね、今日はどの簪が良いかな」振り返りながら話しかけるが誰もいなかった。そうだ、もういないんだった。最後の顔はどうだった?記憶の糸を手繰り寄せてもぐしゃぐしゃに黒塗りにされて分からなくなっていた。
何故思い出せないんだろう?朝から晩まで顔を合わせて切磋琢磨してきたのに。
「準備は出来たかな?」初期刀が手土産の袋を持ちながら迎えに来た。しゃがみこんでいる私の姿を見て一瞬だけ顔が曇った。
「大丈夫だよ、俺も手伝うから」と優しく微笑む彼を見ながら「ありがとう」短く返した。
私の知人は刀と情を交わしている。顕現初日に彼と結ばれたいと強く惹かれたという、何とも昼下がりの安いドラマみたいな始まりが滑稽だと軽蔑していたが、数年後に自分も特定のものに惹かれると思わなかった。人ではないのに何がそうさせたのか?もう朧気にすら覚えていないが、淡く美しいものだったことは何となく覚えていた
思いのままが難しくて
無い意味を探し続け
分からないまま 涙で決めて
見ないように 仕舞い込んだ
大切かどうかなんて
分からないまま
隙間を埋めるように
拾い集めたモノは
呼ぶ声に振り向く度
過去へ置き去りになった
癒しなど信じられなかった
抉られるようなあの痛みも
ただ懸命に生きていた自分を
懐かしむだけに色褪せて
寂しかった心が 今
全てを飲み込み 沈黙している
思い出半分遺したまま
人は還って行く
長いような
短いような
枠の無い塗り絵にただ
闇雲に色を重ねて
何かを創り上げようと
もがいてきた日々
声にならないさよならは
宝探しのように
永遠に見つからないよう
隠して行こう
今はただ頭を垂れ
言えなかったありがとうを
貴方に
全てに渡したい
夕日がまたねと手を振り
蝋燭の炎が 残された力で
小さく揺れている
また会いましょう
今度はもっと
優しい時代の
優しい世界で
出会えたらいいね
「また会いましょう」
―また会いましょう―
AM6:13
僕は、人々が次々と目覚め出す時間帯に、
人探しのため全力疾走していた
そう、思い返すのは昨夜のこと―
月や星も眠る深い夜の中、彼女は寝室を抜け出した
人の気配に敏感であるという
僕の特殊な職業柄のため、
彼女の動きに素早く気づくことができた
まるで蝶がサナギに形を残して旅立つように、
彼女は布団に自分の跡を残したまま、静かに去った
呼び止めることは考えた
あとをつけることも考えた
でも、疲労の溜まっていた僕が
眠気に勝てる筈がなくて、
そのまま眠りに落ちてしまった
朝、目が覚めて覚醒するや否や、布団から飛び起きた
隣のベッドの方を向いた
案の定彼女はいなかった
もしかしたら知らずのうちに帰って来ているかもとか
あれは本当は夢の中の出来事で、疲労のせいで
現実と見分けがつかなくなっていたのかもとか
色々考えての行動だったけど、
やはり布団は彼女の形をうつしたまま崩れなかった
そのまま思考が停止した
ぼーっとしていると、彼女のベッドの枕に
染みができていることに気づいた
おそらく、涙…
彼女は、眠っている僕の隣で
声を殺して泣いたのだろうか
いつも完璧で、何をやらせても何でもできる彼女
笑顔を崩すことなく人と接する彼女
きっとそんな彼女でも耐えられないことが
あるんだろう
というか、あったんだ
僕はそれに気づけなかった
彼女の気配は分かれても、
彼女の本音には気づけなかった
そんな今、やれることはひとつ
僕は彼女を探すことに決めた
彼女を探しに行く準備のため、まずリビングに行った
すると、ダイニングテーブルの上に
こんな書き置きを見つけた
『―急に家を出たりなんてしてごめんなさい
驚かせたでしょう?
あぁ、先に言っておく
私が家を出た理由は、あなたに関することじゃない
あなたのことが嫌になったとか、そういうのじゃない
ただ、ちょっと苦しくなってきただけ
少ししたらきっとまた調子を取り戻して
帰ってくると思うから
変に心配して探しに来たりしないでね
また会いましょう―』
部屋全体を見回した
彼女が残した跡はあるのに、
気配だけが全くない部屋
いつもと違う
理由は君が傍にいないから
『もちろん…今に会えるよ』
「また会いましょう」
「また会おう」
「うん、またいつか」
「…うん」
「うん」
それっきり会っていない
いつかは来ないと分かっている
「またいつか」そう言う人との「また」が実現したことがないから知っている。
知っていても、何も言えない
もうあの子は会ってくれない。
もうあの子とは会えない。
それだけがはっきりとしていて、もう会えない相手に、なんと返せばよかったのだろう。
何故、訪れることの無い「いつか」を言うのだろう。
いや、そこに深い意味はないのかもしれない。
それでも「また」と言われてしまえば
こちらは期待してしまうのだ。
来ないとわかっていても、次こそはまた会える日が来るかもしれないと。
そして一向に来ないその日を妄想と夢で埋めるのだ。
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昨夜のお題「スリル」
(走り書きですが良ければ)
高い所に登ってみたり、賭けをしてみたり
危険な妄想をしてみたり。
スリルを求めるのは刺激が足りないから
つまらないから、面白いから、楽しいから
色々理由はあると思う
それでも、今に満足出来ていないからスリルを求めるのだと思う
満足出来ていて、わざわざスリルを求めるのは趣味としか言いようがない
中にはそういう人も居るだろう。
しかし満足出来て居るのにわざわざそれを手放す、危険に晒すような真似をするだろうか。
スリルと言っても度合いがあるので一概には言えないかもしれないが現在の状況が揺らぐほどのスリルを求めるのはその生活に満足しきれていないからだと思う。
だから刺激を求めるのだ。
毎日同じじゃ、つまらなくなってくる
それが他の人から見て幸せな生活だとしても
それが当たり前と化してしまえば、その人にとっては、つまらないものになってしまうかもしれない。
そこで満足出来ればいいのだが、欲は何処までも進み続け、止まることはあまりない。
欲が進み続ける限り、刺激もまた求め続けるだろう。
この世の出会いは
時間など関係なく
誰とでも
一期一会
心に残ろうが
残らなかろうが
縁があれば
また会いましょう
そんな別れを数えられないほど
して来た
そして今日も私は
そんな別れをして来た
縁があれば
また会いましょう
明日は新しい出会いが待っている
別れた後の言葉。
言いたいこと全てをのせた
とても嫌で、清々しい言葉
「また会いましょう」
少し経ってまだ好きが残っていたら、また会いましょう。
『また会いましょう』
おやすみなさい
おやすみなさい世界
目を閉じて開いたら
きっと新しい私だから
それまではさようなら
「また会いましょう」は、
初対面の人との別れ際に、
「これからの人生で、あなたと接点を持っていたい」
と伝える、カッコイイ言葉だと思う。
今度使おう。
ちゃんと目を見て、ゆっくり、心を込めて。
#また会いましょう
30 486
「おやすみ」のかわりに
「また会いましょう」と言う君
また会いましょう
お元気ですか?
私は元気です。
それではまた会いましょう。
大好きだった 彼。
別れを告げて、お互いが帰路に着く。
貴方はこれからどんな未来を送るだろうか。
「さよなら」を言おうとする貴方を
わざと遮って。
「また会いましょう。」
まだ、終わりじゃない。まだ
なんて言葉はよして。
ただ前に歩き出しましょう。
その先で会えたのならありがとう。また。と。
「また会いましょう」
事務方の大先輩、ゆかり先輩がめでたく寿退社をすることとなり、顔が隠れるほどの大きな花束を抱えながら皆の前でスピーチをしていた。
その小柄な体格からは想像もできないほどの体育系でパワフルな仕事ぶりに私も何度も頼ったものだ。
頼りない高身長の私、香織と頼れる小さなゆかり先輩。周りからは「凸凹コンビだなあ」とからかわれることもよくあったが、コンビという響きにマスクの中では笑みがこぼれていた。
先輩とは会社の垣根を越えて何度も呑みに行ったし、お泊まりもした。それでも先輩は男との結婚を選んだ。
「ごめんね、香織。私やっぱそっち側じゃなかった」
ずるい。嫌いになったと言って欲しかった。それなら諦められた。
先輩はスピーチの最後に突然もらった花束から一本ずつ皆に渡し
「これでお別れではありません。その花を見て私を思い出してください。それではまた会いましょう!」
と爽やかに礼をしてはにかんだ。
「ちょっとぶっちゃけこの花束はデカすぎるんだ」
オフィスが湧く。最後まで皆を笑わせていた。そしてその中からリンドウを私に手渡し、まっすぐな瞳で別れを告げた。
「またね」
ずるい。先輩はずるい。いっそのことさようならと言って欲しかった。
今日も玄関でその花は揺れる。またね、と偽りの希望を振りまいて。
【また会いましょう】
そう言えることは今後あるだろうか
そう言える人に出会うことがあるだろうか
また会いましょう
あぁなんていい言葉なんだろう
固く結んだ約束ではなく
反対に簡単に交わす約束でもない
ただまた会えるということだけが分かっている言葉
ではまた会いましょう
『また会いましょう』
あの双星の流星が砕け散るように
音を立てずに派手にひび割れた硝子
零した水に滴る涙
混じった涙の姿が消えた
目の前を通り過ぎる風切る電車
レールの上に落としたスマホは壊れて
小雨はまだ降り続いている
滲んだ裾で目元を拭う
「でもさ、もう会えないって訳でもないから!」
無理やり笑って手を振った
警鐘が無情に鳴り響く
長い時間ってどれくらいなんだろう
つたう小雨はだんだんと大粒へとなって
「ううん、でも、大丈夫。きっと帰ってくるから!」
だからさっきよりもにこっと笑って思いっきり叫んだ
「また会いましょう」