『ないものねだり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
〝ないものねだり〟
「私、アンタみたいに頭の回転早くないからさ、
そういうとこ本当に羨ましいってか尊敬するわ」
親友か、突然嬉しいことを言ってくれた。
「照れるな〜。でも私も、アンタの素直なとこ、
すごい尊敬してるよ」
それに、そういうこと言いるのもすごいなって思う。
ないものねだりじゃないけど、私も真似したいとな。
〝好きじゃないのに〟
「俺さ、お前のことが好きだ。お前の明るいとこ、
優しいとこ、笑った顔、全部好きだ。
俺と、付き合って欲しい」
「えと、その…いつ、から?」
「文化祭の時、一緒に実行委員やっただろ。
その時から、気になってた。返事が難しかったら、
まだ待つから、答えが決まったら教えて欲しい」
…友達が待っているからとはいえ、
駆け足で離れたのは良くなかったかな。
でも、アイツは…。
「あっやっときた!なんかあった?」
「うん、ちょっと呼び出し食らっちゃって。
待たせてごめんね」
「いーのいーの!さっ帰ろう」
言えなかった、あなたの元彼に告られたよ、なんて。
「そういやさ、新しい彼氏出来た?」
「いや、全然。ま、別れたことは後悔してないけどね」
「そっか…。その、早くいい人見つかるといいね」
「ありがと!アンタも見つかるといいね!」
翌日、学校に行くと、
アイツは他の女子と談笑していた。
私に告白したくせに、他の子と話すんだ。
他の子の前でもそんなふうに笑うんだ。
…ハッとした。
好きじゃないのに、好きになっちゃいけないのに、
親友の元彼なのに、なんでこんなこと考えてるんだろ。
なんで、胸が痛むんだろう。
ないものねだりしてること、分かってる。隣の芝は青く見えるってやつだよね。本当は今手にしているものが素晴らしい。
#ないものねだり
寂しくなったり羨ましくなったり
挙げ句の果てには虚しくなるって分かってる
それでも欲しがってしまう
欲しい欲しい欲しいと求め彷徨ったものも
いつかは忘れてしまうのに
ないものねだり
血と土埃に塗れたその混乱の中で、彼女の声は晴天を通したようによく聞こえた。小柄な身長は、十重二十重の敵陣に囲まれて既に見えない。
鎧を通して腹から染み出す血が、幾筋も血溜まりに向かって川を作る。あ、オレ、とうとう死ぬんだ。そう思った時。
「うわっ……馬鹿、何やってんの!?」
さっきまで姿が見えなかった彼女の声が、すぐ傍で聞こえた。
目を開けると、鎧も兜も何処かへすっ飛んでいった生身の彼女が覗き込んでいる。身を守るものを全部無くしているというのに、何故か自分よりも五体満足だ。何となく安心して、溜息をつく。
「うるせえ、後ろから不意打ちされたんだよ。多分そろそろ死ぬ」
「はあ?背中の傷は剣士の恥だって知らないの?ていうか、わたしには出血してるの後ろじゃなくて前に見える」
早く起きな、と腕を引っ張られる。痛い。
文句を言おうとしたその時。彼女の姿は、ふっと掻き消えた。霞む視界には青空が見えて、ただそれだけだ。……ああ、夢か、或いは幻覚だったのか。
目を瞑れば、かつての彼女の姿が思い浮かぶ。どんな劣勢も一迅の風さながらに現れては戦況をひっくり返す常勝将軍。彼女は、ずっと自分の光だった。
だから隣に立てた時は、信じられない心地がしたのだ。でもそれももう終わる。既に戦力差は十倍近い。彼女がこの最果ての地に辿り着いた時には、手遅れだった。
「でもよ……お前には、『常勝将軍』で、いてほしいんだ」
ほとんど陥落したこの地で、一部だけ敵兵の集団がある。前方、距離五十m。そこにいるのだ。一瞬だけ見えた彼女は、ちゃんと鎧も兜も身に着けたままだった。
美しい鬼神のように剣を振るう彼女に当たらないように、傍に落ちていた半ばから折れた槍を人生最後の力で振りかぶって投げる。
ずぶり、という音の後、その集団から細い人影が飛び出した。
「ありがと」
恐らく誰に向けたのかも分かっていないだろうその一言だけを残し、彼女は敵兵の馬を強奪して手綱を打った。
さよならだ、オレの常勝将軍。
彼女は振り返らない。いつものことだ。けれど、ずっと。
運命に抗うその背中が自分を振り向くのを、オレは今か今かと待っている。
今、ほしいものがある。
でもそれは形として存在してない。
いつも優しくて、暖かくて、なんか頑張れてしまう。
でもそれが存在している可能性は極めて低い。
私が欲しいのは、
慰めてくれたり、励ましてくれたり、
温かい手で自分の背中を押してくれる、
『あなた』です。
#ないものねだり
ないものねだり
あの子の周りには色々な人がいて
僕はずっと独りぼっちだ。
あの子は笑顔が可愛いけど僕は上手く笑えない。
あの子は頭がいいけど僕は勉強も遅れている。
あの笑顔が欲しい。
あの子より人気者になりたい。
でもきっとあの子も誰かを同じように
あれが欲しい、あんな風になりたいと思っている。
人間だからね。
ないものねだり、ね。
実はその言葉言われると傷つくんだよ。
確かに彼は私にないものを全て持っている。
端正な容姿。高身長。心地の良い声色。
そして何よりも、彼の誠実さ。
私が彼に抱いているものはただの嫉妬心からくるのか。
きっと、もっとくすぐったい、
私には似合わない感情からもくるのだろう。
だけど、私はこの複雑な想いに蓋をする。
辛いと分かっていて進む勇気が、私にはない。
ただ、最後にひとつだけ。
彼の机に置かせて欲しい。
マリーゴールドという名の花を、、、。
『ないものねだり』
わたしに無いものを
ひとつだけ ねだって
叶えてくれるとしたら…
どうしよう…
たくさんあるな…
美貌?
若さ?
バツグンなスタイル?
イケメンな彼?
外車?
えええええ〜
迷うぅぅぅぅ〜
たくさんあり過ぎるぅ〜〜
わたしに無いもの〜〜っっ!!
あっ!決断力だわ…
vol.11
「何のために生きてるのだろう。」
そう考える時は、もしかしたら、生きがいを見失ってる時ガ多いかもしれない。
生きがいを考える時は、もしかしたら、誰かと比べていたり、誰かに必要とされたいと考えている時が多いかもしれない。
結局、判断基準は自分であろうとするけど、比較することで客観視してる。
なかなか、自分軸で考えて生きがい、幸せを感じるのは難しい。
人がいて、自分が見える。
隣の芝生をおおいに観察して自分を見つめよう。
『ないものねだり』 3月26日
ないものねだりって自分が持っている物のありがたみを見失ってしまうことで
それはとても不幸みたい
ならば、自分が持っている物を大事に抱えて
黒い画用紙みたいな夜空にばら撒いて
手を伸ばせば届くような
小さな星空を作って暮らそう
「あの子みたいに細くなりたい」
「ふっくらしてて羨ましい」
「二重綺麗でいいな」
「一重の人ってかっこいいよね」
「兄弟いるの羨ましい」
「一人っ子が良かった」
「ママなんていなくなればいいのに」
「私にもお母さんがいたらな」
「もっと長く生きていたい」
「もう、死にたい」
今日もどこかで、ないものねだり
霧のような雨が降る。
雨のあまりの柔らかさに、雨宿りをする気も起きず、濡れっぱなしで身軽に歩く。
濃霧のように白い水蒸気が立ち込めていて、湿った春の香りがほのかにする。
私はゆっくり辺りを見まわし、跳ねるような足取りで歩き出す。
「出てけ!」と追っ払われた後だし、どうせしばらくは戻れない。
雨だから歩道は空いているし、お散歩にちょうど良い。
車が水飛沫を上げながら、通り過ぎてゆく。
雨の日の環境音は、いつもより耳に響いて、心地良い。
私は鼻歌混じりに適当に歩く。
なんと、ここには空き地があったのか。
でたらめに歩いた道の先に、背の高い草の生い茂る空き地があった。
錆びたベンチが向こうに見える。私はそっちに向かう。
ベンチの上には先客がいた。誰かが忘れていったのだろう、ふかふかのぬいぐるみだ。
大事にされていたのか、赤い首輪までつけている。雨に濡れて、ぴかぴか光るネームプレートには、「コロ」の2文字。
いいなぁ…、思ってしまってから私は、気づく。
これがないものねだりか。
でも、あっちも案外、動く私の方が羨ましいのかもしれない。置いていかれても持ち主を探せる翼が、あっちは欲しいのかも。
雨を含んだぬいぐるみの目が、こちらを向いている。
ないものねだり仲間じゃん。私はぬいぐるみと目を合わせ、苦笑する。
足元でアマガエルがぴょこん、と跳ねる。
…雨もだいぶ止んできた。霧は少しずつ晴れ始めている。
そろそろ散歩も終わりにするか。
私は黒い翼を広げ、靄がかった空へ羽ばたいた。
直毛がよかった
イケメンがよかった
鼻が高かったらよかった
何にせよ、ないものねだりでしかない。
【ないものねだり】
小さい頃は「あのゲーム欲しい、この漫画買って」とよく無い物ねだりしてしまう癖があった。
大人になってからは自分で稼げるようになったため、欲しいものは自分で買えるようになった。
でも「もっと君からの愛を感じたい」とか心の中でないものねだりしてしまう時がある。お金では買えないモノは特にそう感じる。
それは今も昔も変わらないもんだ…
ないものねだりか
もっとイケメンだったらとか、もっと才能があったらとか、そういつやつでしょ?
それはもちろんそう思うけど、天国に行ったペットともう一度会えたらなあとか、あのときのあの子の本音が聞けたらなあ、なんていうのもあったりするよ
でも、実際は全部不可能なんだよね
当たり前だけど、現実はキビシイなあ…
私にはないものを持っている人や、私にできないことができる人はたくさんいる。そんな人を羨ましいと思うし、どうして私はそうじゃないんだろうと思ってしまう。
自分と比較して勝手に落ち込んでしまう日もある。一度その差を実感してしまうと、自分の悪いところばかり考えてしまう。逆に、周りの人の良いところが凄く目に入る。自分だけ取り残されているような気がしてしまう。
でも実際、そんな事はないと分かっている自分もいる。誰でもひとつくらい悩み事を抱えている。分かっていても、ついないものねだりしてしまうのだ。私も周りから見たら良いところがあるのかもしれない。だから落ち込みすぎるのはもうやめよう。
ないものねだりしてしまうのも仕方ない。ないものねだりする自分はだめだ、ではなくそんな自分まで受け入れよう。誰かを羨む自分を。こう考えられる私は前よりも成長した気がする。私の良いところをさっそく見つけられた。
一日の終わり、布団で瞼を閉じてから寝るまでの間、こんなふうに自分を落ち着かせてから寝る。明日も私の良いところを見つけられたらいいな。
”ないものねだり”
ないものねだり
閉じ込められた鳥
『“自由”が欲しい』
『もう閉じ込められたくない』
『はやく大空へ羽ばたきたい』
悪役の蛇
『“愛”が欲しい』
『どんな悪党でも寂しいときは寂しいんだ』
『頼むから、誰かオレに愛をくれ』
年老いた犬
『“時間”が欲しい』
『もっともっと生きていたい』
『私はまだ知りたいことが沢山ある』
仲間も家族も失った兎
『“冷酷さ”が欲しい』
『感情も金も何もいらない』
『あんな辛い思いはもう嫌だ』
幼い狼
『“お金”が欲しい』
『お金さえあればお母さんもお父さんも楽になる』
『お金で悪役扱いされなくなるんだ』
正直な狐
『“仮面”が欲しい』
『自分の心を隠して』
『ずっと生きていくと決めたんだ』
悟った猫
『無いものをねだってもしょうがない』
『自分から取りに行かないと』
『欲しいものは自分からやってこない』
貴方は何が欲しいですか?
貴方の欲しいものは何のために欲しいんですか?
楽しい時間が欲しいし
遊べる場所に行きたい
ゆったりまったりする時間が欲しいし
落ち着く場所に行きたい
美味しいご飯を食べたいし
お腹いっぱいに食べたい
ないものねだり、だって?
キミと過ごすからたくさん欲が出るんだ
キミだってそうだろう?
生きているから欲が出るんだよ
“ないものねだり”
君に会いたいな!
今逢ったらどんな感じだろう
『老けたねー』とか
『太ったんちゃう?』とか
こんな会話をしながら楽しく飲んでるのかな
君はズルいよね!
だって、君は30代のままだから
私だけがもう50代
ないものねだりはわかっているけど、
50代の君に
会いたいな
月と地球はお互い羨望の的。
月は地球の賑やかさに刺激受けて少し派手になりたいと言っている。
地球は月の静けさに癒やされてもっとのんびりしたいと思ってる。
ないものねだりの典型的例だ。
みんなの心の深いところに潜んでいる。
月を指差して指先ばかり見てると本質が見えない。
見た目や表面だけで判断すると隣の芝生の色が青く見える。
題「ないものねだり」