『ないものねだり』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ちょっとだけ身長が欲しくて普段よりヒールの高いパンプスを。もう少し大人っぽく見せたくてメイクには時間をかけて濃い目のルージュを引いた。服装も普段着るものより露出があってスカートにスリットが入っている。
「どうかなぁ。綺麗に見える?」
姿見の前で何度もおかしくないかと確かめた。只今、『ないものねだり』中。彼は可愛いとたくさん言ってくれるけど綺麗と聞くのは少ない気がして大人っぽく見せればきっと…!と。出掛け先は夜の繁華街。繁華街を歩く女性はみんな綺麗で彼に目移りして欲しくないという理由もあった。友人には好評だったしタイミングも良く、ヘアアレンジには時間ぎりぎりまで拘って彼に会いに行った。
出会えば何かしら話す彼が一言も喋らなくて不安になる。
「…どうしたの?」
変だった?似合ってなかった?それならそうと言って欲しい。
「いつもより近いなって。冷えてない?」
ジャケットを脱いで私の肩に乗せてくれる。素っ気ない気がするけどいつもの彼のはず。あ、あの女性、素敵だなぁ。
「もっとおいで」
私は女性を眺めていたのに隣の男性を見ていると思ったのか引き寄せられた。腰を抱かれて歩くのはパンプスと一緒で馴れていない。服の素材は薄く、手の熱をありありと感じる。
「いつもと様子が違うけど俺を惑わせたいの?それとも…他の男を?」
耳元で吐息混じりに、腰に添わされた手は際どく私の弱い部分を擽った。
「ひぁ、…」
こんな反応は想定外!いつもの様にパッと輝かせて「綺麗だね」と彼が言ってくれるのを待っていただけ。妖しく色香の強い彼に気圧されて髪を掬いとられている。
「答えて欲しいな。こんなに綺麗なのは誰のため?」
大好きな彼に艶っぽく懇願されて、腰が砕けた。自分で自分を支えられなく彼に寄りかかることで精一杯。彼に似合う大人の綺麗な女性なんて『ないものねだり』したバチが当たったんだろうか。
「っと、大丈夫かい?」
「大丈夫じゃない…!」
すっかり腰が抜けてしまってそれどころじゃない。
「さっきからすれ違う男達が君を見ていたのを知ってる?俺は限界だよ」
そんなの知らない。だから見せつけるように近かったの?
「狙いどおりに歩けないみたいだし…。君が許してくれるなら、深い夜の街に拐っていいかな?」
ノック音
白い壁紙を遠目
冷えたベットによりかかる
よれたYシャツ
扉を睨む
響くは憂鬱
ノック音
嫌いな明日を遠目
独りベットに潜り込む
戻らぬ時間
扉を睨む
響くは後悔
ノック音
嫌いな自分を見捨て
独りベットをでる
静寂
白いベットを遠目
扉を触れる
冷えた感覚
扉を叩く
響くは心音
空白
ドアノブに手を当て
離した
扉の向こう
助けて
扉の向こう
吐き出せない
「なんとかして」
ないものねだり
《ないものねだり》
私と莉乃は双子。私は勉強が得意で、テストの順位はいつも上位。でも友達が多いかって言われるとそうじゃない。教室の隅で勉強ばかりの私には誰も話しかけない。莉乃は友達がたくさんいる。いつもクラスの中心にいるような存在。笑顔が素敵だから、自然と周りから人が寄ってくる。でも勉強は出来ない。テストが近づくと今にも死にそうな顔で「麗乃~(私の名前)」なんて言ってくる。
莉乃の愛想が欲しい。友達がたくさん出来る力が欲しい。そんな私のないものねだり。
ないものねだり
明るくてオシャレで
ユーモアがあって可愛い
あの子みたいになりたいと思って
笑ってみるオシャレしてみる
そうすると
笑顔がいいねとかオシャレだねとか
言われるようになる
だけどそうして気づく
私はあの子にはなれない
かけられる言葉と心の中のギャップに
居心地の悪さを感じる
多分、続けていけば
違和感がなくなるんだろう
けど私は本当にそれを望んでいる?
私はあの子が好き
でも私はあの子になる必要はない
ないものねだり
ないから欲しい
あったらあったで大変よ
『ないものねだり』
幼い頃から欲しかったモノがありました。
それは見えないもので、触れる事も出来ないモノでしたがその当時の私はそれをとても渇望していました。
子供は馬鹿だと下に見る大人もいますが、これが実際どうでしょう。
子供は大人よりも周囲の行動に敏感です。
大人の機嫌が悪かったらそれを察して自分ながらに動くのです。
子供は子供ながらに世の闇を知っていると思っていた方がいいでしょう。
もちろん、幼かった頃の私もそれに当てはまりました。
毎日の様に親のご機嫌を伺うのです。
楽しかった話も悲しかった話も、親の機嫌次第で言えなくていつも寂しい想いをしていました。
いつも他の家の親と自分の親を比べていました。
楽しく話をしながら帰る親子の背を見る度に、その当時は分からなかった嫉妬が私を駆け巡りました。
ずるい、私もそうなりたい、見てもらいたい
子供ながらの精一杯のエゴが初めて生まれた時でもありました。
「あっちいって」
エゴが生まれた時から、私は見てもらえるように自分なりにアピールをしていましたが
両親には意味がなかったようでした。
「ごめんね」
まだ安定していない幼い口から発せられる謝罪の言葉
そんな謝罪も意味の無いものになってしまう。
まだ何も知らぬ幼い体にはとても耐えがたいものでした。
見て、ねぇ見て、私を見て
興味がなそうに私にそっぽを向く両親の背に必死に訴えど意味はありませんでした。
心に栄養が届かないまま私は大きくなり、少しながらあの時何を欲していたのかが分かるようになりました。
そうずっと、ずっと私はそれを欲していたのです。
"愛がほしい"
ないものねだり
桜や雪景色のように綺麗で
薔薇や金色のように高貴で
海のように心広く
秋のように暖かい
時には梅雨のように冷たく
夏の砂浜のように熱く叱り
そんな人間になりたい、なんて思わない。
ないものねだりでも理想が高いでもない。
私は私が思う私で居たいだけ。
ないものねだり
このカタチ持ってない
この色持ってない
欲しい何かではなく
ない何かをねだる
心の隙間を塞ぐために
ない何かで埋め尽くす
ないものねだりじゃないこの願い。
Byそこら辺の風邪引いた中学生が思いついたウタちゃん
(ウタカタララバイの歌詞)
あれもこれも欲しい。
そう思っていっぱいに詰め込んだ。
それでもまだ足りない。
どうしようと途方にくれていると、後ろから肩を叩かれた。
──どうしたんだい? そんなに荷物を詰め込んで。
──ああ、君か。いや、持ち物の用意をしているんだけど、どうにも色々足らなくて。
──もう君の荷物はパンパンじゃないか。
──でもないものがまだいっぱいあるんだ。現にほら、君はそれを持っているけど、僕は持っていない。これじゃあ何かあった時に困るだろ。
──では、こうしよう。君が困った時は僕の持ち物からこれを貸そう。だから、僕が困った時は君の持ち物を貸してくれ。
相手にそう言われて微笑まれたら、あんなに焦っていた気持ちがなくなり、肩がすうっと軽くなった。
【ないものねだり】
どんなに富を築いても
全てを手に入れたと思っても
やっぱり隣の芝は青いもので
貪欲に強欲に求めてしまう
ないものねだりがループする
あれがいい、これがいい
と言っているうちはまだ手に入らない
ないものはないのだから、
今ある物を大事にするか、どうしてもほしければ
手に届くまで歩んでいくしかない
理想を抱くのは大事な事だが、それを他人に押し付けるとわがままと言われてしまう。
理想を潰されないためにも、理想を現実にするために
歩んでいくのだ
憧れのあの人になりたいの
可愛くて堂々としていて
カッコイイあの人になりたい
目が大きくて笑顔が素敵で
声に特徴があって私の理想のあの人になりたい
それに比べて
私はブスで常に周りの目を気にして
自分を表現する事なんて出来ない
元が悪いのもだけどメイクも頑張ってるのに
全然上手くいかないし笑顔なんて可愛くない
理想の人とは程遠い
私は今すぐにでもあの人になりたい
できる訳じゃないのにね
私,最近気になってる子が居るの
あんまり話したことないけど可愛くて
常に周りを見て気遣いが出来る素敵な子なの
みんなの意見を上手くまとめてくれるの
彼女は元がいいしメイクも毎回変わっていて
自分に合うメイクをどんどんチャレンジして
かっこいいって思う
きっと笑顔も素敵だと思う
私は彼女みたいな人になりたい
いつか貴方と話してみたい
─────『ないものねだり』
ないものねだり
あるものを都度賢くねだり倒すより欲はないのかもしれない。
理想の靴に出会えるまでは、いまある古靴履き潰すわ。
身長
背が小さい人は背が高い人を羨ましがる
背が高い人は背が小さい人を羨ましがる
それぞれにいいところがあるのに
真面目で落ち着いていて大人っぽくてなんでもできる
これが世間一般の私のイメージ
他にも朝に強そうだとか
部屋はいつも綺麗で物も少なそうだとか
なんか勉強できそうだとか
とにかくそんなイメージ。
ほんとの私は
ただ怒られたくないからルールに従って
舐められたくないから落ち着いてる風を装って
とくに面白い事も言えないから言葉数も減らして
TPOをわきまえたそれなりに小綺麗な服に身を包んで
朝起きるのは苦手で寝起きも最悪
余裕を持って家を出れたことなんて一度もない
片付けも苦手で部屋は汚いのがデフォルト
勉強はしないと怒られるからしてただけで好きじゃない
ほんとは私は
いつも元気で愛嬌もあって
困ったときは人に頼ることができて
人と話すことが好きで、人が好きで
表情もコロコロ変わって毎日楽しそうで
早寝早起きで朝にも強くて
要領良くて部屋はいつも綺麗で
勉強はできなくても色々な分野に興味関心を持てる
そんな人がいい
はい、次の方。どうぞ、おかけになって。
ご相談は? うん、ええ。
なるほど、それがなおしたい所。
うん、そうすればあなたは完璧だと。
えっ?違う、ああよりマシにはなると。
なるほどねぇ。それって誰かと比べてません?
ですよね。そういう場合はうちでは無いですよ。
嫉妬課のほうに、ええ。
ウチの場合はですね、生きてて困ったなぁ、直したいな、ぁという場合だけですね受け取るように、上からの命令なんですね。
そうなんですよねぇ、あの人いいなぁではお願いは受け取れないんです。
はいすいません。
最近増えましたね。ああいう人。SNSの影響かなぁ。
次の人来ました。お賽銭はいくらかな?
「森宮くんって、本当に頭良くてかっこよくてなんでも出来るよね!」
なんでも出来る。
僕は才能と環境に恵まれていたから、今までの人生では何不自由なく過ごしていた。欲しいと言ったものは大抵手に入る。
なんでも出来る。なんでも手に入る。
でも、それはいい事ばかりではなくて。
僕はお金で手に入るものも、それだけじゃ得られないものも全部もってる。だから、よく言われるんだ。羨ましい、って。羨ましいならまだいいけど、たまに、お前ばっかりずるいって言われる。
僕はそんな言葉まで欲しくない。確かになんでもできるというのも素敵で、幸せな事だと思う。けど、僕は多少貧しくてもいいからみんなと一緒に話したい。話しかけてくれる人はいるけど、みんな僕を羨ましいだとか、そんなことばかり言う。僕はみんなが羨ましい。
みんなが僕に言う羨ましいが本当なら、人間はどこまでもないものねだりな生き物なんだね。
――ないものねだり
『ないものねだり』
ないものをねだるより、
あるものに目を向けた方が良い。
あの人はあれを持っているけれど、
私はこれを持っているんだって誇れば良い。
というのは、誇れるものがある人にだけできることで。
ないものをねだってしまうのは、
対抗できるものを持っていないからなんだ。
自分には何もないと思っているから、
ないものをねだるしかないんだ。
何か欲しいんだ。一つくらい。
もちろん、自分では何もないと思っていても、
他者から見たらそうでないこともあるけれど。
自分では気付けないんだから仕方がない。
ないものが欲しいな。
才能、お金、コミュニケーション能力、エトセトラ。
幸せな人生が欲しいね。
幸せだと感じられる人生。
30分でどこまで書けるかチャレンジ
#ないものねだり
ーーー
「マコトが羨ましい」
それを口に出してしまうと、自分が酷く自分勝手でわがままな人間であるように思えた。実際、そうなのだろう。
「マコトには、家族がいる」
だけど、仲は良好ではないと言っていた。いつか見た夢の中では、家族の誰にも見つけてもらえないまま、マコトは死んだ。
「マコトには、僕以外の友達がいる」
だけど、マコトはその誰にも心を開いていないようだった。僕に向けるのとは違う、作り物の笑顔。等しく愛想を振りまいておきながら、誰にもあと一歩を踏み込ませない。
「僕は、」
これ以上はだめだ。分かっているのに、
「僕には、お前しかいない」
それだけで十分であるはずなのに、僕は、十分である以上の意味を持たせてしまっている。そしてそれを、マコトにも理解させようとしている。
「お前しかいないんだ」
期待と、羨望と、嫉妬と、執着と、依存と。他には、何があるだろう。いろんな感情をごちゃまぜにして絡め合わせて、僕はお前を縛りつける。されるがままなお前は、他の奴らに向けるのとは違う、『本当の笑顔』を浮かべる。
「俺も、お前だけだよ」
あいつらは全部ニセモノだ。マコトの大きな手が頬に触れる。ごちゃまぜたものが、元々は僕の感情だから、僕の心を蝕んでいく。
僕はどんどん、だめになる。
「うそつき」
うそつき、うそつき。マコトはうそをついている。マコトにとっては『お前』は僕だけじゃない。僕だけじゃない。
僕はこれ以上ないくらい尽くされているはずなのに、愛されているはずなのに。思考が止まらない、汚い感情ばかりがどんどん出てくる。許せない、羨ましい、もっと欲しい、あれが欲しい。
あいつらにあげているあれが欲しい。
「……ユキ」
「やだ」
「何が。なぁ、ユキ、聞いて。俺は嘘なんて言ってないよ」
「やだ、やだ」
「ユキ」
僕だけがいい。全部、全部、僕だけがいい。
僕だけにして、僕以外の人は見ないで。僕にもちょうだい、全部ちょうだい。
「ユキ、」
「もういっかい」
それは、その名前は、僕だけのものだから。
「もういっかい、呼んで」
「……いいよ、ユキ」
ユキ、ユキ、ユキ。これは僕の名前、僕だけのもの。あいつらの誰にも渡されないもの。
マコトの、僕よりもたくましい体が僕を抱きしめる。体温を感じる。心臓の音がする。それでも足りない、全然足りない。
自分で自分が分からなくなる。僕は何を嫌がってる? 僕は何に対してこんなにも腹を立てている?
僕は、どうしてこんなにも怖がっている?
あいつらと話しているときのマコトを思い出す。
いったいおれのどこを羨ましがってんだ
今さらおれには何もねえ
何もない、は言い過ぎか?
でも大事なものは昔捨てた
おれはお前が羨ましいよ
大事なものを大事にできて
大きな過ちもなく
おれはお前に頭を下げて
いつか許してもらわなきゃならねえ
お前から奪ったものを
ひとつずつ返してゆくわけだが
おい、だから何を求めてんだ
おれなんて虚しいだけだろうが
あの頃の世界への憧憬か
あれはもうない
いやそもそも最初からない
幻覚を追いかけるな
手に入るわけがねえ
お前が羨ましいよ
ただただ羨ましいよ
ただ、ただひたすら