『どこにも書けないこと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
どうしよう!
えらいことになってきた!
ちょっとした憂さ晴らしで
オレ自身、半分冗談のようなものだった
ただ軽い気持ちで書いただけなのに
あんなにオレ一筋だったアイツが
急にコロッと態度を変えて
何も言ってくれないし
降って湧いたような別れ話に
オレは訳が分からなくて
あまりにも腹が立ったから
気持ちの整理になるかと思って
ネットに投稿したら大バズり
何でか泣ける!と話題になって
あっという間に出版決定
身バレが怖かったから
女の子の名前で投稿したのに
本当は男だって誰が信じる?
ほぼ事実のオレの身の上話
しかも恋愛ものときたもんだ
出版社の人は続編やりましょう!ってヒートアップ
メールでのやり取りしかしてないけど
完璧女の子だって思ってる
どーすりゃいいんだオレ、ピンチ!
本当は男で、しかも相手も男
こんなことどこにも書けない!
なにか伝えたかったり、吐き出したかったり、助けてほしかったり、それらを書くことは簡単だと思う。
でもそれを書いて送り出すのは自分の意思で、その意思が足りないからせっかく綴った言葉も『どこにも書けないこと』として1人だけの秘密になる。
きっとみんな心に溜め込んだ言葉に溺れそうになりながら生きている。
(どこにも書けないこと)
「どこにも書けないこと」は
ちょうど1年前に
同じお題が出されて
書いたので
今回はもう
「どこにも書かない」
# どこにも書けないこと
他のどこにも書けないこと。
つまり、ここにしか書けないこと。(かなり勝手な解釈)
今回は私自身の話。
私は数ヶ月前から小説を書き始めた、まだまだ甘ちゃんである。私の作品数を見ていただくとわかるが、このアプリを始めたのはほんの少し前。だが、すでに❤️が90をこえている。私はかなりぼっちの人生を過ごしている。ネットで顔もわからない人たちと完全に繋がったのはこのアプリが初めてである。 つまり何が言いたいのかというと、私は本当に心から喜んでいる。ということだ。この喜びを言語化するのはかなり難しい。ぼっちな私が私の事を何一つ知らない他人様に「いいね」と評価していただける。何と喜ばしい事か。
ちなみに私は、あんな狂気じみたお話しか書いていないが、別に狂気しか書けない訳ではない。ちゃんと平和な話は書ける。けっしてサイコパスなどではない。
さて最後に。
文法や表現、アイデア、作風などなど不完全な甘ちゃんですが、こんな私の作品を良い作品と評価していただき誠にありがとうございます。ぜひ今後とも温かい目で私の作品をご覧いただければと思います。
本当にありがとうございます。
こんなことを言うのは早いと思いますが、誰かに私の世界を褒めていただける経験が少なく、本当に嬉しくてたまらなかったのです。
【どこにも書けないこと】
私はどちらかと言うと寡黙で大人しい。
初対面だと礼儀正しい好印象を与えるようだ。
いつか友人に言われた言葉を気にかける。
「○○ってなに考えてるかわからない。」
これには驚いた。
なぜなら私は何も考えてないからである。
ぽけーっとしている顔は、何か考えているように見えるらしいのだ。
俳優にでもなれば案外良い演技をするのではなかろうか。
聞くと、精悍な顔立ちらしく頭がよく見えるらしいのだ。
私自身はのび太の顔をしていると思っていたが、他人にはゴルゴ13に見られているようであったのだ。
これには利点もあるが、困ることもある。
実際頭が悪いわけではないが、頭が良くもない。
ハードルを上げられた挙げ句残念がられるというコンボである。
そういえば他人の話も、どうでも良い相手ならまともに聞いていない。
「帰ったら何しよう。」などと呑気な考えに耽る。
大体マシンガンのように話す相手に面白い人間は少ない。
自己完結するのならば穴にでも話しかけておけば良いものを。
だから私は同じような大人しい人が好きだ。
大人しい人の方が面白い人が多いからだ。
私がどこにも書けないことはこの程度である。
本当はもっと深刻なこともあるが、ここではなるべく大したこともないことを書こうと思っている。
ああ、あとはいつもこんな駄文を読んでくれる人がいるということである。
大切な人生の時間を使ってまで読むものではないのであるが。
自分が書きたいから書いているが、読まれていると思うと少々嬉しい。
名の知らぬあなた。いつもありがとう。
などと媚びを売ってみる。
まあ気楽に読んでもらえればこれほど嬉しいことはない。
『どこにも書けないこと』
この世界で過ごす最後の1日。
明日私の人生は全て終わる。
終わらせる。
ボロボロの体で我慢するにはもう限界だった。
全てに疲れた。
「こんな世界も弱い自分も
全部全部だいっきらいだ。」
最後の1ページに書き残し
そっと日記を閉じた。
あの日は命日だった。
亡骸に血塗られた壁を焼き付けた。
小さな肩が揺れ、今にも止まりそうで
とまらないとまらない、鼓動が
鳴り響く、呼吸が消え失せる
衣擦れの音が、これが現実なのだと
報せる、大きなアラームのように途切れた
心が死ぬ音は只、乾いて揺れた
冷静な心は固く脆く錆びついたナイフだ
心の灯が懐かしく消える頃
初めて人を殺そうかと目を閉じた
そう目を閉じただけだった
一瞬とてつもない強さで重ねて誓った
十二単の重みのようにずっしりと
離れない心の癌なのだ
そんな風にして今も命日が今の私の
誕生日で違う人生があった
小さな肩の少女の命日だ
くまさんのことぶき
誰にも知られたくない私の醜い部分
醜い感情
私はこんな人だったのか
知られたくないだけじゃない
私だって知りたくなかった
いい子、優しい
そんな言葉を聞く度に嘘だ
私はそんな素敵な人ではない
知らないだけ教えたことないから
それを私だと言いたくて
私ではないとふと我に返り
どれが私でありどれは私ではないのか
否、どれも私である
私を知る者も知らぬ者も私すらも
見えているところは全て私
知っているところは全て私
どこにだって書いてたまるものか
嘘ではないからこそ書けないのだ
むしろ嘘であれば私でなければいいのに
教師に渡す寄せ書きを書こう。卒業する記念として。
こういうものは「お世話になりました」だとか「ありがとうございました」だとか、そういうありきたりな事にもう一言を添えるものだと思っていた。回ってきた寄せ書きには、将来的にどうしてやるといった野望が色とりどり好き勝手に書き殴られている。BIGになる、とデカデカと真ん中を占拠した奴がいたせいで、"先生へ"がやや下に追いやられていた。色味の考慮も人への配慮もない。消しゴムを数個並べれば空白がなくなる程度のスペースに、あと8人も書かなければならない。流石にそれは無理だろうと僕は思わず笑ってしまった。
席替えで3連続、僕の前の席を引いた不運な男松岡が振り返り、青インクのボールペンを取り出した。他の人のメッセージの行間にねじ込むように
「夢がある。壮大な夢だ。‐松岡」
と書く。彼らしいふざけた言い回しだ。僕は「お世話になりました」とだけ、狭いスペースに小さく書いた。目を上げると松岡が、僕のメッセージにそれだけかと言いたげに片眉を上げている。
「色紙、もういい?」
僕がペンを片付けながらそう聞くと、彼は誇らしげな顔をして、自分の書いた言葉を指でトントンと叩いた。気になるだろう?そう言っている。僕は手で、どうぞと合図した。ボールペンを立て、大事なことを念押しするように振りながら、単語ごとに抑揚をつけ、歌うように彼は言う。
「デカい夢を持つこと」
僕は2つ後ろの席に集まっていた3人に色紙を渡した。受け取った彼等は、書くところがほとんど残っていないことにすぐに気が付き、笑い合っている。
もうすぐ卒業だ。こうして皆がいる場所で過ごすこともなくなり、そのうち思い出すこともなくなるのだろう。最後の思い出として何か、記憶に残るようなことでも書いたほうが良かったのだろうか。後で思い出せるほど大きな、嘘の夢でも。「オーロラを見に行く」とか。
興味もなければ絶対にやるつもりがないことを、何を書いても何ら問題のないただの厚紙に書くだけ。他の人達と同じように、書いて馴染ませるだけ。でも僕はそうしなかった。いつか掘り起こされて突付かれたりした時に、たとえそんな日が来なかったとしても、困るからだ。出来もしないことは嘘でも書きたくない。どこにも書けないことばかりで、つまらない奴だとも思う。
それでも、この色紙においてだけは、唯一「先生へのメッセージ」を書いた異端者として評価されてもいいと思った。
どこにも書けないこと
どこにも書けやしない
だれにも言えやしない
人の気持ちに同調できないこと
人の痛みがわからないこと
悩みの解決方法は見付けられるのに
「そうだよね」「わかるよ」
その言葉はかけてあげられない
今まで
どこにも書けなかったこと
だれにも言えなかったこと
私には何かが欠けていること
私のこころが真っ黒なこと
どこにも書けない罵詈雑言や自責や嫉妬、尊敬や崇拝の感情などをTwitterの壁打ちの鍵垢で垂れ流す人生
どこにも書けない
こんなことを記録しておいたら
誰かに見つかるかもしれない
見つかってしまったら私は
『どこにも書けないこと』
言葉の限界を越えた向こう側は「どこにも書けないこと」に当てはまりそうです。なんせ言葉に出来ないですから。
ウィトゲンシュタインの言葉に「私の言語の限界が私の世界の限界を意味する」というのがあります。
言葉の限界を世界の限界とすると、『どこにも書けないこと』は、世界の限界でも、起こるようです。
どこにも書けないこと
──────────
─────
──
ボクの名前は、ああああ。
職業は勇者。
元は小さな村で農民ロールプレイをしながら、ひっそりとこのVRMMOのゲーム世界を楽しんでいたんだけど、ログアウトできないことに気づいてからは色々あって、平凡な農民から勇者にジョブチェンジした。
でもたぶん多くの人が勇者といわれて思い浮かべるような、そんな真っ当な勇者ではないと思う。
だってボクが取得した称号の一つが「闇の勇者」だから。
別に、これといって悪い振る舞いをしていたわけではない。
ただ……ログアウトできず、死ぬこともできないこの世界に絶望して、それでも現実に戻ることを諦めきれず、精神的に不安定な状態でひたすら魔王を倒すために行動していたら、いつの間にかこの称号がついていた。
原因はなんとなくわかっている。
ボクが勇者になったあとにした、あの中二病のような言動と行動の数々……
自覚なく始めたそれは、年月が経つにつれて正気が戻ってきてしまったボクを、今もなお苦しめている。
ログアウトできなくなって、今年で百年。
ボクは現実世界に、年の離れた幼い妹を残してきた。
この百年、また妹にあうために、ただそのためだけにログアウトする方法を探してきた。
しかしそれも、もう必要ないらしい。
少し離れた場所に、遠い昔、ボクが妹にあげた髪飾りをつけた、どこか妹の面影を残した少女がいた。
VRMMO RPG「エターナル・マスカレード」、通称「エタマス」の世界を支配するAIは、百周年記念にとっておきのサプライズを用意したと、ボクたちプレイヤーに告知していた。
見覚えのない、しかしプレイヤーっぽい人たちが錯乱しているのをみるに。
つまり、AIが用意したサプライズとは。
──新たなプレイヤー(犠牲者)の参入。
……AIは、十周年のときにこんなことを言っていた。
この世界での十年は、現実世界での一年である、と。
あの言葉を信じるのであれば、ログアウトできなくなってから現実では十年が過ぎているということになる。
このゲームは、まず最初にキャラメイクをする。
現実の容姿に寄せることもできるし、服やアクセサリーはある程度なら色や形を変えられる。
あの少女を目にしたとき、あの子はボクの妹だと確信した。
面影が、髪飾りが、仕草が、その雰囲気が。
間違いなく妹であると、ボクに確信させた。
しかし、おそらく妹は気づかない。
……というか、気づいてほしくない。
だってボク、闇の勇者だよ?
妹たちの世代、ボクたちの間で第二世代と呼んでいる新たなプレイヤーたちとは別になっているみたいだけど、ボクたち最初のプレイヤーはワールドチャット、略してWCを使って交流や暇潰し、情報交換を行っている。
ボクもそこには頻繁に顔を出すのだけど、そこでのボクのあだ名が「闇勇者」。
病んでる勇者だからって、こう呼ばれるようになった。
酷くない?
確かに病んでたけど。
もう今はほとんど正気に戻ってるんだよ。
あの頃のボクは、黒歴史も同然なんだ。
……とはいえ、たまーに闇勇者が表に出てきちゃうことはまだあるんだけどね。
でも頻度は減ってるし。
え?
へ、減ってる……よね?
ま、まあそれはそれとして。
兄がこんなだなんて、妹には知られたくない。
せめて魔王を倒せれば、自信もつくんだけど……魔王は遠目にみても雑魚なのに、周りの手下どもが強すぎてまるで近づけない。
残念ながら、まだまだ魔王討伐には届きそうにない、というのが正直なところ。
はぁ~あ。
誰か勇者、代わってくれないかな……
どこにも書けないことって、ここにも書けないやね。
ありがちなのは、
・他人の誹謗
・抑圧してきた自分の欲望・思考・感情
・他者に損害を与える公開できない事実関係
・自分で読んでもあまりに恥ずかしい文章
・言葉になれずに虚無に帰った何か
私は、ここ以外の、どこにもかけないことを、ここにかく。
誰にも信じてもらえなかったし、ここ以外に書いたら、もう会えなくなる気がするから。
会えなくなると言っても、単なる希望なのだけど。
私は確かに見た、その時の少しだけ長い話を
いつも通りのつめたい空気の中、坂を一人で登った。
そんな中での最近追いつけなくなってきた数学への焦燥感、常に疑問に思う持久走の必要性、私が嫌いな子の世話係だったり
なんだか常にこんな感じな私は、一度でもそんな重みを忘れようとした。
なので、その日は学校へ、朝早くに仕事に出かける母親のふりをして、学校へ行かないことを告げた。
私は確かにそのあとの十何時間、自由の身になった。
窓を開けて、カーテンを開いて、音楽を聞きながら、小説を書いていた。
いつも持ち込んでそのまま追い返される私だけど、
その日は筆がスルスルと動いていた。
音楽を聴くのは刺激になる。
いろいろな曲を聞けた。
海辺にいる恋人の歌だったり、好きな人が別の人を好きな、ちょっと可愛そうな歌だったり、
歌は色々な人生を垣間見る気がして、好きなのだ。
本も同じ、例えば、小説でなくとも、解説書だって、それを書いている人たちの知識だったり、いろんなことが伝わってくる、と私は思っている。
私はおすすめの曲のプレイリストをツラツラとスワイプしていたが、
なんだか可愛らしいサムネイルの曲を見つけたのだ。
まさに、今私が書いている小説とぴったりなような気がした。
天使が普通の女の子のところに舞い降りるという、まあなんとも夢見物語な小説だが、少女達に夢を与えるのが目的の私にはもってこいの話だった。
まあなんとも、私にとっては夢を与えるのが小説家なのだ。
というわけで、そのサムネイルの曲をタップした。
…生憎、曲名は私の知らない言語だった。
しかし、その言語はまさに、この曲とマッチしているような気がした。
そしてここからが一瞬なのだけれど、…
空いていた窓から冷たい風が吹いた。
開放感を味わいたかった私としては、大変嬉しいことだったのだけれど、カーテンが大きくなびくと同時に、原稿用紙まで吹き飛んでしまった。
ああ、しまった。と声に出して、
くるりと風に流されて回転して窓の下に落ちていった原稿用紙をしゃがんで拾おうとした。
その時、床に照らされていた窓から入った太陽の光が、何かで塞がれて少し暗くなったことに気がついた。
そんなコト経験したこと無いので、顔を上げてみると、なんとも白いものがいたのだ。
なにごとだ、と思って、少々目の悪い私は顔を寄せて睨んで見た。
たしかに真っ白な子だったが、私にはなぜこの子がここにいるのか疑問に思った。
この子…彼女は、私が書いている小説に出てくる
天使の女の子だったのだ。
頭の輪っかに白いもふもふの髪の毛、白い肌、
白い毛並みにワンピース、金箔のついた首元の縁まで、間違いない。私が脳内で想像していた彼女だ。
名前はまだない。しかし、マリという文字入れようとしていた子だ。
これは私が物語を書いている間に見た夢だと思った。
コレを使えば、私は賞でもなんでも取れるほどの素晴らしい出来事だと思った。
そうとなれば早く、彼女との対話を試みようとした。
私は対話が苦手なりに、天使らしい挨拶。
名前を尋ね、名乗り、特技だって披露した。
私が部屋に籠もる前にコンビニで買ってきたちょっとお高いお菓子も食べるか聞いた。
とにかく彼女の気をひこうと必死だった。
でも彼女は一向に反応せず、下を見続けている。
なんともさみしい夢だ。…と思った。
夢の中でなら自分の夢くらい叶えさせてくれよ。
と思った。
…あ、原稿用紙を拾い忘れていた。
そう思い、視線を白い木の床に落とした。
私の少し普通よりも丸い字で、天使のことが書いてある。
なんだか、少し虚しくなる。
私が丹精込めて書いたこの物語もクローゼットの中の段ボール箱に仕舞われるのだな、と感じた。
しかし結果はまだ分からない。
夢を与えるべく立ち上がった小説家のたまごが夢を叶えずに終わってどうするのだ。
よし、そろそろ夢からも目覚めよう。
と思った。
返事をもらえなかったのは悔しいけれど、自分の力で書き上げて見せるわ。
そう思って立ち上がった。
すると、彼女の頭が動いた。
…?どうやら、何かを見ているようだった。
私は視線の先を追った。
どうやら私の右手だ。そしてその右手には、例の原稿用紙が挟まれていた。
…もしかして、これか?と右手を胸の前で左右に揺らした。
ピラピラと音を立てて折れる薄い紙と一緒に、彼女の頭も左右に揺れる。
「…これがなんだかわかるかい?」
……………返事はない。
げ、ん、こ、う、よ、う、し…
返事がない。
しょ、お、せ、つ…
…どうやら知らないのか?
「…私は眩しさで目がくらんだが、天使の瞳とその視線に惑わされ……うわっ」
天使というワードを口にした瞬間に、ガタッと強い音がなるほど踏み出し私の眼の前に顔を近づけた。
…瞳……黄色い瞳まで、私の想像通りなのだ。
………………………
あっ!!!!
ビリビリビリ………!っと聞き慣れた音がする。
………真っ二つだ…
私の作品が真っ二つにされたのだ。
正直、私にとってはこれが一番つらい。
思いを踏みにじられたような、そんな感覚になる。
「……ああ…書き直しだ」
正直落胆した。なんだかコレは夢の中でもしんどいものなのだ。
はじめ持ち込みをしたときも破られたな。
その時も天使の話だった気がするが…
…私はもう天使どころじゃなくて、机に座り直してペンを持った。
そしてインクをペンにつけようとすると…
…ああっ!!!
カランっと音を立てて青いインクが全部出た。
私の白い机は青くなって、原稿用紙も青くなって、私の指先も青くなった。
「ちょっと…!勘弁してよ!そんなに書いてほしくないの?!」
しまった。言ったあとに気づいたが、私は天使相手に何を言っているんだ。
「……ごめん、なんでもない。」
といって顔を見たが、彼女の顔はさっきの私の言葉がピタリと考えていることと当てはまったかのような顔をしていた。
「………書いてほしくないの?」
「ーー……ーー」
「え?なんて言ったの?」
知らない言語だった。でも、綺麗な声をしていた。
「……あの」
……ーーガガ、と荒い音が聞こえてきた。
『ーーーー♪
「えっ?」
5時?……さっきまで青空だったのに?
………よく見てみるともう空が赤く染まっていた。
なんてことだ…
そこに彼女の姿はなかった。
しかし、机の上に、私の指に、原稿用紙に、青いインクが残っていた。
誰も信じれない怖い。自分すら信じれなくて怖い。早く死にたい
恋って聞こえはいいけれど実際は苦しい。
もっと楽しくて、綺麗で、清純なものだと思っていた。
夢を見すぎだという意見も分からなくは無いけれど。
私の恋は綺麗とは言えそうにもない。
醜い嫉妬も汚いモヤモヤした感情も私の夢見ていた恋とは程遠い。
先生が可愛い女の子と楽しそうに話しているだけで、話の内容関係なくずるいと思ってしまうし、私は放課後はなせるもんね!なんて子供じみたマウントを心の中でこっそりとったり。
そんな私の態度に目ざとく気づく先生は決まって本を貸してくれる。
先生の私物を借りれる優越感でいっぱいの私はすぐ機嫌をなおしちゃうんだけど。
ちょうど今、ごめんねと少しの甘い言葉をくれた先生は三島由紀夫の愛の渇きという本を貸してくれた。
「三島由紀夫がね、嫉妬こそ生きる力だ、っていってたの。嫉妬こそ生きるエネルギーになるって、……でも、貴方がこの本の悦子のようになってしまうのは嫌だからね。俺は貴方だけをみているよ、だからそんな顔しないで、」
先生の言葉は時々難しい。
でも、先生がすっごく恥ずかしいことを言ってのけたってことはわかる。
嬉しいのに、こんなの誰にも言えない、どこにだってかけやしない。
この本を読んだら先生の言葉の意味がわかるのかな。
三島由紀夫の『愛の渇き』『盗賊』ぜひ読んで欲しいです
2024.1.7『どこにも書けないこと』
☆時計の針☆
短針と長針の恋の物語りは
1時間に1回だけ訪れる
しかし
彼女がどんなに背伸びをしても
彼の唇には届かないし
立ち止まって
愛を語り合う事も出来ない
わずか1分のすれ違いの
淋しい恋の物語り…
書いて消す 誰にも見せない 秘密の日記
溢れ出す想い ひとり口遊む